TOM's Diary
DiaryINDEX前日のDiary翌日のDiary


2004年05月17日(月) S氏のガーデニング

S氏は庭に穴を掘っていた。
シャベルで穴を掘っていた。

朝から始めて、もう間もなくお昼になろうとしていた。
S氏はすっかり穴の中であった。

非常にやっかいな作業であった。
このくらいの深さになるといったん掘った土をバケツに入れ、いっぱいになったら
穴の外に捨てに行かねばならない。
バケツに入る土の量はたかが知れている。かと言って、あまり大きなバケツを
使うと重くて持ち上げられない。
S氏は、用意しておいたお茶とおにぎりでお昼休みを取る事にした。

お茶を飲んで一息つくと、S氏の頭はフル稼働し始めた。
土を穴の外に自動で運んでくれる装置の図面が頭の中でどんどん出来上がっていく。
バケツがいくつもぶら下がった、観覧車のようなものだ。
穴が深くなっても対応できるように伸縮自在になっている。

S氏は穴掘りそっちのけで、装置の作成を始めた。

動力源にはモーターを用いた。これは環境を考えてのことだ。
工夫をしたのは、土を載せる部分だ。常時回りつづけているとバケツを
いっぱいにするのは難しい。人間が追いつかない。そこで、バケツはシャベルで
いっぱい程度の小さなものにした。バケツはワイヤーロープに取り付けられた
フックにひっかける。装置上部の滑車までバケツが持ち上げられると、そこに
ある棒にバケツがぶつかって傾き、土がこぼれ落ちる。落ちた土はスロープを
つたって穴の脇に落ちる仕組みだ。

夕方には装置が完成した。
暗闇での作業もはかどるように照明も完備した。もちろん安全装置もばっちりだ。
節電のため、バケツに土が入っていないときには自動的に停止する機能も付けた。
もちろん、土を入れれば自動的に動き出す。S氏はさっそく装置を設置し、
動作確認を行った。結果はばっちりだ。

満足したS氏は、ふと庭の端に目をやると、暗闇の中に、今朝ご近所さんから
もらった植木がおきっぱなしになっていることに気が付いた。
S氏はそもそもこの植木を植えるために50cmほどの深さの穴を掘ろうとして
いたことを思い出し、2mほどの深さになった穴を埋め戻しはじめたのだった。


TOM's Gallery |MAILHomePageBBS

My追加

<↓日記内検索↓>