井口健二のOn the Production
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2018年07月22日(日) ミッション:インポッシブル フォールアウト(愛と法、ウスケボーイズ、パーフェクトワールド、食べる女)

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『ミッション:インポッシブル フォールアウト』
           “Mission: Impossible - Fallout”
往年のテレビシリーズから1996年に劇場版として再開された
トム・クルーズ主演、アクションシリーズの6作目となる最
新作。
物語の発端はロシアでのプルトニウムの盗難。大都市を破壊
できる原子爆弾3個分が行方不明となる。そこでイーサン・
ハントにその奪還が命じられる。しかしその作戦は失敗し、
ハントの許には監視役のCIA諜報員が送り込まれる。
一方、プルトニウムを手に入れた武器商人が取引に応じると
の情報にハントは交渉に臨むが、そこで提示されたのは前作
で捕えた敵対組織「シンジケート」の首領の奪還だった。し
かもその計画は目撃者を殲滅するという手荒なもの。
その事態にも何とか対処するハントたちだったが、首領は逃
亡し、プルトニウムも行方不明のまま。そしてそのプルトニ
ウムを使った原子爆弾が、思わぬところに仕掛けられたこと
が判明する。
果たしてハントたちは原子爆弾の爆発を止めることができる
のか…。ハントの元妻も巻き込む驚愕の事態が展開される。

共演はサイモン・ペッグ、ヴィング・レイムス。また前作か
ら続けて登場のレベッカ・ファーガスン、アレック・ボール
ドウィン。
さらに『スーパーマン』のヘンリー・カヴィル、『ブラック
パンサー』のアンジェラ・バセット。そしてミッシェル・モ
ナハン、ショーン・ハリス、ヴァネッサ・カービーらが脇を
固めている。
脚本と監督は、前作『ローグ・ネイション』に引き続いての
クリストファー・マッカリー。本シリーズでの監督の連投は
初めてだが、監督はその間の2016年10月紹介『ジャック・リ
ーチャー』の製作と、2017年7月紹介『ザ・マミー』では脚
本も務めており、クルーズとは正に盟友のようだ。
実は試写の翌日には監督と俳優らの記者会見も行われたが、
その際のクルーズの熱意が素晴らしかったもので、これは何
かをやり遂げたという雰囲気が横溢していた。特に前半と後
半にそれぞれ登場するIMAXのシーンはアクションの極致
とも言えるもので、その満足感は間違いなかった。
実際にはIMAXのシーンはこの2カ所だけで、わざわざそ
れを選んで観た人には物足りないかもしれないが、通常の人
間ドラマにIMAXの画角は不向きなもので、あえてこの手
法を採ることにも見識を感じるものだ。
これらの撮影秘話は他でも喧伝されると思うが、正しく映画
に賭ける情熱が溢れていると感じられる作品だった。そして
この情熱はまだ終ってはいないようだ。

公開は8月3日より、IMAXと3D/2Dの劇場にて全国
ロードショウとなる。

この週は他に
『愛と法』
(『Of Love & Law』の題名にて、2017年11月5日付「東京
国際映画祭」で紹介した作品の一般公開に向けた試写が行わ
れた。内容は前回紹介の通りだが、実は映画祭の上映では一
点疑問が生じ、その点を観直して確認した。それはエピロー
グに登場する人物に関してだが、初見でも判るものの、それ
が作中に明示されていたか否かが不明だった。そこで観直し
た結果は、作中で明示はなかった。勿論それは作品の良さを
損ねるものではないし、他の点でプライバシーなど微妙な問
題が存在することは認めるが、この点ぐらいはもう少し判り
易くしても良いのでは…とは感じた。ついでに言えば、この
問題に関してはこれだけで1本作れるほどのものだし、それ
を言えばこの作品に取り上げられた問題はそれぞれが独立し
て描いても良いと思えるほどのものばかり。それらの日本の
抱える問題が凝縮して描かれている。公開は9月下旬より、
東京は渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)

『ウスケボーイズ』
(2018年5月紹介『第二警備隊』の柿崎ゆうじ監督による長
編第2作。日本のワインを世界レベルにまで引き上げたとさ
れる麻井宇介の思想を受け継ぐ若者たちの姿を描き、小学館
ノンフィクション大賞を受賞した河合香織原作の映画化。学
生でワインの試飲会を開いていた主人公らは、フランス産と
日本産の飲み比べをして、フランス産に匹敵する日本ワイン
があることを知る。その生産者を訪ねた主人公らは彼の思想
に共鳴し、自ら日本のワイン生産に挑戦しようとするが…。
出演は渡辺大、出合正幸、内野謙太、竹島由夏。他に升毅、
萩尾みどり、清水章吾、柴俊夫、田島令子、大鶴義丹、柳憂
怜、伊吹剛、和泉元彌、伊藤つかさ、安達祐実、橋爪功らが
脇を固めている。監督は前作とずいぶん違った傾向の作品だ
が、どちらも実話に基づく話だし、何より監督のワインに対
する愛情が感じられる作品だ。公開は10月20日より、東京は
新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)

『パーフェクトワールド 君といる奇跡』
(障がいを抱える若者の恋愛事情を描いた有賀リエ原作、同
名コミックスを、EXILE 岩田剛典と杉咲花の主演で実写映画
化。杉咲演じる主人公はインテリアデザイン会社に就職し、
仕事先の飲み会で岩田扮する高校時代の先輩で初恋の彼と再
会する。建築士として活躍する彼との再会に彼女は心を躍ら
せるが、彼は事故で車椅子での生活を余儀なくされていた。
しかもその障がいにはさらに悪化の可能性もあった。そんな
境遇に2人は恋愛を躊躇するが…。共演は芦名星、マギー、
須賀健太。他に大政絢、伊藤かずえ、小市慢太郎、財前直見
らが脇を固めている。脚本は2011年公開『君の好きなうた』
などの鹿目けい子、監督も同作の柴山健次。ラヴストーリー
としてはかなり定番ではあるが、劇中には車椅子バスケット
ボールなども登場し、2020年のパラリンピックを控えて良い
タイミングの作品ではあるのだろう。公開は10月5日より、
全国ロードショウ。)

『食べる女』
(「食」と「性」がテーマの筒井ともみ短編集を、作者自ら
脚色し、小泉今日子、沢尻エリカ、前田敦子、広瀬アリス、
山田優、壇蜜、シャーロット・ケイト・フォックス、鈴木京
香共演で映画化。古びた日本家屋の古書店「モチの家」を営
み、食をこよなく愛する女主人の許に、恋や人生に迷える女
たちが夜な夜な集まり、様々なドラマを展開する。今の日本
映画を背負って立つような女優陣だが、相手役にはユースケ
・サンタマリア、池内博之、勝地涼、小池徹平、笠原秀幸、
間宮祥太朗ら、こちらも相応の顔触れだ。話は小泉、沢尻、
前田を中心に進み、各々のドラマは独立だが、巧みな構成で
繋がりも判り易い。男性の観客としてはそんなものかなあ、
と思う展開だが、女性の観客にはそれぞれに思い当たるもの
もあるのかな。いずれにしても女性がしっかりと強く描かれ
ているのも面白かった。監督は2006年10月紹介『手紙』など
の生野慈朗。公開は9月21日より、全国ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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井口健二