井口健二のOn the Production
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2016年09月18日(日) ハドソン川の奇跡、七人の侍、スター・トレック BEYOND

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ハドソン川の奇跡』“Sully”
クリント・イーストウッド監督が、トム・ハンクスを主演に
迎えて、2009年にニューヨークで起きた航空機事故を描いた
実話に基づく作品。
その旅客機は1月15日の定刻にニューヨーク・ラガーディア
空港を離陸した。ところがその上昇中に鳥の群れが激突。左
右2基のジェットエンジンが共に停止してしまう。このため
機長は緊急処置を発動するが、それらはもっと高空での事態
を想定したものばかりだった。
そこで機長は咄嗟の判断でハドソン川への着水を決断、それ
は乗員乗客合せて155名の生命を救うのだが…。国家運輸安
全委員会に呼び出された機長は、着水の判断が正しかったか
どうか問われることになる。しかもシミュレーターは近隣の
空港への着陸が可能だったとの結論を出す。
外では英雄と称えられる機長が、ここでは容疑者として裁か
れる。果たして彼の決断は正しかったのか? 本当の戦いは
ここから始まった。

共演は、2014年6月紹介『アイ・フランケンシュタイン』な
どのアーロン・エッカートと、2016年1月紹介『Mr.ホーム
ズ』などのローラ・リニー。他には救援に駆けつける観光船
の船員や救助隊など、多くの当時事件に関った人たちが、自
身の役柄で出演しているようだ。
映画の中で機体が着水する直前にビジネスマン風の男性が隣
の席の女性の赤ん坊を代わりに抱えるシーンがある。これに
は1985年の日航機墜落事故の際にも血縁のない幼児を抱えた
男性の遺体があったという報道を思い出した。
1985年に何があったのかは判らないが、本作の描写は証言に
基づくのだろう。人間は最後の瞬間に他人を守ろうとする、
そんな本能ってあるのかな。日米2つの事件で同じことが起
きていたことに人間への信頼を思い起こした。
なお本作の撮影では65�个裡稗唯腺悒�メラが使用されたそう
だ。僕は残念ながら試写室のワイド画面での鑑賞だったが、
事故機が低空で川面を飛行するシーンなどは、恐らく上の空
と下の水面の広がりが効果的だったと予想される。
2011年12月紹介『ミッション・インポッシブル/ゴースト・
プロトコル』では部分的にIMAX撮影が実施されて、その
シーンの空間的な広がりが見事だったが、本作のIMAX上
映でもそれが期待できそうだ。

公開は9月24日より、東京は丸の内ピカデリー、新宿ピカデ
リー他で、全国ロードショウとなる。

『七人の侍』
1954年製作、黒澤明監督によるモノクロ・スタンダードの作
品が4K画質でディジタルリマスターされ、再公開されるこ
とになった。
物語は改めて書くまでもないと思うが、野盗の襲撃に苦しむ
寒村の村人が意を決して侍を雇い、野盗の撃滅を目論む。時
代は戦国が終った頃で、街には浪人の侍が溢れていた。しか
しいくら痩せても武士は武士、一宿一飯だけの報酬では中々
人材は集まらなかった。
ところがふと村人の目に留まった初老の侍が寒村の窮状を理
解し、村の立地などから七人の精鋭で護れると踏んだ侍は、
彼に心酔する若侍と共に人選を開始する。斯くして集められ
た七人の侍は村に向かい、村人たちと共に野盗の軍団を迎え
撃つ準備を始めるが…。

