| 2019年12月15日(日) |
Fukushima 50(燃えよスーリヤ、山中静夫氏、グリンゴ、マザーレス・B、私の知らない、エスケープ・R、グッドライアー、娘は戦場で、帰郷) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『Fukushima 50』 2011年3月11日に発生した東日本大震災。その時の福島第一 原子力発電所とその関連施設、及びその周囲での出来事を描 いた真実に基づく作品。 映画の巻頭では福島原発を襲った未曾有の大津波がCGIで 再現され、その迫力の映像に圧倒される。しかし本当の物語 は、そこから始まる人間の戦いを描いたものだ。 その時、福島原発には50人の地元出身の作業員たちが働いて いた。そして外部と遮断された発電所内で制御不能となった 原子炉の暴走を食い止めるための作業が続けられた。それは 人類史上、未だ嘗てない決死の作戦だった。 当時を体験した自分自身の中で、東日本大震災の記憶という と町を襲い家や自動車や、さらには飛行機なども押し流す津 波の映像がほとんどだろう。そこに原発の爆発の映像がイン サートされるが、それは被災者の姿に覆い隠される。 実際に震災の後には数多くのドキュメンタリーも発表された が、その大半は被災者の苦労を描いたものであり、福島に絡 んでも町ごと避難した人たちの生活や残された田畑や動物た ち、また風評被害などを訴えるものばかりだった。 それはドキュメンタリストたちが意図したものではないが、 現実の最大の危機は描くことができなかった。その実態は本 作によると、福島第一原発を放棄した場合の被害範囲は東京 を含む半径250�辧�東日本の壊滅を意味するものだった。 これを食い止めるべく50人の作業員が奮闘する訳だが、そこ に突然の総理大臣の視察で緊急作業が阻害されたり、それを ただ命令するだけの東京にいる会社幹部など、正にマンガと しか思えない事態が続発してゆく。 いやはや、当時の状況を記憶していてこれらが本当にあった ことだと認識していても、これはないでしょと言いたくなる ような常識外れの事態が描かれる。でも言葉を繰り返すが、 これが真実なのだ。 出演は佐藤浩市、渡辺謙、吉岡秀隆、安田成美、緒形直人、 火野正平、平田満、萩原聖人、吉岡里帆、富田靖子、佐野史 郎、斎藤工、堀部圭亮、小倉久寛、石井正則、和田正人、三 浦誠己、田口トモロヲ、皆川猿時、金山一彦、金田明夫。 さらに小市慢太郎、矢島健一、段田安則、篠井英介、中村ゆ り、ダンカン、泉谷しげる、ダニエル・カールら、今の日本 映画を代表するようなオールスターが顔を揃えている。 門田隆将の原作に基づく脚本は、2020年NHK大河『麒麟が くる』を担当する前川洋一。監督は2019年2月24日題名紹介 『空母いぶき』などの若松節朗が担当した。 僕は以前から献血を趣味としていたのだが、2011年4月の頃 には成分献血で「血小板」の要請が多かったのを記憶してい る。火傷の治療などに使用される「血小板」は保存期間が短 く、本来なら火災の発生などで緊急に要請されるものだが、 当時は頻繁に要請された。 それで疑問に感じて検索したら「血小板」が放射能障害の治 療にも使用されるとあった。当時は理由などは明かされず、 本作でも言及はされないので真相は判らないままだが、漠然 とした不安は感じたものだ。 それにしても当時の民主党政権の人気取りに走るおたおた振 りも情けないが、東電首脳の政権べったり無能な対応には、 恐怖すら感じ、それが全く責任を取っていない実情にも震撼 した。 まあこれが日本の現状を表しているということでは辛辣な作 品とも言えるものだ。 公開は2020年3月6日より、東京は丸の内ピカデリー、TOHO シネマズ日比谷他で全国ロードショウとなる。
この週は他に 『燃えよスーリヤ!!』“मर्द को दर्द नहीं होता” (インド映画初のカンフーアクションとされる作品。インド 映画でもアクション作品はいろいろあるが、カンフー(空手) に特化したものは珍しいようだ。そして本作では、肉体の痛 みを感じないという特殊体質の主人公が、伝説の片脚の空手 マンが行う「百人組手」なるヴィデオに魅せられ、日々精進 してカンフーを会得するというもの。その技で主人公は町の 平安を守っていたが…。脚本と監督は2013年の世界的ヒット 作『めぐり逢わせのお弁当』の脚本を担当し、監督では本作 が2作目のヴァーサン・バーラー。出演は共に新人のアビマ ニュ・ダサーニーとラーディカー・マダン。他に2009年1月 紹介『スラムドッグ$ミリオネア』などのマヘーシュ・マー ンジュレーカル、監督の前作にも出ているグルシャン・デー ヴァイヤーらが脇を固めている。空手の映像が華麗で今後の 展開にも期待が持てる作品だ。公開は12月27日より、東京は TOHOシネマズシャンテ他で全国ロードショウ。)
