| 2018年10月07日(日) |
ジョニー・E、ヘレディタリー(バグダッド、おとなの、家族のはなし、山中傳奇、快楽の、世界で一、ハード・C、走れ!T、不滅の、夜明け) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』 “Johnny English Strikes Again” 2003年8月に第1作を紹介したローワン・アトキンスン主演 スパイパロディシリーズの第3作。因に第2作の『気休めの 報酬』“Johnny English Reborn”は試写を観なかった。 物語は、既に現役を引退している主人公が小学校でスパイ活 動の基礎を教えているところから始まる。その内容は如何に も前時代的だが、生徒たちの受けは良いようだ。 一方、ロンドンにある主人公のかつての所属先MI7では機 密漏洩が発覚し、緊急時に現役諜報員を使えない事態が生じ ていた。このため女性首相の一声で引退した元諜報員に召集 が掛かり、主人公もその席に呼ばれる。ところが彼の失敗で 他の諜報員は出動不能になってしまう。 斯くして主人公は、かつての相棒と共に数々の装備を調達し て出動。機密漏洩の主謀者を追って南仏のホテルに向かう。 そしてそこに絶世の美女が関ってくる。 その頃、ロンドンではサイバーテロによって交通渋滞が多発 し、ネット上でITによる国家管理を謳っていたIT富豪に 救援が求められる。そして富豪はiPadを使ってマジックのよ うに事態を収拾してしまう。その手腕に英国首相は心酔し、 彼の起用を進めるが…。 ここから後は、物語としては大体想像の付く通りのものが展 開される。その点での意外性は少ないが、コメディとしては いろいろな仕掛けが満載で、それが楽しめるものだ。 共演は、2008年『007/慰めの報酬』でボンドガールを務めた 2018年6月17日題名紹介『スターリンの葬送狂騒曲』などの オルガ・キュリレンコと、2013年12月紹介『ウォルト・ディ ズニーの約束』などのエマ・トムプスン。 他に2017年8月27日題名紹介『人生はシネマティック!』な どのジェイク・レイシー。また第1作で優秀な相棒役を演じ たベン・ミラーも再登場している。 脚本は、第1作も担当したウィリアム・デイヴィス。監督は テレビシリーズを多数手掛けてきたデイヴィッド・カーの映 画デビュー作のようだ。 最近のアトキンスンは、テレビでジョルジュ・シムノン原作 「メグレ警視」を演じるなど、ストレートな演技でも評価さ れているようだが、そればかりだと肩が凝るのかな。本作で は正に生き生きとおとぼけスパイを演じている。特にキュリ レンコとのダンスシーンはキレキレだ。 2007年12月紹介『Mr.ビーン』など彼のコメディは、日本人 には好き嫌いがあるようだが。第1作の紹介でも書いたよう に本作ではベタな笑いは抑え気味で、比較的真面なコメディ に仕上げられている。そしてスパイパロディとしてもこれは 悪くない。第4作も期待したくなるものだ。 公開は11月9日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他にて全国 ロードショウとなる。(9月16日付未掲載分)
『ヘレディタリー 継承』“Hereditary” 同名の研究誌でも著名なアメリカの映画学校American Film Institute出身で、2011年から短編映画を発表していたアリ ・アスター脚本、監督による上映時間127分のデビュー作。 主人公は個展を控えたミニチュアハウス制作者の女性。郊外 に建つ家には彼女とその夫、2人の子供に彼女の母親が同居 していたが、実は過去の経緯により、彼女と母親との関係は あまり上手く行っていなかった。 その母親が死去し、その葬儀には家族の知らない人々が多数 集まってくる。それでも喪主として葬儀は何とか済ませた主 人公だったが、その直後から家族の間に異変が生じ始め、そ の異変は家族関係を崩壊させて行き…。 出演は2018年6月紹介『500ページの夢の束』などのトニ・ コレット(本作にてInternational Online Cinema Awardsの 女優賞を受賞)と、2018年8月26日題名紹介『ライ麦畑で出 会ったら』などのアレックス・ウルフ。 