井口健二のOn the Production
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2018年01月28日(日) リビング・ザ・G、さよならの朝に(心と体と、坂道のA、願いと、欲望の、おみおくり、君の名前で、浜田省吾、honey、ジェイン、石綿村)

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『リビング・ザ・ゲーム』
未来のオリンピック種目になるかもしれないeスポーツの現
状を捉えたドキュメンタリー。
eスポーツというのはいわゆるテレビ/ヴィデオゲームのこ
とで、その対戦を観衆の前で競い合うもの。特にアーケード
ゲームの「ストリートファイター�供廚任論こΤ特呂脳浙發�
掛った大会が行われている。そして日本人を含めプロ契約の
ゲーマーも誕生しているのだ。
そんなプロゲーマーの姿を一部は私生活にまで密着して取材
した作品だ。そこで登場するのは2人の日本人プロゲーマー
=梅原大吾とももち。
梅原は、2004年にラスヴェガスで開催された世界大会の決勝
で記憶に残る劇的な逆転劇を演じ、2010年に日本人では初の
プロ契約を結んだ。そして「世界で最も長く賞金を稼いでい
るプロゲーマー」など3部門でギネスの世界記録に認定され
ている。
対するももちは2014年の世界大会を制しているが、彼の堅実
な戦いぶりは記憶に残る勝利とはいかないようだ。そんな彼
はゲーマーとして活躍する一方で、パートナーで日本人女性
初のプロゲーマーであるチョコブランカと共に、ゲームイベ
ントや後進の育成を手掛ける会社を立ち上げている。
その他、フランス人のルフィ、数奇な人生を歩んできたゲー
マービー、東洋系アメリカ人のジャスティン・ウォンらが登
場して、ゲームテクニックの解説も含めた様々なeスポーツ
の側面が描かれる。そこには映像の1フィールド=1/60秒
を刻む鍛錬なども描かれているものだ。

監督は大阪府出身で大学生時代から自主映画の制作を始め、
卒業後に上京してNHKを中心に多くの情報番組に携わって
きた合津貴雄。本作は監督初の長編作品となる。
最初に「未来のオリンピック種目」と書いたが、チェスや囲
碁などはマインドスポーツと称してアジア・オリンピック評
議会(OCA)が主催するアジア競技大会で、チェスは2006年
のカタール・ドーハ大会から、囲碁が2010年の中国・広州大
会から正式種目となっている。
その流れで、将来マインドスポーツだけでなくeスポーツも
オリンピック種目となる可能性は0ではない。それを踏まえ
てJリーグ東京ヴェルディでは、バレーボール、トライアス
ロン、フットサル、ビーチサッカーと並んでeスポーツ部門
もすでに立ち上げられている。

そんなeスポーツをいち早く知っておくためにも適当な作品
と言えそうだ。
公開は3月、東京は渋谷のシアター・イメージフォーラム他
で全国順次ロードショウとなる。

『さよならの朝に約束の花をかざろう』
2007年12月紹介『シナモン the movie』以来、2013年8月紹
介『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、2015年
『心が叫びたがってるんだ。』(実写リメイクを2017年7月
2日に題名紹介)などを手掛けてきた脚本家の岡田磨里が、
初監督に挑戦した長編アニメーション作品。
主人公は数100年の寿命を持つ長寿族の女性。10代半ばの容
姿で成長が止まり、そのまま長い年月を生きる。彼女たちは
人里離れて暮らしているが、人間との交流は否定されている
訳ではない。しかし人間を愛したとしても、寿命の長い彼女
たちは人間の老いと先立ちを見守ることとなる。
そのため彼女たちは古から“別れの一族”と呼ばれ、生ける
伝説とされていた。そして彼女らは布を織り、その布に日々
の出来事や歴史を刻みこんでいた。
その世界にはもう一つ、古から生きるレナトと呼ばれる翼を
持つ龍がいた。そのレナトを駆って人間の王国が世界征服を
目指す。その一方で国王は、長寿族の血を王家に入れること
を目論み、軍隊で長寿族の居所を襲撃して主人公の友だった
女性を連れ去る。
その戦いの中で主人公は、狂ったレナトの飛翔に巻き込まれ
て野山を越え、人間の村に辿り着く。そこでも戦いは行われ
ており、死んだ母親に守られた赤子を見つけた主人公は、長
寿族の素性を隠したまま、人間の村で母親の代わりに赤子を
育てることを決意するが…。

声優は石見舞菜香、入野自由、茅野愛衣、梶裕貴。スタッフ
では、副監督に篠原俊哉、キャラクター原案に吉田明彦、キ
ャラクターデザインに石井百合子、音楽に川井憲次らが監督
を支えている。
『シナモン』以外の上記の2作は、いずれも現代が舞台でそ
こにファンタスティックな要素が盛り込まれたもの。しかし
僕にはそれがしっくりと来なかった。それに対して本作は、
最初からファンタシー世界が背景とされたもので、その中で
の物語は巧みに構成されていた。
もっとも上記の2作は、元がテレビシリーズの再編集版で、
いろいろ問題はあったのだろうけど、取りあえず本作に関し
ては認められるものだ。特にSF/ファンタシーでしか成立
し得ない出会いと別れは、それらのファンとしては冥利に尽
きる。ここでは子供の成長が別の意味を持つのだ。
ファンタシー世界の景観も美しく、楽しめる作品だった。

