| 2018年12月16日(日) |
岡本太郎の沖縄、歯まん(君がまた走り、母を亡くし、誰がための、500年の航海、記者たち、君から目が、女王陛下の、ギルティ、クリード2) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『岡本太郎の沖縄』 2018年7月15日題名紹介『太陽の塔』に続けての、芸術家・ 岡本太郎に関連するドキュメンタリー。 岡本は日本各地を巡る旅の最後の訪問地として、米国統治下 だった1959年と66年に沖縄を訪れ、数多くの写真を撮影して それらは写真集として出版された。本作ではその写真集を基 に、岡本が観た沖縄とその後の沖縄が検証される。 そこには後に人間国宝とされて今でも仕事を続けている芭蕉 布の生産者女性や、1966年訪問時に動画で記録された久高島 の祭礼のその後なども語られる。その50年、60年の時間の重 みも感じられる作品だ。 特に久高島の祭礼に関しては、12年ごとの午年に行われる祭 りの司祭主の女性が写真集の表紙を飾っているものであり、 極めて厳格と言われた女性司祭が岡本を受け入れたような表 情で写るその写真が、本作の原点ともされている。 またこの祭礼に関しては、1966年に取材された祭りの本質に 迫る証言や、後の78年、90年の様子もアーカイヴ映像で挿入 され、450年の歴史を持つ祭礼の大きな流れを感じさせる。 これだけで1本作れそうな感じのものだ。 その一方で久高島では、岡本によって島の伝統である風葬の 様子が撮影されており、それは後に週刊誌に掲載されて問題 も引き起こしたようだ。ここには当時の撮影に同行した人の インタヴューも登場し、事実関係なども証言される。 その他にも、岡本が撮影した写真と現在との対比も随所で行 われ、変ってしまった風景や、変わらない風景が時の流れも 感じさせてくれる。その中で岡本が「日本の原点」と称した 沖縄の変貌が日本の現状を現しているとも感じる作品だ。 つまり本作では、写真集を基に多くの問題提起がなされるも のであり、それこそが岡本太郎の本質を描いているようにも 感じられた。それは先の作品で評論家が勝手に語る証言より も、より明確に芸術家を描いていると感じるものだ。 芸術家を語るにはまずその作品を語るべきであり、その点で 本作は写真集という明確な作品を基に綴られ、そこに様々な 証言や事象が挿入されて、正に岡本太郎の全体像が描かれた 作品になっている。 そして劣化によってボロボロになったフィルムのディジタル リマスターなど、正に労を惜しまない制作者の態度が、素晴 らしい作品を作り出している。 公開は、10月24日から那覇市で先行上映の後、関西地区では 11月24日から行われており、東京では2019年1月19日より、 渋谷ユーロスペースでの上映が予定されている。
『歯まん』 2015年「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」のオフシ アター・コンペ部門で上映されて北海道知事賞を受賞。その 後にモントリオール世界映画祭やシッチェス映画祭などでも 上映されたファンタシー作品が、4年を経て一般公開される ことになり、試写が行われた。 題名の意味は、女性性器に歯が生えているということで、何 というか、下ネタ好きでもちょっと退いてしまうようなタイ トルには相応の内容が予想されるものだ。しかし映画は意外 と真面と言える作品だった。 始りはラヴホテルでベッドインしている高校生のカップル。 メイクラヴが進み、少女が絶頂に達した時、突然少年が痛み を訴え、身体を離した少年の股間から血が噴出する。そして その血を浴びた少女は街に彷徨い出る。 やがて街では猟奇的な殺人事件の報道や噂話が飛び交う中、 喫茶店で悲嘆にくれる少女に1人の男性がハンカチを差し出 す。そしてそのまま店を出る男性の姿を別の女性も見送って いた。 その後、少女は街でその女性と出会い、女性は男性のことを いろいろ聞かせてくれる。こうして男性にも好意を持つよう になった少女だったが、街を彷徨い続ける少女に突然中年男 が声を掛け、少女は男に拉致される。が…。 脚本と監督は、後で題名紹介する篠原哲雄監督作品で脚本と 助監督を務めている岡部哲也。本作が監督デビュー作だった ようだが、他にも助監督はしているようで、しっかりとした 映画を作り上げている。 出演は、近作では前枝野乃加と改名している馬場野々香と、 2010年に中田秀夫監督の『インシテミル』に出ていたという 小島祐輔。2人は上記の篠原作品にも出ているが主に舞台の 俳優のようだ。 それに2015年1月紹介『ら』で脚本、監督を務めた水井真希 が、今回は女優で映画を引っ張っている。 テーマとしては吸血鬼に通じるかな。愛する人に死をもたら す運命となってしまった女性の悲哀が描かれる。ただしその シチュエーションが特殊だと、一般には中々伝わり難い面が あって、その辺が一般公開の遅れた理由でもありそうだ。 ここはSFファンやホラーファンなら判る展開ではあるのだ が…。その一方で本作では、少女の置かれる状況がいろいろ 変化するのもよく考えられた脚本と言えるもので、特に咬み 切ったモノに対する態度の違いにはニヤリとした。 R18+指定でそれなりのシーンも多い作品だが、物語にも破 綻は少なく、ダークファンタシーとしてはしっかりと描かれ ている作品だ。 公開は2019年3月2日より、東京はアップリンク渋谷他にて 全国順次ロードショウとなる。
