井口健二のOn the Production
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2013年01月16日(水) 第185回(VES/Oscar-nominee,GGwinner,POTC5,Jurassic Park 4,Transformers 4,Sin City,Police State,Godzilla)

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※このページは、SF/ファンタシー系の作品を中心に、※
※僕が気になった映画の情報を掲載しています。    ※
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 今回は、前回も予告した米アカデミー賞とVES賞の候補
から報告しよう。
 まずは、アメリカVFX協会が表彰する第11回VES賞の
各部門の候補作。なおこの賞には、テレビやコマーシャル、
ゲームなどの部門もあるが、例年通り映画部門のみを紹介し
ておく。
 VFX主導映画のVFX賞候補は、
『ホビット・思いがけない冒険』(12月9日紹介)
『プロメテウス』(7月8日紹介)
『ライフ・オブ・パイ』(12月9日紹介)
『アベンジャーズ』(6月3日紹介)
『バトルシップ』(4月8日紹介)
 長編映画における助演VFX賞候補は、
『君と歩く世界』(12月23日紹介)
“The Impossible”
『アルゴ』(9月9日紹介)
“Flight”
『ゼロ・ダーク・サーティ』(1月10日紹介)
 長編アニメーション映画のVFX賞候補は、
『メリダとおそろしの森』(6月24日紹介)
『パラノーマン』(紹介予定)
“Rise of the Guardians”
『シュガー・ラッシュ』(紹介予定)
『モンスター・ホテル』(9月23日紹介)
 実写映画におけるアニメーションキャラクター賞候補は、
『ホビット』Goblin King
『ホビット』Gollum
『アベンジャーズ』The Hulk
『ライフ・オブ・パイ』Richard Parker
 長編アニメーション映画におけるアニメーションキャラク
ター賞候補は、
『メリダとおそろしの森』Argument
『モンスター・ホテル』Dracula
『シュガー・ラッシュ』Vanellope
“The Pirates! In An Adventure WIth Scientists”
−−Band of Misfits
 実写映画における創造背景賞候補は、
『ホビット』Goblin Caverns
『プロメテウス』LV-233
『アベンジャーズ』Midtown Manhattan
『ライフ・オブ・パイ』Open Ocean
 長編アニメーション映画における創造背景賞候補は、
『メリダとおそろしの森』The Forest
『パラノーマン』Graveyard
『パラノーマン』Main Street
“Rise of the Guardians”The North Pole
 実写映画における仮想撮影賞候補は、
『ホビット』の全体
『アベンジャーズ』Downtown Manhattan
『トータル・リコール』(8月5日紹介)Hover Car Chase
『アメイジング・スパイダーマン』(6月17日紹介)の全体
 実写映画における模型賞候補は、
『アベンジャーズ』Helicarrier
“The Impossible”Orchid Hotel
『MIB3』(5月13日紹介)
−−Cape Canaveral/ Apollo Launch
『ダークナイト ライジング』(7月22日紹介)
−−Airplane Heist
 長編アニメーション映画における特殊効果賞候補は、
『メリダとおそろしの森』の全体
『パラノーマン』Practical Volumetrics
『パラノーマン』Angry Aggie Ink-Blot Electricity
“Rise of the Guardians”Last Stand
 実写映画における特殊効果賞候補は、
『ホビット』の全体
『ライフ・オブ・パイ』Storm of God
『バトルシップ』の全体
『ライフ・オブ・パイ』Ocean
 実写映画における合成賞候補は、
『ホビット』の全体
『ライフ・オブ・パイ』Storm of God
『アベンジャーズ』Hulk Punch
『プロメテウス』Engineers & the Orrery