『山中静夫氏の尊厳死』 (2002年7月紹介『阿弥陀堂だより』などの原作者で、現役 の医師でもある南木佳士の同名小説からの映画化。主人公は 長野県の総合病院に勤務する医師。その医師の許に静岡県か ら末期がんの患者が来訪する。その患者は信州から婿養子で 浜松に行ったが、最後は故郷の山を見ながら死にたいのだと いう。しかしそれは家族にとっては負担の嵩むものだった。 患者と周囲の人との交流や、医師自身の問題なども絡めて物 語は展開される。出演は津田寛治、中村梅雀。他に石丸謙二 郎、田中美里、浅田美代子、高畑淳子らが脇を固めている。 脚本と監督はテレビドラマ『オレゴンから愛』などの脚本家 の村橋明郎が担当した。物語は特に大きな事件が起きるもの でもなく、地方の医師にはあるあるの話かもしれない。でも その中で自分に照らして、いろいろ考えるところも多い作品 だった。公開は長野県で先行上映された後、東京は2月上旬 より、シネスイッチ銀座他で全国順次ロードショウ。)
『グリンゴ 最強の悪運男』“Gringo” (シャーリズ・セロンが製作と出演を務め、人の良さから人 生最大の窮地に陥った男が、一発逆転の大勝負に挑む顛末を 描いた痛快コメディ。主人公は親友だと思っていた会社経営 者に騙され、出張先のメキシコで麻薬犯罪に巻き込まれると 共に妻まで寝取られてしまう。この状況に主人公は営利誘拐 を偽装して上司から身代金500万ドルを奪おうとするが…。 主人公に生命保険が掛かっていることを知った上司は、逆に 殺し屋を雇って主人公の命を狙いだす。出演は2015年8月紹 介『アメリカン・ドリーマー』などのデヴィッド・オイェロ ウォ。2018年9月9日題名紹介『IT COMES AT NIGHT』など のジョエル・エドガートン。さらにセロン、タンディ・ニュ ートン、アマンダ・セイフライドらが脇を固めている。脚本 は2004年1月紹介『ディボース・ショウ』などのマシュー・ ストーン。監督はジョエルの兄のナッシュ・エドガートン。 公開は2020年2月7日より、全国ロードショウ。)
『マザーレス・ブルックリン』“Motherless Brooklyn” (2017年1月22日題名紹介『素晴らしきかな、人生』などの エドワード・ノートンが、2000年の東京国際映画祭に出品さ れた『僕たちのアナ・バナナ』以来の監督、主演に挑戦した 作品。ノートンは本作では製作と2000年英国推理作家協会賞 を受賞したジョナサン・レセム原作に基づく脚色も手掛けて いる。主人公は驚異的な記憶力を持つが言語などに障害を持 つ私立探偵。そんな彼が育ての親でもあった探偵所長の死を 巡ってブルックリンの裏社会の黒幕に挑んでゆく。共演はブ ルース・ウィリス、アレック・ボールドウィン、ウィレム・ デフォー。他に2017年3月19日題名紹介『美女と野獣』など のググ・バサ=ロー。さらにレスリー・マン、フィッシャー ・スティーヴンスらが脇を固めている。原作では1990年代が 舞台だったようだが、映画は1957年を時代背景として見事な ノワアール劇が展開される。公開は2020年1月10日より、全 国ロードショウ。)
『私の知らないわたしの素顔』“Celle que vous croyez” (2018年11月4日付「東京国際映画祭」で紹介『ノン・フィ クション』(劇場公開名:冬時間のパリ)などのジュリエット ・ビノシュがWEB上のヴァーチャル恋愛に嵌って行く大学 教授を演じるサスペンス作品。主人公は50代の女性教授。し かし年下の恋人から振られた日にSNS上に24歳の架空の人 格をエントリーし、その人格で自分を振った恋人の友人を誘 い込む。今年の東京国際映画祭にも似たテーマの『動物だけ が知っている』が出品されたが、この作品もフランス映画で しかもどちらもかなり手の込んだ構成で驚かされた。特に本 作のトリッキーさでは掟破りの感じもするが、SNSの闇に 挑むとしたらこれくらいは許されるかな? 正しくニヤリと する作品だった。1957年生まれのフランスの女流作家カミー ユ・ロランスの原作から、1968年生まれのサフィー・ネブー が脚色、監督した。公開は2020年1月17日より、東京は渋谷 Bunkamura ル・シネマ他で全国順次ロードショウ。)
