| 2022年12月04日(日) |
世界は僕らに気づかない、小さき麦の花、レジェンド&バタフライ |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『世界は僕らに気づかない/Angry Son』 群馬県太田市を舞台にジャッピーノと呼ばれるフィリピン人 2世の暮らしぶりを描いて、2022年大阪アジアン映画祭コン ペティション部門「来るべき才能賞」受賞を始め、ドイツ、 韓国、アメリカ、香港、オランダなど各地の映画祭での上映 も続いている作品。 主人公は日本生まれ日本育ちの高校生だが、母親はフィリピ ンパブで働くフィリピン人で彼の国籍もフィリピンになって いる。そして彼は父親を知らないが、彼宛てには毎月一定額 の養育費が振り込まれているようだ。 そんな主人公はトランスジェンダーで、幼い頃からの恋人に は市の認めるパートナーシップの申請を求められているが、 自身の生い立ち考えて踏み出せずにいる。そんな時、母親が 再婚を言い出し、知らぬ男性が家に入ってくる。 この状況に主人公は家を飛び出し、本当の父親を捜し始める が…。その探索行の中での様々な人との出会いが彼自身を見 つめ直し成長させて行く。社会的に大きなテーマの作品では あるが、若者の成長を描く普遍的な作品でもある。 出演は、2021年『東京リベンジャーズ』などの堀家一希と、 スコットランドとフィリピンのハーフで1998年『ウルトラマ ンガイア』などの(マリア・テレサ・)ガウ。他に篠原雅史、 村山朋果、岩谷健司らが脇を固めている。 脚本と監督は、2011年『僕らの未来』という作品がぴあフィ ルムフェスティバルで審査員特別賞を受賞。同作がバンクー バー国際映画祭など海外の映画祭でも上映されたという飯塚 花笑。商業映画は2作目のようだ。 本作は自身がトランスジェンダーだと言う監督の実体験にも 基づく作品だそうで、幼い頃のいじめや様々な差別の問題も 描かれている。ただしそれをことさら深刻ぶるのではなく、 ユーモアも交えて描いているのも巧みに感じられた。 近年この種の差別を描く作品が増えているようにも感じる。 その一方で SNSなどによる差別に絡む誹謗中傷も絶えない訳 で、それを訴え続けることに疲弊してしまう感じも持つが、 これを続けることしか方法はないのだろう。 その意味でも出来るだけ多くの人に観て貰いたい作品だ。こ れが映画のあるべき姿とも言える。世界の映画祭が認める若 き才能に刮目せよ。 公開は2023年1月13日より、東京は新宿シネマカリテ、渋谷 Bunkamura ル・シネマ他にて全国ロードショウとなる。 なお劇中、主人公の部屋の壁にTHESPAの応援グッズが貼られ ていたのも気になった。
『小さき麦の花』“隐入尘烟/隠入塵煙” 2014年11月2日東京国際映画祭《コンペティション部門》で 紹介『遥かなる家』(日本公開題名:僕たちの家に帰ろう)な どのリー・ルイジュン監督による2022年ベルリン国際映画祭 コンペティション部門正式出品作品。因に2014年の作品は、 僕的には映画祭の芸術貢献賞を授けるべきと考えたものだ。 本作の舞台は2011年中国西北地方の農村。その村で農業を営 む主人公は4人兄弟の末弟だったが、上の兄2人は亡くなり 三男の家で暮らしている。しかし三男の子供の婚約が進み、 主人公の同居が問題となる。 そこで主人公には少し障害を持つ近所の女性があてがわれ、 本人たちの意思は斟酌されずに2人は夫婦となる。こうして 村社会のはみ出し者だった2人の夫婦生活が始まるが、主人 公には村の雑用のような仕事も押し付けられる。 そんな中で主人公の血液型が稀少なRh−と判明し、村の実力 者の健康に必需となる。とは言え2人の生活が変わるもので もなく、そんな2人の暮らしぶりを家族同然の1頭のロバが 見つめている。 