※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『木屋町DARUMA』 大手出版社からは刊行を拒否され、現在は電子書籍のみで出 版されているという「発禁」小説の映画化で、昨年制作され たものの1年以上お蔵入りだった作品。ようやく公開に漕ぎ 付け試写が開始されたその作品は、僕が今年観た日本映画の 中でもベストと呼べる快作だった。 主人公は京都の木屋町を根城にするヤクザ者。元は界隈を仕 切った大物だったらしいが、出入りの落とし前で四肢を関節 から切断され、達磨の姿になっている。それでも借金の取り 立て屋としては格段の実績を上げているようだ。 その手口は、債務者の家に主人公が居座りその介護をさせる というもの。それは食事から下の処理まで自分ではできない 訳だし、さらに介護に託けた横暴な振る舞いで債務者は早々 に音を上げてしまうという寸法だ。 そして今回乗り込んだ一家でも、債務者の父親には危険なこ とも承知で何でもすると約束させ、その娘は風俗で稼がせる ことを決めてしまう。そんな達磨には元兄弟分で今は組を仕 切る男の配下の若者が付いて世話をしていたが…。 出演は、遠藤憲一、三浦誠己、武田梨奈、寺島進。他に木村 祐一、木下ほうか、烏丸せつこ、2008年5月紹介『同窓会』 などの尾高杏奈らが脇を固めている。 監督は2010年2月紹介『誘拐ラプソディー』などの榊英雄。 出版社から断り続けられていた丸野裕行の原作を原稿段階で 読んだという榊が、自らプロデューサーも兼ねて映画化した もので、脚本は原作者の丸野自身が担当している。 遠藤のDARUMAはCGI−VFXで描写されているものだが、 恐らく肘と膝を縛って演技したと思われるその姿は、これは 遠藤にしか出来ないと思わせる見事なものだ。特にその姿で の横暴な振る舞いは、正しく鬼気迫るものだった。 それにしてもこのような姿が比較的容易に描写できるように なったものだが、せっかく描写できてもそれを公開できない のも考えてしまうところだ。因に本作ではDARUMAという題名 だけで映画館に拒否されてしまったとのこと。 それは同じ障害を持つ人には自分のことを言っているのかと 思うのかもしれないが、本作はそんな姿になっても雄々しく 生きて行く男の生き様を描いたもので、それは決してその姿 を馬鹿にして描いたものではない。 そんな実物も観ないで、題名だけで端から拒絶してしまう風 潮も如何かと思ってしまうところだ。R15+の指定は仕方な いと思うが。 公開は10月3日より、東京は渋谷シネパレスほか、全国順次 ロードショウとなる。
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