井口健二のOn the Production
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2014年10月19日(日) ハーメルン、天国はほんとうにある/神は死んだのか/サン・オブ・ゴッド、刺さった男/スガラムルディの魔女

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ハーメルン』
西島秀俊主演でファンタシーの要素もあるドラマ作品。劇場
では昨年公開された作品だが、今度はDVD&Blu-rayでの発売
が決まり、改めてサンプルDVDで鑑賞した。
実はこの作品は昨年公開時の試写会でも見させて貰ったが、
ファンタスティックな雰囲気は心地よく感じられたものの、
全体的な物語を把握できず。ホームページでの紹介を諦めて
しまった。そんな作品を再度鑑賞したものだ。
物語の舞台は田園に建つ木造の小学校の校舎。歴史も感じさ
せるその建物が取り壊されることになったが、その敷地から
土器などが出土したようで、その調査のため県の博物館から
男性の職員が派遣されてくる。
その男性はその小学校の卒業生だったが、実は彼には小学生
時代の胸に秘めた思い出があった。そんな主人公の記憶が、
校舎で暮らしながらその保全に心を砕いてきた老校長の写し
続けた8�丱侫�ルムと共に甦る。
その8�丱侫�ルムの中には、主人公の記憶にも残るからくり
時計の映像や校庭で演じられた人形芝居の場面もあり、その
人形芝居では笛を吹く少女が手を奪われるが…、という摩訶
不思議な物語が展開されている。
そしてさらに閉館した映画館を守っている老人や、その老人
と戦争にまつわる物語などが織り込まれて、現代に置いたら
時代遅れと言われてしまうのかな、そんな昭和を生きた人々
の物語が綴られて行く。

共演は倍賞千恵子、それにベテラン俳優の坂本長利、守田比
呂也。他に水橋健二、内田春菊、小松政夫、風見章子らが脇
を固めている。
脚本、監督、編集は2005年『美式天然』でトリノ国際映画祭
グランプリ受賞の坪川拓史。本作は2007年『アリア』がカザ
フスタン・ユーラシア映画祭で中央アジア最優秀作品に選ば
れて以来6年ぶりの第3作となる。
物語は秋と冬の2つの季節を背景に描かれているものだが、
そのコントラストも鮮やかな時間軸の間に、こちらも幾つか
の時間軸を有する8�丱侫�ルムが挟まることで些か複雑な構
成になっている。
それらが以前の試写会の時に僕を混乱させていたものだが、
じっくり観直せばその辺の混乱は容易に解消される。それは
DVD&Blu-rayでの鑑賞に向いているとも言えるが、むしろ素
直に鑑賞する方が適切な物語だったようだ。
それにしても挿入される人形芝居は、これだけでもじっくり
鑑賞してみたい感じもする作品だった。

DVD&Blu-rayは11月19日に、発売元キュリオスコープ、販売
元ポニーキャニオンでリリースされる。
なお同梱の【特典映像】には、予告編やメイキングなどと共
に人形芝居の全編も含まれているようだ。

『天国はほんとうにある』“Heaven Is for Real”
『神は死んだのか』“God's Not Dead”
『サン・オブ・ゴッド』“Son of God”
クリスマスが近いからというのでもないだろうが、キリスト
教関連の映画の試写会が立て続けに行われた。
1本目は実話に基づくとされる作品。田舎町の教会で神父を
務める男性の幼い息子が内臓疾患で緊急手術を受ける。その
手術は困難なもので、一時は医師も見放さざるを得ない状況
となるが…。
奇跡的に回復した息子は、突然父親に天国でイエスに会った
と言い始める。その言葉に最初は半信半疑の父親は、学者な
ども訪ねて息子の言葉の真意を探ろうとするが、やがて息子
の言葉が真実と確信するようになる。
しかし息子の言葉を広めようとする父親の行動は、彼が神父
であるが故に周囲の反発を買うことにもなってしまう。

