| 2017年11月26日(日) |
ZEN FOR NOTHING〜何でもない禅〜、エターナル |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ZEN FOR NOTHING〜何でもない禅〜』“Zen for Nothing” 兵庫県淡路島在住のドイツ人監督が、同県の日本海側の山奥 にある禅寺での生活の様子をスイス人の女優を中心に描いた ドキュメンタリー。 舞台となるのは安泰寺という禅宗の寺。元は大正10年に宗学 研究ための学堂として京都洛北に建てられ、多くの研究者を 輩出した。その後の第2次大戦中は荒廃したが、昭和24年に 純粋に座禅を行う寺として再興。座禅と托鉢に徹した修行の 場として世間に知られ、国内だけでなく世界各国から修行者 が集まるようになった。 ところがその場所は人員の増加と周囲の宅地化とで修行には 相応しくなくなり、昭和51年に但馬の山奥に移転。自給自足 を旨とする寺として再出発。さらに現在は兵庫県日本海側の 山奥に50ヘクタールの境内地を有し、自給自足の生活を実践 しながら座禅修行に徹する場所となっている。そこにスイス 人の女優がやって来る。 彼女は長時間のフライトの後、長距離バスと鈍行列車を乗り 継ぎ、さらにリュックサックを背負って山道を徒歩で進み、 見えてきた長い石段を登った先で寺に到着する。そこで彼女 は修行僧の挨拶を受けた後、禅寺での作法が伝えられる。そ して早朝3時45分に起床し、禅堂で白壁に向って座り続ける 座禅の日々が始まる。 さらに初心者には難しい食事の作法や、作務としての掃除、 農業、林業、薪割り、建物の修復などの厳しい作業の様子が 描かれる。一方、寺の修行僧の多くが世界各地から集まった 男女の若者たちであり、彼らのコミュニケーションは身振り 手振りを交えた数か国語で行われる。そんな彼らの中心とな るのが、ドイツ生まれの禅僧で住職のネルケ無方師だ。 とまあ、かなり回りくどい紹介になってしまったけれど、何 と言うか、例えば禅宗と言えば永平寺辺りの清冽で如何にも 修行していますというのはちょっと違った感じの、身近に思 える禅修行の様子が描かれていた。どちらが良いのかは部外 者の僕には判らないけれど、観ていて自分が癒されて行く、 そんな感じがしたのは確かだ。 実はこの試写を観た日の午前中には、他社の試写会の申し込 みについてトラブルがあって、多少沈んだ気分になっていた のだが、この試写を観てその気分も晴れやかになった。映画 を観ることでいろいろな疑似体験をすることができるが、僕 にとってこの映画はそんな癒しを実体験できる作品だった。 出演は、2008年のテレビスリラー『薬禍』でスイス映画賞を 受賞しているというサビーネ・ティモテオ。監督は、昨年劇 場公開されたドキュメンタリー『幸福は日々の中に』などの ヴェルナー・ペンツェルと茂木綾子。 公開は2018年1月2日より、東京はポレポレ東中野にて、お 正月ロードショウとなる。
『エターナル』“싱글라이더” 2015年7月紹介『ターミネーター:新起動/ジェネシス』な どのイ・ビョンホンと、2008年8月紹介『ハピネス』などの コン・ヒジョン、それに2017年7月紹介『新感染 ファイナ ル・エクスプレス』のアン・ソヒの共演で、かなりファンタ シーの要素もある作品。 イが扮するのは証券会社の支店長。自分の仕事を信じ親戚や 友人、それに自分自身も多額の資金を株式投信に投入してき た。ところが会社の目論みが破綻し、投資した金はすべて消 えてしまう。その状況が大きく報道される中で、彼は資金を 集めた顧客から攻撃の矢面に立たされる立場でもあった。 そんな顧客の暴力的な追及に身も心もボロボロになった日、 彼は先に妻子を移住させたオーストラリアへと向かう。それ は息子とヴァイオリニストでもある妻の英語研修の目的でも あったのだが…。訪れた妻子の住む家で、彼は妻が隣家の男 性と大麻に耽る姿を見てしまう。 その衝撃で街を彷徨った彼は、立ち寄ったラーメン店で1人 の韓国人少女の姿を認める。彼女は若い男女の乗った乗用車 で立ち去るが、やがて街をふらつきながら歩く少女を見つけ た彼はその事情を知り、彼女を助けようと行動を開始する。 