『エスケープ・ルーム』“Escape Room” (2019年2月紹介『ハンターキラー潜航せよ』などのニール ・H・モリッツの製作、2011年7月紹介『デビルクエスト』 の脚本を手掛けたブラギ・シャットの原案・脚本、『インシ ディアス』シリーズ第4作の監督や『パラノーマル・アクテ ィビティ5』の脚本などを手掛けたアダム・ロビテルの監督 で、リアルサイズの脱出ゲームに参加した男女を描く作品。 それはシカゴに建つビルの中で生き延びれば1万ドルの賞金 が得られるというものだったが…。出演はテイラー・ラッセ ル、ローガン・ミラー、デボラ・アン・ウォール他、いずれ も出演作2、3本の新人が集っている。この手の作品も雨後 の筍のように登場するが、それぞれのステージのアイデアが 勝負かな。本作ではそこに各自の過去の経緯などが絡むが、 その辺をもう少し描き込めばもっと深みが増すような感じも したものだ。公開は2020年2月28日より、東京はヒューマン トラストシネマ渋谷他で全国ロードショウ。)
『グッドライアー 偽りのゲーム』“The Good Liar” (ヘレン・ミレンとイアン・マッケランの共演で、夫を亡く した資産家の老婦人と、その資産を狙う冷酷な詐欺師が繰り 広げる虚々実々の攻防を描くミステリー作品。そんな2人は 出会い系サイトを通じて知り合うが…。タイトルなどからは よくある詐欺師物かなあと思って観始めたが、後半は予想外 の展開で心底驚かされた。物語はニコラス・サールが2015年 に発表した小説に基づくが、日本人には多少なじみの薄い展 開ではあるものの、映画はその背景などを丁寧に紹介して判 り易く明快に物語を描き切っている。脚本は2006年3月紹介 『カサノバ』(ラッセ・ハルストレイム監督)などを手掛けた ジェフリー・ハッチャー。監督は2003年2月紹介『シカゴ』 や、2017年3月19日題名紹介『美女と野獣』などのビル・コ ンドンが担当した。時系列が多少微妙な感じはしたが、歴史 を背景にした堂々たる作品だ。公開は2020年2月7日より、 東京はTOHOシネマズ日比谷他で全国ロードショウ。)
『娘は戦場で生まれた』“For Sama” (2011年から続く内戦の下、政府軍による包囲が続くシリア 北部の都市アレッポで医療機関を守り最後まで現地に残った 医師とジャーナリストの妻、その夫妻の許、戦火の中で誕生 し希望を込めて「空(Sama)」と名付けられた赤ん坊を映した ドキュメンタリー。2018年3月4日題名紹介『ラッカは静か に虐殺されている』やその他の作品でも思ったが、人はなぜ このような場所に暮らそうとするのか…、という疑問は常に 感じる。ただ本作の場合は夫が医師だという状況はあるもの だが、中に登場する少年の発言がその答えを明確にしてくれ た感じもした。それにしても赤ん坊まで、とは思ってしまう ものだが…。いずれにしてもこんな状況は解消されるべきだ というメッセージはしっかりと届く作品だ。製作、監督、撮 影は赤ん坊の母親でもあるワアド・アルカティーブ。公開は 2020年2月29日より、東京は渋谷シアター・イメージフォー ラム他で全国順次ロードショウ。)
『帰郷』 (史上初の8Kで撮影された藤沢周平原作の時代劇。信州・ 木曽福島の宿場町を舞台に、若くして故郷を離れざるを得な かったヤクザ者の男が30年余りを経て舞い戻っての物語。そ の故郷は男が盃を交わした親分の縄張りが切られ、代わって 竹馬の友だった男が仕切ろうとしていたが…。主演は30年前 に原作を手にして以来思いを募らせていたという仲代達矢。 その脇を常盤貴子、北村一輝、緒形直人、佐藤二朗、田中美 里、谷田歩、前田亜季、三田佳子、橋爪功、中村敦夫らが固 めている。監督は先に仲代主演『果し合い』を手掛けた杉田 成道。僕は2K上映の試写を観たが、お話はともかく遠くの 山並みなどの風景は美しく撮られていた。公開は2020年1月 17日より東京は築地の東劇他で全国劇場上映の後、2月8日 夜9時から時代劇チャンネルにて放送される。なおマスコミ 試写では4K上映も行われたようだが、一般の劇場上映及び 放送は2Kになるということだ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
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