doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 瞽女唄

1年のうち300日以上も地方の村々を巡り、三味線を伴奏に唄を披露して米やお金などを得ていた盲目の女性の旅芸人、瞽女(ごぜ)。厳しい弟子入り修行(長岡と刈羽瞽女の場合、21年)に耐え抜いた瞽女が唄う段物や口説、民謡、はやり歌などを瞽女唄という。

文献において最初に登場する瞽女は、室町時代の盲目の女性芸人らしい。その当時の瞽女は鼓を打ちながら唄っていたそうだが、江戸時代には伴奏楽器がより表現力豊かな三味線に代わった。
瞽女唄は数百年に渡り伝承されたものの、戦争に伴う社会・生活環境の変化やラジオ・テレビの普及を始めとする娯楽の多様化などにより、第二次大戦後にはほとんどの瞽女が廃業を余儀なくされ、昭和50年代には完全に途絶えてしまった。

そんな瞽女唄が下記のCDで聴ける。各瞽女の人生と生きざまが凝縮されたかのような唄と演奏はディープかつ生々しい。いくつかの瞽女唄では、戦前のカントリー・ブルーズのような感触すら覚える。日本の至宝の一つがCDで聴けることに感謝している。

・杉本キクイ『名人による日本の伝統芸 <瞽女唄> 杉本キクイ』(昭和52年[1977年]録音、KING RECORDS, KICH 2376, 2001年発売)

・Various『瞽女うた−長岡瞽女篇』(昭和33年, 42年, 46年, 48年, 51年録音、OFF NOTE, ON-38, 1999年)

・杉本キクイ『瞽女うた2−高田瞽女篇』(昭和29年,40年,44年録音、OFF NOTE, ON-39, 1999年)

・小林ハル『最後の瞽女 小林ハル 96歳の絶唱』(「端唄春雨」のみ昭和60年5月録音、その他の曲は平成8年4月4日録音, 瞽女文化を顕彰する会, 1997年, 購入先は『邦楽ジャーナル』のネット通販「邦楽CDショップ HOW」など)

・CDブック『瞽女さん 高田瞽女の心を求めて』(杉山幸子 著, 川辺書林, CDブック版は2003年発売, 杉本キクイによる瞽女唄を4曲約40分収録, 昭和29年, 44年, 53年録音)

・瞽女に関する書籍としては、杉本キクイ口伝の『わたしは瞽女』(大山真人 著, 音楽之友社, 新装版1999年)や、小林ハル口伝の『最後の瞽女 小林ハルの人生』(桐生清次 著, 文芸社, 2000年, 『次の世は虫になっても』の新装版)などがある(表紙)。

【2007年11月1日追記】杉本キクイさん(1898−1983)の5枚組CD『瞽女唄』(1991年に新潟県上越市が「上越市発足20周年記念」として発売, 15,000円, 1997年改訂版)
1978年から1980年にかけて上越市が録音。全346分収録。CDの購入・問い合わせは、『上越市』のトップページ下にある「その他」→「刊行物(書籍・CD等)販売」→「生涯学習推進課」にて。

2004年03月05日(金)
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