| 2025年08月03日(日) |
テレビの中に入りたい |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『テレビの中に入りたい』“I Saw the TV Glow” 新しい才能を次々に発掘するA24が製作し、2024年の第74回 ベルリン国際映画祭・パノラマ部門に正式出品された作品。 舞台は1996年のアメリカ郊外の住宅地。主人公が通う中学校 が大統領選挙の投票所となり、母親の投票についてきた主人 公は物陰で熱心に読書している女生徒に目を留める。彼女が 読んでいたのはテレビ番組のオフィシャル本だった。 その番組は『ピンク・オペーク』。2人の少女が「憂鬱」と 称する敵の繰り出す様々な怪物と戦うアクションもの。しか し厳格な彼の家のルールは10時就寝で金曜日の10時30分から 放送されるその番組を見ることはできなかった。 そんな主人公を少女は自分の家で見せてあげると誘い、友達 の家でお泊りをすると称して彼女に家にやって来た主人公は 初めてその番組を見て魅了される。その後は彼女が録画して くれたヴィデオで鑑賞を続けるが…。 2年後、突然彼女が町から姿を消し、番組もシーズン5で打 ち切りになってしまう。そして母親を癌で亡くした主人公は 重なる喪失感の中で何の目標もないまま無為に生活を続けて いくことになってしまう。 さらに8年後、父親と共に映画館で働いていた主人公の前に 突然少女が現れる。しかも彼女は行方不明の間はテレビの中 でピンク・オペークとして活動していたと話し出す。そんな 彼女は主人公に一緒に来て欲しいと告げるが…。 出演は2019年『名探偵ピカチュウ』などのジャスティス・ス ミス。他にジャック・ヘブン、ヘレナ・ハワード、リンジー ・ジョーダン、フレッド・ダースト、ダニエル・デッドワイ ラーらが脇を固めている。 脚本と監督は、1987年生まれで2021年“We're All Going to the World's Fair”という作品を発表しているジェーン・シ ェーンブルン。因に本作は全3部作の第2部という位置づけ のものだそうだ。 3部作の第2部ということで本作を単体で評価していいかは 迷うところだが、IMDbに掲載された前作のシノプシスを読む と物語などに直接関連はないようなので、本作だけで評価を してみることにする。 内容的にはテレビドラマの物語に入り込むというものだが、 実際のそのシーンみたいなものはあまりなくて、その周囲を 描くというのはうまいと言えるところかな。それがホラーと しての現実感には繋がっているように感じる。 しかもそれがテレビ文化へのノスタルジーに繋がっているの も心地よく感じられたところだ。特に放送の定時性が強調し て描かれているのは、昨今の配信文化との違いが反映されて いるようにも感じられた。 それはテレビの中に入るという言い回しにも顕著で、そこに はブラウン管式の箱型のテレビが存在している。これは近年 のパネル型のテレビでは思いつかないものだろう。そんな最 近の文化との違いがノスタルジックに描かれた作品だ。 公開は9月26日より、東京地区はヒューマントラストシネマ 有楽町他にて全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ オの招待で試写を観て投稿するものです。
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