| 2025年08月10日(日) |
ストロベリームーン、ブライアン・エプスタイン世界最高のバンドを育てた男、やがて海になる |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ストロベリームーン』 2023年に刊行されて「令和イチ泣ける」と称された芥川なお 原作小説の実写映画化。 幼い頃から病弱で通学も叶わなかった少女が15歳で余命半年 と宣告され、両親に懇願して高校への通学を実現させる。そ こにはある想いも隠されていたが…。それから半年間の6月 の満月を目指す物語が描かれる。 出演は、2023年NHK大河『どうする家康』などの當真あみ と映画『室井慎次』(2024)シリーズなどの齋藤潤。他に 杉野遥亮、中条あやみ。 さらに池端杏慈、黒崎煌代、吉澤要人、伊藤健太郎、泉澤祐 希、池津祥子、橋本じゅん。そして田中麗奈、ユースケ・サ ンタマリアらが脇を固めている。 脚本は、1959年生まれで2004年3月紹介『深呼吸の必要』や 2009年3月紹介『おっぱいバレー』などの岡田惠和。監督は 1991年生まれで2024年『恋を知らない僕たちは』などの酒井 麻衣が担当した。 実はタイトルの意味も知らず、内容も全く不知のまま試写会 に臨んだ。そこで開幕からほんの数分で落涙するという事態 に陥ってしまった。その時点ではその後の展開や結末も知ら ないままである。 自分は一端映画を見続けてきたものだから多少の感動シーン には馴れているつもりだが、それでこの状況には脚本と監督 の巧みさを褒めざるを得ないだろう。ベテラン(脚本)と新鋭 (監督)の見事な融合と言えるものだ。 まあそれ以降は感情の揺さぶりは抑えられたが、逆に冷静に 物語を観ることができたのはこのテーマというか展開の把握 には良い結果だったとも言える。テーマとしては一時期有り 勝ちだったとも言えるが、それを巧みに再生している。 水に浸かったのに数分後には衣服が乾いているなど突っ込み どころはいくらでもあるが、フィクションはある意味ファン タシーなのであって、それをとやかく言うのは野暮というも のだ。それくらいには認められる作品だった。 なお主題歌「トワノヒカリ」を、脚本家岡田惠和の2004年作 『いま、会いにゆきます』での主題歌「花」以来のタッグと なるORENGE RANGEが手掛けているのも話題になりそうだ。 公開は10月25日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社松竹の招待で試写を観て投稿す るものです。
『ブライアン・エプスタイン世界最高のバンドを育てた男』 “Midas Man” イギリス・リヴァプール出身の4人組ロックバンド=ザ・ビ ートルズのマネージャーで、5人目のビートルズとも呼ばれ た男性の姿を事実に基づいて描いたドラマ作品。 1934年9月19日にユダヤ系一家の長男としてリヴァプールで 生まれたブライアンは、1950年頃から父親の経営する家具店 で働き始め、その店内でレコードの販売業務を担当。1959年 にドイツで発売された1枚のレコードの注文を受ける。 その時、店にそのレコードはなかったがその演者がリヴァプ ール出身で、地元のクラブで凱旋出演をすると知ったブライ アンはその演奏を聞きに行き、一瞬でその姿に魅了される。 そして彼らのマネージメントを買って出る。 こうしてザ・ビートルズと出会ったブライアンは、やがて彼 らを世界一のバンドへと育てて行く。しかしその陰では彼自 身の性癖や様々なストレスからの薬物への依存などが彼の身 体を蝕んで行くことになる。 そんなブライアンの生涯が描かれる。 出演はジェイコブ・フォーチュン=ロイド。他にエド・スペ リーアス、エディ・イザード、ジェイ・レノ、エディ・マー サン、エミリー・ワトソン、ブレイク・リチャードソン、ジ ョナ・リース、ダーシー・ショウらが脇を固めている。 監督はジョー・スティーヴンスン。2017年には俳優イアン・ マッケランを追った長編ドキュメンタリーも手掛けたという 監督がマネージャーの真実に迫ったものだ。 劇中には何度か演奏シーンはあるが、そこではザ・ビートル ズの楽曲はほとんど演奏されない。その代わりに「ベサメ・ ムーチョ」などザ・ビートルズが世に出る前に演奏していた カヴァー曲などが聞こえる仕組みだ。 これは権利の問題などもあったのかもしれないが、本作はザ ・ビートルズを描くのではなく、ブライアン・エプスタイン を描くのだから、敢えてその楽曲は避けたようにも取れる。 多分そういう監督の意思の表れだろう。 ただまあ描かれるエピソードの殆んどは彼の性癖やリンゴ・ スターの加入など、すでに他の作品でも描かれたものが多い から、その点での目新しさは少なかったかな。最初のレコー ド会社の来歴などは面白かったが。 また日本やフィリピン公演でのトラブルなどは、その後の情 勢を知って観ると面白いものはあった。そんな歴史も感じさ せてくれる作品だ。 公開は9月26日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷シャン テ他にて全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ロングライドの招待で試写を観 て投稿するものです。
『やがて海になる』 広島県江田島を舞台に、地元を離れられない男と地元を離れ て都会に出て行った男の行く末を、江田島出身の沖正人監督 が自らの脚本で描いた作品。 主人公は故郷を出て映画の道に進み、発表した作品は好評の ようで、そんな男が新作の撮影のために故郷に戻ってくる。 その情報は地元のテレビでも紹介され、そんなニュースを地 元で暮らす男女2人が見つめていた。 その1人は数年前に父親を亡くした男性。その父親が残した 農地は親戚に任せ、自分はやるべきことも判らないまま半分 フリーターの様な生活だ。そしてもう1人はクラブで雇われ ママの女性。 そんな3人は高校時代の同級生で、その時代の姿は夢のまた 夢だった。そんな3人が再会し物語が動き出す。 出演は三浦貴大、武田航平、咲妃みゆ。その高校生時代を市 村優汰、後藤陽向、川口真奈。さらにドロンズ石本、武田幸 三、高山璃子、山口智恵、緒形敦、柳憂怜。また占部房子、 白川和子、大谷亮介、渡辺哲らが脇を固めている。 僕自身は湘南生まれの湘南育ちで、今は東京に住んではいる が隣接県ではあるし自分で故郷というものをあまり意識した ことがない。従って主人公のような思いは湧かないが、逆に 他の2人のような思いもないものだ。 つまり僕にとって本作の登場人物たちの思いは想像でしか考 えられないもので、その点で僕はこの作品の観客には適さな いと感じてしまった。でもこういう思いを共有できる人は多 いのかな。そんなことは考えた。 ただそれにしても、3人3様の物語が少し重すぎる感じはし て、しかもその解決が物足りない。上映時間の中で全てを描 き切ることは難しいかもしれないが、もう少し切り分けて多 少なりとは深い話に出来たようには感じられた。 でもまあ2つの時代3人の物語をここまでまとめ上げた手腕 は評価するべきものだろう。まだまだ習作、これからが楽し みな監督ではある。 公開は8月29日より広島・八丁座、9月5日より呉ポポロシ アターにて先行上映の後、東京地区は10月24日からヒューマ ントラストシネマ渋谷他にて全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ムービー・アクト・プロジェク トの招待で試写を観て投稿するものです。
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