それに2002年生まれで、2013年にブロードウェイデビュー、 その舞台の演技で共演者と共にトニー賞の特別表彰を受けた というミリー・シャピロ。因に彼女が好きなファッションは 原宿、好きな映画のジャンルはホラーだそうだ。 さらに2016年10月紹介『母の残像』などのガブリエル・バー ン、2013年5月紹介『コンプライアンス』などのアン・ダウ トらが脇を固めている。 雪に閉ざされている訳ではないが、郊外のかなり孤立した感 じの一軒家が主な舞台で、そこでミニチュアハウスの制作に 熱中する主人公など、雰囲気的にはスタンリー・クーブリッ ク監督の『シャイニング』を思い出すかな。 特に家族同士が信頼できなくなり、その中で次々に巻き起こ る怪異現象の積み重ねには、その手法を研究した感じもして くる作品だ。 ただし本作の場合は、その結末というか話の落としどころが かなり異質で、それまでの展開と少し落差が大きすぎる感じ がした。それは思い返せば伏線もいろいろ敷かれてはいるの だが、その唐突さには呆気に取られるというか、少し退いて しまう感じもした。 勿論この結末自体が悪い訳ではないが、それならそれなりの 導入がもっといろいろあっても良いと思う訳で、特に本作の 場合は主人公が制作するミニチュアハウスとの関連が、全く 物語に活かされていないのは、勿体なくも感じてしまったと ころだった。 その辺が物語にしっかり絡んできたら、もっと凄い話になる と思ったのだが。 公開は11月30日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他にて全国 ロードショウとなる。
この週は他に 『バグダッド・スキャンダル』 “Backstabbing for Beginners” (21世紀初頭。経済封鎖で国民が困窮するイラクでは、国連 の指揮下で支援活動が行われていた。2002年、国連事務次長 の特別補佐官に任命されたマイクル・サリヴァンはバグダッ ドの現地事務所に派遣される。しかしそこにはフセイン政権 と繋がるフィクサーやクルド人の出自を隠す通訳など様々な 人物がおり、数々の不正も行われていた。その実態に驚くサ リヴァンだったが、上司からは国民を守るため不正には目を 瞑れと説得される。そんな彼の手に不正を暴く決定的な証拠 が届けられるが…。出演は、製作総指揮も務める2017年5月 紹介『ダイバージェント』などのテオ・ジェームズと、トル コ出身のベルシム・ビルギン。さらにベン・キングズレー、 ジャクリーン・ビセットらが脇を固めている。脚本と監督は 2014年『ストックホルムでワルツを』のペール・フライ。こ れは実話に基づく驚愕の作品だ。公開は11月3日より、東京 は新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)
『おとなの恋は、まわり道』“Destination Wedding” (キアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダーの共演で、僻地で 行われるリゾート結婚式に招かれた男女を巡る物語。男性は 新郎の弟で、兄弟仲は良好ではなく父親とも確執があった。 女性は新郎の元婚約者で、準備した結婚式を直前にキャンセ ルされた。しかし2人とも心の大きさを見せたくて招きに応 じたものだ。そんな2人が僻地に飛ぶ飛行機の出発空港では いがみ合うが、飛行機の席は隣り同士でそれなりに会話を始 めるようになる。さらに用意されたホテルの部屋も隣り同士 で、前夜祭のパーティでも浮いてしまう2人は、2人だけの 会話を弾ませるようになって行き…。脚本と監督は、2014年 公開『5時から7時の恋人カンケイ』などのビクター・レヴ ィン。こういう作品が好きな人も多いのかもしれないが、若 い内ならいざ知らず、自分の年齢になると正直あまり笑えな いというか、切実だったかな。公開は12月より、東京はTOHO シネマズ日比谷他で全国ロードショウ。)