原作本は全世界で900万部以上のベストセラーとのことで、
その作品から、1996年『ブレイブハート』でオスカー脚本賞
候補にもなったランダル・ウォレスが脚色監督を務めた本作
も、全米で9000万ドルのヒットを記録した。
出演は、2010年5月紹介『ラスト・ソング』などのグレッグ
・キニア、同年1月紹介『シャーロック・ホームズ』などの
ケリー・ライリー、そして息子役を新人のコナール・コラム
が演じている。
事前には宗教的な意味合いはかなり強いと思われる作品で、
試写の前には多少構える気分もあった。しかし作品自体は特
異な息子に親がどう対処するかという、ある種の普遍的な物
語でもあって、その気持ちで観ることができた。
それにキリスト教的な天国というのが、一体どんなものかと
いうのも観られ、宗教と無関係な僕にもさほど神経を尖らす
こともなく鑑賞できる作品だった。宗教家にどうかは判らな
いが、これはエンターテインメントだ。
それに対して2本目はかなり宗教的な意味合いの強い作品。
これはアメリカの大学などで現実に起きている事象にインス
パイアされた物語とのことだが。多少観ていて辟易する場面
もある作品だった。
実際にこの出来事は明らかなパワーハラスメントで、このよ
うなことが現実に起きていることも信じ難いものだ。ただし
映画の中で行われるディベートはかなり軟弱で、僕はもっと
真剣な宗教論争を期待したので少し残念だった。
そして3本目は、これは王道の作品。実はアメリカで全10回
で放送されたテレビシリーズの後半5回分をダイジェストに
したものだが、信者ではない僕でも知っている救世主の話が
次々に登場する。

公開は、最初の2本が12月13日から、東京はヒューマントラ
ストシネマ渋谷、大阪はシネリーブル梅田他。2本立てでは
ないが同じシネコンの別々のスクリーンを使っての同時上映
という仕掛けで全国順次ロードショウとなる。
3本目は、来年1月10日から、新宿ピカデリー、丸の内ピカ
デリー他で全国公開の予定だ。

『刺さった男』“La chispa de la vida”
『スガラムルディの魔女』“Las brujas de Zugarramurdi”
2005年7月紹介『800発の銃弾』などのスペインの鬼才ア
レックス・デ・ラ・イグレシア監督による2012年と2013年の
作品が纏めて公開されることになった。
イグレシア監督は、1993年の長編デビュー作が近未来を背景
にしたものであったり、ホラー作品も何本か手掛けていて、
どちらかと言うとジャンル系の映画監督と呼べるようだ。
そんな監督の1本目は、過って工事現場から突き出した鉄筋
の上に転落し、頭部を貫かれて身動きができなくなった男の
話。男は以前にはヒットCMコピーも手掛けた宣伝マンで、
そんな男の緊急事態にいろんな連中が近づいてくる。

主演は、『シュレック』シリーズのスペイン語吹き替え版で
ドンキーを担当しているというコメディアンのホセ・モタ。
妻役をサルマ・ハエックが演じているのも注目される。
絵柄には2001年11月紹介『ノー・マンズ・ランド』(2002年
オスカー受賞作)に似たところもあって、ジャンル系とは少
し違うかな。ただし反戦テーマのオスカー作品に対して本作
ではマスコミにその矛先が向けられている。
それに対して2本目は、ジャンル色が諸に出ている魔女物の
怪作。物語の始まりは、マドリッドの繁華街で実行されたド
派手な強盗劇。その犯人の1人は離婚した妻の許にいる幼い
息子との面会日で、何と子連れで強盗を行っていた。
そんな一味はいろいろ手違いの末、父子ともう1人が奪った
大量の指輪と共に逃亡し、さらにタクシーをハイジャックし
て国境を目指すことになるが…。その行程には伝説の魔女の
村があった。

出演は、スペインではかなり多くの作品に出ているウーゴ・
シルヴァとマリオ・カサス。この2人が間抜けな強盗を演じ
る。そして、2007年2月紹介『ボルベール<帰郷>』などカル
メン・マウラ、本作後に監督と結婚したカロリーナ・バング
らが魔女役を演じている。
なお本作の一般公開の前に、東京では10月上旬に開催された
ラテン・ビート映画祭に合わせて監督夫妻が来日し、歓迎の
パーティに招待された。
そのパーティでは、前半で『スガラムルディの魔女』の抜粋
上映に監督がコメントするというイヴェントが行われたのだ
が、何と上映が始まると監督の眼は画面にくぎ付けでMCの
質問にもほとんど答えない。
代って女優の奥さんが答えていたが、上映が終わると監督は
「時間をくれたらあと25%は良くできる」と発言。この種の
イヴェントは何度か観ているが、この監督ほど自分の作品に
思い入れがあると感じる人も珍しかった。

まあそういう監督と言うことで、彼の作品はこれからも興味
を持って観ていきたいものだ。
公開は11月22日から、東京はヒューマントラストシネマ渋谷
他で、2作品同時の全国順次ロードショウとなる。


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井口健二