井口健二のOn the Production
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2013年12月15日(日) ハル・ハートリー、黒執事、神奈川芸術大学映像科研究室、ゼウスの法廷、マイティ・ソー2、トップ・オブ・ザ・レイク、オッド・トーマス

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『ハル・ハートリー』
アメリカインディペンデンス映画の雄とも呼ばれる映画監督
ハル・ハートリーの作品4本が特集上映されることになり、
各作品の試写が行われた。
『はなしかわって』“Meanwhile”
2011年の作品で上映時間は59分。
監督の第11作だが、前作からは5年ぶりの作品とのこと。舞
台はNY。主人公は何やら素性がよくわからない男性。その
主人公がブルックリン橋から身を投げたかもしれない女性を
助けようと奔走するなど様々なエピソードが語られる。中編
だが、それを感じさせない見事な内容の作品だった。

『アンビリーバブル・トゥルース』
              “The Unbelievable Truth”
1989年の長編監督デビュー作。
NY郊外の町を舞台に、刑期を終えて故郷に帰ってきた青年
と周囲の人々との確執が描かれる。青年は車の整備工場に職
を得るが、そこには原発の危険やオゾン層破壊の危険を訴え
る少女などもいて…。オフビートな感覚だが、青年が犯した
罪の真相など、謎解きの構成も巧みな作品だった。

『シンプルメン』“Simple Men”
1992年作品。
日本でも劇場公開された作品で、その広告には故淀川長治氏
の推薦文があったそうだ。兄は犯罪者、弟は実直という兄弟
が、テロ犯として服役中だった父が脱獄したとの知らせに、
潜伏先と思われる町に向かうが…。その旅での出来事を描く
ロードムーヴィ風の作品。

『愛・アマチュア』“Amateur”
1994年の東京国際映画祭でヤングシネマ部門のシルバー賞を
受賞した作品。
舞台はNY。主人公は尼僧からポルノ作家に転職したという
女性。その女性が仕事場にしている酒場に、殺されかけて記
憶を失った男が現れる。そして主人公は男を保護するが…。
そこに国際犯罪組織や、ポルノ映画のディーヴァなどが絡ん
で、かなり尋常でない物語が展開される。

それぞれの作品は、フランス・ヌーヴェルヴァーグにも通じ
る見るからに低予算で、内容はオフビート。しかし登場人物
たちは、本当は悪人かもしれないが観客にはどこか愛すべき
連中で、その人物たちが懸命に生きている姿が描かれる。そ
れは観ていて心地よさに溢れる4作品だった。
公開は1月18日から、東京は新宿K's Cinemaにて。なお上映
は4作品が入れ替えで行われるので、上映時間等は映画館に
問い合わせて欲しい。2月15日から横浜ニューテアトルでも
上映が予定されている。

『黒執事』
枢やなの原作で2006年に連載開始され、すでに2度のテレビ
アニメ化も行われて、17巻出版されている単行本では海外を
含む発行累計が1600万部に達するという大人気コミックスの
実写映画化。
物語の舞台は、世界の主権が東西2つの陣営に分裂している
近未来。その西側陣営は女王が支配し、世界征服を目論む女
王は東側に「女王の番犬」と揶揄される諜報組織を送り込ん
でいる。
そして物語の主人公は、東陣営で巨大企業を営む名門貴族の
当主。と言ってもまだ幼い風貌の少年だが、彼には黒装束の
執事が常に付き従い、その執事は身をもって主人の命を守り
通していた。
そんな彼らに「女王の番犬」が次々怪死を遂げる事件が報告
される。その事件の真相を探るため彼らはとある秘密クラブ
に潜入を試みるが…。そこには東西陣営を揺るがす巨大な陰
謀が潜んでいた。

