井口健二のOn the Production
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2016年07月24日(日) 淵に立つ、世界一キライなあなたに、バニラボーイ トゥモロー・イズ・アナザー・デイ

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『淵に立つ』
2015年10月紹介『さようなら』などの深田晃司監督による新
作で、今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞
を受賞した作品。
下町の町工場にワイシャツに黒ズボン姿の男が訪ねてくる。
その男は工場主の古い知り合いらしく、工場主は彼の行き場
が決まるまで工場で雇うことにする。しかし工場主の妻はそ
の男のことは何も知らなかったようだ。そして工場主の夫妻
にはオルガンを練習する幼い娘がいた。
そんなちょっとギクシャクした男の登場だったが、男はオル
ガンを巧みに演奏して娘の関心を呼び、徐々に一家の中に溶
け込んで行く。こうして男は、一家の休日には娘の要望で川
遊びに同行するまでになって行くが…。そこで男は工場主に
荒々しい本性を垣間見せたりもする。
そしてこの男の存在が、平和だった家族を徐々に崩壊させて
行く。

出演は、浅野忠信、古舘寛治、筒井真理子、篠川桃音と真広
佳奈。他に、太賀、三浦貴大らが脇を固めている。
深田監督の作品では、2010年11月02日付「第23回東京国際映
画祭」で『歓待』という作品を紹介しているが、本作はその
元になったアイデアだそうで、確かに下町の印刷工場に謎の
男が現れる2010年作とシチュエーションやその後の展開など
も似ているものだ。
ただし『歓待』はかなり大人数の集団劇だったのに対して、
本作は夫婦と娘の3人家族に男が入ってくる。従って人数が
少ない分、その物語の密度はかなり高い。しかもそこからの
終盤の展開は正に衝撃的なものになっていた。
因に監督の描きたかったテーマは、安定した集団への異分子
の混入だそうで、そのテーマは2本の作品に共通して強烈な
衝撃を与えるものになっている。特に本作では、そのテーマ
性は明確だろう。
実は、僕自身には『歓待』を観た時に超自然的な匂いも感じ
られて、侵入者である人物には悪魔的なものも感じていた。
そのためそこにはファンタシーの解釈も成り立つとも思って
いたのだが…、本作ではそれは払拭されていた。
従って本作では、『歓待』以上に人間の業のようなものが描
かれ、それは悪魔以上に恐ろしいものであるという現実が突
きつけられる。ただし本作では、それが明確な事実としては
描かれず、あくまで観客の解釈というのも恐ろしい。
そう思って観ている観客こそが、物語の異分子なのだ。

公開は10月上旬より、東京は有楽町スバル座他で、全国ロー
ドショウとなる。

『世界一キライなあなたに』“Me Before You”
2015年7月紹介『ターミネーター:ジェニシス』でサラ・コ
ナーを演じたエミリア・クラークの主演で、困難に立ち向か
う若い女性を描いた作品。
主人公は、山の上にお城の見えるイギリスの田舎町に暮らす
26歳の女性。6年間勤めていたカフェが閉店して収入が無く
なり、両親との暮らしが窮地に陥る。そこで紹介されたのは
お城のそばの邸宅に住む男性の介護だった。
それはベテランの介護士との共同作業で、肉体的な困難など
はさほどなかったが、突然の事故で身体の自由を奪われた元
スポーツマン男性の気性は気まぐれで、彼女の善意の行為も
誤解されぶつかってしまうことが度々だった。
それでもめげることのない主人公は、徐々に男性の心を開い
て行くが…。

共演は、2012年6月紹介『スノーホワイト』などのサム・フ
ランクリン。他に、2012年12月紹介『アルバート氏の人生』
などのジャネット・マクティア、前回題名紹介『ゴーストバ
スターズ』にも出演のチャールズ・ダンスらが脇を固めてい
る。
脚本は、日本を含む世界40か国以上に翻訳されているという
小説から原作者のジョジョ・モイーズ自身が脚色。監督は、
舞台演出家として著名で本作が映画デビューとなるシーア・
シェアイックが担当した。
映画の結末は僕が最も嫌うテーマのもので、実はこの前にも
同旨のドイツ映画があったが僕は紹介を回避したものだ。し
かし本作では、これはもう仕方がないかな、と思わざるを得
ないものだった。
もちろんドイツの作品でも、肉体の状況は本人以外には理解
のしようがないが、本作ではその点の説得力がドイツの作品
より勝っていたのかもしれない。それに具体的なシーンを描
いていないのも良かったのかもしれない。
さらに本作では、そこに至るまでの描き方が巧みなもので、
特に主人公の女性の健気さが心を打つ。そしてそれに対する
男性の態度も立派で、それは慈愛に満ちた素晴らしい時間が
描かれる。
作り物のお話ということを踏まえた上でも、近年の同種の作
品の中では上位に入る作品だ。

