井口健二のOn the Production
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2019年04月21日(日) ラ・ヨローナ、神と共に、オーファンズ・B(二宮金、鉄道運転士、凪待ち、ゴールデンR、北の果ての、ある町の高い、カニバ、ピアッシング)

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『ラ・ヨローナ 泣く女』“The Curse of La Llorona”
『ソウ』シリーズや『死霊館』シリーズなどのジェームズ・
ワンの製作で中南米に伝わる怪談に基づくホラー作品。
背景は1970年代のロサンゼルス。女性ソーシャルワーカーの
主人公は警官と共にヒスパニック系の女性の家に踏み込む。
そこでは2人の子供がクローゼットに閉じ込められており、
主人公は子供たちを「救出」するが…。
程なくして子供たちの姿が消え、無残な死体で発見される。
それは古から伝えられるラ・ヨローナの呪いだった。そして
その呪いが主人公の子供にも降りかかり、主人公は呪いを解
くべく奮闘を開始する。

出演は、2018年12月紹介『グリーンブック』などのリンダ・
カーデリーニと、多くのテレビ出演はあるが映画は初主演と
いうレイモンド・クルツ。他にマリソル・ラミレス、パトリ
シア・ヴェラスケスらが脇を固めている。
また、2014年『アナベル死霊館の人形』にも出演のトニー・
アメンドーラが同じ役で再登場している。

脚本は、2019年には“Five Feet Apart”という作品も公開
されるミッキー・ドウトリーとトビアス・イアコニス。監督
には、2020年公開予定“The Conjuring 3”に起用が発表さ
れている新鋭マイクル・チャベスが抜擢された。
アメンドーラが演じる神父の存在から、本作は『死霊館』シ
リーズ=The Conjuring Universeの一環と見做されるものだ
が、元のアナベルは心霊学者のウォーレン夫妻の保管庫に置
かれた人形のことで、すでにシリーズの傍系だから、本作は
その孫傍系ということになる。
さらにアナベルの関連では2017年8月13日題名紹介『アナベ
ル 死霊人形の誕生』でその起源が紹介されている。一方、
『死霊館』の本編では、2018年8月26日題名紹介『死霊館の
シスター』でウォーレン妻のルーツのようなものも描かれ、
系譜は2次元的に広がっている。
因に描かれている事件の時系列は、『死霊館のシスター』→
『アナベル 死霊人形の誕生』→『アナベル 死霊館の人形』
→『死霊館』→本作→『死霊館 エンフィールド事件』の順
になるかな?
対する映画製作の順番は、『死霊館』(2013年)→『死霊館の
人形』(14年)→『エンフィールド事件』(16年)→『死霊人形
の誕生』(17年)→『死霊館のシスター』(18年)→本作(19年)
となっており、さらに“Annabelle Comes Home”(撮影済み)
→“The Conjuring 3”(20年)が予定されている。
伝説は幸せを奪われた女の恨みに基づくが、元はと言えば己
が蒔いた種であり、言ってみれば復讐の根拠が逆恨みなのだ
から恐ろしい。しかも全く無関係の人間が呪われるのだから
堪ったものではない。
因に大元のConjuringは、conjure「呪文を唱えて呼ぶ」の現
在分詞だから、日本語に訳せば「呪怨」かな。それなら無関
係の人間が呪われるのも無理はない。
それにしてもこの映画にはゾクゾクする怖さがある。映倫区
分はG指定だから直接的な描写はないものだが、それでこの
怖さは表現の巧みさにもよるのだろう。さすがハリウッドと
思わせる作品になっている。
なお本作の試写は少し前に行われたが、本国公開が4月19日
で、情報解禁をそれ以降に設定されていたものだ。