『家族のはなし』 (2015年2月紹介『振り子』に続く、鉄拳原作パラパラ漫画 の実写映画化。前作の夫婦の機微から本作では親子関係が描 かれる。主人公は大学を中退してバンド活動中。すでにプロ としての足掛かりも掴んでいる。そこに父入院の報が届き、 急いで長野県の生家に帰ってくるが…。父親は検査入院で無 事。しかし生業のリンゴ農園に後継者はいない。しかも主人 公はレコード会社から契約解除を通告されてしまう。出演は 岡田将生、成海璃子、財前直見、時任三郎。他に金子大地、 佐藤寛太らが脇を固めている。鉄拳がアートディレクターも 務め、監督はBS-TBS「ケータイ刑事」など山本剛義の映画デ ビュー作。2006年12月紹介『神童』で注目された成海の「バ イエル2冊」発言には笑ったが、最後の父親の行動は、何か あると思っていても胸を突かれた。場面転換にパラパラ漫画 が使われるなど仕掛けも面白い。公開は11月23日より、全国 のイオンシネマにて上映。)
『山中傳奇』“山中傅奇” (1975年カンヌ国際映画祭に出品『侠女』で中華圏初の受賞 を果たすなど、武侠映画の牽引者だったキン・フー監督によ る本国公開1979年の作品。日本では今まで映画祭での短縮版 上映のみだった作品が、4Kリマスター、192分の全長版で 劇場初公開される。時は11世紀、宗の時代。貴重な経文の写 経のため静かな環境を探していた主人公は、男に案内されて 山奥の城跡を訪れる。そして写経を始めた主人公だったが、 世話役の女性から娘を紹介され、結婚に至る。しかしその娘 には写経に関る大きな秘密があった。出演は後に『さらば、 わが愛 覇王別姫』などの製作総指揮を務めるシュー・フォ ンと、2018年6月3日題名紹介『妻の愛、娘の時』などのシ ルヴィア・チャン。さらに『侠女』でもフォンと共演のシー ・チュン。逆回し中心の視覚効果は流石に古色だが、長尺の 物語はしっかりと楽しませてくれる。公開は11月24日より、 東京は新宿K's cinema他で全国順次ロードショウ。)
『快楽の漸進的横滑り』 “Glissements progressifs du plaisir” (前回題名紹介『ヨーロッパ横断特急』と共に回顧上映され るアラン・ロブ=グリエ監督の1974年作品。娼婦が殺され、 同じ家にいた女性に嫌疑が掛かる。このため女性は修道院の ような場所に勾留されるが、そこに殺された娼婦にそっくり な女弁護士が現れたり、女体を筆にして描かれる絵画など、 一筋縄では行かないストーリーが展開される。それを監督は 「革命への希望の体現」と称するが、先進的表現は各国で上 映禁止などの憂き目にも遭った作品だ。出演は1971年『フレ ンズ』で主人公のミシェルを演じたアニセー・アルビナ。他 にジャン=ルイ・トランティニャン、イザベル・ユペール、 2011年1月紹介『神々と男たち』などのマイクル・ロンズデ ールらが脇を固めている。ロブ=グリエ本人による原作も翻 訳されているものだが、その原作も物語性を拒否した難解な 作品のようだ。公開は11月下旬より、東京は渋谷シアター・ イメージフォーラム他にて全国順次上映。)
『世界で一番ゴッホを描いた男』“中國梵高” (中国広東省深圳市大芬。そこは世界市場に流れる複製画の 6割が制作されているという絵師の町だ。その町で20年間、 ゴッホの絵だけを作り続けてきた趙小勇。彼は油絵を学んだ こともなく、独学で多い時には月600〜700枚、10万点以上の ゴッホの複製画を描いてきた。そんな彼が本物のゴッホの絵 を見にオランダに行こうと思い立つ。それはゴッホの生き様 にも心酔する彼が、本物を見れば何かが変わると思ったから だ。そしてついにその夢が実現するが…。正直に言って高々 この程度の話で、自分がこんなに感動すると思わなかった。 それはオランダ訪問の後でパリに立ち寄り、そこでゴッホが 描いた「夜のカフェテラス」の現地を訪れた感激などが見事 に伝わってきたもので、自分もその想いを共有することがで きた。監督は著名な写真家でもある余海波と娘の余天��。こ んな見事な作品は久し振りだ。公開は10月20日より、東京は 新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)