この週は他に 『君がまた走り出すとき』 (「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」15周年を記念して川口 市が製作したドラマ作品。巻頭で主人公は警察に追われ、老 婦人の住む民家に逃げ込む。そこで老婦人に孫と間違われた 主人公はその家で暮らし続けるが、そこに別の孫娘が現れ、 本物の孫は事故死したと教えられる。それでも利害の一致で 3人暮らしが始まり、ラジオでマラソンの話題を聞いた孫娘 は主人公に大会への出場をけし掛ける。そして間借り人の男 性らと参加の準備が進められるが…。出演は共に2017年7月 紹介『ナミヤ雑貨店の奇跡』に出ていた寛一郎と山下リオ。 それに松原智恵子。また2018年11月18日題名紹介『赤い雪』 などの菜葉菜、さらに長谷川初範、浅田美代子らが脇を固め ている。原案と監督は『カメラを止めるな』で助監督を務め た中泉裕矢。他愛ない話だがそれなりに心は掴まれた。公開 は2019年2月8日から川口で先行上映の後、東京は3月2日 より新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』 (このタイトルを見て僕は、1964年山田洋次監督の『馬鹿が 戦車(タンク)でやって来る』を思い出した。確かその映画の 始めに、葬儀(遺影はいかりや長介)の席に現れたハナ肇扮す る主人公が、骨壺の遺骨を貪り食うシーンがあったはずだ。 そんなことを考えつつ観ていた本作だが、内容は大病をして 母親の溺愛の許に育った男性が、癌で余命宣告された母親を 前にマザーコンプレックスを剥き出しにするという展開で、 自分がこの春に母親を亡くしたばかりの身としては、まあ何 ともはやという感じだった。それは自分と主人公とでは立場 も違うから感情なども異なるが。まさか実際に遺骨をかじる シーンが出てくるとは思っても見なかったもので、山田作品 では理解できても今回は別の感覚となった。原作はWeb マン ガ家の宮川サトシ。出演は安田顕、倍賞美津子。脚本と監督 は2018年7月29日題名紹介『日日是好日』などの大森立嗣。 公開は2019年2月22日より全国順次ロードショー。)
『誰がための日々』“一念無明” (2002〜2003年『インファナル・アフェア』シリーズなどの ショーン・ユーとエリック・ツァンの共演で、重い躁鬱病を 患い精神病院に1年間入院した男性が、退院して社会復帰を 目指す困難を描いた作品。入院前の主人公には一緒に暮らす マンションを購入した婚約者もいて、暮らしは順調だった。 しかし自宅には寝たきりの母親がおり、運転手の父親は金は 入れるが家に寄り付かず、アメリカに渡った弟も永住を決め ていた。このため施設に入れることを拒む主人公は会社を辞 め、独力での介護を目指すが、ある事件により母親が死亡、 そのショックで精神を侵された。そんな状況から脱しようと する主人公だったが、自宅も売った父親と小さな部屋で暮ら す主人公には、様々な困難が降りかかる。施設を拒む理由が 僕には判らないが、他の状況は日本も同じかな。監督は長編 デビュー作のウォン・ジョン。公開は2019年2月2日より、 東京は新宿K's cinema他にて全国順次ロードショウ。)
『500年の航海』 “Balikbayan #1 Memories of Overdevelopment Redux �此� (2015年東京国際映画祭で上映『お里帰り』の改訂版。因に 2015年版は“Redux ��.5”だった。実はこの前作も映画祭で 観たが、この年はコンペティション以外の作品の紹介は割愛 した。その理由は記憶していないが、この前作が難解だった ことも原因だったかもしれない。ということで今回は観直し という面もあったが、2度目に観ればさすがに難解とは言え ないもので、マゼランの世界一周航海に同行したフィリピン 人の物語は理解できた。つまり彼はフィリピンからヨーロッ パに渡り、そこからアメリカ大陸の南端を通ってフィリピン に達したもので、彼こそが最初の世界一周者だったという訳 だ。ただし本作ではその物語に過去現在を繋ぐ様々な映像が 注ぎ込まれているもので、その意味の把握が難しい。それが 面白くもあるが、難解な作品であることは変わりなかった。 公開は2019年1月26日より、東京は渋谷シアター・イメージ フォーラム他で全国順次ロードショウ。)
