井口健二のOn the Production
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2018年05月13日(日) モダン・ラブ、世界でいちばん長い写真(空飛ぶタイヤ、ウタモノガタリ、エヴァ、ウインド・R、君が君で、菊とギロチン、チャーチル)

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『モダン・ラブ』
2010年8月紹介『アワ・ブリーフ・エタニティ』などの福島
拓哉監督による同作以来8年ぶりのオリジナル長編作品。監
督はデビュー作から前作までも同程度の時間が掛かっている
が、寡作と呼べるのかな? ただしその間には短編作品など
を撮っていたようだ。
物語の背景は、NASAが「新惑星の発見」を発表したとい
う現代。主人公は大学院で理論物理学を専攻しながら、旅行
代理店でアルバイトをしている女性。彼女は数年前に恋人を
失ったらしいが、彼女は恋人との会話を続けている。彼女は
それをイマジナリーフレンドと称していた。
そんな彼女は街角で失ったはずの恋人の姿を見掛け、慌てて
後を追って話し掛けるが、彼には怪訝な顔をされ、冷たくあ
しらわれる。その彼はパーティで彼女と再会するが、今度は
彼女の方が会った記憶はないと言う。それでも2人は付き合
い始めるが…。
一方、主人公の勤める広告代理店にデータベースにない地名
を告げる客が現れ、どの地域にあるかも判らないという客に
彼女はパックツアーを勧める。それでも客は納得し、やがて
帰国して土産を持って現れた客は「旅は満足した」と言って
くれる。しかしその土産はとんでもないものだった。
そして帰宅した彼女は、自宅のベッドで寝ている彼女自身を
発見する。

出演は、福島監督が2016年に発表した短編『LEGACY TIME』
でも共演したという稲村梓と高橋卓郎。稲村は舞台を中心に
活躍する女優で、高橋は2018年2月25日題名紹介『私は絶対
許さない』にも出ていたようだ。
他に、2012年11月紹介『ユダ』などの芳野正朝、本作の音楽
も担当する2015年10月紹介『さようなら』などの今村怜央。
さらにギタリストで、福島監督が脚本を手掛ける短編“New
Blood Future”の企画プロデューサーも務めるヤン・イメリ
ック。2016年11月13日題名紹介『バンコクナイツ』などの川
瀬陽太らが脇を固めている。
福島監督の作品では、前作に続いて強いSF志向を感じる。
しかし本作が本質的に描いているのは主人公の再生であり、
それがSF風物語の中で巧みに活かされているものだ。その
展開はファンの目からも納得できるものになっている。
因に本作は、パラレルワールドの解釈として斬新とまでは言
わないものの新機軸を打ち出しており、その解釈と展開には
かなり周到に構築されたものを感じる。物語にはいろいろな
要因が重ねられて複雑だが、基本の理論は面白いものだ。
ただそのSFテーマの部分が、僕は元々ファンだからOKだ
が、一般的にはどうなのだろう。この辺がSF嫌いの人には
難しいところかもしれない。それでもこのテーマを追い続け
てくれる監督には正しく敬意を表したいところだ。

公開は6月30日より、東京は新宿K's cinema他にて全国順次
ロードショウとなる。

『世界でいちばん長い写真』
全長145m×35.6�僂離僖離薀渕命拭�ギネス世界記録にも認定
されているその写真が写されるまでを描いた誉田哲也原作、
青春小説の映画化。
主人公は知多半島の高校に通う男子生徒。写真部に所属して
いるが、何事にも意欲のない若者だ。ところがある日、従姉
の営むリサイクルショップで、360度の撮影を行うスリット
カメラを手に入れたことからその写真に魅せられて行く。
そして従姉や写真館の店主の協力も得て風景写真に始まった
撮影は、やがて全校生徒を巻き込む一大イヴェントへと発展
して行く。その過程が主人公の精神的な成長と共に爽快に綴
られる。
実話はカメラ製作者である山本新一氏が、2000年12月18日に
愛知県知多郡美浜町にある日本福祉大学付属高等学校で撮影
した「クラブ活動の一年」という作品だが、それを本作では
撮影者を高校生にして躍動感のある物語にしている。
しかも映画には、山本氏が製作した360度撮影の初号機と、
世界記録を撮影した4号機の実機が登場して、実際に動いて
撮影も行うのだから、これらはメカマニアには垂涎のシーン
と言えるものだ。

