井口健二のOn the Production
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2015年07月05日(日) ターミネーター:新起動/ジェニシス

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ターミネーター:新起動/ジェニシス』
                “Terminator Genisys”
1984年に第1作、1991年に第2作が公開され、以後2003年と
2009年にも続編が製作された人気シリーズの最新作。
本作の開幕は1997年に<審判の日>が発動したとされる未来。
人類はジョン・コナーの指揮の許、遂にスカイネットによる
支配を打ち倒す日を迎えようとしていた。ところがコナーは
敢えて最終戦の指揮を取らず、カイル・リースと共に別の場
所でその時を迎える。そこではタイムマシンがジョンの母親
サラ・コナーを抹殺すべく、T-800を過去に送り出そうとし
ていたのだ。そしてその阻止に失敗したコナーはサラを援助
するためリースを過去に送り出すのだが…。
本作の製作に関しては事前にリブートという情報が伝えられ
ており、映画の始まりは1984年当時では不可能だったVFX
を盛り込んで正しく第1作がそのままリメイクされていた。
ところが1984年に現れたT-800がパンク野郎に迫った瞬間、
背後から「ちょっと待った〜」の声が掛かり、そこから物語
は全く新しい展開へとなだれ込んで行く。
そして本作の物語では、新たに2017年となった<審判の日>の
発動を阻止するべく、サラ・コナーとカイル・リース、それ
にT-800の活躍が描かれて行くことになる。しかもそこには
スカイネットによる新たな陰謀が潜み、タイムパラドックス
によって生じた2つの時間流に跨る、壮大な物語が展開され
るのだ。

出演はアーノルド・シュワルツェネッガーに加えて、2011年
スタートのジョージ・R・R・マーティン原作ファンタシー
ドラマ“Game of Thrones”でブレイクしたというエミリア
・クラーク、2013年『ダイ・ハード ラスト・デイ』で息子
を演じたジェイ・コートニー。
さらに2012年12月紹介『王になった男』などのイ・ビョンホ
ン、2013年7月紹介『ホワイトハウス・ダウン』などのジェ
イスン・クラーク、先の米アカデミー賞で助演男優賞を受賞
したJ・K・シモンズらが脇を固めている。
脚本は『ホワイトハウス・ダウン』などのレータ・カログリ
ディスと2011年7月紹介『ドライブ・アングリー3D』など
のパトリック・ルシエ。監督は、2013年12月紹介『マイティ
・ソー/ダーク・ワールド』などのアラン・テイラーが担当
した。
以下は前作などのネタバレを含みますので、気を付けてお読
みください。
上では第1作のリメイクではなく続きであるとを書いたが、
実際問題として本作は、2003年の『T3』のリブートと位置
づけることはできるだろう。ただし『T3』では<審判の日>
は発動してしまうが、本作ではそれが起きていないことにな
り、つまり『T3』は無かった話になってしまう訳だ。
ということでいろいろややこしいタイムパラドックスが生じ
ているものだが、実はその辺に矛盾がないか確認するため、
試写を2回観に行った。その点で言うと本作の物語の中では
伏線も巧みに敷かれて辻褄は合っているように思えた。
それに本作の前提となるカイル・リースの2重の記憶に関し
ても、それはそれなりにSFとしては成り立つ説明だったと
思えるものだ。ただしそれは本作の展開に関してであって、
これを第1作、第2作に続くものとするといろいろとまだ納
得できない部分が生じる。
特に2重の記憶に関しては、カイル・リースが時間流の分岐
点を超えたときにすでに1997年の<審判の日>は回避されてい
ることになるが、ではそれを成し遂げたのはいったい誰なの
か? 本作ではその疑問に応えられていない。いやひょっと
すると2008年11月紹介『サラ・コナー クロニクルズ』が関
るのかな。
もっとも本作では、「オジサン」と呼ばれるT-800が誰に派
遣されたかも不明のままな訳で、エンディングロールの中で
告知される続編にその回答が期待されるものだ。

公開は7月10日より、2D/3Dで全国一斉ロードショウと
なる。


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井口健二