| 2022年11月27日(日) |
生きててごめんなさい、いちばん逢いたいひと、恋のいばら |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『生きててごめんなさい』 社会現象とまでされる「刀剣乱舞」や2019年7月紹介『いな くなれ、群青』などに出演の黒羽麻璃央と、2020年2月23日 題名紹介『街の上で』などの穂志もえかの共演で、出版文化 を背景にした青春映画。 主人公は出版社の編集部に勤めながら文学賞の応募を狙って いる男性。そんな男性が居酒屋で客への応対に苦労している 女性を助け、2人はそのまま同棲関係になる。しかし女性は ある種の適応障害で、家にいることが多かった。 そんな男性は、勤務先ではパワハラに近い上司の攻撃を受け ており、さらに担当する執筆者からも無理難題を押し付けら れて応募のための執筆もままならなくなる。そんな時に高校 の文芸部の先輩だった女性編集者と再会し…。 出版も配信が主流になりつつある時代に、紙の出版を背景に してくれるのは、そういう時代を生きてきた者としては嬉し くもなる作品だ。そこにまあ、何というかライトノヴェルの ようなノリの物語が展開される。 企画・製作は、2018年9月紹介『青の帰り道』や2017年12月 紹介<TANIZAKI TRIBUTE>の一編『悪魔』などの藤井直人。 その『悪魔』で脚本を務めた山口健人が、本作を脚本・監督 した。 共演者では、2022年8月紹介『よだかの片想い』などの松井 玲奈、2017年10月1日題名紹介『こいのわ 婚活クルージン グ』などの安井順平らが脇を固めている。 タイトルが何とも重くて、正直には試写を観るのを躊躇した ところもある。でも実際の作品は軽いノリと言うか、一時期 流行ったカルチャースクールの文芸教室にはこんな人も居た んだろうなあ、という感じの主人公だ。 そんな目で見ているとライトノヴェルと言うジャンルが頭に 浮かんでしまうのだが、はっきり言って男女の主人公のキャ ラクターの掘り下げも浅いし、これで物語のどこに共感すれ ばよいのかも判らなくなる。 特に結末は、逆の方がもっと真剣な物語になったと思うが、 でもこういう展開が今の観客には受けるのだろうし、そこに 今が旬の俳優の共演なら、これはこれで認めるべき作品なの だろう。 とは言うものの、やはりタイトルは重過ぎるように感じてし まう。それを払拭する宣伝は大変だ。「#イキゴメ」で良い キャンペーンが張れるといいが。 公開は2023年2月3日より、東京ではシネ・リーブル池袋、 ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺他にて 全国順次ロードショウとなる。
『いちばん逢いたいひと』 AKB48倉野尾成美の主演で、急性骨髄性白血病の少女とその 骨髄ドナーとなった男性を巡る実話に基づくとされる物語。 主人公は11歳で白血病と診断されて入院し、ドナーを待つ間 は過酷とされる抗がん剤の治療を受けることになる。しかし そこには隣のベッドで同じ病を闘う少年との淡い恋心なども 芽生えていた。 一方、IT企業を経営する男性の娘が白血病となり、ドナーを 待つも甲斐なく死去してしまう。そして男性は妻から「何も してくれなかった」と詰られて家庭は崩壊。そんな時、男性 はふと骨髄ドナーに登録する。 その登録が、少女と男性の未来を奇跡のように結びつけるこ とになる。 共演は三浦浩一、不破万作、田中真弓、大森ヒロシ、それに 監督も務める丈、そして崔哲浩。さらに子役の田中千空、海 津陽。また中村玉緒(特別出演)、高島礼子らが脇を固めてい る。 本作のプロデューサーのお子さんが同様の白血病なのだそう で、この作品にはその思いが込められているようだ。実際に 映画では骨髄移植に向かうまでの手順なども丁寧に描かれて おり、その啓蒙という点では申し分のない作品と言える。 そしてそこにある意味で波乱万丈のドラマが盛り込まれてい るものだが、どこまでが実話かは知らないが、脚本も手掛け た丈監督は、深刻であったりユーモラスな部分もあったりの ヴァラエティに富んだ構成で巧みに描いている。 因に丈監督は大衆演劇の梅沢武生劇団の出身だそうで、人情 劇にコメディを織り込む手法はそこで培われたものかもしれ ない。いずれにしても深刻さの中に緩急を付けるドラマ作り は正しく王道と言える感覚だった。 特にドナーと警察とのくだりは、巧みな幕間劇という感じに もなっているものだ。ただ骨髄移植に関しては、近年は臍帯 血の適用なども進んでおり、その辺の情報も少しは入れて欲 しかったかな。主旨とは離れてしまうかもしれないが。 とは言え、ドナー登録の意義を伝える映画としては良くでき た作品であり、広く一般に観て貰いたい作品だ。 公開は、2023年2月17日よりロケ地の広島県と栃木県で先行 上映の後、東京はシネ・リーブル池袋他にて全国順次ロード ショウとなる。
『恋のいばら』 2004年11月6日第17回東京国際映画祭(アジアの風)で紹介 の黄詠詩(パン・ホーチョン)監督、香港映画『ビヨンド・ア ワ・ケン』を、2022年5月紹介『ビリーバーズ』などの城定 秀夫監督でリメイクした作品。因に城定監督がリメイクを手 掛けるのは初めてのことだそうだ。 主人公は図書館に司書として勤める24歳少し地味目な女性。 最近彼氏にフラれたが、その理由が判らず悶々としている。 そんな女性が SNSで彼氏の今カノを発見。その今カノが彼女 とは正反対の華麗なダンサーだったことに驚く。 そこで元カノは今カノの行動を調べ上げ、今カノの行く先に 現れて接近して行く。そしてついに接触に成功した元カノは 今カノにある作戦への協力を求める。それは彼氏のPCに保存 された自分の写真を消去したいというもの。 それは彼氏が元カノの画像を SNSなどに公開する「リベンジ ・ポルノ」を阻止したいという申し出だった。そして今カノ もその不安に駆られ、2人は共同作戦を開始。しかもそこで 彼氏のルーズな女性関係も明らかになって…。 出演は2019年12月22日題名紹介『酔うと化け物になる父がつ らい』などの松本穂香と、2022年7月紹介『窓辺にて』など の玉城ティナ。他に渡邊圭祐、中島歩。さらに不破万作、片 岡礼子、白川和子らが脇を固めている。 脚本は2020年1月19日題名紹介『影裏』などの澤井香織と共 同で書かれており、女性の視点が作品にも表れている感じか な。また音楽を1997年黒沢清監督の『CURE−キュア−』や清 水崇監督『呪怨(ビデオ版)』などのゲイリー芦屋が担当して いる。 オリジナルは、当時の紹介を読み直すとどちらかと言うと物 語を今カノの側から描いていたようで、リメイクではそれを 逆転させている感じかな。ただしそれは少し危険も伴うが、 その辺は城定監督が巧みに回避している感じでもある。 そしてそれが結末をより明確にしている感じもして、このリ メイクは巧みな計算の結果とも思えるものだ。特に元カノの 視点で今カノを観ている感じが2人の女優のキャラクターと も相まって、いい雰囲気にも感じられた。 それに男性の視点が完全に排除されているのも、物語として 面白く感じられたものだ。なおオリジナルの主演はジリアン ・チョンだが、彼女は2008年のエディソン・チャン写真流出 事件に巻き込まれたもので、2004年作は予言だったかな? 公開は2023年1月6日より、東京はTOHOシネマズ各館や渋谷 シネクイント、イオンシネマ板橋、アップリンク吉祥寺他に て全国ロードショウとなる。
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