| 2018年11月18日(日) |
描きたい、が止まらない(トラさん、revisions、マイ・ジェネ、赤い雪、サイバー、あの日のオルガン、jam、喜望峰、マチルド、家へ帰ろう) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『描きたい、が止まらない』 滋賀県東近江市在住で高機能自閉症と診断されている画家・ 古久保憲満さんを追ったドキュメンタリー。 古久保さんは1995年生まれで、3歳ごろから絵を描き始める が、小学校1年生の終わりに発達障害と診断され、2007年に 養護学校に入学。そこでも模造紙やカレンダーの裏などに絵 を描き続け、用紙が足りなくなるとセロハンテープでつぎ足 すなどしていた。 そに対して2010年、美術の教師から大きな紙に描くことを勧 められ、縦1.6m×横10m のロール紙に絵を描き始める。それ から7年が経ち、その絵が完成する少し前から本作の撮影は 開始されている。そしてスイスの美術館での作品の展示や、 シンガポールの画家を訪ねる話などが綴られる。 監督は、2004年に独立系メディアOurPlanet-TVで『ぼくらの 学校なくなるの?〜立ち退き問題に揺れる朝鮮学校〜』とい う作品などを取材・制作している近藤剛。1973年生まれで、 一貫してマイノリティの立場に立った作品を発表している人 のようだ。 という監督の作品だが、監督自身はアート中心の作品にする つもりはなかったそうで、その意味では確かに古久保さん自 身の考え方や生き方などが丁寧に描かれているとは言える。 しかし古久保さんは画家であり、彼自身を表現するのに絵画 が大きな部分を占めていることに変わりはない。 そこでその絵画の魅力が充分に伝わっているかというと、正 直に言って僕には物足りなかった。実際に試写会場では何点 かの実物を観させて貰ったが、その超細密画とも呼べる細か さには圧倒された。それが縦1.6m×横10m の全面に繰り広げ られているとすると、それは驚異的なものだ。 しかし映画ではそれが見えてこない。ここは例えば全体を写 している映像からカメラがどんどん寄って行って細密な部分 に至るとか、その逆でもいいが、何しろこの驚異的な絵の全 貌は示して欲しかった。それはもちろん外連ではあるが、古 久保さん自身を表現する上で欲しかったものだ。 また絵の題材はインターネットなどで見つけているとのこと だが、その辺の繋がりについても知りたかった。その一方で シンガポールのシーンでは、建物に興味があるはずの彼が背 景に写っている「マリーナ・ベイ・サンズ」に全く関心を示 さない。その理由も知りたかった。 これらには彼なりの意見もあったはずで、そういった点が彼 自身を理解する上でもっといろいろあっても良かったのでは ないかと考える。もちろん本作でも彼の信念などは見えてく るが、彼が監督に心を開いているのなら、もっと深く彼を知 りたいとも思えたものだ。 苦言が多くなってしまったが、興味を惹かれる題材だけに、 もっといろいろなことが知りたくなった。 公開は2019年早春、東京はポレポレ東中野にてロードショウ となる。
この週は他に 『トラさん 僕が猫になったワケ』 (2014年に『ソフテン!』という作品の映画化もある板羽皆 の原作コミックスを、2008年1月紹介『死神の精度』などの 筧昌也監督が「Kis-My-Ft2」の北山宏光を主演に迎えて映画 化。猫漫画がヒットしたものの、連載の打ち切りでやる気を 失くした漫画家が不慮の事故で命を落とす。しかし次の命を 決める関所で自分自身を見つめ直す機会を与えられた漫画家 は家族の許に戻されるが…、それは猫の姿だった。北山がア イドルとは思えないダメ親父を演じる。共演は多部未華子、 平澤宏々路。他に飯豊まりえ、富山えり子、要潤、バカリズ ムらが脇を固めている。お話的には上記の監督作品に通じる ところもあって悪くはないが、最後の作品を家族に渡す展開 には何か捻りが欲しかったかな。ただ朝起きたら原稿が有り ましたでは、話に無理があるように感じる。ここには何らか の経緯が欲しいところだ。公開は2019年2月15日より、東京 はTOHOシネマズ日比谷他で全国ロードショウ。)