公開は2月24日より、東京は新宿バルト9他にて全国ロード
ショウとなる。

この週は他に
『心と体と』“Teströl és lélekröl”
(2017年のベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞を始め4部
門に輝いたハンガリーのイルディコ・エンエディ監督作品。
ブダペスト郊外の食肉処理工場を舞台に、周囲に馴染めない
女性職員と片腕の不自由な男性上司の交流が描かれる。2人
の関係は最初ぎこちないが、毎夜同じ夢を見ることが判って
から急接近する。その夢で2人は森で暮らす2頭の鹿だった
が…。夢がシンクロするというのは少しファンタスティック
だが、描かれる関係は結構リアル。ただし森の風景がメルヘ
ンで、その辺のアンバランスも面白い作品だった。出演は、
ロシア戯曲の翻訳者でもあるゲーザ・モルチャーニと、本作
でヨーロッパ映画賞の主演女優層に輝いたアレクサンドラ・
ボルベーイ。公開は4月14日より、東京は新宿シネマカリテ
他で全国順次ロードショウ。)

『坂道のアポロン』
(小玉ユキ原作による小学館漫画賞受賞作を、2014年、16年
『超高速!参勤交代』などのジャニーズ知念侑李と、2017年
3月紹介『ReLIFE』などの中川大志、2016年12月18日題名紹
介『沈黙−サイレンス−』などの小松菜奈の共演で実写映画
化。脚本は2017年5月21日題名紹介『トリガール!』などの
高橋洋、監督は、2013年8月紹介『陽だまりの彼女』などの
三木孝浩。物語は境遇の違う3人がジャズを通して交流して
行く姿を描いた青春ドラマで、演奏されるのは「モーニン」
「私の好きなもの」のジャズアレンジなど定番のものだが、
知念、中川にディーン・フジオカを加えたセッションはそれ
なりに聴かせてくれた。他に中村梅雀、野間口徹らが脇を固
めている。公開は3月10日より、東京はTOHOシネマズ日本橋
他にて全国ロードショウ。)

『願いと揺らぎ』
(宮城県南三陸町にある80戸余りの小さな漁村・波伝谷に伝
わる「お獅子さま」の行事を2008年から取材し、その模様を
『波伝谷に生きる人びと』として2014年に発表した我妻和樹
監督が、2011年3月11日以降の同地での行事の復活の道のり
を追ったドキュメンタリー。震災による大津波で海辺の村は
ほとんどが流失し、住民の居所もばらばらになる。それでも
翌年には行事の復活の機運が高まる。しかしそこで人々の気
持ちにすれ違いが生じ始める。その様子が長年に亙って取材
してきた監督の視線から語られて行く。それはどちらの側に
も理のある話であり、容易にまとまりそうもない。そんな中
で行事復活の原動力は意外ではないところにあった。人間の
素晴らしさも描かれた作品だ。公開は2月24日より、東京は
ポレポレ東中野他で全国順次ロードショウ。)

『欲望の翼』“阿飛正傳”
(2008年1月紹介『マイ・ブルーベリー・ナイツ』などのウ
ォン・カーウァイ監督が1990年に発表した長編第2作で、香
港のアカデミー賞とされる電影金像奨の作品賞、監督賞を受
賞した作品。時代は1960年代、少し怪しい感じの主人公と、
サッカー場の売り子の女性、ナイトクラブのダンサー、ダン
サーに恋をした警官、さらに主人公の親友らが先の読めない
恋愛群像劇を繰り広げる。出演はレスリー・チャン、マギー
・チャン、カリーナ・ラウ、アンディ・ラウ、ジャッキー・
チュン。他にトニー・レオンらが脇を固めている。上映時間
は95分だが、時間経過の描写をバッサリ落とすなど、斬新な
構成とスタイリッシュな映像は今見ても新鮮な作品だ。公開
は2月3日より、東京は渋谷Bunkamura ル・シネマ他で全国
順次ロードショウ。)

『おみおくり』
(高島礼子が女性納棺師に扮する人間ドラマ作品。主人公は
2008年7月紹介『三本木農業高校、馬術部』などの文音が演
じる、幼い頃に交通事故で両親を亡くし、その葬儀にも立ち
会えずにトラウマを抱えていた女性。その主人公が知人の葬
儀で女性納棺師に出逢い、自分の人生を変えて行く。同様の
作品では2008年6月紹介『おくりびと』があり、前回にも近
い職業の『見栄を張る』を紹介したものだが、これらの作品
で描くべきは主人公の成長だろう。しかし本作では、納棺師
としての技術の向上に隠れて、本人の成長が余り見えてこな
い。その点では前回の作品の方が見所があった感じだ。実話
が原作のようだが、7つ描かれるエピソードの中で最後のも
のはちょっと退いてしまった。公開は3月24日より、東京は
有楽町スバル座他で全国順次ロードショウ。)

