井口健二のOn the Production
筆者についてはこちらをご覧下さい。

2019年04月14日(日) ハッピー・デス・デイ/2U(クローゼットに、新佐渡情話、ワイルドL、Girl、峰不二子、パタリロ!、あいがそいで、99歳 母、パドマーワト)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『ハッピー・デス・デイ』“Happy Death Day”
『ハッピー・デス・デイ 2U』“Happy Death Day 2U”
女子大生がマスクを被った殺人鬼に襲われ殺される度、その
日の朝にタイムループしてしまうというSF色の強い2017年
全米公開のホラー作品と、2019年全米公開の続編。
その朝、主人公は記憶にない男子寮の部屋で目を覚ます。そ
の日が誕生日の彼女は前日のパーティで騒いだ挙句、何かを
“やらかした”らしい。そこで少し気弱そうな部屋の住人の
話も不機嫌に無視して彼女は女子寮に帰るが…。
それからいろいろあって迎えた夜。彼女はその日もパーティ
に呼ばれて別棟の会場に向かう途中、不気味なトンネルでマ
スクを被った殺人鬼に襲われる。そしてナイフで刺された瞬
間、彼女は男子寮の部屋で目を覚ます。
そんなことが繰り返され、事態を把握した彼女は部屋の住人
の男子生徒に状況を説明。彼のアイデアと協力も得て犯人を
特定し、ループを抜け出す方法を探って行く、というのが、
第1作の顛末。
そして第2作では、彼女はループを抜け出したものの、今度
は彼の部屋のルームメイトがループに巻き込まれる。それは
大学の研究室で進む実験に由来していたものであり、さらに
実験の影響はそれだけではなかった。
彼女はループを抜け出しただけでなく、パラレルワールドに
転位していたのだ。そこには彼女が元の世界で失った家族が
存在しており、彼女には理想の世界だったが…。その世界で
失うものもあった。
こうして彼女の能力も駆使してパラレルワールドを解消する
ための研究が進められて行く。しかしそれは彼女が今の世界
で得たものを失うことでもあった。果たして彼女は元の世界
に戻るべきなのか?
様々な想いや妨害も掻い潜って実験は進められて行く。

出演は、第1作、第2作を通して2016年『ラ・ラ・ランド』
や、2018年6月紹介『500ページの夢の束』にも出ていたと
いうジェシカ・ロースと、2013年『ブリングリング』などの
イズラエル・ブルザード。
他に俳優マイクル・ランドンの孫娘で第1作が映画デビュー
のレイチェル・マシューズ。2017年『ローガン』に出ていた
というファイ・ヴ。また第2作から2012年12月紹介『ライフ
・オブ・パイ』のスラージ・シャルマらが登場する。
監督は第1作、第2作共に、2012年10月紹介『パラノーマル
・アクティビティ4』などの脚本を手掛け、そのスピンオフ
作品の監督も務めたクリストファー・ランドン。
第1作の脚本は、マーヴェル・コミックスのストーリー作家
でテレビシリーズの脚本なども務めるスコット・ロブデル。
そして第2作はランドル監督自身が手掛けている。
第1作の物語に関しては、映画の中でも1993年『恋はデジャ
ヴ』が引用されているものだが、ループの切っ掛けが殺人と
いうのはかなり強烈だ。しかもそれが何度も繰り返される。
これを連続とするかどうかは不明だが、連続殺人鬼ものとし
ては犯人捜しの推理なども含めて良くできている。
それが第2作ではパラレルワールドに拡張されるものだが、
ここでは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が引用される
中、こちらも物語はうまく展開されている。しかも結末には
SF映画らしからぬメッセージ性があるのも好ましかった。
それがSFならではのシチュエーションというのも嬉しい。
因に、第2作は2019年2月14日に全米公開されたものだが、
その際のインタヴューを見ると第3作の計画はあるようで、
主演女優の発言によると『ミッション:インポッシブル』並
のアクション映画になるそうだ。
脚本家でもある監督は、『パラノーマル・アクティビティ』
を第2作から第4作とスピンオフまで作った人だし、これは
期待したい。
ハリウッドリメイクもされた鈴木光司原作の『リング』も、
小説ではホラーに始ってSFに変成して行ったもので、その
結末は正しく稀有壮大だったが。本作にはその可能性もある
かな? 楽しみなシリーズだ。