日本公開は5月10日より、全国ロードショウとなる。

『神と共に 第二章:因と縁』“신과함께-인과 연”
2019年3月10日題名紹介作品の続き。と言っても恐らくは、
この作品を念頭に置いての前作だったのだろう。前作で活躍
した使者たち自身の来歴が壮大なスケールで描かれる。
登場するのは3人の地獄の使者。彼らは死んだ亡者に7つの
大罪にまつわる7つの裁判を受けさせ、その全てに無罪とな
れば現世に転生させるという任務を持つ。そして1000年間に
49人を転生させれば彼ら自身も転生できるのだった。
そこで前作で殉職した消防士の正義を立証し48人目の転生を
成功させた使者たちは、ついに49人目の弁護に取り掛かる。
しかし彼らのリーダーが選んだのは、前作の消防士の弟で、
軍隊での銃の暴発事故で死亡した男だった。
しかもその弟は、地獄では大罪とされる亡者となってからの
復讐を行った=怨霊でもあったのだ。従って裁判に勝つのは
至難の業だが…。という辺りまでが前作のラストで、本作で
はいよいよその裁判が始まる。
一方、地獄を司る閻魔大王は怨霊の裁判を認める条件として
ある任務を使者たちに与える。それは寿命を過ぎても地上で
生きながらえている老人を連れてくること。そこでリーダー
を残し2人の使者が地上に降り立つが…。
その老人には強力な守護神が憑いており、その守護神こそは
2人を1000年前に地獄に導いた元使者だった。そして守護神
は、前世の記憶を失っている2人に1000年前の出来事を語り
始める。それはとんでもない因縁に繋がっていた。

出演は2018年7月紹介『1987、ある闘いの真実』などのハ・
ジョンウと、2016年12月25日題名紹介『アシュラ』などのチ
ュ・ジフン。それに2013年4月紹介『私のオオカミ少年』な
どのキム・ヒャンギ。
他に、2012年5月紹介『ロマンチック・ヘブン』などのキム
・ドンウク、2018年6月5日題名紹介『7号室』などのアイ
ドルグループEXOのディオ、2011年5月紹介『ハウスメイ
ド』などのイ・ジョンジェ。
また第一章にはチャ・テヒョン、第二章にはマ・ドンソク。
さらにオ・ダルス、チョン・ヘギュン、イ・ギョンヨン、チ
ャン・グァン、キム・ヘスク、キム・スアン、キム・ハヌル
ら、錚々たる顔ぶれが脇を固めている。
脚本と監督は、2007年11月紹介『カンナさん大成功です!』
などのキム・ヨンファ。当時は監督2作目だったが、その後
は2009年『国家代表!?』や2014年3月紹介『ミスターGO!』
などのヒットメーカーだ。
7つの大罪とはキリスト教、主にカトリック教会で用いられ
る言葉のようだが。一方の閻魔は、仏教、ヒンドゥー教など
での地獄、冥界の主とされるもので、何というか洋の東西を
横断する作品だ。
その物語は、特に第一章では地獄巡りが描かれるが、これも
子供の頃に聞いた血の池だの針の山だのという感覚とはかな
り異なる。もっとも落語の『地獄八景亡者の戯れ』にもいろ
いろな地獄が出てくるから地獄はフレキシブルかな?
ただVFXを駆使した地獄巡りは手を変え品を変えての豪華
絢爛なものではあるが、所詮それらは同じテーマの繰り返し
で、いくつか見ていると新鮮さは薄れてしまう感じがしない
でもなかった。
もちろん映画はそこにビル火災などの現代の災害を織り込ん
で、それは見応えのある作品だったが…。
それに対して第二章では、物語は1000年の時空を超えて壮大
な歴史絵巻が展開される。
ただその歴史的な背景が、僕にはあまりピンとくるものでな
かったのは残念だったが。そこで主人公たちが背負わされる
様々な重みのようなものは巧みに表現されていて、ここには
見事な人間ドラマが構築されていた。
ただのVFXアクション映画とは侮れない作品だ。