しかしそれはある事実を彼に突き付けることになる。 脚本と監督は、2008年4月紹介『シークレット・サンシャイ ン』などのイ・チャンドン監督や、2017年7月2日題名紹介 『わたしたち』などのユン・ガウン監督らが主宰する大学院 プロジェクトで学んだ女流のイ・ジュヨン。女性の柔らかい 感性が、既存のテーマに新しい風を送り込んでいる。 実際何を書いてもネタバレになってしまう作品で、実はこう 書いただけで勘の鋭い人には結末が読めてしまうかもしれな いのだが。そこにこの監督(脚本)はもう1歩踏み込んだ別 の要素を展開してみせる。それはすでに手垢が付いているか もしれないこのテーマを新たなものにしている。 従来のこのテーマの作品では殆んどが男性の主人公で、本作 でもそこは同じなのだが、その展開に女性の目が新たな要素 を付け加えている。それが恐らく今までの作品ではなかった もので、その点だけでも本作は認められるべきものだと言え る。 それにしても、後半の展開では監督の生真面目さが現れてい るようで、実に丁寧にすべての事象に説明を付けてくれる。 しかしそれが煩わしくなく、心に沁みるように撮られている のも本作の良い点と言えそうだ。 公開は2018年2月より、全国ロードショウとなる。
この週は他に 『悪と仮面のルール』 (英訳本が2013年のWall Street Journal誌で年間ベスト10 ミステリーに選ばれたという芥川賞作家中村文則原作の映画 化。財閥家に生まれ、父親から邪悪になることを強制されな がらも、心を寄せる少女のため父親を殺した少年が、成長し て風貌を変え、成長した少女の周囲に呪縛のように絡み付く 悪を倒す。しかしそれは彼自身を悪に走らせることとなる。 出演は玉木宏、新木優子、吉沢亮。他に光石研、柄本明らが 脇を固めている。監督はロサンゼルスの大学で映画の演出を 学んだという中村哲平。物語は如何にも作り物という感じが 良いのだろう。でもテロリストの存在などはもう少し明瞭に 描いて欲しかったかな。公開は2018年1月13日より、東京は 新宿バルト9他で全国ロードショウ。) 『ロング、ロングバケーション』“The Leisure Seeker” (痴呆症の夫と、見た目は元気だが病で余命幾ばくの妻が、 子供に内緒で夫の運転するキャンピングカーに乗り、若い頃 からの憧れだった観光地を目指すロードムーヴィ。この老夫 妻をドナルド・サザーランドとヘレン・ミレンが演じて、そ れは最高の夫婦愛の姿を見せてくれる。監督は2016年『歓び のトスカーナ』などのイタリアの名匠パオロ・ヴィルツィ。 自分の母親が痴呆症なもので、描かれるエピソードには共感 するものも多い。その点ではよく研究された作品だと思う。 しかし結末に関しては何か別の展開は考えられなかったか。 テーマ的に最後がこうなるのは良しとして、そこに至る手順 を何かもっと考えて欲しく感じた。公開は2018年1月より、 東京はTOHOシネマズ日本橋他で全国順次ロードショウ。) 『blank13』 (俳優の斎藤工が「齊藤工」名義で撮った長編監督デビュー 作。13年間失踪していた父親の消息が判明するが、その父親 は余命3カ月だった。そして家族との溝も埋まらぬまま死ん だ父親の葬儀に母親は来なかった。しかしその場に集まった 人々の語るエピソードが空白の13年を埋めて行く。出演は高 橋一生、松岡茉優、斎藤工。他に神野三鈴、佐藤二朗、リリ ー・フランキーらが脇を固めている。物語は、放送作家はし もとこうじによる原作から2017年10月紹介『ゆらり』などの 西条みつとしが脚色。その脚本を齊藤監督が演出した。その 演出はそつなく行われているのかな。でももう少し監督の個 性みたいなものも欲しい感じはした。公開は2018年2月3日 より、東京はシネマート新宿他でロードショウ。) 『ピンカートンに会いにいく』 (2017年9月17日題名紹介『エキストランド』の坂下雄一郎 脚本・監督による商業映画第3作。かつてブレイク寸前で突 然解散した5人組アイドルグループ。その再結成プロジェク トが始動する。主人公は元のリーダーだったが…。解散時の 経緯が彼女を躊躇させる。