| 2018年09月09日(日) |
BD−明智探偵事務所−、十年 Ten Years Japan、西北西(IT COMES、ステータス、ピッチ3、いろとりどり、旅猫、ナミヤ、ザ・アウト) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『BD−明智探偵事務所−』 江戸川乱歩原作「少年探偵団」からの映画化。僕らの世代だ といろいろ懐かしさもある原作だが、1965年没の原作者から は現状で死後50年の著作権は失効しており、これから映画化 は増えるのかな。 物語の舞台は特定されていないが、撮影が行われたのは香川 県丸亀市と坂出市、観音寺町。多少土地勘があるといろいろ 見えるものもある。そんな街に拠点を構える明智探偵事務所 では、所長の明智は怪人二十面相を追って出張中。秘書気取 りの女性と小林少年が留守番をしている。 その事務所に松葉杖を突いた中年女性が訪れ、行方不明の娘 を探してくれと依頼する。その依頼を最初は所長がいないか らと断る小林少年だったが、困っている人を助けるのが仕事 という明智の教えを思い出し、依頼を引き受ける。しかしそ れはとんでもない事件の幕開けだった。 出演は、2013年『仮面ライダー鎧武』でサブキャラを演じた 小澤廉、BOYS AND MENの弟分チーム祭nine.のリーダー寺坂 頼我。他に、2014年9月紹介『ヲ乃ガワ』などの前田希美。 さらに小木茂光らが脇を固めている。 脚本は、2016年6月月に記者会見だけ紹介した『コープスパ ーティー』の赤松義正。監督は、2017年9月紹介『トモダチ ゲーム』で助監督を務めた名倉良祐の長編デビュー作のよう だ。因に監督は香川県出身とのこと。 僕自身の読書歴は早くからSFの方に行っていたので、江戸 川乱歩はあまり読んでいなかったが、数少ない読書歴の記憶 では、暗号と謎解きの印象が強い。そこで本作では行方不明 の娘が謎解きをしていたらしいのだが…。 その肝心の謎解きが映画の中で判然としない。特に最後の謎 がヒントを並べていきなり場所の特定では、ちょっと物足り なさが募る展開だった。しかも小林少年が解けない謎を、女 子高校生は解いているのだ。 ここはやはり順序を踏んで、何故そこなのかを明確にする、 そんなバッチリとした謎解きが欲しいところだった。それと 変装は、やはりべりっとはがして欲しかったが、最近の特殊 メイクの技術は違っているようだ。 でもまあ若手2人の主演役者の顔見世ということではこれで 良いのかな。公式サイトはhttp://ranpo-project.comとなっ ており、取り敢えず続編を期待ということにしよう。 公開は10月12日より、東京はユナイテッドシネマ豊洲、撮影 の行われた香川ではイオンシネマ宇多津他で全国順次ロード ショウとなる。
『十年 Ten Years Japan』 2017年5月紹介『十年』の日本版。香港版が2016年イタリア 開催の極東映画祭にて上映されたのを切っ掛けに、若手映画 人の支援という目的で各国でスタートした企画を、日本では 是枝裕和監督の総合監修で実現した。日本版は全5作品。 『PLAN75』は、ぴあフィルムフェスティバルのグラン プリ受賞者の早川千絵監督作品。 高齢者問題解決のため、国家施策として75歳以上に安楽死が 推奨されるようになった時代を背景にした物語。主人公は施 策を進める省庁の担当者だったが、家には認知症で高齢の母 親がいた。 出演は、2017年9月17日題名紹介『あゝ、荒野』などの川口 覚と、2017年7月紹介『ナミヤ雑貨店の奇跡』などの山田キ ヌヲ、それに2017年9月17日題名紹介『ユリゴコロ』などの 牧口元美。 『いたずら同盟』は、ぴあフィルムフェスティバルで準グラ ンプリと観客賞受賞者の木下雄介監督作品。 AIによって管理された特区に暮らす小学生を描いた物語。 その一画の厩舎で世話されていた老馬にAIから殺処分の判 断が下され、それを聞いた3人の子供が悪戯を思いつく。そ れはAIの混乱に繋がるが…。 出演は、2017年1月15日題名紹介『哭声』などの國村隼と、 他はいずれも2006年、07年生まれの大川星哉、辻村羽来、中 野龍。 