公開は第1作が6月28日から、第2作は7月12日より、全国
ロードショウとなる。

この週は他に
『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』
      “The Extraordinary Journey of the Fakir”
(フランスの作家ロマン・プエルトラスが2013年に発表した
デビュー作を自ら脚色、カナダ・ケベック州出身のケン・ス
コット監督で映画化した作品。インドから始まるインド人が
主人公の物語。ムンバイの母子家庭で育った主人公は母親の
死後、母の願いだったパリへと旅立つ。そこでアメリカ人の
女性と巡り合い再会を約束するが…。家具店のタンスで寝込
んだ彼は、知らぬ間にイギリスに運ばれ、不法入国者として
スペインに送還。さらに奇想天外な手段でイタリア、リビア
へと旅は続き…。出演は、俳優ラジニカーントの娘婿という
ダヌーシュ。他に2012年2月紹介『アーティスト』などのベ
レニス・ベジョ、2017年03月26日題名紹介『ブラッド・ファ
ーザー』などのエリン・モリアーティらが脇を固めている。
個人的には2009年1月紹介『スラムドッグ$ミリオネア』を
思い出すかな。それほど政治的ではないが。公開は6月7日
より、東京は新宿ピカデリー他で全国ロードショウ。)

『新佐渡情話』
(日本映画のトーキー作品は1931年『マダムと女房』が最初
だが、当時の映画界が音声の取り込み方を模索する中で誕生
したのが大衆に人気のあった浪曲を取り入れた作品。今回は
その浪曲映画の特集上映が行われることになり、本作の試写
が行われた。作品は1934年に公開されてブームの切っ掛けと
なったとされる作品の翌年に制作された続編で、生き別れの
母親が佐渡に居ると聞いて訪ねてきた少女が漁師の家に助け
られ、その家で兄と慕って育った若者との悲恋が描かれる。
しかもそこに描かれる人間関係がかなり複雑で、これは現代
劇でリメイクしても良いと思えるくらいのもの。撮影技術な
どは未熟だが物語は充分に楽しめた。監督は清瀬英二郎。出
演者には上田吉次郎の名前があったようだ。公開は6月22日
〜26日に東京渋谷のユーロスペースにて、ドキュメンタリー
や近作も含む全15本が、浪曲の実演やトークショウなどと併
せて上映される。)

『ワイルドライフ』“Wildlife”
(2017年7月23日題名紹介『スイス・アーミー・マン』など
の俳優ポール・ダノが初監督に挑んだ作品。1995年のピュー
リッツァー賞フィクション部門受賞者でもある作家リチャー
ド・フォードが1990年に著した原作を、ダノとパートナーの
ゾーイ・カザンが共同で脚色、キャリー・マリガン、ジェイ
ク・ギレンホールを招いて映画化した。モンタナの片田舎に
引っ越してきた14歳少年の目を通して、父親が失業した家庭
の崩壊が描かれる。少年役は2015年M・ナイト・シャマラン
監督『ヴィジット』で弟役のエド・オクセンボールドが演じ
ている。父親は山火事の消防に応募して家を離れるが、その
様子は直接描かれないものの2018年3月紹介『オンリー・ザ
・ブレイブ』などを見ていると、その危険性は如実に判る。
そんな状況を踏まえての母親の苦悩も理解できる。その役を
マリガンが巧みに演じている。公開は7月5日より、東京は
新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)

『Girl/ガール』“Girl”
(2018年カンヌ国際映画祭でカメラドールに輝いたベルギー
の新星ルーカス・ドン監督による長編デビュー作。主演のビ
クトール・ポルスターが最優秀演技賞も受賞している。著名
なバレエ学校を舞台に、トランスジェンダーの「少女」がバ
レリーナへの道を歩んで行く。物語は2009年の新聞に掲載さ
れた実話に基づくもので、当時18歳でその記事を読んだ監督
は何時か映画化したいと夢見たそうだ。その夢が9年を経て
当事者の了解も得て実現された。家族や医療関係者など周囲
の理解は充分にあるが、恐らく法律的な縛りで18歳まで手術
を受けられない状況の中でもがき苦しむ主人公が描かれる。
トランスジェンダーの映画も近年多いが、その現実的な苦し
みをここまで明確に描いた作品は見事と言える。なお映画に
は世界的な振付師シディ・ラルビ・シェルカウイによる見事
なダンスシーンも登場する。公開は7月5日より、東京は新
宿武蔵野館他で全国ロードショウ。)

『LUPIN THE ��RD 峰不二子の嘘』
(2016年12月18日題名紹介『血煙の石川五ェ門』に続くシリ
ーズの第3作。前作の紹介時はルパンらの若き日を描くとし
たが、本作の時代背景などは不明確。大富豪から大金を横領
した男と幼い息子が強力な殺し屋に襲われ、そこに居合わせ
た峰不二子は少年と共にその場を脱出するが…。少年には秘
密があり、襲った殺し屋の背景にも謎があるようだ。監督は
シリーズ通して小池健。脚本もシリーズ通しての高橋悠也。
因に高橋は、2018年4月22日題名紹介『仮面ライダーアマゾ
ンズ』やテレビ『相棒』シリーズなども担当している。声優
は栗田貫一、小林清志、沢城みゆき。2年に1作ペースだと
物語の全体像は見え難いが、途中の島を監視する際に遠望さ
れた男性は前作の絡みかな? 背景ではかなり大きな陰謀が
動いているようだ。そんなものが次回以降に明らかになるの
かもしれない。公開は5月31日より、東京は新宿バルト9他
で全国限定ロードショウ。)

