| 2016年10月02日(日) |
追憶(2015)、TOMORROW パーマネントライフを探して、東京国際映画祭記者会見、東宝/ワーナー邦画記者会見 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『追憶(2015)』 第2次世界大戦の後半、1944年9月15日から11月25日までの 72日間に及んだパラオ諸島ペリリュー島の戦いを描いた戦争 ドキュメンタリー。 戦いは中川州男陸軍大佐率いる日本軍守備隊に対して、アメ リカ軍第1海兵師団及び第81歩兵師団が上陸戦を仕掛ける構 図で行われた。ペリリュー島には当時東洋一と言われた海軍 航空隊の飛行場があったが、すでに航空機は無かった。 そこで日本軍は山を要塞化して上陸部隊を迎え撃ち、さらに 縦横に掘られたトンネルを介してのゲリラ戦を敢行する。こ れにより、当初のアメリカ軍側の予想では4日間で終るとみ られた戦いは72日にも及ぶことになる。 それはアメリカ軍にとっては、塹壕から突然軍刀を振りかざ して飛び出してくる日本兵に怯えながら、小銃や火炎放射器 を撃ちまくる。そして爆撃機が目標も定めず絨毯爆撃を繰り 返す。それがただ続くだけの戦闘だ。 その様子が、アメリカ国防総省に保管されていたカラーを含 む大量の記録映像と従軍した元米国兵士、それに戦闘終了後 も洞窟に潜み終戦後に投降したという元日本軍兵士らの証言 などによって描かれる。 以前から書いていることだが僕は反戦の立場を採っているの で、基本的に戦闘を描いた作品は認めない。特にドラマ作品 では、反戦を謳っていても戦闘シーンが描かれたものは認め ない方針でいる。 しかし本作に関してはあくまで記録であり、これは事実とし て受け止めるべきもの。そこに私情は挟まれない。その観点 で本作に対すると、そこにあるのはただの殺戮であり、英雄 が活躍するドラマとはかけ離れたものだ。 そんな現実の戦いの様子が数10分に亙って延々と繰り返され る。しかも実際には72日間も続いたのだと考えるとただ悲惨 であり、人間はこんなことに労力を費やしたのだと、哀しく もなってくる。 とは言え人間は今だにその愚行を繰り返し続けている訳で、 さらにはそれを拡大しようとさえしている。その風潮は日本 が戦争をしたことも知らない若者に顕著にも感じるが、本作 はそういう人たちにこそ観て貰いたいものだ。 特に戦争アニメやゲームにむやみに興奮して、殺人者になる ために戦場に行くことを渇望しているような人たちには、本 当の戦争の悲惨さも理解してもらいたいもの。そんな戦争の 真実が本作には描かれている。 ただし本作では、スタンダードで撮影された映像がワイド画 面に引き延ばされていたり、同じ空爆の映像が繰り返し登場 するなど問題もあるが、無残に殺されるだけの戦争の何が良 いのか、考える切っ掛けにはなる作品だ。 公開は11月5日より、東京都写真美術館ホール他にて、全国 順次ロードショウとなる。
『TOMORROW パーマネントライフを探して』“Demain” 2013年10月紹介『グランド・イリュージョン』などで国際的 に活躍するフランス人女優のメラニー・ロランが共同監督を 務めるエコロジー系のドキュメンタリー。 発端は、2012年6月の学術雑誌「ネイチャー」に掲載された 「今のライフスタイルを続けたら2040年〜2100年の間に人類 は滅亡する」という科学者たちの予測。これを基に「如何に したら人類は生き延びられるか?」を検証する。 そこではまず食糧問題が取り上げられ、アメリカデトロイト での都市農業の取り組みなどが紹介される。それにしてもこ のデトロイトの状況に関しては全く知らなかったし、かなり の衝撃だった。 次にはエネルギー問題が取り上げられ、デンマークやアイス ランド、インド洋に浮かぶフランス領レユニオン島などが取 材される。因にレユニオン島に関しては字幕で所在地が言及 されなかったが、フランス人には常識なのだろう。 