映画制作の舞台裏に続いての芸能 界の裏話だが、前作よりメリハリが効いている感じで嫌味も なく心地よく観られた。出演は2012年7月紹介『鍵泥棒のメ ソッド』などの内田滋と2009年3月紹介『腐女子彼女。』な どの松本若菜。他に田村健太郎、山田真歩、水野小論、岩野 未知。またアイドル時代を小川あん、岡本夏美、柴田杏花、 芋生悠、鈴木まはなが演じている。公開は2018年1月20日よ り、東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。) 『長江愛の詩』“長江圖” (中国国土を東西に流れる大河揚子江。その河口から源流ま でを遡る貨物船の船長とその父が遺した大河の詩。そして船 が向う先々で出会う女性。船長と女性は身体も交わすが、や がて彼女の存在は人智を超えたものになって行く。監督は、 2004年の長編第1作がカンヌ映画祭のカメラドールに輝いた 俊英ヤン・チャオ。受賞以来14年の歳月を掛けた第2作だ。 そして本作では、撮影監督に2009年6月紹介『空気人形』な どのリー・ピンビンを迎えて、35�丱侫�ルム撮影による素晴 らしい揚子江の景観がスクリーンに甦る。それは物語も超越 したもので、その映像は、ただスクリーンに対峙するだけで 悠久の時を感じさせる。公開は2018年2月17日より、東京は YEBISU GARDEN CINEMA他で全国順次ロードショウ。) 『アウトサイダーズ』“Trespass Against Us” (テレビの『ドクター・フー』やロックバンド=ケミカル・ ブラザースのコンサート映像などで知られるイギリスの監督 アダム・スミスが初の長編映画として手掛けたドラマ作品。 登場するのはトレーラーハウスに暮らす一族。家長の唱える 怪しげな教義の許に集う彼らは犯罪を生業とし、子供を学校 にも行かせず社会の外側で生きていた。そんな中で主人公は そこからの脱却を模索していたが…。出演は2012年7月紹介 『プロメテウス』などのマイクル・ファスベンダー、2013年 8月紹介『ランナウェイ』などのブレンダン・グリースン。 観ている時はただの犯罪集団かと思ったが、実はジプシーへ の差別と知って認識を改めた。公開は2018年2月10日より、 東京はシネマート新宿他で全国順次ロードショウ。) 『THE PROMISE 君への誓い』“The Promise” (20世紀初頭のオスマン帝国で起きたとされるアルメニア人 の大量虐殺事件。その被害者数150万人とも言われる事件の 全貌を、2005年11月紹介『ホテル・ルワンダ』などのテリー ・ジョージ監督が描いた作品。主人公は薬剤師一家に育った アルメニア人の青年。彼は近代医学を学ぶためイスタンブー ルの大学にやって来るが、そこでトルコ人によるアルメニア 人の迫害が勃発する。出演は、2015年8月紹介『アメリカン ・ドリーマー』などのオスカー・アイザックと、2016年1月 紹介『ザ・ウォーク』などのシャルロット・ルボン。他にク リスチャン・ベイル、アンジェラ・サラフィアン、ジェーム ズ・クロムウェル、ジャン・レノらが脇を固めている。公開 は2018年2月3日より、全国ロードショウ。) 『オレの獲物はビンラディン』“Army of One” (2011年5月に米軍がビンラディンを殺害する前年の6月に パキスタンで逮捕されたアメリカ人ゲイリー・フォークナー の物語。彼は2004年に神の啓示を受け、以来7度にわたって パキスタンを訪れ、独力でテロリストを追い続けた。この映 画は、逮捕当時に米国のみならず世界に配信されたニュース に基づき、2016年ケヴィン・コスナー主演映画化『ドラフト ・デイ』などのラジヴ・ジョセフとスコット・ロスマンが脚 本を執筆。2007年4月紹介『ボラット』などのラリー・チャ ールズの監督、主演ニコラス・ケイジで映画化されている。 いやはや観ていてばかばかしい限りの作品だが、これが実話 に基づくというのだから…。公開は12月16日より、東京はシ ネマート新宿他で全国順次ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
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