『revisions』 (2018年9月紹介『INGRESS THE ANIMATION』に続き2019年 1月よりフジテレビの深夜に放送される「+Ultra」の第2弾 作品。今回もエピソード1〜4を見せて貰った。物語は東京 渋谷駅を中心にした半径1�劼糧楼呂�未来に飛ばされ、その 行き着いた先の世界では人類の多くが死滅した状況で2つの 勢力が闘いを繰り広げていた、というもの。そこで予め啓示 を受けていた高校生5人の男女が闘いに巻き込まれるが…。 アイデアとしては映画化もされた楳図かずお原作の『漂流教 室』が思い浮かぶものだが、本作では未来人同士の戦いがあ ったり、未来人と現代人との政治的な話もあるなど、物語に は変化が付けられている。それにバトルスーツのようなもの も登場して、全体はアクション志向の作品になっているよう だ。でもまあそれが現在の日本アニメに求められているもの なら仕方ない。ただし人類の選別などの捻りはあるのかな? 放送は上記の前作紹介に記したのと同様の体制で実施。)
『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』 “My Generation” (2016年7月紹介『グランド・イリュージョン』などの英国 俳優マイクル・ケインが、1933年生まれの自らの世代が体験 した1960年代カルチャー「スウィンギング・ロンドン」を語 るドキュメンタリー。製作をケイン自身が手掛け、50以上の インタビューを敢行したという本作では、ポール・マッカー トニーを始め、ザ・フーのロジャー・ダルトリー(ピーター ・バラカン監修の字幕ではドールトリーと記されていた)、 女優のマリアンヌ・フェイスフル、モデルのツイッギー、フ ァッションデザイナーのメアリー・クワントなど、様々な分 野の同世代人が発言し、さらにジョン・レノンやデビッド・ ボウイらのアーカイブ映像も登場する。まあ内容としては正 に懐かしものという感じだが、1970年以降のドラッグに関し ては、ほぼ全員が実体験を踏まえて否定しているのは興味深 かった。公開は2019年1月5日より、東京は渋谷Bunkamura ル・シネマ他で全国順次ロードショウ。)
『赤い雪 Red Snow』 (『オンディーヌの呪い』という30分の作品が2015年「SKIP シティ国際Dシネマ映画祭」にて奨励賞を受賞している甲斐 さやか脚本・監督による長編デビュー作。雪が降り続く小さ な村で1人の少年が姿を消す。それは吹雪の中を見え隠れす る弟の後を追った兄が、アパートの角を曲がったところで見 失ったものだった。その後、住宅火災の現場から弟の遺体ら しきものが発見され、アパートの住人でもあった女性に嫌疑 が掛かるが、女性は黙秘のまま釈放される。そして30年が経 ち、漆器職人となった兄の許に1人の男が現れる。男は女性 の娘で事件を目撃していたはずの女の居所を突き止めたと語 り、被害者の兄と容疑者の娘が30年を経て向き合うことにな るが…。出演は永瀬正敏、菜葉菜、井浦新。他に夏川結衣、 佐藤浩市らが脇を固めている。映像の感覚は凄いが、物語は 少し言い切れていない感じがした。公開は2019年2月1日よ り、東京はテアトル新宿他で全国順次ロードショウ。)
『サイバー・ミッション』“Reborn 解码游戏” (「NEWS」の山下智久が海外進出を果たした香港作品。主人 公は韓流アイドルグループ「SUPER JUNIOR」の元メンバー= ハンギョンが扮するオタク系プログラマー。彼はハッキング を武器に世の悪に対抗するホワイトハッカーだった。そんな 彼にかつてハッキング対決で負かした相手が接触してくる。 それは新OSを巡る大仕事への誘いだった。そんな主人公に は警察も接触し、彼は覆面捜査官となってその仕事に関るこ とにするが…。共演は、2010年11月紹介『モンガに散る』な どのリディアン・ヴォーンと、雑誌モデルのリー・ユエン。 監督はリー・ハイロン。アクション監督を、2002年11月紹介 『ボーン・アイデンティティー』などのニコラス・パウエル が担当している。巻頭のハッキングシーンは面白いが、後半 はちょっと魔法の杖になったかな。その分のアクションシー ンは見ものにはなっていたが。公開は2019年1月25日より、 東京は新宿ピカデリー他で全国ロードショウ。)
『あの日のオルガン』 (第2次世界大戦末期の1944年、東京品川の戸越保育所では 園児の安全を確保するための疎開を模索していた。当時、小 学生の学童疎開は実施されていたが、園児は対象外で、また 親の中にも反対者はいた。そんな折、埼玉の農村から受け入 れの表明が届く。しかし用意されていたのは全くの荒れ寺。 それでも何とか疎開は行われるが…。不安を抱える園児には おねしょが頻発するなど、様々な問題が起きる。その一方で 東京は大空襲によって園児の一家が全滅したり、また赤紙が 来て最後の面会を求める父親も現れる。こんな全くの弱者た ちの戦争体験が描かれる。実話に基づく脚本と監督は2012年 12月紹介『ひまわりと子犬の7日間』などの平松恵美子。山 田洋次監督の右腕ともされる女性監督が師匠譲りの反戦映画 を作り上げた。出演は戸田恵梨香、大原櫻子。他に橋爪功、 田中直樹、田畑智子、林家正蔵、夏川結衣らが脇を固めてい る。公開は2019年2月22日より全国ロードショウ。)