とまあ、ここまでは見た目にも判り易く、取材地は異なるに せよ今までにも紹介されていた事象が多かったのだが、この 次からは過去の作品ではあまり記憶になかった問題が取り上 げられて行く。 その最初は経済問題。ここではまずはフランスの地域密着型 の企業が紹介され、次いでイギリスから地域通貨という取り 組みが報告される。これには東京でも各区が発行する買物券 みたいなものはあるが、そのレヴェルが違う。 何しろ首長の給料の一部もこれで支払われ、これが流通する ことによって地産地消が完璧に達成されるというのだ。確か にその地域でしか通用しない通貨が、その地域内での流通を 活発化させるのは明らかだ。 これによって、遠距離輸送などによって生じる無駄な経費や 環境問題も解消される。特に、今までの経済活動の基本かの ように言われてきたグローバル化という言葉の無意味さが俄 かに認識される、見事なレポートだった。 さらに本作は民主主義という言葉の定義にも言及し、アメリ カがすでに寡頭政治というべき状態に陥っているという指摘 や選挙制度の矛盾、それを解決するための究極の方策なども 紹介し、これも目から鱗が落ちる気分だった。 そして最後は教育問題に移るが、これには今年公開『マイケ ル・ムーアの世界侵略のススメ』などもあったが、その取材 のレヴェルが全然違う感じで、深く突っ込んだものになって いた。 この様に見事に世界各国の取り組みの現状が紹介される作品 だが、実は作品中に日本の紹介が全くない。中ではサミット の記念写真で、日本の首相がど真ん中にしゃしゃり出る映像 はあるが、それが皮肉にも見える風景になっている。 さも有りなんではあるが、この映像には日本国民として全く 恥ずかしくなる、そんな気分にもさせられる作品だった。 公開は12月より、東京はシアター・イメージフォーラム他に てロードショウとなる。
続いては記者会見の報告を2つ。 「東京国際映画祭記者会見」 今年は10月25日から11月3日まで10日間に亙って開催される 映画祭のラインナップ発表記者会見が行われた。 今回、会期中の上映作品は200本を超える見込みで、その内 のコンペティション部門は16本、アジアの未来部門が10本、 日本映画スプラッシュ部門8本、ワールド・フォーカス部門 19本などを注目したい。この内の何本が観られるか? コン ペは出来るだけ制覇したいと思っているが。 なおコンペには日本から、8月21日に題名紹介『アズミ・ハ ルコは行方不明』など2本が選出されているが、記者会見に ゲスト登壇した蒼井優が選出された喜びを語る一方で、自ら も主演女優賞候補であることを知らなかったようで、それを 告げられた時に素で驚いていたのが面白かった。 この他、クロスカット・アジアはインドネシア映画の特集。 また日本映画クラシックスとして、1953年の『雨月物語』、 1955年の『浮雲』、1962年の『キングコング対ゴジラ』、 1980年の『復活の日』、1983年の『里見八犬伝』がそれぞれ 4Kリマスターにて上映される。 9月紹介『七人の侍』で4Kリマスターの素晴らしさを報告 したが、それが基準になったことは嬉しい限りだ。
「東宝/ワーナー邦画記者会見」 すでに報道もされていると思うが、ここでは人気コミックス 『ジョジョの奇妙な冒険』の実写映画化が発表され、監督と 主要キャストが登壇しての会見が行われた。 その監督は三池崇史、そしてキャストは山��賢人、神木隆之 介、岡田将生、真剣佑、小松菜奈、山田孝之、伊勢谷友介と いうものだ。他にキャストとして國村隼、観月ありさの名前 も報告された。 原作は、既刊117巻、累計販売部数9000万部を超え、現在は 第8部が連載中のものだが、映画化されるのはその第4部の 「ダイヤモンドは砕けない」で、宮城県仙台市をモデルとし た杜王町が舞台。ただし撮影はスペイン・カタルーニャ州の シッチェスで行われるとのことだ。 因にシッチェスは、三大ファンタスティック映画祭の一つと される国際映画祭でも著名な場所で、三池監督の作品も受賞 していることから現地にも馴染みがあったのだろう。それに しても日本が舞台の物語を南欧で撮影というのはトリッキー なことだ。 ということも含めて多少の不安も感じる作品だが、来年夏の 公開を目指しての撮影が開始される。
