TOM's Diary
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2005年03月02日(水) どこでも自動ドア2

S氏はどこでも自動ドア2号の開発をしようと思った。
1号は大失敗だったからだ。

なぜなら、どこにでも行くことは出来るのだが、
ドア自体は移動しないのだ。つまりドアは元の
場所に置いてくることになるので、帰るときには
ドアを使うことが出来ないのだ。

S氏は2号の構想を練りながら、それにしても・・・
と、思った。

ドアのこちら側から移動したい場所をセットし
ドアを開ける分には、なんの違和感もないのだが
向こう側どうなっているのだろう。

なにもないところに突然ドアが現れるのだろうか?
そんなことが起こったら、その場にいた人はびっくり
してしまうだろう。

S氏は実験してみることにした。
移動先をドアのこちら側にセットしてみた。
そして、後ろを向いたまま、ドアを開いた。
すると目の前で玄関の空間が突然割れるようにして、
空間に穴があいた。そしてその穴の奥には自分が
今いる玄関ホールがある。そしてそこにはS氏の
後ろ姿があった。

じ、自分が二人いる・・・

さらに驚いたことにその先にはやはり空間に穴が空いて
玄関ホールがあり、もう一人自分がいる。そしてその先には・・・

振り返ると、ドアの外にも玄関ホールがあり、そこに自分が
立っている。さらにその先にもドアがあり、さらにその先にも・・・

まるで向かい合わせにした鏡の間にいるようだった。
どうやら、無限に繋がるループができてしまったようだ。

S氏は自分に話し掛けてみようとドアの外にでて、玄関ホールに
入った。すると、ドアの向こうの玄関ホールにいた自分も同じ
ようにもう一つさきのドアの向こうに出て行った。
S氏は自分を追いかけるようにドアをいくつか通りこした。
まるで鏡の世界に入り込んでいくようで不思議な感じがした。

S氏はいくつドアを通り越したか判らなくなってしまった。
自分はほんとうの自分のいるべき場所に戻れるのか不安になってきた。
S氏は立ち止まって、行くか戻るか考えた。

やはり戻ろう。
もとの場所に戻った方がよい。

S氏が引き返そうとしたそのとき、自動ドアが閉まってしまった。
S氏は悪魔に呪われたかのようなめまいに襲われた。

も、戻れなくなってしまった・・・

S氏は冷静になって考えようと努力した。
S氏がセットした行き先は、自分の家の玄関ホールである。
したがって、ドアを通り抜けた先はもとの自分の家の玄関ホールである。
それは何回ドアを通り抜けても変わりない。
たまたま、向かい合わせにおいた鏡のなかのように見えただけで鏡の
中に入ったわけではない。
つまり、ここは自分の家の玄関ホールであって、鏡の中でも異次元の
世界でもなんでもないのだ。

そこまで考えてS氏はやっと落ち着きを取り戻した。

しかし、S氏がいつのまにか左利きになっていたことは、全てが逆の
世界では気がつきようがなかったが、どことなく、違和感を感じるS氏
であった。


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