『DATA』は、日本大学芸術学部映画学科卒業の津野愛監 督作品。 母親の生前のデータの入った「デジタル遺産」を、父親に内 緒で手に入れた娘は、セキュリティの掛ったそのデータを友 人の協力で引き出しに成功するが、そこにはとんでもない秘 密が隠されていた。 出演は、2018年7月22日題名紹介『パーフェクトワールド』 などの杉咲花、2018年9月2日題名紹介『人魚の眠る家』な どの田中哲司、2011年11月紹介『おかえり、はやぶさ』など の前田旺志郎、2016年4月紹介『団地』などの三浦誠己。 『その空気は見えない』は、明治学院大学文学部芸術学科卒 業で、2018年1月紹介『見栄を張る』の藤村明世監督作品。 深刻な大気汚染で地表での暮らしを断念した人類は、地下壕 での困窮した生活を続けていた。そんな中の1人の少女が、 地表での生活を夢見る少女と出会う。そしてその少女が姿を 消し、その跡を辿った少女は…。 出演は、2018年6月10日題名紹介『きらきら眼鏡』などの池 脇千鶴と、2007年、2005年生まれの三田りりや、田畑志真。 『美しい国』は、2016年10月9日題名紹介『愚行録』の石川 慶監督作品。 徴兵制の施行された日本。その公示キャンペーンを担当する 広告代理店勤務の主人公は、ポスターのデザインを一新する とした防衛省の意向をデザイナーに伝える役目を先輩から振 られてしまう。 出演は、2018年3月紹介『50回目のファーストキス』など の太賀と、2018年7月8日題名紹介『愛しのアイリーン』な どの木野花。 先に紹介の香港版では、国情の違いなどで判り難い面はある ものの、体制の変化の中での民間人の想いが巧みに描かれて いて、特に最後の言論統制の問題などは、その先見性にも舌 を巻いたものだ。 それに対して日本版は多少温いかな。それなりの危機感を感 じるものもないではないが、多くはただのSFで、そのSF に関してもあまり目新しさは感じなかった。ただし『PLA N75』に関しては長編化の計画もあるようで、それは期待 したい。 公開は11月3日より、東京はテアトル新宿他で全国順次ロー ドショウとなる。 なお、すでにタイ版、台湾版の計画も進んでいるそうだ。
『西北西』 2018年5月13日題名紹介『菊とギロチン』などの韓英恵と、 2018年8月12日題名紹介『銃』などのサヘル・ローズ、それ に2018年9月公演「乃木坂46版美少女戦士セーラームーン」 などに出演の山内優花の共演で、日本に暮らすマイノリティ 女性の姿を描いた作品。 韓は静岡県出身だが父親が韓国人、名前もその父方の姓を名 告っているということで本作では、在日の韓国人という設定 のようだ。サヘルは問題なくイラン人で、劇中ではメッカに 向かって定時の祈りを捧げるシーンも描かれる。そして山内 は日本人の役だ。 物語は留学生の女性がビザの問題でトラブルに遭い、その憤 懣が収まらない彼女の話を韓扮する女性が聞くところから始 まる。しかしそれを聞いている彼女の心の内にもいろいろと 鬱積したものがあるようだ。そんな2人が夜の町をバイクで 疾走し、彼女は愛する相手はいつも女性と告白する。 とは言え、イスラム教徒である女性はそれに応えることがで きないが、その様子を垣間見た日本人の女性には納得ができ なくなる。そんな微妙な関係の中で物語は進んで行く。 物語は国籍や宗教、また性愛の問題など様々なマイノリティ の女性たちが現代社会の中で生きて行く姿を描いている。当 然そこには差別や迫害もあって、その様子は同じ社会に生き る我々に対しての意味合いも深く考えさせるものだ。 脚本と監督は、長編デビュー作『TAITO』で第33回PFFぴあフ ィルムフェスティバルの審査員特別賞を受賞した中村拓朗。 製作は、2016年公開『蜃気楼の舟』などの汐田海平が担当。 また、2011年8月紹介『沈黙の春を生きて』の編集を手掛け たジャン・ユンカーマンが特別協力と出演もしている。 自分が子供の頃は、街で外国人を見掛けることなど殆んどな かったが、いまや東京の銀座通りなどは外国人観光客の方が 多い感じだろう。そんな「国際化」している日本だが、果た して我々の意識は国際化しているのか? そんなことも考え させられる。 ただし作中では、国籍や宗教への差別をあからさまに描くこ とはせず、差別に言及、描写しているのは主に性愛の問題に 限られる。しかしその節度のある描き方が、逆に現実の差別 や迫害を際立たせている感じもして、これは巧みな表現のよ うにも思えた。 正直に言ってボーイズラヴの作品は数多く観ているが、本作 は女性、しかも大人が主人公で、こういう物語がようやく描 かれたことにも日本映画の成長を感じたところだ。 公開は9月15日より、東京は渋谷シアター・イメージフォー ラム他で全国順次ロードショウとなる。
