井口健二のOn the Production
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2015年08月23日(日) 木屋町DARUMA

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『木屋町DARUMA』
大手出版社からは刊行を拒否され、現在は電子書籍のみで出
版されているという「発禁」小説の映画化で、昨年制作され
たものの1年以上お蔵入りだった作品。ようやく公開に漕ぎ
付け試写が開始されたその作品は、僕が今年観た日本映画の
中でもベストと呼べる快作だった。
主人公は京都の木屋町を根城にするヤクザ者。元は界隈を仕
切った大物だったらしいが、出入りの落とし前で四肢を関節
から切断され、達磨の姿になっている。それでも借金の取り
立て屋としては格段の実績を上げているようだ。
その手口は、債務者の家に主人公が居座りその介護をさせる
というもの。それは食事から下の処理まで自分ではできない
訳だし、さらに介護に託けた横暴な振る舞いで債務者は早々
に音を上げてしまうという寸法だ。
そして今回乗り込んだ一家でも、債務者の父親には危険なこ
とも承知で何でもすると約束させ、その娘は風俗で稼がせる
ことを決めてしまう。そんな達磨には元兄弟分で今は組を仕
切る男の配下の若者が付いて世話をしていたが…。

出演は、遠藤憲一、三浦誠己、武田梨奈、寺島進。他に木村
祐一、木下ほうか、烏丸せつこ、2008年5月紹介『同窓会』
などの尾高杏奈らが脇を固めている。
監督は2010年2月紹介『誘拐ラプソディー』などの榊英雄。
出版社から断り続けられていた丸野裕行の原作を原稿段階で
読んだという榊が、自らプロデューサーも兼ねて映画化した
もので、脚本は原作者の丸野自身が担当している。
遠藤のDARUMAはCGI−VFXで描写されているものだが、
恐らく肘と膝を縛って演技したと思われるその姿は、これは
遠藤にしか出来ないと思わせる見事なものだ。特にその姿で
の横暴な振る舞いは、正しく鬼気迫るものだった。
それにしてもこのような姿が比較的容易に描写できるように
なったものだが、せっかく描写できてもそれを公開できない
のも考えてしまうところだ。因に本作ではDARUMAという題名
だけで映画館に拒否されてしまったとのこと。
それは同じ障害を持つ人には自分のことを言っているのかと
思うのかもしれないが、本作はそんな姿になっても雄々しく
生きて行く男の生き様を描いたもので、それは決してその姿
を馬鹿にして描いたものではない。
そんな実物も観ないで、題名だけで端から拒絶してしまう風
潮も如何かと思ってしまうところだ。R15+の指定は仕方な
いと思うが。

公開は10月3日より、東京は渋谷シネパレスほか、全国順次
ロードショウとなる。


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井口健二