井口健二のOn the Production
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2014年01月05日(日) 第199回(Ten Films Shortlisted for Visual Effects Oscar, Golden Globe Awards)+エージェント・ヴィノッド最強のスパイ

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※このページは、SF/ファンタシー系の作品を中心に、※
※僕が気になった映画の情報を掲載しています。    ※
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 明けましておめでとうございます。
 と言っても、日曜日ごとに更新の最初が5日では多少間が
抜けた感じですが、今年はカレンダーの関係でまだ試写会も
スタートしていないので、記事は製作ニュースから始めるこ
とにします。
 その製作ニュースも去年の正月には、今年から再開します
とか大きく言ってしまったのですが、それも試写に追い捲く
られて日々のチェックも出来ない状態でした。そうなると更
新する頃にはネタも古くなって、だんだん更新する意義も感
じられなくなり、中断してしまいました。
 その状況は今年も変わりそうもないので、何を言うのも覚
束無いのですが、取り敢えず賞シーズンの話題だけ紹介する
ことにします。
        *         *
 まずは米アカデミー賞で、VFX部門の第1次候補が発表
されている。
 その1次候補は10作品で、
『エリジウム』(8月20日紹介)
『ゼロ・グラビティ』(10月13日紹介)
『ホビット・竜に奪われた王国』(12月22日紹介)
“Iron Man 3”
『ローン・レンジャー』(7月20日紹介)
『オブリビオン』(4月30日及び5月10日紹介)
『スター・トレック イントゥ・ダークネス』
                   (6月30日紹介)
『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(12月15日紹介)
『パシフィック・リム』(7月10日紹介)
『ワールド・ウォーZ』(7月10日紹介)
なお、原題表記は試写を観られず紹介しなかったものだ。
 最終候補は今年も5本になるようで、この10本からだと、
『ゼロ・グラビティ』と『ホビット・竜に奪われた王国』は
ほぼ決まりと思うが、残りの3席はいろいろ思惑が絡みそう
だ。それが『エリジウム』『オブリビオン』『パシフィック
・リム』なら順当と思えるが。
        *         *
 お次はゴールデン・グローブ賞で、こちらは気になる作品
別に紹介する。
 まずは『ゼロ・グラビティ』がドラマ部門の作品賞、主演
女優賞と監督賞、作曲賞の候補に挙げられた。この内、主演
女優賞のサンドラ・ブロックは、先日行われた来日記者会見
でオスカーの可能性を聞かれて、「それはないと思うわ」と
答えていたものだが、その前哨戦の候補にはなった。この勢
いでオスカーも楽しみになるところだ。
 一方、長編アニメーション賞候補は“The Croods”『怪盗
グルーのミニオン危機一発』『アナと雪の女王』の3作品。
いずれも昨年11月17日に紹介した米アカデミー賞の長編アニ
メーション部門第1次候補にも入っていた作品で、オスカー
候補ではこれにあと2本足されることになるのかな。
 この他の候補では12月8日紹介『ハンガーゲーム2』から
‘Atlas’という主題歌が歌曲賞部門に挙げられている。
 さらにテレビシリーズでは、8月20日紹介『ハウス・オブ
・カード野望の階段』が、作品賞、主演女優賞(ロビン・ラ
イト)、主演男優賞(ケヴィン・スペイシー)と助演男優賞
の候補にも挙がっている。
 またミニシリーズ部門では、12月15日紹介『トップ・オブ
・ザ・レイク』が作品賞、主演女優賞(エリザベス・モス)
の候補に挙がっている。
 その他に“American Horror Story: Coven”という作品が
ミニシリーズ部門で、作品賞と主演女優賞(ジェシカ・ラン
グ)の候補とされている。ラングは3年連続の候補(一昨年
には受賞)となっているもので、試写を観せて貰えない会社
の作品だが、かなり気になるところだ。
        *         *
 なお、ゴールデン・グローブ賞の授賞式は1月12日で、米
アカデミー賞候補の発表は1月16日、さらに例年紹介してい
るVES賞の候補は1月13日に発表される。

今年もこんな調子でグダグダやって行くつもりなので、よろ
しくお願いいたします。
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※試写会はまだだが、試写が予定されていない作品のサン※
※プルDVDを1枚鑑賞したので、その紹介。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『エージェント・ヴィノッド最強のスパイ』“एजंट विनोद”
2012年ボリウッド製作のスパイ映画。
主人公はインドの秘密諜報機関RAWのスパイ。彼は9つの
名前を使って世界を股に活動している。そんな主人公は相棒
の協力もあってパキスタンの秘密諜報機関ISIを出し抜き
数々の勲功を挙げていたが、その相棒がロシアでの潜入捜査
中に‘242’という謎の言葉を残して殺害されてしまう。
その相棒の死と残した言葉の謎を追って、主人公はモロッコ
の富豪の邸宅を訪れるが…。そこには医師を名告る謎の美女
など、様々な連中が集まっていた。そして捜査を続ける主人
公の前に、旧ソ連が開発したスーツケース大の核爆弾の存在
が浮かび上がる。
果たして事件の真相は、そして核爆弾の行方は? そこには
意外な黒幕の存在があった。
そして映画では、ロシア、モロッコから、ラトヴィア、南ア
フリカ、スイスなど、正しく世界を駆け巡っての撮影が行わ
れているようで、それぞれ特徴のある風物が次々に画面に登
場するものだ。

出演は、ボリウッド最強のアクションスターと呼ばれるサイ
フ・アリ・カーン、2013年3月紹介『きっと、うまくいく』
などのカリーナ・カプール。因に2人は実生活でも恋人同士
で、本作の撮影後に結婚したそうだ。
さらに2012年12月紹介『ライフ・オブ・パイ』に出ていたと
いうアディル・フセイン、2010年の東京国際映画祭で上映さ
れた『ラーヴァン』などに出演のラヴィ・キシャンらが脇を
固めている。
監督はシュリラーム・ラガヴァン、脚本はラガヴァンとアリ
ジット・ビシュワースという2人が担当している。また撮影
は『きっと、うまくいく』のC・K・ムラリーダラン、音楽
をカプール主演の2007年“Jab We Met”なども手掛けるプリ
ータムが担当している。
RAW、ISIという名称は昨年2月紹介『タイガー・伝説
のスパイ』にも登場したが、韓国映画における北朝鮮ともま
た違う感じで、なかなか微妙な印パ両国間の状況が垣間見え
るような物語が展開されていた。
その両者は、国家間は敵対しているものの紛争抑止のために
連携も図るという展開で、お互いの国民感情もそんなものか
なあという感じだし、さらにそこに陰謀を巡らす連中が存在
するというのも、それなりのお話という感じだった。
ただまあ、最近の欧米のスパイ映画は、VFXも多用した大
掛かりな作品が多いのに対して、本作ではVFXもあるが、
基本は生身のアクションと銃撃戦。さらにそのアクションも
香港映画のような派手さは期待できず、その辺で多少の物足
りなさが否めない感じはした。

公開は2月8日から、東京はシネマート六本木にて期間限定
(2週間予定)ロードショウとなる。


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井口健二