| 2025年12月21日(日) |
おさるのベン、マーティ・シュプリーム、水の中で息をする-彼女でも彼でもなく-、ウィキッド永遠の約束、ランニング・マン、ヒグマ!! |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『おさるのベン』“Primate” 2017年10月1日付題名紹介『IT/イット “それ”が見えた ら、終わり。』の製作総指揮者とパラマウント・ピクチャー ズが手を組んで、日常生活で起こりうる恐怖を背景に描いた ホラー作品。 映画の始まりは檻の中の獣の診察に来た獣医。彼は檻に入っ て診察を始めようとするが、突然狂暴になった獣に襲われ、 惨殺される。しかしその状況は周囲には不知のままになって しまう。 そして主人公は久しぶりにハワイの実家に帰ってきた若い女 性。その崖に面したプールのある邸宅とも呼べる実家には聾 者の父親と妹、それに手話や読み上げ機能付きタブレットで 会話も可能なチンパンジーがいた。 ところがそのチンパンジーが突然狂いだす。その腕力は人間 をはるかに上回り、主人公らはプールに追い詰められる。そ こは狂犬病に罹り水を怖がるチンパンジーからは安全地帯だ ったが…。絶体絶命の恐怖が彼女らを襲う。 脚本と監督は、2017年公開『海底47m』などのヨハネス・ロ バーツ。シチュエーション・ホラーが得意の監督の新境地の ようだ。なお脚本は『海底47m』にも協力したアーネスト・ リエラとの共同になっている。 出演はジョニー・セコイヤ、ギア・ハンター、ビクトリア・ ワイアント、ジェシカ・アレクサンダー、ベンジャミン・チ ェン、チャーリー・マン、ティエン・シモン。それに2021年 『コーダ あいのうた』で聾者男優初のアカデミー賞®助演 賞に輝いたトロイ・コッツァー。 実は試写の前に宣伝担当者から洋画興業の窮状が訴えられ、 本作では「狂犬病」をキーワードに何とかムーヴメントを起 こしたいということだった。「狂犬病」と言うとスティーヴ ン・キング原作で1984年映画化『クジョー』を思い出すが、 確かに恐怖心を煽るには良さそうだ。 実際に僕自身が10年程前にタイ・バンコクに行ったときに、 当時は狂犬病汚染地帯だった市内で夜間に前後を犬に囲まれ て怖い思いをした経験があり、それがペットの発病では怖さ も大きい。現実感もあるし、これは上手く行って欲しいと思 うものだ。 それともう一つ、1979年にジョージ・A・ロメロ監督の『ゾ ンビ』を地方の映画館で観た際に女子高生のグループと一緒 になり、彼女らがキャーキャー言いながら映画を観ていた記 憶がある。 SNSもなかった時代にどういう状況で観に来たのか判らな いが、案外女子高生とホラーは相性が良いのかもしれない。 こんなことも考えて上手くターゲットを絞ったキャンペーン をして貰いたいものだ。 公開は2026年2月20日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社東和ピクチャーズの招待で試写 を観て投稿するものです。
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』 “Marty Supreme” 2014年の東京国際映画祭でグランプリを受賞したジョシュ・ サフディ監督が2018年1月28日付題名紹介『君の名前で僕を 呼んで』などのティモシー・シャラメを主演に迎え、1952年 の時代背景で卓球の腕を武器に世界に羽ばたこうとする若者 の姿を描いた作品。 主人公はニューヨークの小さな靴屋で働く若者。口が巧みで 社長からは店を任せるとまで言われるが、彼には別の目標が あった。それは腕を磨いた卓球で世界に羽ばたくこと。そこ で店の金をくすねてロンドンの世界大会に出向くが…。 そんな彼の前に強敵が立ちはだかる。それは敗戦後の渡航禁 止が解けたばかりの日本からやってきたエンドウと言う寡黙 な選手だった。そして勝負に屈して失意で帰国した彼を待っ ていたのは、強盗の容疑と恋人の妊娠。 この事態に主人公はロンドンで知り合った富豪の夫妻に取り 入り、次の世界大会が開かれるトウキョウに向かおうとする が。彼の前にはさらに様々な難題が立ち塞がる。果たして彼 は日本で雪辱を果たせるか? 共演は、映画出演は久々のアカデミー賞®女優グウィネス・ パルトロウと、近年急速に地位を確立しつつあるとされる若 手のオデッサ・アザイオン。他に投資家としても知られるケ ヴィン・オレアリー、ラッパーのタイラー・オコンマ。 さらに映画監督でもあるアベル・フェレーラ、ゴールデング ローブ2度受賞のフラン・ドレシャー。そして2025デフリン ピックで卓球男子団体戦銅メダリストの川口功人がライヴァ ルの日本人選手として登場する。 映画の前半での主人公は正しく最低の人物で、特にアウシュ ヴィッツのサヴァイヴァーを揶揄した後で「僕もユダヤ人だ けどね」と言い放つ辺りは、これは反ユダヤ思想の映画かと 思うくらいのものだった。 それが徐々にスポーツの道に目覚めて行き、最後はアスリー トとしての成長を見せる。