井口健二のOn the Production
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2025年09月14日(日) 見はらし世代、ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師、ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『見はらし世代』
2025年カンヌ国際映画祭「監督週間」に日本人監督史上最年
少の26歳で選出された団塚唯我監督による長編デビュー作。
因に監督は以前に何度か紹介した「ndjc:若手映画作家育成
プロジェクト」の出身者とのことだ。
物語の背景は東京の渋谷。町の再開発で街区のスクラップ&
ビルドが続けられるこの街の片隅で、ある一家の崩壊と再生
が語られる。
物語の始りは10年前。両親と子供2人の一家は都会を離れた
別荘地に家族旅行に来ていた。しかし高速のサーヴィスエリ
アを経て旅先にやってきた父親に仕事の連絡が入り、父親は
家族を残してとんぼ返りしてしまう。
それから10年後、家族の長男は花卉店で胡蝶蘭の運配送の運
転手をしていたが、その配送先に父親の職場の名前を見付け
出す。そして蘭を持って父親の許を訪れた長男だったが、そ
の再会がぎこちないものだった。
一方、家族の長女は結婚を控えており、彼女は弟に引越しの
手伝いを依頼する。そしてやってきた弟は姉に父親との再会
を告げるが、姉の態度は全く無関心のようにつれない。そん
な板挟みに弟は苦悩することになるが…。

出演は2023年8月紹介『さよならほやマン』などの黒崎煌代
と、2015年8月紹介『木屋町DARUMA』などの遠藤憲一。さら
に2024年10月紹介『十一人の賊軍』などの木竜麻生。それに
井川遥。
他に菊池亜希子、中村蒼、中山慎悟、吉岡睦雄、蘇��淳、服
部樹咲、石田莉子、荒生凛太郎らが脇を固めている。
物語は渋谷が背景で、70年安保の時代から渋谷に出入りして
本作の試写も渋谷の丸山町界隈で鑑賞している自分にとって
は、正に自分の家の話のようにも思える親しみが湧いてくる
作品だった。
そんな渋谷の変革と重ね合さった家族の話だが、物語として
後半の展開は自分のテリトリーにも近くて大歓迎で、恐らく
こういう展開が今の映画ファンにも受けるのだろうが。個人
的には少し唐突に感じたかな。
それはもちろん伏線は敷かれていたものではあるが、そこま
での展開が巧みでリアルだった路線からは少し落差があった
感じもする。全体をこの話で行くなら前半にもっとギミック
があって欲しい。
逆に言えば本来のテーマの解決策としてこれは少し安易な感
じもしてしまう。それこそ deus ex machinaのような感じに
もなってしまったものだ。まああまりドロドロしたものを描
くよりはこの方が良いのかもしれないが。
なお冒頭書いた「ndjc」に関しては2018年、2019年と2022年
は鑑賞したが、団塚監督の作品が発表された2021年はcovid-
19禍もあって鑑賞が叶わなかった。でもここから次々に新し
い才能が巣立っていることには嬉しさを感じるものだ。

公開は10月10日より、東京地区はBunkamura ル・シネマ渋谷
宮下(ベストロケーション)、新宿武蔵野館、UPLINK吉祥寺他
にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社シグロの招待で試写を観て投稿
するものです。

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』
        “Bonhoeffer: Pastor. Spy. Assassin.”
第2次世界大戦期のドイツ。ナチスの政権下で信仰を守り、
遂にはヒトラー暗殺計画にまで参画した牧師の実話に基づく
物語。
ディートリヒ・ボンヘッファーは1906年生まれ。ベルリン大
学などで神学を専攻した後にバルセロナで教会の助任牧師を
務め、さらにはニューヨーク市の神学校に1年間留学する。
そして帰国後はベルリン大学で講師などを務めていた。
しかし当時のドイツではナチスが台頭し、キリスト教会もナ
チスに隷属して行く。そんな中で主人公はドイツ・ルーテル
派の牧師として働き、さらには反ナチズムの告白教会の設立
にも参加していったが…。
因に主人公の父親はベルリン大学で精神医学と神経学の教授
を務めており、ヒトラーが開始した安楽死計画に反対を表明
したもっとも著名な精神科医の一人だったという。そんな環
境も彼を後押ししたのかもしれない。