『君の名前で僕を呼んで』“Call Me by Your Name”
(2008年のLambda Literary Awardを受賞したアンドレ・ア
シマンの原作を、2012年8月紹介『最終目的地』などの監督
ジェームズ・アイヴォリーが脚色し、2016年10月16日題名紹
介『胸騒ぎのシチリア』などのルカ・グァダニーノ監督で映
画化した作品。北イタリアの別荘地を舞台に、大学教授一家
の17歳の息子と、父親が招待した24歳の大学院生とのひと夏
のラヴストーリーが描かれる。出演は2014年11月紹介『イン
ターステラー』などのティモシー・シャラメと、2015年8月
紹介『コードネームU.N.C.L.E.』などのアーミー・ハマー。
日本だとBLで括られてしまうのだろうが、それが文学とし
て成立しているところが凄い。ただ余りに直球で僕らがどう
評価すればいいのか判らない。公開は4月27日より、東京は
有楽町TOHOシネマズシャンテ他で全国ロードショウ。)

『SHOGO HAMADA ON THE ROAD 2015-2016
                旅するソングライター』
(1970年代から活動するシンガーソングライターの初となる
劇場上映作品。2015年に10年ぶりのアルバムを発表した浜田
が、同アルバムを携えて開催したホールツアーと、25万人を
動員したアリーナツアーのライブ映像にイメージ映像を織り
交ぜて構成。ステージの背景には大型のヴィジョンが設えら
れ、そこに映し出されるイメージ映像と、その映像に被せる
フロントプロジェクションなどが、巧みに演出されていた。
ただそれを黙って座って観ているのは結構辛い気分もしてく
るもので、特に前半などは写されている会場と同じように盛
り上がりたくもなる。因に音響にはドルビーATMOSもあるよ
うで、その会場では立ち上がってしまう観客も出るかな?
公開は2月9日より、東京はTOHOシネマズ六本木ヒルズ他、
全国77館にて2週間限定ロードショウ。)

『honey』
(Mr.KINGジャニーズJr.の平野紫耀と2017年2月紹介『サク
ラダリセット』などの平佑奈の共演で、目黒あむ原作の同名
コミックスを実写映画化した作品。両親を幼くして失った小
心者の少女が、高校の入学式で喧嘩に遭遇し、その片方で粗
暴な感じの同級生に付き合うことを要求される。恐怖心でそ
れを承諾してしまう少女だったが、彼女には別に思う人がい
た…。まあ定番の少女コミックスという感じだが、その定番
を2017年2月19日題名紹介『ピーチガール』などの神徳幸治
監督と、同作及び2017年9月紹介『不能犯』などの山岡潤平
の脚本が卒なく描いている。共演は横浜流星、水谷果穂、浅
川梨奈。他に佐野岳、臼田あさ美、中山忍、高橋優らが脇を
固めている。公開は3月31日より、東京は新宿バルト9他で
全国ロードショウ。)

『ジェイン・ジェイコブズ―ニューヨーク都市計画革命―』
        “Citizen Jane: Battle for the City”
(1950年代、60年代のニューヨークにおいて、市及び州の公
共事業を行っていたロバート・モーゼスに対抗し、住民運動
を展開してワシントンスクエア公園やグリニッジヴィレッジ
の保全、ローワーマンハッタン高速道路計画によるソーホー
地区の消滅を防いだ女性活動家を描いたドキュメンタリー。
僕自身が練馬区豊玉の住民で環状7号線の丸山陸橋から北側
の東西分断の様子を観ていると、本作の主張は極めてよく理
解できた。ただ作品ではその理論的な面をよく描いているも
のの、逮捕も辞さなかった活動家自身の姿があまり見えてこ
ず、そこに工夫があればもっとドラマティックに描けたので
はないかという思いがした。勿論、彼女の理論を伝える意味
では正しい作品ではあるが…。公開は4月28日より、東京は
渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)

『ニッポン国vs泉南石綿村』
(戦後の日本経済を裏で支えながら、後にそれが人間に害を
及ぼすことが判明する。しかもそれは政府機関には数10年前
から把握されていた。そんな典型的な行政の無策に対する訴
訟を追ったドキュメンタリー。海外ではこの種の訴訟で行政
側の上告は認められない国もあるようだが、日本ではいつも
ながらの第一審住民勝訴、上告審で敗訴の状況が描かれる。
とは言え民主党政権下の影響もあったのか、上級審の判事は
政府べったりばかりではなかったようだ。そんなちょっとハ
ッピーな展開もある。そしてそれを1987年『ゆきゆきて、神
軍』などの原一男監督が追っているのも面白い。因に試写後
の挨拶では「自身で最も柔らかい作品になった。」そうだ。
公開は3月10日より、東京は渋谷ユーロスペース他にて全国
順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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井口健二