井口健二のOn the Production
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2016年05月01日(日) シンドバッド、ウフィツィ美術館3D・4K、ホーンテッド・キャンパス、雨女4DX

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『シンドバッド』
「世界名作劇場」シリーズで知られる日本アニメーションの
40周年記念作品として製作された劇場用アニメーション。
実は本作は3部作の第3部で、その第1部は昨年試写を観せ
て貰ったが、物語が全く完結していないので紹介を控えた。
その後の第2部は試写状が届かなかったが、今回は第3部を
鑑賞したものだ。ただし本作の巻頭に前2作のダイジェスト
が付いているので物語の鑑賞には全く支障はなかった。
その物語は、港町で母親と暮らす少年が主人公。船乗りの父
親は航海に出たまま帰ってこないが、少年はその父親が観た
であろう遠い国を訪れるのが夢だった。そんな少年が空を飛
ぶ魔法の馬に乗った少女を助けたことから道が開ける。
寄港した船の船長に気に入られた少年は乗船を許され、悪人
に追われて匿われた少女と共に彼女の目指す西の国に向かう
こととなる。そこは彼女の故郷のはずだったが…。というの
が第1部で、続く第2部でも冒険があったようだ。
そして第3部では、少女の故郷である魔法の国の歴史が描か
れ、魔法族とその魔法を利用しようと企んだ者たちの闘争が
語られる。つまり第1部は序章で、第2部は派生篇、そして
第3部で本来の物語が語られているものだ。
その物語は、多分第2部で仄めかされてはいたのだろうが、
ここでは魔法を利用する者の資質が問われている。それは現
代における科学技術の利用に対する人の在り方を説いている
ようにも見える物語だ。
特に科学技術=原子力と観るのは極めて容易なことだろう。
そんな物語が、若い男女の冒険と共に描かれて行く。そこに
空飛ぶ絨毯や魔法のランプなど、アラビアンナイトのアイテ
ムが鏤められた作品だ。

脚本は2008年12月紹介『トミカヒーロー/レスキューフォー
ス』などの川崎ヒロユキ、監督は2013年2月に紹介した「ア
ニメミライ」でその前年に製作された『しらんぷり』などの
宮下新平。いずれも制作会社白組のメムバーだ。
声優は、村中知、2011年8月紹介『ラビット・ホラー3D』
などの田辺桃子。他に鹿賀丈史、薬師丸ひろ子らが脇を固め
ている。
上にも書いたようにいろいろな観方のできる作品だが、その
本題が語られるのは主に第3部で、そこまでの展開は正直に
言って別物のようにも感じる。
因に第1部、第2部の川崎はシリーズ構成のクレジットで、
脚本は2014年11月の「東京国際映画祭《コンペティション部
門》」で紹介した『紙の月』の早船歌江子が担当しており、
第3部に力が掛けられたのは明らかだ。
であるなら、やはりこれは第3部を中心とした1本の作品に
仕上げた方が良かったのではないかな。幸い第3部の巻頭に
はダイジェストが付いて、これだけで観られるようになって
はいるが、悩ましいところだ。

公開は5月14日より、東京はイオンシネマ板橋ほかで、全国
ロードショウとなる。

『フィレンツェ、メディチ家の至宝
               ウフィツィ美術館3D・4K』
            “Firenze e gli Uffizi 3D/4K”
2014年12月紹介『ヴァチカン美術館3D・4K天国への入口』に
続く、美術館の魅力を3Dで紹介するドキュメンタリー。
今回の舞台は、15世紀にルネサンスを生み出したイタリア中
部の町フィレンツェ。その街並みとメディチ家の至宝が収め
られた美術館が、15世紀後半の隆盛を支えた当主ロレンツォ
・デ・メディチの案内で紹介される。
そのドローン空撮を含めた風景や大聖堂を筆頭とする建築物
などの街並み、さらに美術館の建物や収められた彫像などは
実写3Dで紹介されるが、そこに加わるのが、ヴァチカンの
ときと同じく3D化された絵画の数々だ。
そこではボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」「春(プリ
マヴェーラ)」やミケランジェロの「聖家族」、ラファエロ
の「ひわの聖母」、ダ・ヴィンチの「受胎告知」などの名画
が3D化されて紹介される。
また、煤に埋もれて発見され、2011年から修復が進められて
いるダ・ヴィンチの未完の作「東方三博士の礼拝」の全貌は
スクリーンを通じて初の公開となるものだそうだ。それらの
映像が4Kの画面で鮮明に写し出される。
さらにフィレンツェの象徴とも言えるサンタ・マリア・デル
・フィオーレ大聖堂の姿は実写の3D映像だけでなく、その
構造なども建設当時の図面を立体化して紹介しており、それ
も興味深いものになっていた。
そしてその中でも僕が気に入ったのは、カラヴァッジョ作の
「メデューサ」。円形の盾の前面に描かれたその頭部は、勇
者ペルセウスが切り落とした直後を描いており、頭髪の蛇や
滴る血などが見事な3D映像で再現されていた。
以前の『ヴァチカン』では3D化されたシスティーナ礼拝堂
の天井画に驚嘆したが、今回の「メデューサ」はそれを超え
るリアルさで、1981年レイ・ハリーハウゼンの『タイタンの
闘い』を思い出させてくれた。
フィレンツェのルネサンスとメディチ家の関係では、2013年
12月紹介『ダ・ヴィンチ・デーモン』なども思い出したが、
本作ではそれに勝る3Dアドヴェンチャーを体験した感じも
したものだ。
このシリーズでは『ヴァチカン美術館』が先鞭を付けたこと
から他の美術館も追随はし易くなっているものと思えるが、
さらに世界各地の美術館でも同様の作品が制作されることも
期待したいものだ。