『記者たち 衝撃と畏怖の真実』“Shock and Awe” (2003年にイラク侵攻を強行したブッシュ政権。その根拠と された大量破壊兵器の存在を巡り、政権の意向に沿った報道 を続けたニューヨーク・タイムズなどの大手マスコミに対し て、地道に政権内部を取材し、その発表に疑問を呈し続けた ことで様々な妨害や中傷を浴びたナイト・リッダー社の姿を 描いた実話の再現作品。事実の推移は、最後にタイムズ紙が 読者に対するお詫びを掲載するなど、大統領府の発表が嘘を 並べたものだったことを明白にするが、映画ではそこに至る までの嫌がらせなど悪辣な政権の手口を暴露し、さらに何故 そのような悪行に走らせたかの理由についても正確に描き切 る。上映時間91分は決して大作ではないが、見事にその真実 が凝縮された作品だ。出演はウッディ・ハレルソン、ジェー ムズ・マースデン、トミー・リー・ジョーンズ。製作と監督 はロブ・ライナー。公開は2019年3月29日より、東京はTOHO シネマズシャンテ他で全国ロードショウ。)
『君から目が離せない Eyes On You』 (2018年2月11日題名紹介『ばぁちゃんロード』などの篠原 哲雄監督が舞台俳優の秋沢健太朗を映画初主演に迎え、3つ の季節に亙って撮った作品。劇団員の主人公はティッシュ配 りのバイト中に年上の女性を見染め仲を深めて行くが、彼女 はいろいろな謎に包まれていた。共演は、篠原監督の1996年 デビュー作『月とキャベツ』でヒロインを演じ、2001年に渡 米留学して休業、2017年3月26日題名紹介『心に吹く風』で 映画界復帰した真田麻垂美。本作には1996年作のスタッフも 再結集して正に彼女自身のような役柄が描かれている。他に 田中要次、根岸季衣、さらに篠原監督らが脇を固めている。 お話は他愛ないけど、1996年作のロケ地の再訪や女優などの 話題性は高いかな。それに演劇の街=下北沢の雰囲気は良く 出されており、小田急地上駅の撤去工事の風景などはマニア 的にアピールしそうだ。公開は2019年1月12日より、東京は シネマート新宿で2週間限定のレイトショウ。)
『女王陛下のお気に入り』“The Favourite” (ギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督が、2018年の ベネチア国際映画祭で審査員グランプリと主演女優賞の2冠 を獲得した作品。18世紀初頭、アン女王治世のイングランド 王室を舞台に、フランスとの第2次百年戦争の戦時下で女王 に次ぐ実権を得ようとする女性たちの史実に基づく闘いが描 かれる。戦争が長引き財政が逼迫する中、女王の友人で軍総 司令官を夫に持つサラは女王の威光を借り、軍事費の拠出を 維持していた。そんな折、サラの従妹で没落した貴族の娘の アビゲイルが参内を希望してくる。その願いを聞き入れたサ ラだったが、やがてそれが女の闘いを引き起こす。出演は、 女優賞を受賞した2008年5月紹介『ホット・ファズ』などの オリヴィア・コールマンと、2018年4月22日題名紹介『バト ル・オブ・ザ・セクシーズ』などのエマ・ストーン、それに 2017年2月12日題名紹介『光をくれた人』などのレイチェル ・ワイズ。公開は2019年2月15日より全国ロードショウ。)
『THE GUILTY ギルティ』“Den skyldige” (市民からの緊急通報を受信する指令室を舞台に、拉致誘拐 された女性を電話を通じて救出しようとする警官の姿を描い た作品。主人公は捜査中の行為で裁判を控えた警察官。裁判 の終了までは現場を離れ、緊急通報指令室で市民からの電話 を受けている。そんな彼が裁判所への出頭の前日、勤務の終 りも間近に電話が架かる。それは走行中の車内から拉致され たと告げるものだった。そこで直ちにパトカーの配備などが 始まるが、携帯電話の位置は基地局の場所までしか判らず、 もどかしさが募って行く。それでも様々な手で車を特定する 主人公だったが…。出演は、2011年3月紹介『光のほうへ』 などのヤコブ・セーダーグレン。同旨の作品では2013年10月 紹介のハル・ベリー主演『ザ・コール』などもあるが、本作 ではさらに捻りの利いた物語が展開される。2018年のサンダ ンス映画祭で観客賞を受賞の作品だ。公開は2019年2月22日 より、東京は新宿武蔵野館他で全国ロードショウ。)
『クリード炎の宿敵』“Creed �供� (1977年『ロッキー』から連綿と続く物語が、2015年『クリ ード』で新たな展開となった第2弾。そして本作では1985年 『ロッキー4』でチャンピオンと戦ったソ連からの刺客ドラ ゴの息子がクリードに挑む。元々クリードはドラゴによって 命を絶たれたアポロの息子だから、これはもはや必然の対決 と言えるものだ。さらにその作品にはドラゴを演じたドルフ ・ラングレンから妻役のブリジット・ニールセンまでもが再 登場。またアメリカ側はマイケル・B・ジョーダン、シルベ スター・スタローン、テッサ・トンプソンらが前作に続いて 出演している。監督には長編2作目のスティーヴン・ケイプ ル Jr.が抜擢された。なおオリジナルでは、先にラスヴェガ スでのアポロ対ドラゴの戦いがあり、その後にモスクワでロ ッキー対ドラゴとなったものだが、本作では共に息子同士の 戦い。その成立にはちょっと仕掛けがあるのも面白く感じら れた。公開は2019年1月11日より全国ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
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