主演は、2017年12月3日題名紹介『プリンシパル 恋する私
はヒロインですか?』や、2018年4月15日題名紹介『虹色デ
イズ』などの高杉真宙。
他に2015年8月紹介『木屋町DARUMA』などの武田梨奈、au
のCMでも人気の2018年4月紹介『名前』などの松本穂香。
さらに2016年8月28日題名紹介『BOYS AND MEN』などの水野
勝、2017年7月紹介『仮面ライダーエグゼイド』などの黒崎
レイナ。また吉沢悠、小松政夫らが脇を固めている。
脚本と監督は、2007年大杉漣主演『Mogera Wogura』などの
草野翔吾。早稲田大学映画研究会出身、俊英の作品だ。
高校生の写真がテーマの映画は先にも観ているが、静止画像
の写真を動画像の映画にすることは案外難しい。そこを本作
では、クライマックスに巧みなアクションを付加することで
それを成功させている。
以前にも書いたと思うが、若い人が全力で疾駆する姿はそれ
だけで絵になるしドラマになるもので、本作の監督はその辺
もよく理解している。まあ前に観た高校生写真部の映画でも
走るシーンはあったが、本作にはその想いが直に伝わってく
る巧みさがあった。

公開は6月23日より、東京はシネ・リーブル池袋の他、全国
のイオンシネマでロードショウされる。

この週は他に
『空飛ぶタイヤ』
(「半沢直樹」シリーズなどの池井戸潤原作による映画化。
因に池井戸作品の劇場映画化は初だそうだ。中規模運送会社
の社長を主人公に、死亡者の出た脱輪事故の原因を整備不良
の認定から企業犯罪の暴露に繋げる顛末が描かれる。それに
しても企業の設定は、どう見ても三菱自工が特定されるし、
原作者は元三菱銀行の行員だそうで、この展開はかなり凄い
ところだ。ただしお話自体は、内部告発など多少ご都合主義
な感じが散見され、これが受けてしまう日本の読者が不安に
なった。まあ小説ではもっと状況が描き込まれているのだろ
うが。出演は長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生、深
田恭子、岸部一徳ら、相当の顔触れが並んでいる。監督は、
2011年11月紹介『おかえり、はやぶさ』や、2016年5月29日
題名紹介「超高速!参勤交代」シリーズなどの本木克英。公
開は6月15日より、東京は丸の内ピカデリー他で全国ロード
ショウ。)

『ウタモノガタリ CINEMA FIGHTERS project』
(EXILE HIROと、短編映画祭を主宰している俳優別所哲也、
それにEXILEの楽曲を手掛ける作詞家小竹正人のコラボレー
ションによる全6話の短編集。因に本作は第2弾だそうだ。
小竹が新たに作詞した6曲を基に、2011年9月紹介『ハラが
コレなんで』などの石井裕也、2010年1月紹介『カケラ』な
どの安藤桃子、アニメーション監督平林勇、2016年8月7日
題名紹介『古都』などのYuki Saito、沖縄の岸本司、2011年
1月紹介『ピュ〜ぴる』などの松永大司の新鋭監督が結集。
池松壮亮、塚本晋也、夏帆、石井杏奈、佐津川愛美らの出演
でそれぞれの物語が描かれる。6作の中では安藤監督作品が
多少SF的な要素もあって興味を持ったかな。後は平林監督
の作品も少し異なる趣があった。しかし後の4本はコンセプ
トがほぼ同じで…。その中では石井監督の作品は強烈だった
が。松永監督作品は、もっと早く見せて欲しかった。公開は
6月22日より、全国ロードショウ。)

『エヴァ』“Eva”
(イギリスのミステリー作家ジェイムズ・ハドリー・チェイ
スの原作を、舞台演出も手掛けるフランスの映画監督ブノワ
・ジャコが、イザベル・ユペール、ギャスパー・ウリエルを
主演に招いて映画化した作品。ふとしたことから劇作家の未
発表の遺稿を手に入れた若者が自分の名前でそれを発表し成
功を収める。しかし次作の書けない若者は、偶然知り合った
娼婦に溺れて行くが…。同じ原作からは1962年製作の映画化
もあるが、本作では現代を背景にして、より現実的な展開で
若者が落ちて行く姿が描かれている。ユペールは元々好きな
女優ではあるが、1953年生まれの女性にさすがにこの役はと
思いきや、娼婦と割り切った展開から見事にこの役に嵌って
いた。本人も「物語であることを忘れる」と語っているのだ
から、相当に入れ込んだ役のようだ。公開は7月7日より、
東京はヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他で
全国順次ロードショウ。)

