| 2016年02月28日(日) |
スキャナー、すれ違いのダイアリーズ、追憶の森、SUNSET STRIP |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『スキャナー』 『ALWAYS三丁目の夕日』シリーズやテレビの『相棒』なども 手掛ける古沢良太のオリジナル脚本で、人が触った物や居た 場所に残った思念を捉える特殊能力(スキャニング)を持つ 人物を主人公にした多分SFの範疇に入ると思われる作品。 物語の始まりはピアノ教師の失踪。しかし大人の失踪は警察 も取り合ってはくれない。そんな事件が芸能プロダクション に持ち込まれる。というのも、その事務所に所属するお笑い コンビがスキャニングを売り物にしていたからだ。 ところがその芸人は何度か飛んでもない真実を言い当てたた めに芸が続けられなくなり、さらに極度の人間不信に陥って いた。それでも教師の教え子だった少女の真剣な眼差しに、 遂には現場に向かってしまうのだが…。 その捜査は恐ろしい連続殺人事件へと繋がって行った。 出演は、2012年8月紹介『のぼうの城』などの狂言師の野村 萬斎と、2011年10月紹介『月光ノ仮面』などの宮迫博之。そ れに2014年『イン・ザ・ヒーロー』などの杉咲花。 さらにジャニーズ・関ジャニ∞の安田章大、2013年12月紹介 『小さいおうち』などの木村文乃。ちすん、梶原善、風間杜 夫、高畑淳子らが脇を固めている。監督は、2011年3月紹介 『ポールダンシングボーイ★ず』などの金子修介。 野村は初めての現代劇への出演だそうだが、かなりエキセン トリックな役柄を嫌味なく、それなりの雰囲気を醸しながら 演じている。しかも宮迫とのコンビネーションも中々に良い 感じだった。 そしてお話では、このスキャニングという能力が単純に残留 思念を読み取るだけでなく、能力を持つ者への負担やさらに 様々なトリックを絡めるなど、SFファンとして納得できる 描き方になっていた。 実際、この特殊能力にどれほどのポピュラリティがあるのか 判らないが、本作ではそのSF的な説明も巧みで、さらにこ こからの発展形も期待できる展開になっていた。正直、続編 も期待したくなる作品だ。 公開は4月29日より、全国ロードショウとなる。 金子修介監督の作品と言うことでは、観る前には一抹の不安 もあったが、本作に関しては全く問題を感じなかった。それ は多分脚本の良さにもあるのだろうが、それをストレートに 演出している点も好感だった。 それにしても今年は、日本映画のSF作品に次々秀作が登場 して嬉しい限りだ。
『すれ違いのダイアリーズ』“คิดถึงวิทยา” タイの辺境で水上に建てられた小学校を舞台に、その小学校 で学ぶ生徒たちとそれぞれ曰くのある男女の教師を巡って、 極めて巧みに描かれたドラマ作品。 1人目は優秀な理系の女教師だが、信念を曲げることが嫌い で腕に入れたタトゥーを消すことを拒否し、都会の小学校か ら水上の分校に転勤させられる。そしてここでも貧しい家庭 の父兄と対立もするが、生徒の成績は向上させる。 2人目はあまり優秀とは言えない体育系の男教師。彼は生徒 たちの教育の方針も立てられずに初日から立ち往生するが、 そんな彼が女教師の残した日記帳を見つける。そこには彼女 が迷いながら進めた教育の記録が残されていた。 そして彼はその日記帳を手掛かりに生徒たちの教育を進めて 行くことになり、いつしかその日記を通じて彼女の存在を身 近に感じるようになって行くが…。水死体の漂着や嵐の来襲 など様々な出来事が学校を脅かす。 主演は、オーディション番組の出身でタイでトップクラスの 人気を誇り本作で映画デビューを果たしたスクリット・ウィ セートケーオと、30作以上のテレビドラマ及び20作以上の映 画に出演し、2003年の『地球で最後のふたり』では浅野忠信 と共演したこともあるチューマーン・ブンヤサック。 監督は、2003年に大学時代の映画仲間たちと作った『フェー ンチャンぼくの恋人』が大ヒットを記録し、タイの映画を変 えたとも言われるニティワット・タラトーン。タイ映画の今 を代表する監督の最新作だ。 水辺の建物と、異なる時間に生きる男女、そしてその2人を 繫ぐ日記帳。この流れには2006年7月にハリウッドリメイク を紹介した『イルマーレ』を想起したが、本作は見事にファ ンタシーではなく、ストレートなドラマが展開される。 しかしそれが時間の流れを巧みに交錯させて、これもある種 のファンタシーと言いたくなる作品に構築されていた。しか もそこに思いもよらぬ事物が侵入してくる。その展開の見事 さは、久し振りに映画の醍醐味と言いたくなる作品だ。 それに背景となる大自然の素晴らしさ。さらに子供たちのい たいけな姿。水上に建つ建物には2004年8月紹介『春夏秋冬 そして春』なども思い出すが、本作もまたそこでの素晴らし いドラマが展開されていた。 公開は5月。東京はシネスイッチ銀座他で、全国順次ロード ショウとなる。
