| 2014年12月07日(日) |
宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟、ホビット・決戦のゆくえ、ヴァチカン美術館4K3D天国への入口 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟』 2012年3月に第1章のみ紹介したアニメシリーズのリメイク 版『宇宙戦艦ヤマト2199』から派生した新作アニメ作品。 リメイク版の経緯については前回紹介しているが、その後の 公開作品については試写が行われなかったので、僕には観る 機会がなかった。ついでに言うとオリジナルのシリーズにつ いても前回書いたようにほとんど観ていないので、本作の背 景となる展開はほとんど知らないものだ。 そういう目で観ていると、お話の一部はシリーズに基づくの で理解しづらい部分もあるが、その辺はそれなりに劇中の説 明もあるので何とか背景は理解できているつもりだ。そして 本作ではイスカンダル星から地球への帰還航行中の出来事が 描かれる。 宿敵ガミラス軍とは休戦がなされたようだが、残党の中には 上官を戦闘で失うなどで宇宙戦艦ヤマトを仇敵と考える者も おり、そんな連中はヤマトに一矢を報いようと考えている。 またそこにはガミラス軍に敵対する別の勢力もいて、そんな 三つ巴の中で話は進む。 目的の品〈コスモリバースシステム〉を受領し銀河への帰還 のため大マゼラン星雲外縁部を航行中のヤマトを、突如謎の 機動部隊が襲う。その部隊はガミラスとも敵対する戦闘民族 のもので、彼らはヤマトが搭載する究極の兵器〈波動砲〉を 狙っていた。 これに対してヤマトはその兵器の使用が許されず、捨て身の ワープで異空間に迷い込む。さらに操縦を支配されたヤマト はその空間に浮かぶ惑星に引き寄せられる。そこでヤマトは 艦体の修復を開始、同時に惑星の探索を行うことになるが… そこには先に到着したガミラスの兵士たちもいた。 この謎の異空間というのが、SFファンなら大体想像の付く ところで、そんな背景の中でこれもまあSFなら有り勝ちな 物語が展開して行く。それは日本アニメのファン的にはどの ようは評価になるかは判らないが、SFファンの眼からする とそれなりに納得もできるし悪くない物語だった。 それにシリーズを観ていないと判りにくい人物関係も、本作 では本来のものと切り離して設定されていたようで、それは シリーズを知っていればもっと深いのかもしれないが、これ だけ観ていてもさほど違和感もなく了解できるものになって いた。 ただ、本当ならここから発展して新たなシリーズが始まるの かという期待も持っていたが、地球への帰投中のエピソード ではそれを始める訳にもいかないもので、その辺は仕方ない のかな。出来ることならこの先で〈宇宙戦艦ヤマト〉という 設定を生かした新シリーズの展開も期待したいものだ。 公開は昨日12月6日から、全国ロードショウになっている。
『ホビット・決戦のゆくえ』 “The Hobbit: The Battle of the Five Armies” 2013年12月紹介『ホビット・竜に奪われた王国』の続きで、 ピーター・ジャクスン監督による3部作の最終編。 物語は完全に前作の続きで、映画は炎をまき散らすスマウグ が湖に浮かぶ島を襲っているシーンから開幕する。そしてそ の戦いを生き延びた島民は対岸の山の砦へと向かうのだが、 そこで彼らは、竜の財宝を巡るドワーフ、エルフ、オークら の戦いに巻き込まれることになる。 本作の上映時間は2時間24分、これはジャクスンが制作した 「中つ国」の物語6作の中では最も短いものだが、その中で 本作では実に45分の戦闘シーンが描かれているのだそうだ。 実際に映画は巻頭のスマウグとの闘いに始まり、後半では竜 の財宝を巡る戦いが執拗に描かれる。 つまりこれが現在の映画ファンに最も好まれる展開と監督ら が判断した物語と言うことなのだろうが、2004年の米アカデ ミー賞で11部門を独占した『LOTR:王の帰還』とはずいぶん 味わいの違う終り方になっていた。もっとも本作はこの後に 『LOTR』の3部作が続くから終わりではないのだが。 ただ個人的な意見を言わせてもらえれば、やはりサウロンの 誕生はもっと明白に描いて欲しかったかな。前作に登場した ネクロマンサーがサウロンになることは知られており、本作 の中でもその台頭を警告するガンダルフの発言などは聞かれ るが、何か納得させてくれるものが欠けていた気がする。 