『ウインド・リバー』“Wind River”
(アメリカ原住民に過酷な生活を強いるインディアン保留地
を舞台に、実話に基づくが実態はほとんど把握されていない
女性失踪の謎に挑んだ、2016年1月紹介『ボーダーライン』
などの脚本家テイラー・シェリダンによる監督デビュー作。
因に本作は、合衆国の辺境を描く3部作の完結編だそうだ。
主人公は野生生物局のハンター。彼が人里離れた荒野で女性
の遺体を発見する。それは2年前に亡くなった彼の娘の親友
だった。その事件の捜査にFBIから若い女性が派遣される
が、明らかな強姦の痕跡があっても死因は殺人ではなく、専
門官の派遣は不可となる。そのため経験の浅い女性捜査官は
主人公に協力を求め、2人の捜査は真実を暴いて行くが…。
出演は、2017年3月紹介『メッセージ』などのジェレミー・
レナーと、2012年11月紹介『マーサ、あるいはマーシー・メ
イ』などのエリザベス・オルセン。公開は7月27日より、東
京は角川シネマ有楽町他で全国ロードショウ。)

『君が君で君だ』
(2017年12月24日題名紹介『チェリーボーイズ』などの松居
大悟原作、脚本、監督によるかなり毒気の強い青春ドラマ。
主人公は街角で暴漢に襲われ、その経緯で韓国人女性の優し
さに触れる。そして友人2人と共に彼女の居所を突き止めた
主人公らはその向いのアパートに住み、以後は自らの名前も
捨てて、彼女を護ると称して監視を続けてきた。しかし10年
が経ち、彼女がダメ男と一緒に暮らし始めたことから事態が
動き出す。出演は池松壮亮、満島真之介、大倉孝二とキム・
コッピ。さらに高杉真宙、YOU、向井理らが脇を固める。
主人公らの行為は明らかにストーカーであり、犯罪の一歩手
前であって、観る人によってはかなり嫌悪感を催す人もいる
かもしれない。それくらいに劇薬の作品だ。でもこれが青春
の真の姿の一つとも言えるのだろう。そんなところを巧みに
切り出した作品だ。公開は7月7日より、東京は新宿バルト
9他で全国ロードショウ。)

『菊とギロチン』
(大正から昭和に変わる時代を背景に、無政府主義者の団体
=ギロチン社の実話と、当時勃興した女相撲のエピソードを
組み合わせて巧みな青春群像劇に作り上げた瀬々敬久脚本・
監督による上映時間3時間9分の作品。関東大震災や旱魃な
どが襲う中、ギロチン社は社会改革を叫んで耳目を集める。
しかしその実態は口先ばかりで実力の伴わない若者の集団だ
った。そして彼らが女相撲の一団と行動を共にする中で様々
な事件が起こる。出演は、映画初主演の木竜麻生と、2016年
9月紹介『デスノート Light up the NEW world』などの東
出昌大。他に韓英恵、佐藤浩市の息子の寛一郎、嘉門洋子、
渋川清彦らが脇を固めている。脚本には2016年11月13日題名
紹介『バンコクナイツ』などの相澤虎之助が協力して当時の
音楽も併せた巧みな作品に仕上げられている。長尺だが観て
いる間は時間を感じさせない作品だ。公開は7月7日より、
東京はテアトル新宿他で全国順次ロードショウ。)

『チャーチル ノルマンディーの決断』“Churchill”
(今年のオスカー受賞作の後追いのような感じだが、本国で
は本作の方が先のものだ。そして受賞作はダンケルク撤退作
戦がテーマだったが、本作ではその後のノルマンディー上陸
作戦の裏側を描く。しかもそこでイギリス首相は作戦の遂行
に反対だった。劇中で繰り返し言及されるガリポリ上陸作戦
は、ピーター・ウィアー監督、メル・ギブスン主演の1981年
オーストラリア映画『誓い』でも描かれたもの。しかしこの
戦いはイギリスでは映画化されていないようで、正にイギリ
スの暗黒史のようだ。本作ではそんなイギリス首相の異なる
側面が描かれている。出演は、2017年4月紹介『ジェーン・
ドウの解剖』などのブライアン・コックス、2018年3月4日
題名紹介『ボストン ストロング』などのミランダ・リチャ
ードスン。監督は2014年公開『レイルウェイ運命の旅路』な
どのジョナサン・テプリツキー。日本公開は晩夏に予定され
ている。なお米国旗の誤りに触れるのは止す。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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井口健二