出演は、志村喬、三船敏郎、木村功、加東大介、千秋実、稲
葉義男、宮口精二。他に土屋嘉男、藤原釜足、左卜全、津島
恵子らが村人の役を演じる。
本作は、1954年度ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞の
他、アメリカアカデミー賞の美術賞、衣装デザイン賞、イギ
リスアカデミー賞の作品賞にもノミネートされた。
という作品がディジタルリマスターされたものだが、今回は
それが4K画質で行われたということで、午前10時から日本
橋で行われた特別上映に駆けつけた。そこには本作のスクリ
プターだった野上照代氏、俳優の仲代達矢氏も来場されて、
上映後には対談も公開された。
そこで野上氏は、「こんなに美しい画面で観られるなんて、
これを黒澤さんにも見させてあげたかった。」と感激の面持
ちで発言され、さらに今回は音声もクリアにされたことに関
して「三船さんの台詞が聞き取れないと文句を言われたが、
これならちゃんと聞き取れる。」と…
これは従来の光学式サウンドトラックでは、リプリントの度
に劣化が激しく、それが音声を不鮮明にしていたものだが、
今回はその部分も画像取り込みで処理することによって、音
声もオリジナルの通りに再現されたものだ。
実際に三船の演じる菊千代が百姓生活の苦しさを語るシーン
は、演技との兼ね合いでくぐもった声ではあるものの、その
内容はしっかりと聞き取れるものになっていた。
この他にも、画面の傷取は勿論、上下の揺れや画面間の明る
さの変動なども今回は見事に修復され、3時間半近い上映時
間を過ごしても目の疲れなどを感じないものになっている。
最近は往年の名作のディジタルリマスターを観る機会が増え
ているが、正直に言ってここまで完璧なリマスターは初めて
だと言える。今後はこれを基準にして欲しいものだ。

公開は「午前十時の映画祭7」にて、まず10月8日〜21日に
TOHOシネマズ新宿他のグループAで、10月22日〜11月4日に
TOHOシネマズ日本橋他のグループBで、それぞれ2週間限定
の上映となる。

『スター・トレック BEYOND』“Star Trek Beyond”
2009年に物語の原点に戻って再開された劇場版新シリーズの
第3作。
物語は、3年間の調査任務を終えたジェームズ・T・カーク
船長以下のクルーの乗るU.S.S.エンタープライズNCC-1701が
宇宙基地ヨークタウンに帰投するところから始まる。そこに
は連邦を構成する多数の星の住人たちが共に暮らしており、
カークには基地副提督への道も開けていた。
ところがその基地に所属不明の宇宙船が接近し、乗っていた
女性異星人から未知星雲で遭難したクルーを助けてくれとの
依頼が寄せられる。そこで星雲内の航行に実績のあるカーク
にその緊急任務が命じられるが…。そこは宇宙連邦に敵対す
る勢力の巣窟だった。

出演は3作連続のクリス・パイン、ザッカリー・クイント、
カール・アーバン、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペッグ、
アントン・イェルチン、ジョン・チョウ。
そこに本作では、2012年7月紹介『プロメテウス』などのイ
ドリス・エルバ、2015年8月紹介『キングスマン』などのソ
フィア・ブテラが新たに登場している。
監督は、前2作の監督を務めたJ・J・エイブラムスが製作
に下がって、代わりに2013年5月紹介『ワイルド・スピード
/ユーロ・ミッション』などのジャスティン・リンが担当。
脚本は、テレビシリーズを数多く手掛けるダグ・ユングと、
本作の出演者でもある2014年2月紹介『ワールズ・エンド』
などのサイモン・ペッグが共同で担当している。
作品の乗りとしては完璧にテレビシリーズ『宇宙大作戦』に
沿ったもので、それを物足りなく感じる人はいるかもしれな
いが、僕自身としてはOKの作品だと言える。それは毎度の
敵が出てきてそれをやっつけるだけということではあるが、
それはそれで毎回目先が変れば楽しめるものではある。
しかも今回は宇宙基地ヨークタウンの景観など、それは中々
の絵柄も登場するもので、それらを存分に楽しみたいを思う
作品だ。そこにクルー間の絆などが描かれれば、ファンとし
ては言うことなしだろう。ということで本作は純粋に楽しみ
たいと思える作品だ。
なお本作は昨年2月他界したレナード・ニモイに捧げられて
いる。ニモイは新シリーズの前2作にも出演しており、この
献辞は当然のものだが、今回はその想いが強過ぎてシリーズ
の成立を少し逸脱させたようにも感じる。まあ仕方ないと言
えば仕方ないが、トレッキー的には少し悩ましい。
それともう1人、本作は今年6月他界したチェコフ役のアン
トン・イェルチンにも捧げられていた。イェルチンは2002年
4月紹介『スパイダー』の時から注目していたが、その後の
低迷を脱して一気にブレイクしていたもので、27歳の夭逝が
残念に思えるところだ。この後はどうするのかな?
因に本作の日本版プレス資料では「最後のミッション」とさ
れているが、特に上記の逸脱に関しては明確な理由付をした
第4作が観たいところだ。ペッグならその辺は考えて脚本を
作っていると思うのだが。