『追憶の森』“The Sea of Trees” 2010年9月紹介『リミット』などのクリス・スパーリングの 脚本を、2011年10月紹介『永遠の僕たち』などのガス・ヴァ ン・サント監督が、2014年11月紹介『インターステラー』な どのマシュー・マコノヒーと、渡辺謙を主演に迎えて映画化 した人間ドラマ。 マコノヒーが演じるのは、手荷物も持たず日本にやってきた アメリカ人の男性。何かを思い詰めたようなその男性は、そ のまま富士山麓へと向かい青木ヶ原樹海に足を踏み入れる。 そう彼は自殺するためにこの場所にやってきたのだ。 そして自殺を思い止めさせようとする看板や、立ち入り禁止 の標識も無視して樹海の奥に歩を進めて行く。そこには樹か らぶら下がったままの遺体や白骨化した遺体も散在し、正に 彼が求める「完全な死に場所」だった。 ところが彼が持参の薬を服用しようとした時、木々の間に日 本人の男性を発見する。そして道に迷ったというその男性に 何とか帰り道を教えようとする主人公だったが、樹海の奥深 くからは容易にその道を探すことができなかった。 こうして主人公は男性と共に樹海を彷徨うことになり、そこ に様々な試練が襲い掛かる。さらにその間に、彼が死を思い 詰めるまでの経緯が描かれて行く。それは哀しくも美しい夫 婦愛の物語だった。 共演は、2012年9月紹介『ドリームハウス』などのナオミ・ ワッツ。物語は事実上この3人だけで進められて行く。 物語はクリス・スパーリングのオリジナルのものだが、題材 からは2005年4月紹介『樹の海』を思い出さずにはいられな い。本作の原題も正にその通りのものだ。もちろん展開など は異なるが、結論はある意味同じともとれる。 でもこの題材はこの結末でなければ困る訳で、この結末に至 るまでの物語の進め方が見どころと言える作品なのかもしれ ない。その点で言えば本作の進め方は極めて納得できるもの であった。 それにしても青木ヶ原樹海が全世界的にこれほど知れ渡って いるとは…。因に当地での映画撮影は現在は禁止されている はずで、そのため本作の撮影はアメリカのマサチューセッツ で行われたようだ。 公開は4月29日より、東京はTOHOシネマズ新宿ほかで、全国 ロードショウとなる。
『SUNSET STRIPロックンロールの生誕地』“Sunset Strip” 僕の世代には、往年のテレビシリーズ『サンセット77』が 懐かしいロサンゼルスの一角を描いたドキュメンタリー。 STRIPは「脱衣が売りのショウではなくて、細い道のこと」 というのは本作の中でも解説されているから、アメリカ人に もそんな誤解はあるのだろう。とは言うものの本作の中でも ストリップショウの映像はふんだんに出てくるから、その誤 解も仕方ないのかもしれない。 そんなハリウッドとビバリーヒルズの間に位置する2�劼曚� の道の歴史が描かれる。そこにはWhisky a Go Goなどの店が 立ち並び、かつてはラスヴェガスより華やかなショウタウン としても栄えていた。 僕自身が以前は毎年夏休みにはアメリカ西海岸に行っていた 時期もあり、大抵はチャイニーズシアターの辺りの宿だった から、そこからほど近いサンセットストリップにはよく足を 運んでいた。 もちろんエコノミー旅行者だし、夜間は危ないと言われた時 期だったから、豪華なショウスポットなどには入れなかった が、上記のテレビシリーズの思い出の場所だけはしっかりと 観に行ったものだ。 そして本作の中では、テレビシリーズの人気者だったエド・ “クーキー”・バーンズが登場してくれたのも嬉しかった。 さらに往時の髪形を真似た出演者がトレードマークの櫛まで 取り出してくれるのだが…。 その一方で、ジョン・ベルーシやリヴァー・フェニックスの ことなどにも言及され、それらは負の歴史としても避けては 通れないもののようだ。しかもそれがダン・エイクロイドや ジョニー・デップらの口から聞かされるのだ。 また一方でサンセットの動乱事件なども紹介され、そこでは ピーター・フォンダが逮捕された模様なども本人の口から語 られる。日本でも学生運動が華やかだった時代の話だが、こ れも貴重な歴史の証言と言えるものだ。 そんなことがある種のごったまぜで綴られている作品。実は 僕は音楽には明るくないので、その方面の話題はよくは判ら なかったが、本作のタイトルに掲げられた通りのことも歴史 的に検証されているようだ。 脚本と監督は、MOOGのハンス・フェルスタッド、製作者には Guns N' Rosesのマット・ソーラムらが名を連ねている。 公開は4月23日より、東京は新宿シネマカリテにてモーニン グ&レイトショウの他、全国順次ロードショウとなる。
この週は他に 『下衆の愛』 『君がくれたグッドライフ』“Hin und weg” 『ひそひそ星』(次回紹介の予定) 『殿、利息でござる』 『花、香る歌』“도리화가 桃李花歌” 『獣は月夜に夢を見る』“Når dyrene drømmer” 『ふきげんな過去』 『きかんしゃトーマス 探せ!!謎の海賊船と失われた宝物』 “Thomas & Friends: Sodor's Legend of the Lost Treasure” 『グランドフィナーレ』“Youth” を観たが全部は紹介できなかった。申し訳ない。
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