井口健二のOn the Production
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2015年11月08日(日) 007/スペクター

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『007/スペクター』“Spectre”
2006年11月紹介『007/カジノ・ロワイヤル』でイングラ
ンド出身のダニエル・クレイグが6代目ジェームズ・ボンド
に扮してから4作目となるスパイシリーズの最新作。
監督は前作に引き続いて2011年1月紹介『お家をさがそう』
などのサム・メンデスが担当し、ボンドの出自に関わる問題
や、何とそこに起源があった宿敵との対決が描かれる。
物語の開幕はメキシコシティの死者の祭り。2003年にユネス
コ無形文化遺産にも登録された奇祭を背景に、ボンドの任務
が遂行される。ところがそれは思わぬ結果を引き起し、それ
が公式の作戦ではなかったボンドは責任を問われることにな
る。実はそこには重大な事実が隠されていたのだが…。
このためMから謹慎を命じられたボンドだったが、ボンドの
活動は止まらない。Qの研究室からアストンマーティンを拝
借したボンドは、自分の居所が一時不明になるようQに依頼
して作戦行動を再開する。それはボンド生涯の宿敵との対決
だった。

共演は、2012年11月紹介『007/スカイフォール』に引き
続いてのレイフ・ファインズ、ベン・ウィンショー、ナオミ
・ハリス。それに2012年1月紹介『おとなのけんか』などの
クリストフ・ヴァルツ、2011年12月紹介『ミッション・イン
ポッシブル/ゴースト・プロトコル』などのレア・セドゥ。
さらにモニカ・ベルッチらが脇を固めている。
脚本は前作に続いてのジョン・ローガンと、1999年『ワール
ド・イズ・ノット・イナフ』以降の全作を手掛けるニール・
パーヴィス&ロバート・ウェイドが担当している。
映画のエンドロールにminiature effects supervisorという
項目が掲げられてクリス・コーボールドという名前が記載さ
れている。同じ項目は『カジノ・ロワイヤル』でも観られた
ものだが、前の作品では最後の運河に建物が沈んで行くシー
ン、そして本作では巻頭のビルの倒壊シーンがミニチュアで
撮影されたようだ。
ハリウッドではCGI−VFXが全盛の時代にミニチュアは
どうなのかと考える人も多いと思うが、本作を観ればその認
識を新たにすることは間違いないだろう。それは『ゴースト
・プロトコル』でクレムリンをぶっ飛ばしたような無茶苦茶
さはないけれど、間違いなくそこにある建物が倒壊して行く
迫力は、本作の映像の方が優っていると感じたものだ。
当然ここにはCGIによる補正も施されている訳で、これが
新時代のミニチュアワークと言える見事な映像が展開されて
いる。それが楽しめるのもジェームズ・ボンド映画の魅力と
言えそうだ。

公開は12月4日より、全国一斉のロードショウとなる。


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井口健二