公開は7月上旬より、東京はシネスイッチ銀座ほかで、全国
ロードショウとなる。

『ホーンテッド・キャンパス』
累計発行部数70万部、第19回日本ホラー小説大賞で読者賞を
受賞したという櫛木理宇原作の映画化。
主人公は幽霊が見える能力を持つ若者。本人的にはそれが負
担で、出そうなところには近づかないことを心掛けている。
ところが一浪して入った大学で、再会した1年後輩の女性が
あろうことかオカルト研究会に入部してしまう。そのため彼
女に思いを寄せる主人公も入部を決意。
ところがそこは怪異現象の相談所で、早速壁に女性の顔の染
みが浮き出るという相談を受けた研究会は、主人公の能力も
あって謎を解決してしまう。そして次の謎は、大学側がひた
隠しにする自殺者の幽霊と、それに関って閉じ籠りになった
大学教授の娘を助けることになるが…。
そんな物語が、ウィジャボードなどの小道具や薀蓄を鏤めて
語られて行く。因に原作はすでに9巻が発表されているもの
だが、本作の前半はその第1巻に沿ったもののようだ。

主演は、2008年NHKドラマ『バッテリー』で主演デビュー
した中山優馬。テレビでは主演作が列挙される中山だが、映
画は初出演だそうだ。また歌手でもある中山は本作の主題歌
も歌っている。
共演は、AKB48の一員で2015年『劇場霊』などの島崎遥
香、2013年12月紹介『黒執事』などの大野拓朗、2014年5月
紹介『キカイダーREBOOT』などの高橋メアリージュン、それ
にジャニーズJr.の安井謙太郎。
他に大和田伸也らが脇を固めている。
脚本は、2015年『探検隊の栄光』などの徳尾浩司。藤原竜也
主演の前作はここでの紹介はしなかったが、試写は観てそれ
なりに納得できる作品だった。
監督は、関西でテレビドラマやCMなどを数多く手掛け、関
西ATP賞なども受賞している竹本聡志が担当。本作で映画
デビューを飾っている。
本作をSFの範疇に入れるかどうかには抵抗もあるが、物語
はそれなりに理詰めに作られていて納得できる作品だった。
『探検隊の栄光』もドタバタの割には展開には納得できたも
ので、この脚本家には注目しておきたい。
しかも青春映画としても機能しているし、その一方でホラー
シーンもしっかりと演出されており、その辺のバランス感覚
も良いように感じられた。とにかく好感の持てる作品と言え
る。それにしても今年は本当に当たり年になりそうだ。

公開は7月2日より、全国ロードショウとなる。

『雨女4DX』
昨年12月紹介『ボクソール★ライドショー』に続いて4DX
シアター専用に制作されたホラー作品。そのシステムに今回
は、『呪怨』などの清水崇監督が挑んだ。
主人公は父子家庭で育った女性。母親を知らずに育った彼女
は、彼女自身の「女性」に自信がなく、恋人の不倫を疑って
もそれを咎めることができなかった。
そんな彼女は同じ夢を繰り返し見る。それは雨の中を踏切の
前に佇む幼女が、男児を抱えて電車に跳ねられる黒衣の女性
を目撃するというもの。しかし彼女はその3人の顔に見覚え
はなかった。そして密かにその女性を雨女と呼んでいた。

主演は2015年12月紹介でようやく6月25日の公開が決まった
『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』などの清野菜名。相手
役に2014年3月紹介『恋につきもの』などの�暴啾析此B召�
高橋ユウ、田口トモロヲらが脇を固めている。
清水崇監督の近作は、2015年6月『7500』と2014年1月
『魔女の宅急便』を紹介しているが、その前には2011年8月
『ラビット・ホラー3D』、2009年9月『戦慄迷宮』を紹介
していて、新技術にも果敢に挑戦する人のようだ。
その監督が4DXに挑戦したものだが、実は僕が観た内覧試
写では4DX部分がまだ完成ヴァージョンではなく、完全で
はないと紹介されたもの。それでも題名から連想されるもの
は4DXで執拗に再現され、それは風情も感じられた。
昨年12月紹介『ボクソール…』はどちらかというとオカルト
映画の部類だったが、本作は正にオーソドックスな怪談話。
ただし上映時間が35分なので話の深みの点では少し物足りな
いが、夏の納涼には良い感じだろう。

公開は6月4日より、東京はシネマサンシャイン平和島、ユ
ナイテッドシネマ豊洲、ユナイテッドシネマとしまえん他、
全国の4DXシアター独占での上映となる。

この週は他に
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
            “Captain America : Civil War”
『教授のおかしな妄想殺人』“Irrational Man”
『ヒマラヤ 地上8,000メートルの絆』
            “히말라야 : 바람이 머무는 곳”
『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』
『あなた、その川を渡らないで』
             “님아, 그 강을 건너지 마오”
を観たが全部は紹介できなかった。申し訳ない。

なお次回はゴールデン・ウィークのため休載の予定です。


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井口健二