『ハード・コア』 (別名義で発表された『オールドボーイ』が韓国で映画化さ れた狩撫麻礼(原作)、『デメキング』などが映画化された いましろたかし(画)で1991−93年に発表のコミックスを、 山下敦弘監督×山田孝之主演で映画化した作品。右翼団体の 構成員の兄と、商社マンの弟、それに知恵遅れと思われる男 性と謎のロボットが加わって、かなり過激な物語が展開され る。共演は佐藤健、荒川良々。他に石橋けい、康すおん、松 たか子らが脇を固めている。ロボットは出てくるがSF的に 特筆すべきものはない。正直なところはかなり優秀で多機能 なロボットなので、もっと活躍があっても良いと思ったが、 恐らく原作者も本作の監督もそこへの興味はなかったのだろ う。それより本作が描きたいのはダメ男たちの生態で、その 点は山下監督がしっかりと描いている。それが映画ファンの 観たかったものという作品だ。公開は11月23日より、東京は 新宿バルト9他で全国ロードショウ。)
『走れ!T校バスケット部』 (栃木県の高校を舞台にスポーツに賭ける若者たちを描いた 青春ドラマ。主人公は幼くしてバスケットボールを始め、中 学時代の活躍で名門校に入学。しかし部活で苛めに遭ってい た同級生を庇ったことから自分が標的にされ、自主退学に至 る。そして部活はしないと決めT校に転入するが、そこには 弱小のバスケットボール部があり、その女子マネージャーが 彼に気付いてしまう。こうしていくつかの出来事の結果、主 人公は再び面白さに気付いて行くが…。全国大会を目指す彼 の前に名門校が立ちはだかる。こう書くとただのスポーツも のに見えるが、内容には苛めを含む様々な出来事が織り込ま れ、正に青春ドラマと呼べる物語が展開されていた。出演は 志尊淳、佐野勇斗、早見あかり。他に千葉雄大、YOU、竹中 直人、椎名桔平らが脇を固めている。監督は2018年7月15日 題名紹介『青夏』などの古澤健。公開は11月3日より、東京 は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)
『不滅の女』“L'Immortelle” (『快楽の漸進的横滑り』と共に回顧上映されるアラン・ロ ブ=グリエ監督の1963年デビュー作品。舞台はトルコのイス タンブール。その不思議な街並みや城塞の廃墟などを背景に 1人の女の姿に惑わされる男の彷徨が描かれる。と言っても 物語に一貫性はなく、様々な仕掛けの中で、男の幻想とも取 れる物語が展開される。作品は1962年ルイ・デリュック賞を 受賞しているが、当時も賛否はかなり分れたようだ。作家性 の高い作品で、正直何が言いたいのかも判らないが、それは それで評価しても良いと思える作品ではある。出演はフラン ソワーズ・ブリオン、ジャック・ドニオル=バルクローズ、 カトリーヌ・ロブ=グリエ(監督夫人)。公開は11月下旬よ り、東京は渋谷シアター・イメージフォーラム他にて全国順 次上映。なお回顧上映では他に、『嘘をつく男』(1968年)、 『エデン、その後』(1970年)、『囚われの美女』(1983年)が 上映される。)
『夜明け』 (是枝裕和、西川美和主宰の制作者集団「分福」に所属し、 両監督の作品で助手を務めてきた広瀬奈々子が、主演に柳楽 優弥を迎えた監督デビュー作。夜明けの橋に佇む若者。やが て朝になり、若者は通り掛かった木工所の経営者に拾われ、 その仕事を手伝うようになる。しかし若者は自身について語 ろうとしない。そして経営者にも語れない過去があった。家 族を捨ててきた若者と、家族を作ることに失敗した経営者。 そんな2人の人生がもつれ合う。共演は小林薫。他に共に元 ミュージシャンのYOUNG DAISと鈴木常吉。2017年10月8日題 名紹介『嘘八百』などの堀内敬子らが脇を固めている。物語 の人物配置はかなり巧みで、無理のない現実的な展開が作品 を完成されたものにしている。ただし結末には異論を挟む人 も出てきそうだが、僕はこの結末が余韻もあり好ましく感じ た。公開は2019年1月18日より、東京は新宿ピカデリー他で 全国ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
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