井口健二のOn the Production
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2015年06月28日(日) 7500、エクストラテレストリアル

『7500』“7500”
清水崇監督による2004年『THE JUON/呪怨』、2006年『呪怨
パンデミック』に続くハリウッド進出の第3作。
前の2作は元々が自作のリメイクだし、撮影も日本で行われ
るなど、強いて言えば「製作者がハリウッド」という程度の
作品だった。それに対して本作は脚本もハリウッド側で、撮
影も全編が向こうのスタジオで行われたものだ。
ドラマの舞台はロサンゼルス発東京行きジャンボジェット機
の機内。ロサンゼルスの空港で様々な乗客が乗り込んでくる
ところから映画は開幕する。そんな乗客たちがそれぞれの人
間模様を繰り広げる中、飛行機は離陸するが…。
そんな旅客機を乱気流が襲う。しかしそれ自体は大過もなく
飛行は続くが、やがて機内で不思議な現象が起こり始める。
乗客の1人が突然死し、移動した男の遺体が忽然と消える。
そして機内はホラーハウスへと変貌する。

出演は、2009年3月紹介『お買いもの中毒な私!』などのレ
スリー・ビブ、2011年4月紹介『エンジェル・ウォーズ』な
どのジェイミー・チャン。
他に、2008年1月紹介『デッド・サイレンス』で主演のライ
アン・クワンテン、2012年4月紹介『バトルシップ』に出演
のジェリー・フェレーラ、2009年7月紹介『アドレナリン』
などのエイミー・スマートらが脇を固めている。
脚本は、ブレット・ラトナーの監督、ピアーズ・ブロスナン
主演で映画化された2005年10月紹介『ダイヤモンド・イン・
パラダイス』などのクレイグ・ローゼンバーグによるオリジ
ナル作品とのことだ。
製作は、『THE JUON/呪怨』やオスカーを受賞した『デパー
テッド』なども手掛けたロイ・リーが担当している。
展開の中には清水監督自身のセルフパロディも含めて様々な
ホラー作品へのオマージュも観られるが、マニア的には後半
に登場する『ミステリーゾーン』の映像が正にこれだという
感じで楽しめる。
1984年の劇場版『トワイライトゾーン 超次元の体験』でも
リメイクされたその作品は、1960年代にCBSで放送された
テレビシリーズの中でも最も怖かいと言われたもので、その
作品をここで再見できるとは…と感激したものだ。
因に本作は、アメリカCBS films Inc.の製作による。その辺
の事情も心地良い。

公開は7月25日より、東京は新宿バルト9他で、全国ロード
ショウとなる。

『エクストラテレストリアル』“Extraterrestrial”
2012年4月と2013年1月に紹介した『グレイヴ・エンカウン
ターズ』を手掛けたザ・ヴィシャス・ブラザーズが、新たに
挑戦したUFOが題材のホラー・サスペンス。
登場するのは休暇を田舎の別荘で過ごそうとやってきた女子
大生とその仲間たち。そこで一くさりの人間模様はあるが、
やがて到着した別荘で彼女たちは炎上して墜落する物体を目
撃する。そして時ならぬ嵐と停電。
さらに何者かの気配に恐怖して街に向かおうとした彼らの頭
上に赤く光る飛行物体が現れる。原題は、1982年スティーヴ
ン・スピルバーグ監督の名作と同じものだけれど、本作では
それが恐怖とサスペンスに包まれたものとなる。

出演は、主にテレビで活躍中のブリタニー・アレン、2010年
11月及び2011年7月紹介『ハリー・ポッターと死の秘宝』に
出ていたというフレディ・ストローマ。
さらに2006年のシリーズ第3作『ファイナル・デッド・コー
スター』に出ていたというジェシー・モス、2004年8月紹介
『ブラインド・ホライズン』に出ていたというギル・ベロー
ズ。
そして1998年『スターシップ・トゥルーパーズ』や、2009年
5月紹介『ターミネーター4』などのマイクル・アイアンサ
イドが脇を固めている。
脚本は、ザ・ヴィシャス・ブラザーズのコリン・ミニハンと
スチュアート・オルティス。そして監督は片割れのミニハン
が担当している。
因に、『グレイヴ・エンカウンターズ』の第1作はザ・ヴィ
シャス・ブラザーズ名義の監督だが、POV形式の作品で特
に監督の手腕が発揮されるという感じのものではなかった。
また、その第2作では他の監督を招いていた。
それが今回はストレートなドラマ形式のものだが、演出では
特に気になるような感じはしなかった。まあ俳優たちもそれ
なりのメムバーだし、その辺はちゃんと考えられているのだ
ろう。
物語の背景はロズウェル事件以降の一連の流れもののだが、
さらにそこから政府の陰謀説に踏み込む辺りが…。特にその
悪意を描いているのはザ・ヴィシャス・ブラザーズの真骨頂
と言えるだろう。
ハリウッドでは中々ここまでは踏み込めないかもしれない。

公開は7月25日から、東京はヒューマントラストシネマ渋谷
他で、全国順次公開となる。


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井口健二