公開は10月21日より、2D/3D、IMAX−3Dにて全国
ロードショウとなる。

この週は他に
『ひかりをあててしぼる』
(2006年に東京の渋谷で起きた実際の事件を基に制作された
舞台劇を、舞台の演出家自らの監督で映画化した作品。かな
り際どい内容だが、舞台は2011年の初演で、そこから相当に
練り込まれたと思われるしっかりとした作品になっている。
公開は11月下旬、渋谷ユーロスペース他でロードショウ。)
『ザ・ギフト』“The Gift”
(2006年6月紹介『キンキー・ブーツ』に主演のジョエル・
エドガートンが、脚本監督助演を務めたサイコサスペンス。
エドガートンの演じる役名にベケットの戯曲を思い出すのは
考え過ぎかな? そう思うと不条理劇としても面白い。公開
は10月28日より、TOHOシネマズ新宿他でロードショウ。)
『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』
                  “Eye in the Sky”
(無人機ドローンによる中東での要人殺害を描いたイギリス
映画。自爆テロ首謀者の居所を突き止め確認して攻撃。しか
しそこに色々な要因が絡む。アメリカ製の先行作もあるが、
本作ではアメリカ側の描写が痛烈だった。公開は12月より、
TOHOシネマズシャンテ他でロードショウ。)
『映画作家 黒木和雄 非戦と自由への想い』
(黒木監督は元より、本作ドキュメンタリーの監督にも自分
と似通った思想を感じると、現状を憂えることにも歯痒さを
感じてしまう。黒木監督ならここに何かの打開策を提示でき
たのではないかな。そんなことも思いながら観てしまった。
公開は11月、渋谷ユーロスペース他でロードショウ。)
『ティファニー ニューヨーク五番街の秘密』
               “Crazy About Tiffany's”
(原題が全てを現す。Tiffany fanの、Tiffany fanによる、
Tiffany fanのための作品。会社の歴史や色彩などの意味付
け、さらに高価な宝飾品の解説まで、それこそファンには垂
涎の作品と言えそうだ。公開は11月5日より、新宿武蔵野館
のリニューアルオープンを含めて全国ロードショウ。)
『キリマンジャロは遠く』
(最近テレビの刑事もので人気が出ているという片桐竜次が
俳優生活45周年で映画初主演を果たした作品。和製フィルム
ノアールを標榜する作品で、珈琲の香りに載せて判っていて
も判らない振りをする。そんな男の物語が展開される。公開
は10月29日より新宿K's cinemaにてレイトショウ。)
『バースデーカード』
(2008年6月紹介『P.S.アイラヴユー』にも似た話だが、
本作の場合は理由も何もかも判っているから話はスマート。
でもそこにこれだけの物語を盛り込むのはかなりの手腕だ。
諏訪が舞台で父親の職業が天文学者というのも気に入った。
公開は10月22日より全国ロードショウ。)
『秋の理由』
(詩人でもある福間健二監督が自作の詩集を脚色して映画化
した作品。脚本には2014年2月紹介『そこのみにて光輝く』
などの高田亮が参加し、物語は判り易く仕上げられている。
初老の編集者と作家の男同士のドラマが展開される。公開は
10月29日より新宿K's cinemaにてロードショウ。)
『アニメーションの神様、その美しき世界(全6作)』
(日本の旭日小授賞勲章も授与されているロシアのアニメー
ション作家ユーリー・ノイシュテンの作品による特集上映。
アメリカで「歴史上、世界最高のアニメーション」と認定さ
れた『話の話』など6作品が上映される。公開は12月、シア
ター・イメージフォーラム他で全国順次ロードショウ。)
を観たが全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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