出演は主人公を含むほとんどの配役を撮影地の村人が演じて おり、その中には監督の家族も含まれているようだ。ただし 主人公の妻だけは、2011年11月紹介チェン・カイコー監督の 『運命の子』などに出演の俳優ハイ・チンが演じている。 物語は淡々として特にドラマティックな展開がある訳でもな いが、監督の故郷という中国甘粛省張掖市花牆子で10ヶ月を かけて撮影された自然と季節の移ろいは、観る者に自らの原 点に還らされるような厳粛な感覚をもたらしてくれる。 そんな映像で描かれる2人の生活は貧しいし、幸せそうでも ないが、2人の間では満足し、充実していたのかな。それが 幸せと呼べるのかな、そんな感覚にもさせてくれる作品だっ た。 なお本作は中国では2022年7月8日に公開されたものだが、 封切りから約2ヶ月が過ぎた9月初旬に突然日別興行成績の トップに躍り出たそうだ。その背景には SNSなどでの高評価 があるようだが、いわゆる芸術映画では稀とのこと。 それは中国で都会に暮らす若者が大いなる関心を寄せた結果 と言われているようだ。国情は違うけれど日本の若者にも、 同じような関心は呼びそうだ。 日本での公開は2023年2月10日より、東京はYEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町他にて全国順次 ロードショウとなる。
『レジェンド&バタフライ』 11月6日に行われた「ぎふ信長まつり」で観覧者40万人を超 えるプロモーションを行った木村拓哉が相手役に綾瀬はるか を迎え、織田信長と濃姫の運命を描いた戦国歴史絵巻。 世は戦乱の西暦1549年、美濃の斎藤道三と尾張の織田信秀は 和議を結び、織田家の嫡男信長の許に道三の娘が正室として 嫁いでくる。しかし「大うつけ」とまで言われる信長と「マ ムシの娘」と呼ばれる男勝りの道三の娘は最初からぶつかり 合う有り様だった。 そんな2人が少しずつ間を狭め、清州城から岐阜城、そして 上洛、さらに安土城へと昇りつめて行く。その間には桶狭間 の戦い、金ヶ崎・姉川の戦い、比叡山延暦寺の焼き討ち、長 篠・設楽原の戦いなどが繰り広げられる。その果てに本能寺 の変が待ち構える。 という歴史を準って行く物語だが、実は斎藤道三の娘濃姫に 関しては、信長の正室であることは確かだが、その他の記録 がほとんど残されていないのだそうで、そこに本作のような フィクションを持ち込むことに制限がなかったようだ。そこ に本作では飛び切りのロマンが盛り込まれた。 そこにはある種のファンタシーとさえも言えるような素敵な 物語が展開されている。そこではもちろん歴史上の事実は動 かせないが、その最期の瞬間に向って行く様が、見事なドラ マに昇華されている作品でもあった。虚実の絡み合いが見事 に機能している物語だ。 脚本は『ALWAYS三丁目の夕日』などの古沢良太。監督は『る ろうに剣心』などの大友啓史。撮影は東映京都撮影所。何で も木村が2014年TVドラマ『宮本武蔵』を主演で撮った際に 「次は信長で、ここに戻ってきたい」と言い置いたそうで、 そんな思いのこもった撮影になっている。 共演者には伊藤英明、中谷美紀。そして宮沢氷魚、市川染五 郎、音尾琢真、斎藤工、北大路欣也。さらに尾美としのり、 本田博太郎、橋本じゅんらが脇を固めている。 公開は2023年1月27日より全国ロードショウとなる。 上映時間は2時間48分。なお本作試写会は封切りまで全13回 が予定されているが、上映は通常の試写室ではなく、すべて 丸の内TOEI�,梁腑好�リーンで行われているもので、本作は それに耐えうる作品であり、本作に賭けるその思いも伝わっ てくるものだった。 因に岐阜城には、長良川競技場にJリーグの応援で行った際 に何度か登っているが、本作ではその往時の姿が再現されて いるのも興味深かった。
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