井口健二のOn the Production
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2022年04月24日(日) 劇場版おいしい給食🌸卒業🌸、映画はアリスから始まった(モガディシュ、シェイン、私のはなし、オフィサー、わたし達は)

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『劇場版おいしい給食🌸卒業🌸』
2019年にテレビ神奈川その他で全10話がシリーズ放送され、
その結末としての2019年12月29日題名紹介『Final Battle』
が2020年に公開。さらに2021年に同じ体裁で 『Season2』が
放送されての完結篇。
前任校の給食廃止に伴い転任した給食好きの教師と、親の都
合で同じ学校に転校してきた生徒とのバトルが再開され、生
徒の卒業によって最後の対決の時を迎える。しかしその最後
の1週間に大事件が勃発する。

出演はテレビ、劇場版を通して市原隼人と佐藤大志、それに
いとうまい子。さらに前作劇場版に引き続きの直江喜一。そ
して本作では 『Season2』の土村芳、酒井敏也、木野花、勇
翔(BOYS AND MEN)。これに登坂淳一と、田村侑久(BOYS AND
MEN)が加わる。因にボイメンは前作とで4人が登場した。
物語は、教師が語る給食への蘊蓄と、それを生徒が如何に工
夫して豪華に食すかの戦いを描くが、ここに劇場版では前作
と同様に教師+生徒と給食センター=教育委員会との確執が
影を落とす。さらに本作では教師間の恋話も色を添える。
そして本作では、進路指導を巡って生徒の大いなる野望が明
らかにされる。それにしても生徒・神野ゴウ役の佐藤大志が
大きくなったこと。最初のシリーズではまだ子供っぽかった
が、立派な若者になっているのには嬉しくなった。
ただテレビからずっと観て来た身からすると、給食の部分が
ちょっと物足りないかな。とは言え劇場版にはいろいろ人間
模様もあるし、これは仕方ない面もある。でもそれなら野良
犬との別れはこちらに入れて欲しかった気もするが…。

企画・脚本は前作と同じく永森裕二。監督も前作と同じ綾部
真弥が担当した。
公開は5月13日より、東京は新宿シネマカリテ他で全国ロー
ドショウされる。

『映画はアリスから始まった』
 “Be Natural: The Untold Story of Alice Guy-Blaché”
1896年に史上初の劇映画“La Fée aux choux”(キャベツ畑
の妖精)を制作したとされるフランス人女性監督アリス・ギ
イの生涯を描いた2018年米国製作のドキュメンタリー。
1873年にパリ郊外で資産家の家庭に生まれたアリスは、父親
を亡くして21歳の時に後のゴーモン社となる写真機材商社に
秘書として就職。そして1895年3月に行われたリュミエール
兄弟による史上初の映画の上映に立ち会う。
ここで上映された作品は単純に事物の動きを記録しただけの
ものだったが、それを観たアリスは物語を描けると直感、上
司に掛け合って業務に支障が出ない範囲という条件付きで映
画の製作を認められる。
こうしてアリスは映画制作を開始、フランスとアメリカを股
に掛けて、生涯で1000本以上とも云われる作品を制作した。
その中には、手書き彩色によるカラー作品や、蝋管蓄音機と
同期させたサウンド映画。後者はそのメカニズムを記録した
映像も登場する。
さらにはオール黒人キャストの作品や、男女の役割が入れ替
わった世界を描く社会派的な作品など、映画の技術の進歩や
文化性の発展にも寄与する多彩な作品を残している。しかし
時の流れの中でその業績は忘れられ、フィルムの多くも失わ
れて歴史の闇に沈んでいった。