公開は第一章が5月24日から、第二章は6月28日より、東京
は新宿ピカデリー他で全国ロードショウとなる。

『オーファンズ・ブルース』
2019年2月24日題名紹介『嵐電』など北白川派の作品も何本
か紹介している京都造形芸術大学映画学科の学生による卒業
制作で、第40回ぴあフィルムフェスティバルにて、2018年度
のグランプリに輝いた工藤梨穂監督作品。
若年性アルツハイマーで記憶が消えて行く女性が、その恐怖
に怯えながらも孤児院時代を共に過ごした幼馴染みの男性の
消息を訪ねて行く。そこに別の幼馴染の男性とその恋人や、
探している男性の配偶者なども絡んでくる。
そんな物語がロードムーヴィ風な感触で、台詞の言語は日本
語で撮影も日本国内で行われているのに、どこか無国籍な感
覚で展開されて行く。そして主人公を巡る様々な謎が物語の
各所に散りばめられている。

主演は、京都造形芸術大学在学中の2015年に高橋伴明監督の
『赤い玉、』のヒロインに抜擢された2018年12月紹介『クマ
・エロヒーム』などの村上由規乃。相手役は大分県の出身で
九州を中心に活動している俳優の上川拓郎。
他に、監督の同級生で在学中にNHK連続テレビ小説『わろ
てんか』にも出演した辻凪子。同じく同級生の佐々木詩音、
窪瀬環、吉井優らが脇を固めている。
上映時間が89分の作品では、物語にはかなり簡略化されてい
るところもあり、脈絡が掴み難いものだが。そこには監督の
確信犯的な感じもあって、観客にはそれに付き合う覚悟も試
される作品だ。
特に結末に関しては様々な解釈が成り立つものだし、ミステ
リー的な要素も含めていろいろな思いが交錯してしまう。そ
れを超越して監督の感性だけを楽しんでも良いが、それ以外
の部分を考えるのは下衆なのかな。
とは言え監督の感性の瑞々しさは存分に感じられるし、それ
は心地の良いものでもある。それ故の「PFFアワード2018」
グランプリも充分に理解できる結果だ。こんな感覚に浸れた
のも久しぶりな感じがした。
因に試写会は監督と出演者の挨拶付きだったが、その際の監
督の発言によると、無国籍風の撮影は関西・四国の7府県の
ロケーションで行われたとのこと。そのロケハンはインター
ネットで行ったそうで、時代を感じてしまった。
また監督は「遺作」発言も繰り返していたが。これには卒業
してしまうと、自主映画の制作も難しくなるという意味も込
められていたようで…。文化庁には既成の監督だけでなく、
新たな才能への支援の施策も欲しいと思ったところだ。
正直、次回作の期待したい監督でもある。

公開は5月31日より、東京はテアトル新宿にて1週間の限定
ロードショウとなる。

この週は他に
『二宮金次郎』
(以前は小学校の校庭などによく立っていた像の主を描いた
作品。二宮は江戸時代後期に現在の神奈川県小田原市で生ま
れた経世家と呼ばれる人物だが、薪を背負って歩きながら本
を読む姿は有名なものの、彼自身の業績はあまり知られてい
ないようだ。実際に彼を描いた伝記映画は過去に2本ほどあ
るが、いずれも若き日を描いたもの。しかし後半生では旧態
依然の藩政や住民の反対などと戦う姿が描かれる。主演は神
奈川県秦野市出身で、『超力戦隊オーレンジャー』や『水戸
黄門』格さん役の合田雅吏。他に田中美里、綿引勝彦、渡辺
いっけい、石丸謙二郎、榎木孝明、田中泯、柳沢慎吾らが脇
を固めている。中でも小田原市出身柳沢の真剣さは微笑まし
かった。脚本は2010年8月紹介『武士の家計簿』などの柏田
道夫、監督は2006年12月紹介『長州ファイブ』などの五十嵐
匠。公開は、6月1日〜28日の東京都写真美術館ホール他、
全国各地の公民館等で上映される。)