この週は他に 『IT COMES AT NIGHT』“It Comes at Night” (2015年12月紹介『IT FOLLOWS』の製作陣が仕掛ける新たな 恐怖という売り込みの作品。前作はいろいろ捻ったオカルト 作品で興味深く、本作はその続編かと思ったら独立の作品だ った。登場するのは人里離れた家で恐怖に怯えながら暮らす 3人の一家。その恐怖の対象は疫病らしいが、具体的なこと は判らない。そこに迷い込んできた3人の家族が加わるが、 統率の乱れなどから恐怖が忍び寄ってくる。2018年8月12日 題名紹介『クワイエット・プレイス』もそうだったが、本作 もシチュエーションは判るし、その極限状態の描写は見事な もの。しかし実際の恐怖の対象が判らないのがもどかしい。 それが狙いでもあるのだろうが…。脚本と監督はデビュー作 が高い評価を受けた新鋭のトレイ・エドワード・シュルツ。 主演のジョエル・エドガートンが製作総指揮も務めている。 公開は11月23日より、東京は新宿シネマカリテ他で全国順次 ロードショウ。)(前回未掲載分)
『ステータス・アップデート』“Status Update” (2007年9月紹介『ヘアスプレー』などのアダム・シャンク マンが製作を担当、2018年5月紹介『ミッドナイト・サン』 などのスコット・スピアー監督で描いたファンタシーの要素 の強い青春映画。主人公は西海岸から東部の町に引っ越して きた高校生。文化の違いに馴染めず苛めにも遭っていた彼が 1台のスマホを手に入れる。ところがそのスマホには特別な アプリの入っており、それによって彼は望むもの全てを手に 入れられるようになるが…。出演は、共にテレビで人気のロ ス・リンチとオリヴィア・ホルト。他にロブ・リグル、ファ ムケ・ヤンセンらが脇を固めている。典型的な願望充足型の 作品だが、そこにスマホのアプリを持ち込んだのは新機軸か な。その一方、最近のこの手の作品では段々ドツボに嵌って 行くことが多いが、そこにも多少の捻りはある。公開は11月 3日より、東京は渋谷シネクイント、新宿武蔵野館他で全国 順次ロードショウ。)
『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』 “Pitch Perfect 3” (2015年に2作公開された作品の続編。学生時代に全米ナン バー1にも輝いた女性アカペラグループの面々は、卒業して それぞれの道を歩み始めている。しかし現実は歌うことほど 楽しくはない。そんな時、欧州駐留米軍の慰問部隊への誘い が掛かるが…。それはとんでもない事件へと彼女らを引き摺 り込む。意外な展開は前作を知らなくても楽しめるものだ。 出演はアナ・ケンドリック、レベル・ウィルソン、ヘイリー ・スタインフェルド、ブリタニー・スノウら前作のメンバー が顔を揃える他、エリザベス・バンクスも再び出演。さらに 2014年11月紹介『インターステラー』などのジョン・リスゴ ー、2018年7月8日題名紹介『MEGザ・モンスター』など のルビー・ローズらも登場する。南欧の風景も楽しめ、主人 公らのアカペラに加え、今回はロックバンドなども登場して 多彩な音楽も聞かせてくれる。公開は10月19日より、東京は TOHOシネマズ日比谷他で全国ロードショウ。)