公開は10月より、全国ロードショウとなる。

『バニラボーイ トゥモロー・イズ・アナザー・デイ』
ジャニーズJr.内ユニットSixTONESのジェシー、松村北斗、
田中樹が主演するSF的要素もある青春ドラマ。
主人公は1999年7月生まれの高校生1年生。傍にはそれぞれ
が学力優秀と運動能力抜群の2人の友達がいて、自分自身は
何の能力もないと思っている。ところが、実は彼は「ノスト
ラダムスの大予言」の申し子で、彼の身に降り掛った災難は
数倍化して日本国民に降り掛るのだ。
このため日本政府は密かに彼の身を守ると共に、彼に対する
事象の影響を予測するプログラムも開発していた。こうして
彼には、道で転んでも怪我が生じないようにする特別な体制
が採られていた。そして日々そのような事態が起こらないよ
うに監視もされていたのだが…。
そんな彼の前に1人の女子転校生が現れたことから事態が急
変し始める。

共演は、2014年『空と海のあいだ』などの竹富聖花、2010年
9月紹介『大奥』などの小西成弥、2011年3月紹介『奇跡』
などの前田航基。他に要潤、ブラザートム、西村和彦、船越
英一郎らが脇を固めている。
脚本は、舞台演出家でヴァラエティの構成作家なども務める
保木本真也、監督はテレビ『アンフェア』などの根本和政。
脚本家、監督共に劇場用の映画作品は初めてなのかな?
普通に生活してきた主人公が実は重要人物で…、という作品
は今までに何本観てきているのかな? そんな1本と言える
作品だが、作品の乗りは如何にもテレビのヴァラエティ番組
で、主人公の演技もそれに準じている。
とは言えジャニーズ系の作品なら、それで充分観客は呼べる
という計算なのだろうし、そういうファンを喜ばせるような
仕掛けは随所にちりばめられている。そういう目で観れば、
別段問題にするような作品ではない。
ただ結末の持って行き方は、設定は逆の方が面白かったので
はないのかな。結果的には同じ展開になるにしても、逆の方
が話も判り易かったと思うのだが、今のままだと何か主人公
の格好良さが出てない感じだが、それもファンサーヴィスな
のかな? そこまでの計算は僕には判らなかった。

公開は9月3日より、東京はTOHOシネマズ新宿ほかで、全国
ロードショウとなる。

この週は他に
『Yesterday』“Beatles”
(2016年6月19日付で題名紹介の『シング・ストリート』と
似た1960年代の北欧が舞台の青春ドラマ。ビートルズに憧れ
る少年たちが、夢を目指して悪戦苦闘する。6月の作品ほど
洗練されてはいないが、その分、若い人には共感が大きいか
な。でも未成年の飲酒や喫煙はお国柄なのだろう。)
『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』“Genius”
(F・スコット・フィッツジェラルド、アーネスト・ヘミン
グウェイ、トマス・ウルフらの才能を見出し、彼らを育て上
げた編集者の実話に基づく物語。その業績をコリン・ファー
ス、ジュード・ロウ、ガイ・ピアース、ニコール・キッドマ
ンらの共演で描く。作家との交流の様子が素晴らしい。)
『イングリッド・バーグマン 愛に生きた女優』
                   “Jag är Ingrid”
(スウェーデン出身でハリウッドで成功した女優の生涯を描
くドキュメンタリー。女優本人が撮影した16�丱侫�ルムと日
記、さらに遺児や周囲の人々ちの証言などで綴られる。副題
の通り愛に生きた女優は3度の結婚をしているが、本人は常
に幸せだったようで、観ていてほっとする作品だった。)
『ペット』“The Secret Life of Pets”吹替版
(先月紹介した作品の日本語吹き替え版を改めて鑑賞した。
内容的には以前の紹介の通りだが、吹替えに関しては主役の
バナナマンの2人と、佐藤栞里、永作博美の吹替えはさほど
違和感も無かったかな。他はベテランの声優たちが当ててい
る。ただ今回も2Dで1度は3Dで観たかったものだ。)
『いきなり先生になったボクが彼女に恋をした』
(沖縄出張中に務めていた日本の会社が倒産した韓国人青年
が韓国語教室の先生になり、Kポップが好きで少し韓国語を
口にしたために韓国要員として雇われた日本人女性の窮地を
救うことになるラヴコメディ。2人の人物紹介からの流れが
巧みで、他にも脚本の良さが随所に見られた。)
を観たが全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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