| 2013年09月06日(金) |
ウォールフラワー、ルームメイト、くじけないで |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ウォールフラワー』 “The Perks of Being a Wallflower” 1999年に出版され、『ライ麦畑でつかまえて』以来の青春小 説の金字塔と謳われた原作を、原作者のスティーヴン・チョ ボスキー自身が脚色・監督した作品。 主人公は、高校生活が始まったばかりの男子。しかし友達は 0人、国語の担任は優しい声を掛けてくれたが、ランチも食 堂の片隅に1人で座っている。そんな彼が勇気を奮ってアメ フトの応援席で同じ講座を取っている上級生に声を掛ける。 それが運命の瞬間だった。 そして彼の横には同じく上級生の女子が座ってくれ、試合が 終ると2人は、当然のように彼を行きつけの店に誘ってくれ た。こうして友達の出来た主人公は、プロムの会場でも壁の 花を卒業し、彼の高校生活は輝き始めるが…。彼には他人に 打ち明けられない大きな心の傷があった。 出演は、主人公に2011年9月紹介『三銃士〜王妃の首飾りと ダ・ヴィンチの飛行船』でダルタニアンを演じていたローガ ン・ラーマン。その上級生の友人役に『ハリー・ポッター』 シリーズなどのエマ・ワトスンと、2012年3月紹介『少年は 残酷な弓を射る』などのエズラ・ミラー。 他に、2008年9月紹介『ティンカー・ベル』などのシリーズ で妖精の声優を務めたメイ・ホイットマン、2012年7月紹介 『声をかくす人』などのジョニー・シモンズ、さらに先生役 では1999年『サイダーハウス・ルール』などのポール・ラッ ドらが脇を固めている。 脚本と監督は上記のように原作者が務めているが、製作を俳 優であり映画監督でもあるジョン・マルコヴィッチが担当。 マルコヴィッチが主宰するミスター・マッド社では、撮影に 2010年4月紹介『小さな命が呼ぶとき』などのアンドリュー ・ダン、美術に今年4月紹介『プレイス・ビヨンド・ザ・パ インズ/宿命』などのインバル・ワインバーグ、編集に6月 紹介『スター・トレック イントゥ・ダークネス』のメアリ ー・ジョー・マーキーら錚々たる顔触れを集めて、新人監督 のデビューを支えている。 自分自身の高校生活と比較すると、舞台がアメリカというこ とを別にしてもかなりの様変わりは仕方がない。これが現代 なのだろうし…。これが日本の観客に受け入れられるかは、 もはや僕には全く判らないところになってしまった。 でも青春の本質的な悩みなどは変わっていないと思えるし、 それはおじさんになっても共感できるものがあった。こんな 風に悩みながら成長して行くのが青春なのだろう。そんなこ とを懐かしくも思い出させる作品だった。
『ルームメイト』 北川景子と深田恭子の共演で、凶悪な事件に巻き込まれた女 性を描いたサスペンスドラマ。 北川が演じる春海は派遣社員だった。しかし交通事故に巻き 込まれ、命に別状はなかったが頭を強く打ち脚を骨折して、 しばらく入院することになる。そんな春海を親身になって支 えてくれたのは、深田が演じる看護士の麗子だった。 こうして親しくなった2人は、退院の日が来ても仕事に就け ない春海に対して麗子がルームシェアを提案。さらに麗子は 交通事故の加害者との交渉も引き受けてくれる。そんな麗子 に信頼を寄せる春海だった。 ところがある日、春海は1人しかいないはずの麗子の部屋か ら、激しく言い争う声が聞こえてくることに気付く。こうし て春海の前にマリと名乗る麗子の別人格が現れる。そしてマ リの人格は次第に凶暴さを見せ始める。 物語は、今年亡くなったミステリー作家今邑彩の同名の原作 に基づくもので、それを2010年8月紹介『making of LOVE』 などの古澤健が脚本・監督。ただし、プレス資料では今邑の 「原案」とされており、これはかなり脚色があるのかな。 