出演は、剛力彩芽、水嶋ヒロ。共演は優香、志垣太郎、山本
美月。さらに岸谷五朗、伊武雅刀、宮川一朗太らが脇を固め
ている。
脚本は、2011年のテレビ『謎解きはディナーのあとで』など
の黒岩勉。監督は2005年『NANA』などの大谷健太郎と、
今年8月紹介『アシュラ』などのさいとうけいいちが共同で
担当している。
僕は原作は見ていないが、元の物語は19世紀のイギリスが舞
台なのだそうだ。しかし日本人の俳優による映画化では無理
があるということで、近未来に変更されたとのこと。そして
ストーリー自体もオリジナルのものが創作されている。
とは言え、物語は現実というより元から魔界を舞台にしてい
るもののようで、それはかなり荒唐無稽でも許容されるもの
だろう。ただテロの手段が毒ガスもしくはそれに類似の手段
というのは、オウムサリン事件のトラウマかもしれないが、
何か別の捻りも欲しくは感じられたところだ。
因に、本作の製作はワーナー映画社の日本法人だが、同社の
日本漫画の映画化では、2012年6月紹介『るろうに剣心』は
続編が2本公開されるほどの評判になっているようで、今後
もこの路線は継続されるのかな。

公開は1月18日から、東京は新宿ピカデリー他で全国ロード
ショウとなる。
なお本作の試写の前に、来年2月28日公開『ホビット/竜に
奪われた王国』の日本版予告編の初号試写が行われた。昨年
12月紹介作品の続編だが、いよいよ後の『LOTR』に繋が
る登場人物も次々登場するようで、近日行われる本編の完成
披露試写が楽しみになったものだ。


『神奈川芸術大学映像科研究室』
大阪芸術大学で大森一樹監督に師事した後に東京藝術大学大
学院に進み、そこでは黒沢清監督に学んだという坂下雄一郎
監督による大学院修了制作作品。
主人公は芸術大学映像科に勤務する助手。彼の本来の仕事は
学生からの提出書類の受付や教授会議のセッティングなど、
学校業務の円滑な運営だ。しかしその仕事は、保身しか考え
ない教授陣と問題児ばかりの学生の板挟みになっている。
そしてついに事件が起きる。それは卒業制作を進める学生が
起こした機材破損事件。実は、制作期日に間に合わない学生
が無断で保管庫から機材を持ち出そうとして発見され、慌て
た学生が機材を落として破損したのだが…。
事なかれ主義の教授陣はその事件をただの事故として隠蔽を
図り、そのため主人公には大学庶務課への嘘の報告書の提出
が指示される。しかしそれは次々に最悪の事態を引き起こす
ことになってしまう。
監督は、大阪芸術大学時代に実際に助手の立場だったことも
あるようで、本編のエピソードの中には実話に基づく部分も
多々あるようだ。しかし物語は楽屋落ちに終始するものでは
なく、現実社会にありそうな出来事が描かれている。
それは、例えば権威に囚われる上司と我が儘な部下の板挟み
になっている中間管理職の悲哀といった感じでもあり、そん
な物語が芸術大学映像科という一風変わった舞台の中で巧み
に表現されていた。

出演は、多摩美術大学映像演劇科出身で、2011年『ニュータ
ウンの青春』や、今年8月紹介『Miss ZOMBIE』にも出てい
たという飯田芳、2012年の主演デビュー作『彩〜aja〜』で
モナコ国際映画祭最優秀新人賞受賞の安藤千春。
また大阪芸術大学出身で、今月紹介『大人ドロップ』などの
前野朋哉。さらにテレビ『鬼平犯科帳』などの宮川不二夫、
今年9月紹介『ルームメイト』に出ていたという高須和彦ら
が脇を固めている。
他にも日芸、多摩美、京都造形など各大学の映像学科出身と
なる中村有、嶺豪一、中本章太といった若手俳優が学生役で
出演している。
なお本作は、2012年12月紹介『チチを撮りに』などと同じく
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にエントリーされ、その支援
の許で一般公開されるSKIPシティDシネマプロジェクトの第
4弾となるものだ。
公開は1月25日から、東京では新宿武蔵野館で2週間限定の
レイトショウとなる。
因に「神奈川芸術大学」というのは架空だが、撮影協力には
横浜芸術大学という名称が挙がっていた。特に神奈川・横浜
らしい風景が出てくるものではないが、その辺が監督の拘り
かもしれない。そんな拘りも重要だと思える作品だった。