出演は2019年2月3日付題名紹介『僕たちは希望という名の
列車に乗った』にも主演したヨナス・ダスラー。他に2019年
12月22日付題名紹介『名もなき生涯』などのアウグスト・デ
ィール、2010年11月紹介『ソウル・キッチン』などのモーリ
ッツ・ブライプトロイ。
さらにナディーン・ハイデンライヒ、デヴィッド・ジョンソ
ンらが脇を固めている。
脚本、監督、製作は2016年9月紹介『ハドソン川の奇跡』な
どの脚本を務めたトッド・コマーニキ。当初は別の監督で脚
本のみ依頼されたが、提示された概要に疑問を持ち、6年か
けて脚本を執筆して自ら監督も務めたそうだ。
本来は宗教家である主人公が暗殺という殺人を画策する。そ
の矛盾に興味を惹かれたが、映画の中ではその葛藤とそこに
至る思想もしっかりと語られており、時代に翻弄される中で
の彼の生き様が見事に描かれていた。
なお映画の中では彼がキリスト教の聖人に列せられているよ
うな描写があるが、ネットで検索した限りではそれはヒット
しなかった。但しキリスト教の聖人は宗派によって様々なよ
うで、一部ではそういう扱いもあるのかもしれない。
その一方で映画では彼の音楽の素養も紹介され、ニューヨー
ク時代のジャズメンとも交流も描かれるが、これは脚本家の
創作とのこと。でも同時代にそこにいたことは事実だし、可
能性はない訳ではない。
しかもそのシーンは正しく感動的で、これが映画の前半に置
かれていることを残念にも感じてしまうものだった。そして
映画の後半では、彼の遺した詩に曲をつけた実在の讃美歌も
登場する。
因にこの讃美歌は、当時は俳優業を休業中だった主演のダス
ラーを映画に導く切っ掛けでもあったそうで、そんな音楽的
にも素晴らしいエピソードを持つ作品だ。

公開は11月7日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館他に
て全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ハークの招待で試写を観て投稿
するものです。

『ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス』
2018年と2021年の2シーズンにCS放送及び地上波はTOKYO MX
などで各12話放映されたアニメーションシリーズの劇場版。
幕末、昭和、平成などいろいろな時代の少女たちがゾンビと
なって甦り、特殊メイクなどで出自を隠しながらアイドルグ
ループを結成し、存在が消えつつある佐賀県を救うべく活動
している、というかなり飛んだ設定のホラーコメディ?
一応テレビシリーズの概要は目を通してみたが、ゾンビとい
うよりはアイドルグループの成長の道程のようで、そこには
友情やアイドル活動への疑念など、有り勝ちの物語が綴られ
ている感じだった。
ただまあメムバーたちの生前のジェンダーの問題やその他の
社会現象など、現代社会を取り巻く様々な問題がそれなりに
語られているようで、それは少し気になるところもある感じ
のシリーズだったようだ。
そんなシリーズの劇場版だが、映画の物語はグループの人気
も高まり、折しも佐賀県で開催される万博のメインステージ
に向けて準備を進めているところに突然巨大宇宙船が出現。
地上を攻撃し始めるという展開。
これに対して日本政府及び世界各国は佐賀県を犠牲にする攻
撃を検討。そんな中、ゾンビの彼女たちが宇宙船への決死の
対決を挑むが…。因にこのプロローグはシリーズ第2シーズ
ンの結末からの続きのようだ。

声優はテレビシリーズと同じく宮野真守、本渡楓、田野アサ
ミ、種田梨沙、河瀬茉希、衣川里佳、田中美海、三石琴乃。
監督も、テレビシリーズと同じく佐藤威と石田貴史。そして
脚本はテレビシリーズの大半を執筆している村越繁が担当。
因に村越は、2018年9月23日付題名紹介『ポルトの恋人たち
時の記憶』などの脚本も手掛けている。
正直に言って突然巨大宇宙船が飛来してそれに対決するとい
う展開の作品はいろいろあるし、そこに本作ではゾンビとい
う存在が生かされているかというと、その辺はあまり感じら
れなかった。
ただそこにはキャラクターの特徴がいろいろあったようなの
だが、如何せんテレビシリーズを観ていない身には少しハー
ドルが高かったかな。その辺はテレビシリーズからのファン
へのプレゼントという感じの作品だろう。
でもまあ物語が判りやすい分、理解はしやすかったもので、
その点は一般観客へも配慮はされている? 取り敢えず僕自
身は問題なく観ていられる作品だった。この手の作品にこれ
以上の要求は控えたい。

公開は10月24日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社東映の招待で試写を観て投稿す
るものです。


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井口健二