それが上野恩賜公園に特設された という見事に時代考証されたオープンセットで完璧に描き切 られた作品だ。 実は監督のグランプリ受賞作は、2014年11月2日付でも書い たように僕には鑑賞に堪えられなかったもの。しかしその時 のある種の嫌味な感じが本作では活かされたのかな。特に映 画の前半では見事と言えるものだった。 正に映画の表現力を侮ってはいけないというところだろう。 それに駐留軍米人の振る小旗から日本人観客の衣装まで、時 代考証の見事さも特筆できる作品だ。そして日本人選手の名 前がエンドウと言うのも嬉しかった。 公開は2026年3月13日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷 他にて全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ オの招待で試写を観て投稿するものです。
『水の中で息をする-彼女でも彼でもなく-』 “Holding Back Tide” 日本では秋冬の味覚として珍重される牡蠣は、最初は全てが オスとして誕生するが、環境に応じて一部がメスに変態して 子孫を残す。そんな牡蠣の生態をクイアに擬えて描いたハイ パードキュメンタリー。 主にニューヨーク州を流れるハドソン川が注ぐニューヨーク 湾は全長 500マイル(約 800��)に及ぶ海岸線を有し、かつて は世界有数の牡蠣の生産地として知られていた。しかしその 牡蠣は乱獲などによって今や絶滅の危機にあるという。 そんな牡蠣は食用とされるだけでなく、水の浄化やその貝殻 の堆積により天然の防波堤が形成されて海岸線の浸食や洪水 の防止などの効果もあり、さらにその貝殻が新たな牡蠣の繁 殖の場を提供する効果もあるとされる。 そこで近年その牡蠣を復活させる運動として「2035年までに 10億個の牡蠣を海に戻す」ことを目標としたBillion Oyster Project(BOP)が進められ、早くも水質改善の効果が報告 されているということだ。 という牡蠣を取り巻く状況が、黒人奴隷が牡蠣の殻剥きに従 事してるアーカイヴの映像や、アスリートから牡蠣の養殖師 に転身した元女子プロバスケットボールのスター選手のイン タヴューなどと共に描かれて行く。 監督は、2016年に“La Frontierra Chingada”と言う米墨国 境に取材したドキュメンタリー作品でデビューしているエミ リー・パッカー。以降は短編ドキュメンタリーを主に制作し て、本作はデビュー作以来の長編作品のようだ。 出演はドキュメンタリーパートに元女子プロバスケットボー ル選手のスー・ウィックス。フィクションパートにはパフォ ーマーのドラゴンフライ、アーシア・テイラー・パタースン らが登場する。 自分のニューヨークの引き出しの中にはグランドセントラル のオイスターバーというのがあって、現地に行ったことはな いが以前は東京にもそこが由来の生牡蠣を食べさせる店など もあったと記憶している。 でもそれが絶滅に瀕していたようだ。しかしそこからの復活 が実現してきているようで、そんなことが知れたのも価値の ある作品だった。今年は日本の牡蠣も大変そうだが、他山の 石にはしない方が良いのかもしれない。 ただしクイアとの関連性は良くは判らなかったかな。まあそ ういう見方もあるのだろうけど…。特にアメリカのスポーツ 界はそれで揺れているようだし。 公開は2026年1月31日より、東京地区は渋谷のシアター・イ メージフォーラム他にて全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ブライトホース・フィルムの招 待で試写を観て投稿するものです。
『ウィキッド永遠の約束』“Wicked: For Good” 2024年12月紹介『ウィキッドふたりの魔女』の後編。前編の 最後で袂を分かったふたりの魔女の関係が、ドロシーの到着 によって新たな展開を迎える。 悪い魔女(ウィキッド)エルファバは人々の前から姿を消し、 森の中でひっそりと暮らしていたが、その力を怖れるオズの 魔法使いたちは彼女を追い立てるためマンチキンや動物たち に迫害を加え始める。 一方、オズの国の新たな顔となった良き魔女グリンダには王 子との婚礼が決まり、壮麗な結婚式が準備されていたが、悪 い魔女を怖れるマダム・モリブは嵐を引き起こしてエルファ バを亡き者にしようと企んでいた。 そして嵐の中を飛んできた家が悪い魔女を押しつぶす。しか しそこにはオズの国を司るある秘密が隠されていた。果たし てグリンダとエルファバはその秘密を暴いて、オズの国に平 穏を取り戻すことがことができるのか…。 L・フランク・ボームの原作を表裏にした物語が展開されて 行く。 出演は、前作に引き続いてのシンシア・エリヴォとアリアナ ・グランデ。他にジョナサン・ベイリー、イーサン・スレイ ター、マリッサ・ボーディ。 さらにボーウェン・ヤン、ブロンウィン・ジェームズ、キア ラ・セトル、アンヂ・ナイマン、コートニー・メイ・ブリッ グス。