そんな映画の先駆者の業績を再検証する作品だ。
僕が知識として持っていた史上初の劇映画は、1898年ジョル
ジュ・メリエス監督の“La lune à un mètre”。この作品は
現在 web上でも観られるが、それなりの起承転結もあって劇
映画として認識できる。
これに対して本編にも引用されている上記のギイの作品は、
ゴーモンのカタログでは1900年製作とされているもので、内
容も物語の一部を切り取ったようなもの。これを劇映画とす
るには少し覚束ないものだった。
実際にこのような物語の断片程度の作品は、メリエス監督の
1896年のフィルモグラフィにも散見される。
ところが上記の作品を web上で観ていたら、続けて“La fée
aux choux Sage femme de première classe”という作品が
出てきて、これには1896-ALICE GUYと銘打たれている。しか
もこの作品では、登場したカップルがキャベツ畑の赤ちゃん
を手にするまでの物語が描かれていた。
従ってこの作品を以ってアリス・ギイを史上初の劇映画監督
と認定することは可能だが、この辺の経緯が本作の中では少
し曖昧なのは気になった。というか本作の全体が監督の生涯
より、その証拠を発見する旅を描くのに注力されているよう
で、その点も気になったものだ。
勿論それは新たな発見の度に感動があったりもして、それが
観客の興味を引っ張るように作られてはいるが、僕はもっと
資料を整理して、アリス・ギイ本人の業績を明確にする作品
が観たかった。
とは言え、本作の中でもセルゲイ・エイゼンシュテインから
アルフレッド・ヒッチコック、マーティン・スコセッシに至
る映画人がアリス・ギイの影響を受けたとする文献や証言も
登場して彼女の偉大さが証明される。その点は納得した。

監督はパメラ・B・グリーン。ニューヨーク出身で映像会社
を創設し、長編映画のタイトルやミュージック・ヴィデオ、
コマーシャルなどを手掛けて来ての長編デビュー作だ。
ナレーションをジョディ・フォスターが担当。他にもアニエ
ス・ヴァルダ、ピーター・ボグダノヴィッチ、ジュリー・デ
ルピー、ジーナ・デイヴィス、ベン・キングズレーら錚々た
る顔ぶれが登場して彼女の偉大さを語っている。
公開は7月22日より、東京はUPLINK吉祥寺他で全国順次公開
となる。


この週は他に
『モガディシュ 脱出までの14日間』“모가디슈”
(1990年、ソマリアでの内乱に巻き込まれた外交官を描き、
2021年度韓国映画�癸吋劵奪箸魑�録したという作品。1988年
ソウル五輪の成功で勢いに乗る韓国政府は国連加盟を目指し
てアフリカでロビー活動を進めていた。そのさ中に内乱が勃
発、首都モガディシュも民衆の蜂起に見舞われ、外交特権も
無視する暴徒が各国の大使館にも襲い掛かる。そして大韓民
国大使館には、朝鮮人民共和国の大使館員らが逃げ込んでく
る。物語は事実に基づくとあるが…、いやはや。本作が文在
寅政権の意向に沿うものであったことは間違いないところだ
ろう。そういう作品が�癸韻離劵奪箸砲覆襪箸いΔ里眄┐い�
とだ。
監督は2011年2月紹介『生き残るための3つの取引』
などのリュ・スンワン。出演者には2018年7月紹介『1987、
ある闘いの真実』などのキム・ユンソクや、2010年10月紹介
『黒く濁る村』などのホ・ジュノらが名を連ねている。公開
は7月1日より、東京は新宿ピカデリー他で全国ロードショ
ウ。)

『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』
  “Crock of Gold: A Few Rounds with Shane MacGowan”
(アイルランド伝統のケルト音楽にパンクロックを組み合わ
せたアイリッシュ・パンクを創造し、1987年にイギリスで最
も愛されたクリスマスソングとされる『ニューヨークの夢』
を発表したバンド、ザ・ポーグスのフロントマンで、作詞・
作曲も手掛けるシェイン・マガウアンに焦点を当てた2020年
本国公開のドキュメンタリー。彼と30年来の付き合いという
ジョニー・デップが製作とインタヴュアーも務め、イギリス
でミュージックヴィデオや数多くの音楽ドキュメンタリーを
発表しているジュリアン・テンプルが脚本監督を担当した。
5歳の時から飲酒と喫煙を始め、学生時代からはドラッグに
溺れたというシェインは、60歳の誕生日をダブリンのホール
でデップを含む数多くのミュージシャンに祝われるが、その
舞台には車椅子での登場だった。そしてインタヴューもグラ
ス片手の泥酔状態で行われており、正に破滅型のアーチスト
という感じの描き方だ。でもそこに愛情がたっぷり込められ
ているのは、製作者の意図がはっきり表れた作品と言える。

公開は6月3日より、東京は渋谷 CINE QUINTO他で全国順次
公開。)