『鉄道運転士の花束』“Dnevnik masinovodje”
(ブリュッセル国際映画祭でグランプリの他、モスクワ国際
映画祭の観客賞など多数の受賞に輝くセルビア・クロアチア
の作品。主人公は定年間近の鉄道運転士。彼は長い在職中に
28人を撥ね殺した記録を持つ。しかしそれは業務上で仕方の
ないことと割り切っていた。ところが彼の義理の息子が仕事
を継ぐと言い出し、優秀な成績で資格を得る。そして勤務が
始まるが…。主人公の最大の気掛りは息子が遭遇する最初の
死亡事故だった。出演は1995年『アンダーグラウンド』など
のラザル・リトフスキーと、同作でも共演のミリャナ・カラ
ノヴィッチ。監督は主にテレビで活動のミロシュ・ラドヴィ
ッチが手掛けている。鉄道運転士の映画では2018年11月3日
「東京国際映画祭」で紹介『ブラ物語』もあったが、この役
柄には少し特殊な感覚もあるのかな。本作もかなりブラック
なユーモアで物語が綴られている。公開は8月17日より、東
京は新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)

『凪待ち』
(2018年7月29日題名紹介『止められるか、俺たちを』など
の白石和彌監督と、2013年7月紹介『人類資金』などの香取
慎吾の顔合わせで、ヒューマニティとサスペンスが絡み合う
作品。主人公はギャンブル依存症でシングルマザーのヒモの
様な生活をしていた男。しかし技術の資格を持つ彼は一念発
起して彼女の故郷である被災地の漁村に移住を決める。そこ
でギャンブルは断つと誓った主人公だったが…。甘い誘いに
抗し切れず、やがて事件が起きる。共演は2018年8月5日題
名紹介『3D彼女』などの恒松祐里、2017年4月紹介『こど
もつかい』などの西田尚美。他に吉澤健、音尾琢真、リリー
・フランキーらが脇を固めている。オリジナル脚本は、監督
の原案から2005年11月7日「東京国際映画祭」で紹介『雪に
願うこと』や2017年6月4日題名紹介『彼女の人生は間違い
じゃない』などの加藤正人が手掛けている。いろいろな要素
が巧みに絡む作品だ。公開は6月に全国ロードショウ。)

『ゴールデン・リバー』“Les frères Sisters”
(ゴールドラッシュのカリフォルニアを舞台に、化学で黄金
を効率よく探す技術を開発した男と、その秘密を奪おうとす
る男たちの攻防を描いた作品。主人公は早撃ちで相手を尽く
倒してきた殺し屋シスターズ兄弟。彼らは提督と呼ばれる元
締めの指図で1人の男を追うことになる。その男は秘密の液
体を使って川底の黄金を浮き立たせる技術を持っていたが、
その液体の製法は不明だった。そこでその秘密を吐かせる任
務が兄弟に与えられるが…。出演は原作に惚れ込み自ら映画
化権を獲得したジョン・C・ライリーと、2019年2月10日題
名紹介『ドント・ウォーリー』などのホアキン・フェニック
ス。さらに2017年4月紹介『ライフ』などのジェイク・ギレ
ンホール、2014年『ナイトクローラー』などのリズ・アーメ
ッド。脚本と監督は、2015年12月紹介『ディーパンの闘い』
などのジャック・オディアール。公開は7月5日より、東京
はTOHOシネマズシャンテ他で全国順次ロードショウ。)

『北の果ての小さな村で』“Une année polaire”
(デンマーク王国のグリーンランド島を舞台に、本土から赴
任してきた新人教師と、人口わずか80人のチニッキラーク村
の生徒、住人との交流を描いた作品。フランス人のカメラマ
ンで監督のサミュエル・コラルデはグリーンランドに魅せら
れ、2年に渡って島内を旅する内にその村に辿り着き、そこ
にいた新人教師を主人公に映画制作を思いつく。そしてその
教師と生徒たち、さらに住人たちをそのまま出演させ、半ば
ドキュメンタリーの手法で描かれた作品だ。撮影は台本に基
づいているようだが、その台本に盛り込まれたエピソードは
住人たちへの取材によって得られたもの。それらが真摯且つ
丁寧に描かれている。しかも撮影は1年を掛けて行われてお
り、白い雪の中にカラフルな家が点在する風景から、その雪
が解けて現れる町の全貌などが美しく写されている。それは
正しく心が洗われるような映像だ。公開は7月より、東京は
シネスイッチ銀座他で全国順次ロードショウ。)