この週は他に 『ミュージアム』 (巴亮介原作コミックスの映画化。この手のコミックスは映 像化ギリギリの線を狙ってくるが本作も同様。レーティング はGだが、かなり観客を選ぶ作品だ。犯罪の手口も強烈で、 むしろこのレーティングに収めたプロデューサーを称賛した くもなる。監督は大友啓史、主演は小栗旬。公開は11月12日 より、全国ロードショウとなる。) 『あたらしい野生の地』“De nieuwe wildernis” (オランダの首都アムステルダムから50�劼両貊蠅如�干拓事 業が中止された6000ha程の土地に野生が復活した。その現在 を撮影したドキュメンタリー。人間の手も多少入ってはいる ようだが、昔し観た『野生の王国』のような映像が展開され る。人間が滅亡するとこんな世界が戻ってくるかな? 公開 は10月29日より、渋谷アップリンク他で、全国順次上映。) 『戦場のメロディ』“오빠 생각” (朝鮮戦争時の戦争孤児を巡る実話に基づくとされる作品。 南北対立が子供の心にも影を落とす中で、コーラスがその心 の傷を癒して行く。9月4日題名紹介『弁護人』などのイム ・シワンと、2013年11月紹介『スノーピアサー』がデビュー 作のコ・アソンが共演。公開は10月29日より、シネマート新 宿他で、全国順次ロードショウ。) 『彷徨える河』“El abrazo de la serpiente” (コロムビア映画として史上初のオスカー外国語映画部門に ノミネートされた作品。20世紀初頭とその50年後の時代背景 で、アマゾン上流の密林域に足を踏み入れた探検家の姿を描 く。2015年作品だが、コロムビア・アマゾンの未開のままの 姿がスクリーンに登場して、これが凄い。公開は10月29日よ り、シアター・イメージフォーラム他で、全国順次上映。) 『熊野から ロマネスク』 (2011年8月紹介『海と自転車と天橋立』の田中千世子監督 の最新作。前作では複数のテーマの混在が気になったが、本 作のテーマは「熊野」という一点なので纏まりは良い。ただ 本作は3部作の第2部、第1部もDVDで観せて貰ったが、 評価は完結後に改めてしたい。公開は2017年1月、シアター ・イメージフォーラム他で、全国順次ロードショウ。) 『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』“Everybody Wants Some” (2014年10月紹介『6才のボクが、大人になるまで。』など のリチャード・リンクレーター監督の最新作。1980年代の大 学新入生の姿を描いた青春映画。前作はその制作体制などで 評価されたが、僕には何か痛みが感じられた。その監督の次 の作品が80年代というのは、監督の心情の反映にも感じる。 公開は11月、新宿武蔵野館他で、全国順次ロードショウ。) 『コウノトリ大作戦!』“Storks” (2008年11月紹介『寝取られ男のラブ♂バカンス』の監督で 2014年8月紹介『ザ・マペッツ』などの脚本家ニック・スト ーラーが製作脚本監督を務めるCGIアニメーション作品。 コウノトリが赤ん坊を運んでくるという寓話を基に、そのコ ウノトリが宅配便を始めたことによる混乱ぶりを描く。公開 は11月3日より、全国ロードショウ。) 『ホライズン』“Horizontes” (1952年に史上5人目の最高位“プリマ・バレリーナ・アッ ソルーダ”の称号を贈られたアリシア・アロンソと、その後 を継ぐ若きバレリーナの姿を追ったドキュメンタリー。貴重 なアーカイブ映像なども多数観られるが、詩情豊かという言 葉がこれほど適切な作品もないと思わせる。公開は11月12日 より、角川シネマ新宿他で、全国順次ロードショウ。) を観たが全部は紹介できなかった。申し訳ない。
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