| 2018年02月18日(日) |
バケツと僕!、放課後戦記(おもてなし、ダンガル、私はあなたのニグロではない、さよなら僕のマンハッタン) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『バケツと僕!』 2006年8月、2012年7月紹介『旅の贈りもの』シリーズなど の竹山昌利企画、プロデュースで、1998年『無敵のハンディ キャップ』にて講談社ノンフィクション賞受賞の北島行徳が 2005年に発表した小説『バケツ』を映画化した作品。 主人公は大卒後に務めた会社を1年で辞めて養護施設で働き 始める。そこに「バケツ」と呼ばれる軽度の知的障害を持つ 中学生がいた。他の生徒からは疎まれ、先生たちも手を焼く 「バケツ」だが、何故か主人公とは親しくなって行く。 ところが「バケツ」が中学卒業となった時、高校進学もまま ならない彼は施設を出ざるを得なくなる。そして最初は親族 の長姉に頼るが、その家も追い出された「バケツ」に対して 主人公は一緒に暮らして行くことを決意する。 それは、主人公には養護施設からの退職も含めた決断だった が。知的障害の上に盗癖もある「バケツ」との生活は、正に 波乱万丈のものになって行く。 出演は、歌手前川清の息子でシンガーソングライターの紘毅 と、2012年「NHKのど自慢チャンピオン大会」でグランド チャンピオンに輝いた演歌歌手の徳永ゆうき。因に2人は舞 台やテレビドラマなどの経験は多数あるようだ。 他に、2017年2月紹介『サクラダリセット』などの岡本玲、 NHK大河ドラマ『八重の桜』などの竹島由夏。それに杉田 かおる、二木てるみ、ダチョウ倶楽部、海原はるか・かなた らが脇を固めている。 監督は助監督出身で本作が本編デビューの䂖田和彦。脚本は 原作者と監督、さらに企画の竹山昌利、2013年7月紹介『お しん』などの山田耕大が担当した。 原作者は障碍者プロレスなども主宰してその顛末から上記の 受賞を果たしているもので、マイノリティへの理解は深い人 と考える。その観点で本作でも障碍者に向ける目は暖かく、 それが感動を呼ぶ作品になっている。それは良いのだが…。 実はその感動が、「上手く行って良かったね」的な、浅薄な ものであることが気になった。端的には結末に於いて、主人 公が「バケツ」に再会できたことだけで済ませて良いものか どうか。 それは無事に再会できたことは良いが、「バケツ」の盗癖に 関しては何ら解決されておらず、さらに養護施設での体罰に ついても、問題にしないまま放置されてしまう。これらの点 で僕には納得できない部分の残る作品だった。 映画はエンターテインメントではあるけれど、盗癖や体罰は 社会的な問題であり、それはいずれに面においても障碍者だ から許されるというものではない。そこにちゃんと向き合っ てこその作品だと思うのだが。 公開は3月3日より、東京は新宿K's cinema他にて全国順次 ロードショウとなる。
『放課後戦記』 NMB48出演による舞台のチケットが10公演即時完売した という話題作の映画版。 主人公は友達に対する苛めを傍観しているような少女。そん な少女にも彼女の気持ちを理解してくれる同級生はいて、そ の同級生から借りたハンカチを返すため放課後の屋上に来た 主人公は、ふとうたた寝をして夜になってしまう。 そして校舎に閉じ込められた主人公は、翌朝から同級生同士 が殺し合う異様な世界に迷い込む。その世界から逃亡しよう とすると射殺され、さらにその世界の期限は3日間で、その 間に全員を殺さなければ、自分も死んでしまうと言う。 斯くして少女たちの死闘が始まるが、主人公自身はあまりに ひ弱で、他人を殺すことなどできそうもなかったが…。彼女 を守ってくれる仲間も登場する中で、絶体絶命の危機が次々 に襲い掛かってくる。 出演は、「NMB48」チームNのメムバーで、オリジナル の舞台にも主演した市川美織、2011年「東宝シンデレラオー ディション」審査員特別賞受賞の秋月成美、舞台版でW主演 の他CMやMVに多く出演しているというりりか。 さらに2016年12月18日題名紹介『新宿スワン�供戮覆匹両�宮 有紗。他に、遠藤新菜、青山心、窪田美沙、井上美那、大野 未来、小泉萌香、片岡沙耶、新田祐里子、加藤美紅、野々宮 ミカら全員女子のキャストが物語を展開する。 原案は、アイドル系ヴァラエティ番組などの構成作家のオク ショウ。脚本は舞台版も手掛けた桃原秀寿。共同脚本と監督 は、2017年6月4日題名紹介『便利屋エレジー』などの土田 準平が担当している。 異世界の意味合いが何であるかは、この種の映画を観馴れて いる者にはすぐに判ってしまうが、背景の映像などは定番と 言えば定番だけれど、それなりに判り易くは描かれていた。 その辺は良く映画を知っている感じはしたものだ。 そんな中での死闘の連続は、一部にはアイドル系とは思えな い過激さも含めてそれなりに頑張っているとは言える。これ が観客との一体感の強い舞台なら、盛り上がりも必至という 感じだろう。 ただし少し冷静に見ると、少女たちの各々のキャラクターの 立て方が物足りない。実際この設定からすると、それぞれの キャラクターはもっと様々なトラウマを抱えているはずで、 それらを個々にしっかりと描ければ…。 もちろん全部を描くのは無理にしても、主人公だけではなく もう何人かのトラウマが描ければ、その分だけ多くの共感を 得られる。描かれるトラウマは重大なものだが、それだけで は勿体ない。そこが残念に思えるのだ。 公開は4月7日より、東京はシネリーブル池袋、大阪はシネ リーブル梅田他で全国順次ロードショウとなる。
