| 2014年09月14日(日) |
荒野はつらいよ〜アリゾナより愛をこめて〜、風邪(ふうじゃ) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『荒野はつらいよ〜アリゾナより愛をこめて〜』 “A Million Ways to Die in the West” 日本でも大ヒットを記録した2012年11月紹介『テッド』のセ ス・マクファーレンが、脚本、監督、主演を務める19世紀末 のアメリカ西部を舞台にしたコメディ作品。 主人公はアリゾナの荒野で羊飼いをしている男性。飼ってい るのが牛や馬でなく羊というところからおやおやと思い始め るのだが。しかもこの主人公が臆病というか、非暴力主義者 で、正しく原題通りの「100万通りの死に方」を思い知らさ れることになる…というお話。 さらにそこに西部最凶と呼ばれる悪人とその愛人が絡んで、 ただでさえ右往左往している主人公はさらに振り回されるこ とになる。しかし主人公もただ坐している訳ではなく、何と か反撃の特訓も行われるが。徐々に進歩はするもののいざと なっては太刀打ちできるはずもないもので…。 コメディとは言っても全部がアチャらかではなく、それなり の理屈は通して物語が進められる。従って観ていても嫌味な 感じはしないし、退くところもなかった。まあただ下ネタと いうか、多少下品なネタも登場するが、そこは『テッド』が 受け入れられたなら日本の観客もOKかな。 共演は、シャーリズ・セロン、リーアム・ニースン、アマン ダ・セイフライド。 他に、2012年4月紹介『ラム・ダイアリー』などのジョヴァ ンニ・リビシ、2004年2月紹介『スクール・オブ・ロック』 などのサラ・シルヴァーマン、2006年2月紹介『ニュー・ワ ールド』などのウェス・ステューディらが脇を固めている。 さらに、ユアン・マクレガー、ジェイミー・フォックスらの カメオ出演もあったようだ。 本作はアメリカ西部が舞台のコメディなのだけれど、いわゆ るパロディではなく、その点では予備知識などはなくても楽 しめる作品になっている。ただ映画の雰囲気が何となくどこ かで知っている感じがして、映画を観ながらいろいろ考えて いる内、ふとある題名に辿り着いた瞬間…!! いやあこれは本当に衝撃だった。ここでこのネタが振られる とは思いもよらなかった。でも、本作の全体に漂う雰囲気は 正しくその作品で味わったのと同じもの。本作は、その作品 の傍系とも呼べ、そう考えるといろいろ符合する点もあった ような感じだ。 これはファンには極上のプレゼントだし、お蔭でこの作品の 評価は一気に高まった。 公開は10月10日から全国ロードショウとなる。 なお、本作は『テッド』と同様のR15+指定になっている。
『風邪(ふうじゃ)』 邪な風と書いて本当は病気のカゼのことだけれど、本作では 敢えて「ふうじゃ」と読ませる。 2009年9月紹介『戦慄迷宮』や2010年7月紹介『七瀬ふたた び』などを手掛けた小椋悟プロデューサーが、2008年1月紹 介『軍鶏(Shamo)』などの脚本を担当した橋本以蔵を招いて 製作した伝染病が題材の作品。 まず登場するのは、廃材置き場のような現場で単純作業に従 事している男性。彼は体調が良くないらしく、常に咳き込ん でいる。そんな彼は仲間に誘われてスナックに飲みにも行く が、そこでも仲間の騒ぎには加わらない。 ところがスナックのホステスにちょっかいを出した仲間を諌 めた彼は仲間の不興を買い、そのままホステスの家に暮らす ことになってしまう。そんな彼はカールツアイスの顕微鏡を 後生大事に抱えていた。 実はその男性は学生時代から頭角を現した細菌学者で、彼は 風邪のウイルスの研究し、すべての風邪に効く万能ワクチン の開発を進めていた。しかしそのワクチンを巡る利権争いに 巻き込まれ、自らの身を隠していた。 一方、彼を匿ったホステスには病弱な幼い息子がいて、その 息子は風邪をひいたら命が危ないとされたいた。そんな息子 のためにも万能風邪ワクチンは絶対の延命手段だったが…。 こうして彼らは企業の争いの渦に巻き込まれて行く。 主演は、窪塚洋介、小西真奈美。他に江本明、秋吉久美子、 和田哲史、クリス・ペプラーらが脇を固めている。 風邪のワクチンは、僕が子供の頃には完成させたらノーベル 賞とか、実は開発されているが製薬会社が隠しているとか、 一種の都市伝説のようなものだったが、その状況は何十年も 経った今も変わらないようだ。 そんなワクチンがテーマの作品で、ちょうど国内でもデング 熱や海外でも重大なパンデミックが起きている時期には格好 の作品と言えるかもしれない。でも本作は上映時間が96分と いう作品で、重大な内容の割にはちょっと短かったかな。 全体的に何か言い足りない感じがして、特に背景にあるはず の企業間の争いなどがほとんど描かれないから、主人公が開 発したワクチンの重要性なども、ストレートには理解し難い 感じだった。 その辺をしっかり描ければ、もっと面白い作品になったと思 うのだが。 公開は9月27日から、東京はシネマート六本木ほかで、全国 ロードショウとなる。
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