それにイアン・ホルムの登場は嬉しかったが、ヴィゴ・モー テンセンも出てきて欲しかった感じもした。本作の終盤では レゴラスがストライダー=アラゴルンの探索を命じられてい るが、その間のアラゴルンの冒険も観てみたかった。それに してもこの時点でアラゴルンて何歳なんだろう? 出演は、イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン、リ チャード・アーミティッジ、オーランド・ブルーム。 他にケイト・ブランシェット、エヴァンジェリン・リリー、 ルーク・エヴァンス、ベネディクト・カンバーバッチ。さら にクリストファー・リー、ヒューゴ・ウィーヴィングらが脇 を固めている。 公開は12月13日から、3D/2D、IMAX3D、HFR3Dで 全国一斉ロードショウとなる。 上記の理由で、「中つ国」の物語がこれで終わりになるとは 思えない。最後のシーンは『LOTR』に直結になってしまった が、番外編としてアラゴルンの冒険とサウロンの誕生は改め て描いて欲しいと思うものだ。それにレゴラスには若返りの 処理を施して欲しいかな。 いずれにしても、6部作を改めて通しで観たいという気分に もさせられた。
『ヴァチカン美術館4K3D天国への入口』 “The Vatican Museums 3D” キリスト教の総本山、ローマ・ヴァチカン市国にある公式の 美術館が、自ら制作に当たった美術品鑑賞のためのドキュメ ンタリー作品。 映画ではヴァチカン美術館館長のアントニオ・パオルッチ氏 が自ら登場し、美術館の歴史や所蔵された美術品の解説を繰 り広げる。その解説に合わせて個々の作品が3D映像で映し 出されるものだ。 それは作品が彫刻であればその立体感が最大限に発揮され、 しかも普通では観ることのできない位置にまで3Dカメラが 迫ってその迫力も再現する。そこでは例えばミケランジェロ の「ピエタ」に作者自ら刻印した名前も読み取れる。 その他、古典彫刻の荒々しいまでの躍動感や優美さなどが、 正しく臨場感以上の感動を持って提示される。そこに作品の 来歴などの解説が加えられて、これはもう最高の条件で作品 を鑑賞できるものだ。 そしてここからが本作の本当の見せ場、実はこの映画では彫 刻だけでなく絵画(!)までもが立体で鑑賞できる。つまり この映画では、ミケランジェロが描いたシスティーナ礼拝堂 の天井画や「最後の審判」などが立体で観られるのだ。 それは例えば天井画の中央に描かれた「アダムの創造」では 神に向かって差し伸べる手が突き出して見えるものであり、 天井画の全体では、そこかしこに飛び出して見える造形が、 ある種の妖しさも醸し出して目を引き付ける。 それは美術書に掲載される複製写真などの表現を超え、現地 に行って直接見ても味わうことのできない、美術品の新たな 鑑賞を実現している。ここには人類が初めて目にする世界が 広がっているのだ。 ここで2Dの絵画の3D化はシミュレーションによるものだ が、その場合に生じるのは視差によって現れる前景に隠れた 部分の処理だ。その映像は誰かが作り出さなければならず、 それは著名な絵画に筆を加えることになる。 ところが本作においてはそれを見事な方法で処理していた。 それは影の部分に元に描かれたエッジを重ねてレリーフのよ うに描く手法。こによってその部分に新たな筆を入れること なく見事な立体感を作り出している。 この手法は、もちろん一般的なドラマ作品には採用できない ものだが、本作においては最大の効果で3Dをシミュレート していた。なおこの処理はDBW Communicationという会社が 担当していたものだ。 因に絵画の3D化は、当然ヴァチカン美術館の意向に沿った ものと思うが、元より絵画は「画家が3Dで想像したものを 2Dに置き換えて表現している」という考え方に基づき、こ れはその本来の姿を再現しているのだそうだ。 この他にもラファエロの宗教画の数々が立体で映し出され、 さらにゴッホの「ピエタ」やピカソ、ダリなどの現代絵画も 登場する。特にダリの「キリストの受難」には、ヴァチカン の懐の深さも感じられた。 公開は2015年2月、東京はシネスイッチ銀座にて3Dロード ショウとなる。 百聞は一見に如かず、とにかく見て体験してもらいたい作品 だ。
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