『ゼウスの法廷』
2008年11月紹介『ポチの告白』などの高橋玄監督の新作。前
の作品では警察行政の腐敗を真っ向から描いた監督が、今回
は司法(裁判)の現実を暴き立てる。
主人公は婚約者が裁判所判事という女性。それは周囲からは
憧れの目で見られるが、現実は常時300件もの訴訟を抱えて
逢瀬の場にも仕事を持込み、一般社会からは隔絶した生活を
送る婚約者の姿だった。
そんな主人公が大学サークルの同窓会に出席し、そこで大学
時代に付き合っていた男性と再会する。そして奔放に生きる
男の姿に憧れも再燃させてしまう。こうして男との関係を続
けた彼女は判事との婚約解消も考え始めるが…
雨の日、男の住まいのアパートの階段上でもみ合いになった
彼女は、誤って男を転落・死亡させてしまう。こうして彼女
は重過失致死罪で起訴されるが、その裁判の判事は元婚約者
が希望して担当することになる。
本来、被告人の親族または元親族が裁判の判事を務めること
はできないが、本件の場合はまだ婚姻届を出していないため
に可能なのだそうだ。そんな法律の穴を突いたようなドラマ
が展開される。
勿論これは現実には有り得ない展開だが、脚本も執筆の高橋
監督が描くのは司法の矛盾であり、そこには矛盾を受け入れ
る元同僚の検察官や、矛盾を追求する恩師の弁護士なども配
されて実に見事なドラマが描かれている。

出演は、今月紹介『御手洗薫の愛と死』などの小島聖、昨年
4月紹介『道−白磁の人−』などの塩谷瞬(ただし台詞は、
全編で声優の椙本滋が吹き替えている)。
他に、野村宏伸、川本淳市、出光元、風祭ゆき、吉野紗香、
速水今日子。さらに冤罪被害救済活動を行っている元警察官
で評論家の仙波敏郎、三池崇史らを輩出したプロデューサー
の伊藤秀裕らが脇を固めている。
日本の刑事裁判では有罪判決が99.9%なのだそうで、裁判官
(判事)はほぼ検察の言いなりの裁判判決を繰り返している
そうだ。その矛盾を追求するのが本作の目的となっている。
しかしドラマは基本的に、裁判官と被告という立場になった
男女のラヴストーリーであり、そのオブラートも実に巧みに
機能した作品。そこには主演した小島聖の魅力も存分に発揮
されていた。
それにしても刑事事件で起訴されたらほぼ100%有罪という
恐怖政治が施行されている現実は、今まで考えていた以上に
恐ろしい状況で、それは今までにもいくつかの映画作品で描
かれたいたものではあるが、今回はそれが最も明白かつ強力
に提示された作品と言えそうだ。

公開は3月8日から、東京はシネマート六本木でロードショ
ウが予定されている。

『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』
               “Thor: The Dark World”
2011年5月紹介『マイティー・ソー』の続編。ソーは2012年
6月紹介『アベンジャーズ』にも登場したが、マーヴェル・
コミックスのヒーローたちが勢揃いする作品は本作から見る
と傍系で、本作は本来の続編となるものだ。
その物語は太古に始まる。ソーの父王オーディンは闇世界の
支配者マレキスを打ち倒し、闇の基となるダーク・エルフを
封印して宇宙に光をもたらした。そしてその封印場所は極秘
とされていた。
一方、ソーが去り失意の恋人ジェーンは天文物理学の研究に
没頭していた。その彼女は地球規模の重力異常を検知し、原
因を調査する内に彼女が辿り着いたのは次元の狭間の洞窟。
そこで何かが彼女の身体に取り込まれる。
その危機を救ったのはまたしてもソーだった。彼はジェーン
を救うため彼女をアスガルドに伴う。しかしそれは宇宙に最
大の危機をもたらす。復活したマレキスがジェーンに宿った
ダーク・エルフを追って来たのだ。
数万年に1度の宇宙を構成する7つの世界が直線に並ぶ時。
その時にダーク・エルフを開放すれば宇宙は再び闇に閉ざさ
れる。この危機にオーディンとソーが立ち向かう。そしてそ
こにはソーの弟ロキも関っていた。