この週は他に 『おもてなし』 (台湾人男性と日本人女性が、和の心で琵琶湖畔の老舗旅館 を再生して行く姿を描く。女性は父親が他界した後、1人で 切り盛りする母親を見かねて職を辞し、生家に戻ってくる。 その旅館は設備も老朽化し台湾の実業家の支援で何とか存続 している状態だった。そこに実業家の息子が現れ、彼は採算 の取れない旅館を売却するつもりだったが…。ある事情から 「おもてなし」を学ぶ彼らが、老舗旅館の良さに目覚めて行 く。出演は田中麗奈と2009年5月紹介『九月に降る風』など のワン・ポーチエ。他に余貴美子、木村多江、藤井美菜。さ らに台湾のヤン・リエ、ヤオ・チィエンヤオ。脚本と監督は 台湾のジェイ・チャン。題名は「裏はあるけどおもてなし」 などと揶揄もされるが、「京のぶぶ漬け」なども引用され、 テーマはよく理解されていたようだ。公開は3月3日より、 東京は有楽町スバル座他で全国順次ロードショウ。)
『ダンガル きっと、つよくなる』“दंगल” (ダンガルとはヒンディー語でレスリング、特にその選手を 尊敬を込めて呼ぶ言葉だそうだ。そんなインドのレスリング 界で、国内チャンピオンになりながら、家庭の事情で国際舞 台には立てなかった男性が、自分の子供にその夢を託す。物 語は実話に基づいているものだが、『巨人の星』も斯くやの スパルタ教育や大舞台での一発逆転の大技が、VFXも駆使 した演出で爽快感も生む作品になっている。出演は、2013年 3月紹介『きっと、うまくいく』などのアーミル・カーン。 長女役は先に主演もあるファーティマー・サナー・シャイク だが、他はザイラー・ワシーム、サニュー・マルホートラ、 スハーニー・パトナーガルらいずれも新人の女優たちがレス リングに挑んでいる。脚本と監督は自ら物語を発掘したニテ ーシュ・ティワーリー。公開は4月6日より、東京はTOHOシ ネマズシャンテ他で全国順次ロードショウ。)
『私はあなたのニグロではない』“I Am Not Your Negro” (1987年に没した黒人作家ジェームズ・ボールドウィンの遺 作を原作として描いたアメリカ黒人史。1963年6月12日メド ガー・エヴァ―ス、1965年2月21日マルコムX、1968年4月 4日マーティン・ルーサー・キング・ジュニア。3人の黒人 活動家が相次いで暗殺された。これらの事件の効果で公民権 は広がったとされるが、彼らと親交があり、危険を避けて海 外で暮らしていた作家はそうは思わない。そんなアメリカの 現実が、当時の講演会の映像やテレビ出演での発言など様々 なアーカイヴと共に描かれる。その病巣は2018年1月14日題 名紹介『デトロイト』など映画でも何度も描かれているが、 ケネディ家の裏の顔など改めてその深さを思い知らされる。 監督はラウル・ペック。作家の著作に基づく語り手をサミュ エル・L・ジャクスンが務める。公開は5月、東京はヒュー マントラストシネマ有楽町他で全国順次ロードショウ。)
『さよなら、僕のマンハッタン』 “The Only Living Boy in New York” (文化の中心だった時代は20世紀までとされるニューヨーク を舞台に、人生の進むべき道に迷う青年と変わり者の隣人。 さらに両親や父の愛人なども絡む、ユーモアもたっぷりの作 品。シチュエーションは違うが、僕には1967年マイク・ニコ ルズ監督の『卒業』が想起されたかな。そんな青春のもやも やした気分と、そこから1歩を踏み出すまでが巧みに描かれ る。出演は、2016年11月20日題名紹介『グリーンルーム』な どのカラム・ターナー。他に、ジェフ・ブリッジス、ピアー ス・ブロスナン、ケイト・ベッキンセール、2017年11月紹介 『フラットライナーズ』などのカーシー・クレモンズらが脇 を固める。監督は2017年9月紹介『gifted ギフテッド』な どのマーク・ウェブ。脚本は2008年3月紹介『ラスベガスを ぶっつぶせ』などのアラン・ローブ。公開は4月14日より、 東京は新宿ピカデリー他で全国ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
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