『いろとりどりの親子』“Far from the Tree” (作家アンドリュー・ソロモンが10年の歳月を掛けて纏め、 米国内外で50以上の賞を受賞、世界24カ国に翻訳されたノン フィクションに基づくドキュメンタリー。ダウン症、低身長 症、自閉症、LGBTといった周囲と違う子供を持つ家族が直面 する困難、戸惑い、その経験から得られる喜び、そして親か ら子への愛情が描かれる。原作者自身がLGBTということで、 その実体験を踏まえた内容には説得力がある。しかも敢えて 歴史的な面には触れず、現在と未来に向けた展望が語られる のは、差別や迫害といったネガティヴな面を気にしがちな僕 にとっては、新たな目を開かされる思いもする作品だった。 監督は、数多くのTVドキュメンタリーで製作監督を務めて きたレイチェル・ドレッツィン。製作も兼ねた本作は初の劇 場向け作品のようだ。アメリカでもテレビでは扱い難い作品 なのかな。公開は11月17日より、東京は新宿武蔵野館他にて 全国順次ロードショウ。)
『旅猫リポート』 (『図書館戦争』や2016年公開『植物図鑑』などの人気作家 有川浩が、自ら脚本(『家族はつらいよ』などの平松恵美子 と共同)も務めた猫を語り部とするロードムーヴィ。主人公 はナナという名前の猫を飼っている若者。その若者がナナを 飼ってくれる家を求めて旅を続ける。それは幼い頃に育った 街であったり、過去に家族の転勤で暮らした土地だ。そして それぞれの場所には友がいて、彼らは親身になってナナの居 場所を考えてくれるが、なかなか思い通りには行かない。そ んな旅の様子がナナの目線も含めて語られて行く。出演は、 福士蒼汰、高畑充希(声)、広瀬アリス、大野拓朗、山本涼 介、前野朋哉。さらに戸田菜穂、橋本じゅん、木村多江、田 中壮太郎、笛木優子、竹内結子らが脇を固めている。監督は 『植物図鑑』の三木康一郎が再度担当した。何も知らずに観 ていると見事に嵌められる作品だ。公開は10月26日より、東 京は丸の内ピカデリー他で全国ロードショウ。)
『ナミヤ雑貨店の奇蹟−再生−』“解憂雑貨店 Namiya” (2017年7月紹介作品と同じ東野圭吾の原作を、中国に舞台 を移して映画化した作品。元々が連作短編の原作を、日本版 は話を組み合わせて一連の物語としており、そのため展開が 少し判り難い面があった。それに対して中国版では短編ごと の展開で話は判り易い。ただ話が途切れてしまう感じはある が、これは観客の好みによりそうだ。でもどちらも感動的な 物語ではある。因に最初に描かれるのはミュージシャンを目 指す男性の話で、これは日本版でもメインになっており、そ の話が判り易くなっているのは、両作を理解する上で良かっ たとも言える。出演は、中国�癸吋▲ぅ疋�TFBOYSのリーダー 王俊凱、2017年中国美人ランキング第1位の迪丽热巴、若手 実力派とされる董子健。またジャッキー・チェンが店主役で 客演している。監督は2005年6月紹介『世界』でジャ・ジャ ンク―の副監督を務めたハン・ジェ。公開は10月13日より、 東京はシネマート新宿他で全国順次ロードショウ。)
『ザ・アウトロー』“Den of Thieves” (ジェラルド・バトラー主演で、48分に1回銀行強盗が起き るとされるロサンゼルスを舞台に、警察対犯罪者の攻防を描 いた作品。主人公はロサンゼルス郡のシェリフ。LAPDとは別 組織でLASDと名告り、自らの部隊を率いて警察より少し強引 な捜査も進めるようだ。そして当然FBIとは対立する。そ んな彼が空の現金輸送車強奪事件から大きな事件を予感し、 出所した名うての強盗を追うが…。共演は、2018年8月12日 題名紹介『スカイスクレイパー』などのパブロ・シュライバ ーと、2012年11月紹介『ファイヤー・ウィズ・ファイヤー』 などの50セント。脚本と監督は、2011年11月紹介『インモー タルズ』などの脚本家クリスチャン・グーデガストの監督デ ビュー作だ。邦題の定冠詞の発音は「ジ」だろうという突込 みは別にして、最期の対決では機関銃を拳銃に持ち替えて、 正に西部劇を髣髴とさせてニヤリとした。公開は10月20日よ り、東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。 なお今回も試写を観た中に情報解禁前の作品があり、その紹 介は2週間ほど後にさせてもらう。
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