映画では、巻頭に凄惨な殺人事件の現場が登場し、そこから フラッシュバックで物語が展開されて行く。従って物語には 常に犯罪の影が付き纏い、しかもそれがかなり凶悪だという ことになる。 そんな緊張感はそれなりに表現されていたかな。ただ本筋の 多重人格というのは過去にいくつもの名作があるから、種明 かしの驚きというのは薄れているし、その辺ではもう少し何 か工夫が欲しかった感じはした。 とは言えクライマックスの2人の女優によるバトルは血糊も たっぷりで、その中で北川と深田はよく頑張っていた。でも これで話の辻褄は合っているのかな? その辺はちょっと気 になったところだ。 共演は、高良健吾、尾上寛之、大塚千弘、筒井真理子、蛍雪 次朗、それに田口トモロウらが脇を固めている。でも映画は 事実上2人の女優だけの物語で、その北川と深田の演技の渡 り合いも見ものの作品だ。特に深田は多重人格の変化を巧み に演じていた。 なお本作は東映撮影所で撮影され、東映映画が配給する作品 だが、製作プロダクションは東宝映画とクレジットされてい た。日本の2大映画会社の共同となるもので、その辺の経緯 も知りたくなったものだ。
『くじけないで』 90歳を過ぎてから詩作を始め、その出版された2冊の詩集が 累計で200万部超えのベストセラーとなり、今年1月に101歳 で他界した柴田トヨさんの生涯を描いた作品。 物語は、作家志望だが挫折を繰り返してきた息子と、母親を 中心に描かれる。その息子は職に就いても長続きせず、憂さ 晴らしのギャンブルに溺れて、家計は学生時代からの糟糠の 妻が保険の外交員の仕事で支えている。 そんな息子が新聞の投稿欄で詩作の募集を見たことから話が 動き始める。元々作家志望で文才もあった息子は母親に詩作 を勧め指導を始める。こうして始められた母親の詩作では、 新聞紙上の掲載も勝ち取るが…。 物語はこれに、妻が夫の就職先としてようやく見付けてきた 印刷所の話や、母親の主治医の話、さらに登校拒否児を抱え るシングルファーザーの話、そして母親と息子の若い頃の話 などを絡めて、全体は人情ドラマとして描かれている。 出演は、母親と息子の役に八千草薫と武田鉄矢、息子の妻役 に伊藤蘭。他に、上地雄輔、ピエール瀧、鈴木瑞穂、橋本じ ゅん。さらに檀れい、芦田愛菜、尾上寛之、黒木華らが主人 公たちの若き日を演じている。 脚本と監督は、2008年7月紹介『真木栗の穴』などの深川栄 洋。監督の作品では2010年10月に『白夜行』も紹介している が、人間の描写だけでなく時代考証などもしっかりした作品 を今回も作り上げている。 ただし本作は1人の女性の生涯を描いているものだが、原作 は詩集ということで、描かれる物語がどこまで実話に基づい ているかというと、多分創作された部分が多少あざといよう にも感じられた。 特に主治医の話やシングルファーザーの話は本編との関りも 少ないし、これを描く必要があったか否か。確かに物語に変 化を付ける意味では理解するが、それにしても描き方が中途 半端な感じもしてしまう。 因にこれらのエピソードには、それぞれ原作の詩が添えられ ているもので、その詩からインスパイアされた物語というこ とだろうと思われるが、どことなく取って付けた感じが否め なかった。 とは言え、紹介される詩自体が元々相田みつを風というか、 何でもないことをただ言葉にしているだけのもので、それを ドラマにするとこんなものかな。観客はその詩のファンなの だからこれはこれでよい作品なのだろう。 そんな印象の残る作品だった。 * * 以上、今週は9月1日付から1週間に観た作品15本を全部 紹介してみたが、結果は3週間近く掛かってしまった訳で、 これを継続するのは無理と判断せざるを得ない。 今後はとりあえず遅れを解消することを念頭に、もう少し 試行錯誤してみることにします。
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