そしてミシェル・ヨー、ジェフ・ゴールドブラムらが 脇を固めている。 監督も前作に続けてジョン・M・チュウが担当した。 前作では最初にドロシーの到着が描かれていたが、本作では 中盤でそのシーンが再登場して作品が2部作になっている理 由が明確になっているかな。そこからは正に原作の裏話で、 その点の面白さも味わえる作品だ。 ただ原作の悪い魔女が本当はどうだったのかという展開は、 描きたい主旨は理解するけどなかなか表現は難しい。特に死 んだ魔女の復活は、この展開ではちょっと安易だったかな。 結末ももっと違うものであって欲しかった気もした。 とは言え小説の原作があって舞台版があっての本作の成立と いうことではこれが精一杯っだたのかもしれない。でも何か 物足りなさが残る感じもした。 公開は2026年3月6日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社東宝東和の招待で試写を観て投 稿するものです。
『ランニング・マン』“The Running Man” 2017年10月1日付題名紹介『IT/イット “それ”が見えた ら、終わり。』などの原作者スティーヴン・キングが1982年 にリチャード・バックマンの名義で発表した小説を、キング の製作総指揮、2014年2月紹介『ワールズ・エンド』などの エドガー・ライト脚本、監督で映画化した作品。 物語の背景は貧富の差が限りなく開いた近未来のアメリカ。 その世界で主人公は下層階級に属する男性。彼は実直に生き てきたが、同僚を助けようとして執った行動で勤務先の不興 を買い職場を追われてしまう。 一方その世界では、命懸けで一攫千金を狙えるテレビのリア リティショウが人気を博していた。それは30日間逃げ続けれ ば大富豪をも超える賞金が得られるというものだが、失敗す れば即死。しかも今まで成功者は出ていなかった。 そんな危険な賭けに今までは目を呉れない主人公だったが、 子供の病が悪化し、遂に決断を下さなくてはならなくなる。 そしてオーディションを突破した主人公は街に放たれ、その 後をハンターたちが追い始めるが…。 出演は、2003年9月紹介『スパイキッズ3−D:ゲームオー バー』が映画デビュー作というグレン・パウエルと、2012年 5月紹介『リンカーン弁護士』などのウィリアム・H・メイ シー。 さらに2008年5月紹介『落下の王国』などのリー・ペイス、 2011年4月紹介『スコット・ピルグリム』などのマイケル・ セラ、2021年『コーダ あいのうた』などのエミリア・ジョ ーンズ。 他にダニエル・エズラ、ジェイミー・ローソン、ショーン・ ヘイ、ケイティ・オブライアン、コールマン・ドミンゴ。そ して2016年1月紹介『ボーダーライン』などのジョシュ・ブ ローリンらが脇を固めている。 殺人ゲームをテレビで実況中継するという話では、アメリカ のSF作家ロバート・シェクリーが1953年に発表した小説を 1965年にマルチェロ・マストロヤンニ主演で映画化した『華 麗なる殺人』“La decima vittima”が知られるが。 さらにシェクリーが1958年発表して1983年にフランスで映画 化“Le Prix du Danger”された小説「危険の報酬」では、 正しく生死を掛けた逃亡ゲームが描かれているそうだ。 そして本作の原作も1987年にアーノルド・シュワルツェネッ ガー主演で一度映画化『バトルランナー』されており、本作 はそのリメイクでもある。 そんな定番とも言える物語だが、今回の映画化では民衆の熱 狂ぶりが特に強調して描かれており、それはSNS時代の何 にでも構わず尻馬に乗る現代の風潮を表現しているようで、 今、正にそんな時代が追いついた作品とも言えそうだ。 公開は2026年1月30日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社東和ピクチャーズの招待で試写 を観て投稿するものです。 * * 最後に速報で、10月12日に紹介し11月9日に公開延期を報 告した内藤瑛亮脚本・監督、鈴木福主演の映画『ヒグマ!!』 が、2026年1月23日から一般公開されることになった。 この作品は以前にも書いたように決しておちゃらけたもの ではなく、社会性を持って真面に制作された映画だが。時勢 柄というか、SNS界隈では不謹慎な投稿で映画を観てもい ない連中からバッシングを浴びていた。 しかし情勢から考えてそのバッシングには当らないという 判断が出されたのか、ようやく公開ができる運びとなったよ うだ。僕自身は映画を観て、出演者の頑張りも伝わってくる 作品だったので、公開決定を嬉しく思うものだ。 ただこの作品は殊更ヒグマを悪く描いているものなので、 公開後はおバカな動物愛護派から文句が出るかもしれない。 しかしその辺は頑張って映画を守って欲しいものだ。 とにかく映画が公開されることにはほっとした。来年はい い年になりそうだ。
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