出演は、2011年作、2012年作に続いてソーを演じるクリス・
へムスワースと、ロキを演じるトム・ヒドルストン。そして
ナタリー・ポートマン、アンソニー・ホプキンス、ステラン
・スカルスガルド、レネ・ロッソ、浅野忠信らが2011年作と
同じ役で再登場している。
さらにマレキス役で、テレビ『ドクター・フー』のクリスト
ファー・エクルストンが新登場する。
脚本は、2006年2月紹介作など『ナルニア国物語』の3部作
を手掛けたクリストファー・マルクス、スティーヴン・マク
フィーリーのコンビ。監督はテレビ『SEX AND THE CITY』な
どを手掛けた新鋭アラン・テイラーが担当した。
公開は3Dでも行われるが、今回の試写は2Dのみ。従って
3Dの効果などは確認できないが、映画の後半にはグリニッ
ジを舞台にしたかなり派手な破壊シーンが登場していた。ま
たエンディングロールのアニメーションはかなり凝ったもの
になっているようだった。
そのエンディングロールにはいつものようにいろいろ仕掛け
があったが、特に今回は最後に「ソーは戻ってくる」という
テロップが登場。それが2015年公開予定『アベンジャーズ』
のことなのか、単独シリーズの第3作なのかは謎というとこ
ろだ。

公開は2月1日から、全国一斉の2D/3Dロードショウと
なる。

『トップ・オブ・ザ・レイク』“Top of the Lake”
2010年4月紹介『ブライト・スター』などのジェーン・カン
ピオン監督が手掛ける母国ニュージーランドを舞台にした全
6回、総時間5時間50分に達するテレビドラマ。
物語の発端は湖畔の田舎町で起きた少女の入水事件。幸い発
見が早く少女の命は助かるが、少女の身体からは妊娠と麻薬
の跡が見つかる。そしてその事件の調査のために児童専門の
女性捜査官が町を訪れる。
しかし少女は口を閉ざし、しかも身重の身体で姿を消してし
まう。この事態に捜査官は町に留まり調査を継続することに
なるが…。湖畔の空き地には謎めいた女性の集団が駐留し、
また町は1人の男に支配されているようだった。
湖と森に囲まれ本来なら美しい自然、しかし荒涼とした印象
を与える風景の中でサスペンスに満ちた物語が展開される。
そしてそれはその町と主人公自身の尋常ではない過去を暴き
立てて行く。
物語の雰囲気は、デイヴィッド・リンチ監督『ツイン・ピー
クス』に似通ったところもあるが、実際に作品の中でも同じ
リンチ監督の同傾向の作品『ブルー・ベルベット』が言及さ
れるから、意識はしているのだろう。
とは言うものの、本作は正しく女性の感覚で作られており、
主人公や事件の中心となる少女の行動、また湖畔に駐留する
女性集団の様子などは、男性では到底描けなかったであろう
ドラマになっている。

