井口健二のOn the Production
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2016年06月12日(日) 記者会見(コープスパーティー 、疾風ロンド、仮面ライダー/スーパー戦隊、ターザン)、貞子vs伽椰子

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『コープスパーティー Book of Shadows』記者会見
『疾風ロンド』記者会見
『仮面ライダー45周年/スーパー戦隊第40作』記者会見
『ターザンREBORN』特別フッテージ上映
 6月に入ってからいろいろな映画の記者会見を立て続けに
見る機会があったので、纏めて紹介しておく。
        *         *
 まずは7月30日公開の『コープスパーティ』。この作品は
昨年公開された映画の続編とのことで、前作で映画初主演を
果たしたアイドルグループ乃木坂46の生駒里奈をはじめ、
前作から引き続き出演のメムバーや、新登場のメムバーと、
監督の山田雅史による記者会見が行われた。
 会見の前には出来立てという予告編も流され、僕は前作も
観ていないが、スラッシャーの描写も激しくてかなり強烈な
作品だという印象は受けた。監督も会見で「かなりグロい」
を強調していたから、そういう類の作品という印象を付けた
いのだろう。それはそれで認めるところだ。
 一方、会見では生駒の決意みたいなものも聞けたが、アイ
ドルグループ出身での演技力の問題はあまり周囲のサポート
もなさそうな中で、真剣に頑張っている風に見えたのは好感
したところだ。その演技をぜひ本編で観たいという気持ちに
もなった。
 本編の試写が観られたらまた報告したいものだ。
        *         *
 次は11月26日公開の『疾風ロンド』。かなり早い記者会見
だが、実は撮影が終了したということの報告会見で、これか
ら編集やVFXなどのポストプロダクションが行われること
になる。
 東野圭吾原作のサスペンス小説の映画化ということだが、
監督が『あまちゃん』などの吉田照幸で、会見に臨んだ監督
からは「実は原作には相当にユーモアが盛り込まれていて、
その点を狙っての映画化」とのことだ。
 さらに出演者では主演の阿部寛以下、関ジャニ∞の大倉忠
義、元AKB48の大島優子、『龍馬伝』などの濱田龍臣、
『烈車戦隊トッキュージャー』の志尊淳らが登壇したが、こ
の内で大島だけはウィンタースポーツが得意で待ち望んだ役
だったそうだ。
 一方、阿部は雨男ならぬ雪男だそうで「自分が行くと降雪
に見舞われることが多いが、今回は喜ばれた」とのこと。た
だしその寒さは、前作でロケに行ったエヴェレストより厳し
かったそうだ。
 さらに大倉は「プロフィールに特技スキーと書いて置いた
らこの役が来た」そうで、さらに会見で隣に座った志尊に対
して「ジャニーズとD−BOYSの対決」と振って志尊を慌
てさせていた。
 D−BOYSは初期のメムバーの主演作品なども紹介して
いた気がするが、大倉の発言に対する志尊の恐縮振りが微笑
ましかったものだ。
 本編の試写は秋ごろからと思われるが、その際にまた紹介
したい。
        *         *
 続いては8月6日公開の『仮面ライダーゴースト 100の眼
魂(アイコン)とゴースト運命の瞬間』と『動物戦隊ジュウ
オウジャー ドキドキ サーカス パニック!』。こちらは
2作の変身後も併せると数十人の大所帯の会見だった。
 そこでまず『動物戦隊』では今回のゲストキャラとして出
演の平成ノブシコブシの吉村崇が巧みに会見を仕切っていた
のがさすがという感じだった。因に『動物戦隊』が登場する
映画作品は3作目だが、今までは『仮面ライダー』作品への
客演で、主役を務めるのは初めてになるものだ。
 一方、『仮面ライダー』では今回のゲストとして沢村一樹
と木村了が登壇したが、2人は思い出のライダーを訊かれて
沢村は『V3』とした上で当時の悪役の名前まで挙げ、思い
出を語っていた。
 対して木村は、ちょうど『仮面ライダー』が途切れたころ
の育ちだそうだが、それでもタイトルやキャラクターは有名
だったと語り、歴史の長さを感じさせてくれた。
 両作とも試写会は公開直前になりそうだが、観たら紹介し
たいものだ。
        *         *
 そして最後は7月30日公開の『ターザンREBORN』。主演の
アレクサンダー・スカルスガルドが来日し、一般ファンも招
いての特別フッテージ上映会が行われた。
 そこでまず上映されたフッテージでは「蔦渡り」や野獣の
群れの暴走などのシーンが紹介されたが、特に「蔦渡り」は
従来の「ア〜ア、ア〜」と叫びながら行くものではなく、も
の凄い高速で正しくアっという間のシーンになっていた。
 これは当然CGIを駆使したものだが、それはもう1983年
『SWジェダイの復讐』でエンドアの森にランドスピーダー
が登場した時のような興奮を予感させるもの。正に新時代の
『ターザン』という感じがしたものだ。
 ただし会見では、男性のMCがこのシーンを捉えて「蔦渡
りの気分はどうだったか」と訊いていたが、俳優がちょっと
困った顔をして何とか誤魔化していたものだ。映画ファンな
ら周知の事柄で、この辺は少し考えた人選が欲しかった。
 なお本作の試写はそろそろ始まるるものだが、僕は3Dで
の試写の開始を待つつもりなので、本編を観ての紹介は来月
になってからになりそうだ。
        *         *
 以下は映画の紹介。
『貞子vs伽椰子』
1991年に鈴木光司の原作が発表され、1998年第1作映画化、
さらに続編や多数のリメイクが製作された『リング』の貞子
と、1998年に短編作品で発表され、1999年第1作が映画化さ
れた『呪怨』の伽椰子が相見えるというジャパニーズホラー
の究極作。
物語の発端は古いヴィデオテープのダビング。そのためリサ
イクルショップで買ったデッキには古びたカセットが入って
いた。そしてそのヴィデオを観ると、主人公の部屋の電話が
鳴り響く。
それに並行して主人公の通う大学での超常現象の講座などが
描かれ、そこでは専門家と称する大学教授が貞子の呪いを説
明している。斯くして大学教授も巻き込んでの呪いとの対決
が始まるが…。
一方、家族の都合で転校してきた女子高生の家の向いには、
立入禁止という看板の掲げられた廃屋が建っていた。そして
その家の前に屯していた小学生グループの行方が判らなくな
る。