『私のはなし 部落のはなし』
(2007年、大阪芸術大学の在学中に撮った『にくのひと』と
いう作品が各地での自主上映会を経て劇場公開が決まったも
のの、解放同盟の反対運動で公開断念をせざるを得なかった
という過去を持つ満若勇咲監督が、2020年2月9日題名紹介
『ムヒカ世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』などの
製作者大島新の許で再度被差別部落の問題に挑んだ上映時間
205分のドキュメンタリー。僕自身は、大正生まれの両親が
共に滋賀県生まれだったりした関係で、以前から部落問題に
はそれなりに関心があった。そんな眼で本作を観ていると、
こういう差別は実際に有ったのだろうなあと如実に感じさせ
てくれる作品だった。ただそれが僕より若い、そして関心も
薄い人たちにはっきりと伝わるかどうか。特に本作でも取り
上げられる鳥取ループ問題に関しては、なぜそれが問題なの
かという本質の部分が曖昧にされている感じで、監督の意図
が掴み切れなかった。正直に言ってしまえば、この本質を描
くと差別を助長することになりかねない。そんな思いが描く
ことを躊躇させた、そんなことも考えてしまった。本当に難
しい問題だ。ただ作品中に登場する『東九条』という映画に
関しては是非とも全編が観たいという気持ちになった。本作
の
公開は5月21日より、東京はユーロスペース、大阪は第七
藝術劇場他で全国順次公開。)

『オフィサー・アンド・スパイ』“J'accuse”
(2011年7月紹介『ゴーストライター』などのロマン・ポラ
ンスキー監督が、2019年第76回ベネツィア国際映画祭で銀獅
子賞を受賞。翌年のセザール賞では監督、脚色、衣裳の3部
門に輝いたフランス史に残る冤罪事件を描いた作品。時代は
1894年。ユダヤ系のドレフュス陸軍大尉はドイツに軍事機密
を流した疑いで軍法会議に掛けられ、反逆罪で終身刑となっ
て仏領ギアナの悪魔島に送られる。ところが大尉の元教官で
もあったピカール中佐が防諜のトップに就任。中佐は有罪の
決め手となった証拠が偽造であったことに気づく。そこで軍
法会議の再審査を要求するが、国家的なスキャンダルとなる
ことを怖れる上層部と、反ユダヤ勢力がその妨害を始める。
この事態に中佐は当時の人気作家のエミール・ゾラも巻き込
むキャンペーンを繰り広げるが…。原作と脚本は『ゴースト
ライター』でも組んだロバート・ハリス。同作の完成直後か
ら監督と共に企画を進めたがなかなか実現せず。先に小説と
して発表後に映画化に漕ぎ着けたということだ。なお大尉が
収監される悪魔島は、1973年と2017年にリメイクもされた映
画『パピヨン』の舞台でもある。
出演はジャン・デュジャル
ダンとルイ・ガレル。他にエマニュエル・セニエ、マチュー
・アルマリックらが脇を固めている。公開は6月3日より、
東京はTOHOシネマズシャンテ他で全国ロードショウ。)

『わたし達はおとな』
(18歳でイタリアに渡って映画と演劇を学び、帰国後23歳で
三越劇場作演出家の最年少記録を樹立。その後はテレビでい
くつもの話題作を演出し、2021年には市川森一脚本賞を20代
で初受賞した加藤拓也の映画デビュー作。主人公は大学でデ
ザインを学ぶ女子学生。彼女は演劇サークルに所属する恋人
とメゾネット型のマンションで同棲中だが、妊娠が判明した
とき彼女はその父親が恋人と決め切れなかった。しかも事実
を告げられた恋人は…。まあ今の時代にはやたらとありそう
なお話かな。そんなあまり新鮮味は感じられない展開だが、
それを若者らしいリアリティで描いている点が評価の対象と
いう感じの作品だ。ただこのリアリティが、演技者が若いと
稚拙感にも見えてしまって、題名の「おとな」とは裏腹な感
じになってしまった。それに物語の展開によって画面のサイ
ズを変えるというテクニックも小賢しくて、却って作品を損
ねている感じがした。画面サイズの変更では、2015年3月紹
介グザヴィエ・ドラン監督の『Mommy マミー』が感動だった
が、本作にはそれ程の意味合いが感じられなかった。
出演は
木竜麻生、藤原季節。他に菅野莉央、清水くるみ、森田想、
桜田通ら期待の若手が勢ぞろい。さらに石田ひかり、佐戸井
けん太らが脇を固めている。公開は6月10日より、東京は新
宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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