出演は、テレビの“The West Wing”や今年5月紹介『オン
・ザ・ロード』に出ていたというエリザベス・モス、2008年
3月紹介『ブルー・ブルー・ブルー』に出ていたというトマ
ス・M・ライト。
また、1998年に“My Name Is Joe”でカンヌ国際映画祭主演
男優賞受賞のピーター・ミュラン、1993年カンピオン監督の
『ピアノ・レッスン』でオスカー受賞のホリー・ハンターら
が脇を固めている。
原作と脚本はカンピオンと、1995年“All Men Are Liars”
というオーストラリア映画を脚本監督しているジェラルド・
リー。監督はカンピオンと、まだ作品数は少ないものの製作
ニュースで何度か紹介した“Shantaram”の脚本にも参加が
発表されているガース・デイヴィスが担当した。
ところでこの作品は、海外のデータベースで見るとそれぞれ
略50分のエピソードで全7回となっているが、今回提供され
たサンプルは全6回、しかもエピソード1〜5はそれぞれが
略60分でエピソード6だけ略50分となっている。
つまり時間の合計は共に約350分で同じなのだが、その切れ
目が違っているようなのだ。
ただし、データベースのシノプシスを読む限り物語に過不足
は無いようで、何故こういう事になっているのか理由は不明
だが、僕の観たサンプルでは各エピソードごとに新たな展開
が待ち受けて、それは見事なドラマだった。

本作は1月10日に、DVDのセル&レンタルでリリースされ
る。

『オッド・トーマス』“Odd Thomas”
アメリカのSF/ホラー作家ディーン・クーンツが2003年か
ら発表している「オッド・トーマス」シリーズの第1作を、
『ハムナプトラ』シリーズ第1作、第2作や2004年『ヴァン
・ヘルシング』などを手掛けたスティーヴン・ソマーズ監督
が映画化した作品。
主人公は霊魂が見えてしまう青年。その霊魂は声を発するこ
とはできないが、彼を殺人の現場やその犯人の許に導くこと
ができる。そして彼はその犯人を警察に通報し、彼の能力を
信じる署長は何度も手柄を挙げていた。
そんな彼はまた別の存在も見ることができる。それは人の死
が近い時にその人物の傍に屯して、その苦痛を糧にしている
悪霊だ。ところがその悪霊が彼に住む街に大量に集結してく
る。これは最大級の災害の予兆だった。
しかしその場所や手段が判らない。このため彼は恋人や予知
夢を見る友人の助けを借りて、災害を未然に防ぐべく奔走を
始めるが…。次々に集結する悪霊の数はどんどんその数を増
していた。

出演は、『スター・トレック』の新シリーズでチェコフ役の
アントン・イェルチン、今年9月紹介『ミッドナイト・ガイ
ズ』などのアディソン・ティムリン、サム・ライミ版『スパ
イダーマン』などのウィレム・デフォー。
他に、2002年6月紹介『ブレイド2』に出ていたというレオ
ノラ・ヴァレラ、テレビドラマ『ドクター・フー』にレギュ
ラー出演のググ・バサ=ローらが脇を固める。
なおソマーズの映画監督は、2009年『G.I.ジョー』以来とな
るもので、本作では脚本、製作も担当している。
また本作を彩るVFXは、2012年12月紹介『ライフ・オブ・
パイ』なども手掛けたBUFが担当しており、かなりの物量
の映像を披露しているものだ。
死が近い人の傍に現れる悪霊ということでは、今年11月紹介
『赤々煉恋』を思い出したが内容的にはかなり異なる。でも
まあこういう発想は人間の精神の根底にあるものなのかな。
ただしその悪霊の出現から想起される死の状況は、日米では
かなり違う発想で、その辺には興味深いものがあった。

因にクーンツはかなり多作の作家だが、本作の原作シリーズ
では映画化された第1作に続く5作がすでに発表され、第7
作も予告されているとのことで、作者最大のヒットシリーズ
のようだ。映画の続編にも期待したい。
公開は1月10日から、東京は新宿バルト9、大阪は梅田ブル
ク7他にて全国ロードショウとなる。
なお今回データベースを調べたら、ソマーズ監督には2005年
9月15日付で紹介した“When the Worlds Collide”(地球
最後の日)のリメイクがまだアナウンスされていた。その他
の計画は掲載されていなかったが、一時消滅していた計画が
復活しているようで、地球最大の災厄を描くリメイク作品に
も期待したいものだ。


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井口健二