『劇場版パタリロ!』
(2019年1月20日題名紹介『翔んで埼玉』が話題の魔夜峰央
原作で、1978年に連載開始されたギャグ漫画の実写映画化。
現在も連載中の原作は2016年に舞台化されており、その舞台
の演出を手掛けた小林顕作が映画監督デビュー。脚本も舞台
版の池田テツヒロが担当している。さらに配役もパタリロ=
加藤諒、バンコラン=青木玄徳、マライヒ=佐奈宏紀らがそ
のまま登場。他に松村雄基、木下ほうか、鈴木砂羽、西岡��
馬、哀川翔らが客演。物語はマリネラ王国の皇太子パタリロ
の大英帝国訪問を軸に、極秘任務や陰謀、政変、暗殺計画な
どが絡み、MI6も巻き込んで展開される。そこに昭和レト
ロなギャグやSF調のギミック、さらに原作者好みの宝塚風
の歌と踊りなどが織り込まれる。全体的な構成は俗悪とも言
えるし、観客の好き嫌いは激しいと思われる作品だが、今の
勢いなら行けるかな。公開は6月28日より、東京はTOHOシネ
マズ新宿他で全国順次ロードショウ。)

『あいが、そいで、こい』
(2018年4月22日題名紹介『カメラを止めるな』が大ヒット
を記録したENBUゼミナールCINEMA PROJECTの第8弾。本作も
短編作品が各地で受賞している柴田啓佑監督の長編デビュー
作。先に田辺・弁慶映画祭の関連イヴェントで上映され好評
だったということだ。物語は2001年の和歌山県の漁村を舞台
に、個人でイルカショウを運営している家の息子と、イルカ
の調教師を目指して台湾からやってきた女性との甘酸っぱい
交流が描かれる。出演は、柴田作品の常連で2017年11月26日
題名紹介『ピンカートンに会いにいく』などの小川あんと、
ドラマなどに出ているという高橋雄祐。他に2010年3月紹介
『ヒーローショー』などの長部努、2018年3月18日題名紹介
『枝葉のこと』などの廣瀬祐樹らが脇を固めている。映画は
現代と過去が交錯する構成だが、意図が良く判らなかった。
題名など他の描写にも不明点がある。公開は6月22日より、
東京は新宿K's cinema他で全国順次ロードショウ。)

『99歳 母と暮らせば』
(1945年生まれ。日本映画新社で3億円事件や浅間山荘事件
など多くのニュース映画企画に携わった谷光章監督が、自ら
の母親の姿を企画・撮影・編集・ナレーションも兼ねて描い
たドキュメンタリー。同様の作品では2014年5月及び2018年
4月15日紹介『毎日がアルツハイマー』などもあるが、本作
の被写体は99歳で歩行も可能、それは達者な部類に入る。た
だ認知症は進んでいる感じだが、特に徘徊などの要素はない
ようで、その意味では平穏と言える作品だ。そして監督自身
が福祉系の作品も数多く手掛けているとのことで、認知症患
者との付き合い方の実践みたいなものは描かれており、その
点は高齢化社会に向けたアピールにはなっている。とは言え
現実はもっと悲惨な事例も多いと思われるもので、その点で
は2019年3月31日題名紹介『ばあばは、だいじょうぶ』で述
べたと同様の感覚にはなった。公開は6月8日より、東京は
新宿K's cinema他で全国順次ロードショウ。)

『パドマーワト 女神の誕生』“पद्मावत”
(16世紀にイスラム教神秘主義者の詩人の手で描かれた叙事
詩の映画化。舞台は13世紀のインド南西部にあったメーワー
ル王国。その国に嫁いだ王妃パドマーワティと国王ラタン・
シンの信愛。しかし北インドから支配を広げるイスラム教国
のスルタンが王妃の美貌を聴き付け襲い掛かる。難攻不落の
城を巡る攻防戦がインド映画史上最高の製作費で描かれる。
製作、脚本、監督、音楽は1999年『ミモラ−心のままに−』
などのサンジャイ・リーラ・パンサーリー。王妃役を2017年
2月5日題名紹介『トリプルX:再起動』でハリウッド進出
を果たした2013年1月紹介『恋する輪廻』などのディーピカ
ー・パードゥコーンが演じている。巻頭にテロップが出て、
それが物語の流れを予測させてしまうが、それも時節的には
仕方ないだろう。宗教問題が憶測を呼んで公開も危ぶまれた
が、結果はインド映画歴代10位の興行記録になったそうだ。
日本公開は6月7日より、全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。


 < 過去  INDEX  未来 >


井口健二