出演は、2013年12月紹介『黒執事』などの山本美月と2016年
2月紹介『ヒメアノ〜ル』などの佐津川愛美、さらに2015年
『天の茶助』などの玉城ティナ。他に甲本雅裕、田中美里、
安藤政信、2013年『貞子3D2』に出ていた菊地麻衣らが脇
を固めている。
脚本と監督は、2015年5月紹介『戦慄怪奇ファイル 超コワ
すぎ!』などの白石晃士が担当した。
今年になって、3月公開『バットマン vs スーパーマン』に
続いて、4月公開『シビル・ウォー』でのキャプテン・アメ
リカvsアイアンマンと対決物が相次いでいるが、いずれもブ
ランドが同じで、すでに原作もあったりするものだ。
それに対して本作は、全く別のクリエーターが創造したキャ
ラクターが一緒になるもので、中々こういうケースは少ない
だろう。強いて言えば1970年の『座頭市と用心棒』が思い浮
かぶ程度で、1962年の『キングコング対ゴジラ』はちょっと
違うケースのように感じる。
そんな稀有な作品だが、白石晃士監督は両先達へのリスペク
トをしっかり感じながら作っているように思える。特に貞子
に関しては、再生される映像の違いや否定要素の持ち込み方
など、ファンの心をくすぐる部分が満載だ。
一方、伽椰子に対してはかなり完璧な再現振りで、こちらも
先達への愛情を感じる。本当に好きな人が一所懸命に作って
いる、そんな微笑ましさも感じる作品だった。ホラー作品に
対して微笑ましいは失礼かもしれないが…。いずれにしても
僕には納得の作品と言えるものだった。

公開は6月18日より、東京は新宿バルト9、ヒューマントラ
ストシネマ渋谷他で、全国ロードショウとなる。なお4D/
4DXの上映もあるようだ。

この週は他に
『シュガー・ブルース家族で砂糖をやめたわけ』
                    “Sugar Blues”
(3月公開『あまくない砂糖の話』の姉妹編のような作品。
違いは前作は男性/父親視点で、本作は女性/母親の視点と
いうところ。関心のある人は両方観るべきだろう。ただ全体
としてはまだ物足りないかな? 問題の大きさは両作で充分
判るが、強いてもっと突っ込んだ作品が観たくなる。)
『エル・クラン』“El Clan”
(1980年代のアルゼンチンを舞台にした実話に基づくとされ
る作品。独裁政治下での特権階級一家による悪魔的な犯罪が
暴露される。途轍もなく悪辣な犯罪が特権意識によって当然
ものとして実行される。いやはや…、都知事の感覚もこんな
だったのだろうな。)
『ペレ 伝説の誕生』“Pelé: Birth of a Legend”
(2009年公開の『マラドーナ』はアルゼンチン、本作のペレ
はブラジルの英雄だが、かなり破天荒な前者に比べると優等
生の生涯ということになる。ただしブラジルサッカーの立て
直しへの寄与は大きく、本作もその点を中心に描いている。
ドラマ作品だが本人もカメオ出演している。)
『五島のトラさん』
(長崎県の五島列島に住む男性の姿を22年間に亙って追った
ドキュメンタリー。多くの家族に囲まれ、その家族を守るた
めにいろいろなことをし、それらは成功するが本人への負担
も計り知れない。そんな日本人庶民の原点のような男性が描
かれている。これが日本の現実なのだ。)
を観たが全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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