『ある町の高い煙突』
(新田次郎が1969年に発表した同名小説の映画化。1914年に
当時世界一と言われた高さ155.7mの日立鉱山・大煙突の建設
を巡る物語。鉱山の隣村の地主の家に育った主人公は、第一
高等学校の入試に合格して外交官を目指すが、村長だった祖
父に鉱山の煙害対策を懇請され、進学を諦めて郷里の環境保
全に乗り出す。しかし鉱山からは「事業は国策であり、補償
をするから煙害は諦めろ」と言われてしまう。それでも粘り
強く戦う主人公らは、逆転層より上に有害煙を排出する大煙
突を進言するが…。出演は無名塾出身の井手麻渡。他に渡辺
大、小島梨里杏、吉川晃司、仲代達矢、大和田伸也、小林綾
子、渡辺裕之、六平直政、伊嵜充則、石井正則、螢雪次朗、
斎藤洋介、遠山景織子らが脇を固めている。脚本と監督はド
キュメンタリー出身で、1988年の『土呂久公害70年』という
作品が毎日映画コンクールグランプリを受賞した松村克弥。
公開は6月22日より、全国ロードショウ。)

『カニバ パリ人肉事件38年目の真実』“Caniba”
(2015年『モンタナ最後のカウボーイ』『ニューヨークジャ
ンクヤード』『マナカマナ雲上の巡礼』の諸作が公開された
ハーヴァード大学感覚民族誌学研究所所属のヴェレナ・パラ
ヴェル、ルーシァン・キャスティーヌ=テイラー両監督が、
1981年、パリで起きた猟奇事件の犯人の今に迫った作品。当
時32歳の日本人留学生がクラスメイトのオランダ人女性を射
殺し、人肉を食べたという事件。しかしその犯人は心神喪失
という理由で不起訴となり、2年後に日本に送還された。そ
れから年月が経ち、脳梗塞や糖尿病を患う男は弟の介護を受
けながら生きている。そんな男が様々なことを語り、自身が
描いた再現漫画、出演した再現アダルトヴィデオなどと共に
映し出される。しかも男は自身の犯行を肯定し、何ら罪の意
識も持たない。ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門・審
査員特別賞受賞作品。公開は7月12日より、東京はヒューマ
ントラストシネマ渋谷他で全国順次ロードショウ。)

『ピアッシング』“Piercing”
(2018年11月11日題名紹介『ファースト・マン』などのクリ
ストファー・アボット、2013年10月26日「東京国際映画祭」
で紹介『ザ・ダブル/分身』(公開題名『嗤う分身』)など
のミア・ワシコウスカ共演で、村上龍の同名小説の映画化。
殺人願望に取り憑かれた男が出張の名目で宿を取り、娼婦を
呼んで犯行を計画。その準備の様子や妄想も混じる自演のリ
ハーサルなど、作者のリビドーそのものという感じの物語が
展開される。正直に言って自分なら表には出せないような恥
ずかしい物語だが、それを出すことで海外でも評価されてい
るのだろう。直上の作品と同じ日に観て、何ともはやという
感じにも囚われた。脚本と監督は、2016年“The Eyes of My
Mother”という作品でファンタ映画祭の受賞を果たしている
ニコラス・ペッシェ。本作が第2作だが、次回は『呪怨』の
ハリウッド版リブートになるそうだ。公開は6月28日より、
東京は渋谷シネクイント他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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井口健二