『jam』 (2017年11月19日題名紹介『Mr.Long/ミスター・ロン』など のSABU監督が、「劇団EXILE」と組んだ疾走感あふれるアク ション作品。物語は3つのドラマが絡み合うもので、1つ目 は大舞台を翌日に控えた演歌歌手が熱狂的なファンに拉致さ れ、彼女を主題にした新曲を強要される。2つ目では恋人が 銃撃戦に巻き込まれて意識不明となり、その回復を祈る若者 が啓示を受けて日々善行を続ける。そして3つ目は刑期を終 えた男が自分を陥れたヤクザに復讐する。これらが同じ時間 軸で展開される。出演は青柳翔、町田啓太、鈴木伸之を主演 に劇団のメンバーが総動員。他に筒井真理子が怪演を繰り広 げ、特に結末はこのために全てが作られている感じすらする ものだ。監督の作品では2003年11月9日付「第16回東京国際 映画祭」で紹介『ハードラックヒーロー』を思い出したが、 V6と同様、誰と組んでも見事なSABU節だ。公開は12月1日 より、東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)
『喜望峰の風に乗せて』“The Mercy” (2009年4月紹介『マン・オン・ワイヤー』などのジェーム ズ・マーシュ監督が、2011年1月紹介『英国王のスピーチ』 などのコリン・ファースを主演に迎え、1968年行われた単独 無寄港世界一周レースの参加者を描いた実話に基づく作品。 このレースには華々しい経歴を持つヨットマンたちが参加す る中、航海計器の会社を経営する1人のビジネスマンが出場 を表明する。彼はマスコミを巻き込み、スポンサーも得て出 航に漕ぎ付けるが…。共演は2017年2月12日題名紹介『光を くれた人』などのレイチェル・ワイズと、2018年7月15日題 名紹介『リグレッション』などのデヴィッド・シューリス。 実は映画が始まって直にこの人物のことを数年前にテレビ放 送で見たことを思い出した。ちょっとしたことが人を奈落に 突き落とす。一応マスコミを自称する人間としては、心して 観るべき作品だ。公開は2019年1月11日より、東京はTOHOシ ネマズシャンテ他で全国順次ロードショウ。)
『マチルド、翼を広げ』 “Demain et tous les autres jours” (2018年4月29日題名紹介『告白小説、その結末』などの女 優で、2015年『カミーユ、恋はふたたび』を監督したノエミ ・ルボフスキーが、自らの子供時代を描いたとする作品。主 人公は離婚した母親の許で暮らしているが、その母親はかな り奇矯な人物で少女はいつもその言動に振り回されている。 そこに小さなフクロウが現れ、人間の言葉を話すフクロウは 彼女のアドヴァイザーになってくれるが…。主演は本作がデ ビュー作のリュス・ロドリゲス。母親役を監督が演じ、父親 役には2018年8月26日題名紹介『バルバラ』などのマチュー ・アルマリックが扮している。母親の病状は若年性の痴呆を 疑わせ、近年は痴呆症の映画も多く観ている者としては辛い 気持ちにもなった。でも本作では主人公の健気さが全てを救 っており、監督自身が体験を乗り越えて今に至っていること にも感動した。公開は2019年1月12日より、東京は新宿シネ マカリテ他で全国順次ロードショウ。)
『家へ帰ろう』“El último traje” (21世紀のアルゼンチンで多数の映画に関っている脚本家の パブロ・ソラルスが、自らの脚本を映画化した監督第2作。 ホロコーストを生き延び、アルゼンチンに移住したユダヤ人 の仕立て屋が、友との約束を果たすため故郷のポーランドを 目指すロードムーヴィ。高齢になった主人公は家族に施設に 入れられそうになり、旅立ちを思いつく。しかしその道には 様々な障害があった。ポーランドという国名を口にしないと か、ドイツには足を踏み入れたくないなど、ユダヤ人の頑な な心情を描くシーンが続出する。出演は、1998年『タンゴ』 などのミゲル・アンヘル・ソラ。第2次大戦時に青年なら既 に90歳を超えているはずで、さらに途中には娘の腕に収容所 の刺青があったりもする。しかし物語の背景は現代。この時 間を超越した描き方が、逆にユダヤ人の思いを表現している ようにも感じた。公開は12月22日より、東京はシネスイッチ 銀座他で全国順次ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
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