 映画部門の各賞の候補は以上の通り。
 因に作品別の候補の数は、実写では『ホビット』が6部門
7候補、『アベンジャーズ』が6部門6候補、『ライフ・オ
ブ・パイ』が5部門6候補、『プロメテウス』が3部門3候
補、『バトルシップ』と一般映画の“The Impossible”が2
候補ずつで、他は1候補ずつ。アニメーションでは、『パラ
ノーマン』が3部門5候補、『メリダとおそろしの森』が4
部門4候補、“Rise of the Guardians”が3候補、『モン
スター・ホテル』『シュガー・ラッシュ』が2候補ずつで、
“The Pirates!”が1候補となっている。
 受賞式は2月5日の予定だ。
        *         *
 続いては1月10日に発表された米アカデミー賞の候補作。
こちらは気になる部門と作品を紹介しよう。
 まずは今回は5作品となったVFX部門。その候補作には
『ホビット・思いがけない冒険』(12月9日紹介)
『ライフ・オブ・パイ』(12月9日紹介)
『アベンジャーズ』(6月3日紹介)
『プロメテウス』(7月8日紹介)
『スノーホワイト』(6月3日紹介)
が選ばれた。上記のVES賞とでは『バトルシップ』→『ス
ノーホワイト』の交代だが、その辺が専門家と俳優なども含
めた一般映画人との違いなのだろう。
 10作品が選ばれた作品賞は、
『愛、アモール』(紹介予定)
『アルゴ』(9月9日紹介)
『ジャンゴ繋がれざる者』(紹介予定)
『レ・ミゼラブル』(12月9日紹介)
『ライフ・オブ・パイ』
“Lincoln”
『ゼロ・ダーク・サーティ』(2013年1月10日紹介)
“Beasts Of The Southern Wild”
『世界にひとつのプレイブック』(12月30日紹介)
 こちらは1月1日紹介のゴールデングローブ賞のドラマ+
コメディ/ミュージカル部門の10本と比べると、『マリーゴ
ールド・ホテルで会いましょう』『ムーンライズ・キングダ
ム』『砂漠でサーモン・フィッシング』→『愛、アモール』
『ジャンゴ』“Beasts Of The Southern Wild”となるが、
この辺は特にコメディが弱いとされるアカデミー賞の特徴も
ありそうだ。
 5作品が選ばれた長編アニメーション作品賞は、
『メリダとおそろしの森』(6月24日紹介)
『フランケンウィ二ー』(11月4日紹介)
『パラノーマン』(紹介予定)
“The Pirates! In An Adventure WIth Scientists”
『シュガー・ラッシュ』(紹介予定)
 この部門では、GG賞から『モンスター・ホテル』“Rise
of the Guardians”→“The Pirates!”『フランケンウィ二
ー』。VE賞からは消えた2本は同じで→“The Pirates!”
『パラノーマン』となっている。この辺は3者3様という感
じだが、3者が共に選んだ『メリダ』と『シュガー』が強い
のかもしれない。
 その他は作品別に見て行くと、『ライフ・オブ・パイ』は
作品、監督、脚色、撮影、編集、作曲、歌曲、プロダクショ
ンデザイン、音響編集、音響、VFXの11候補。これは今回
最多のスティーヴン・スピルバーグ監督“Lincoln”の12候
補に次ぐ候補数になっている。
 続いて『レ・ミゼラブル』は作品、主演男優、助演女優、
衣裳、メイクアップ&ヘアスタイリング、歌曲、プロダクシ
ョンデザイン、音響の8候補。『世界にひとつのプレイブッ
ク』も作品、監督、主演男優、助演男優、主演女優、助演女
優、脚色、編集の8候補。
 因に、『世界にひとつの…』が1作で作品、監督から主助
演男女優までの主要6部門全ての候補になったのは、1981年
『レッズ』以来32年ぶりの快挙だそうだ。
 さらに『アルゴ』は作品、助演男優、脚色、編集、作曲、
音響編集、音響の7候補。『ゼロ・ダーク・サーティ』は作
品、主演女優、脚本、編集、音響編集の5候補。『ジャンゴ
繋がれざる者』も作品、助演男優、脚本、撮影、音響編集の
5候補となっている。
 また『007スカイフォール』(11月4日紹介)は撮影、
作曲、歌曲、音響編集、音響の5候補。『アンナ・カレーニ
ナ』(紹介予定)が撮影、衣裳、作曲、プロダクションデザ
インの4候補。『ザ・マスター』(12月30日紹介)は主演男
優、助演男優、助演女優の3候補。
 そして『ホビット・思いがけない冒険』(12月9日紹介)
がメイクアップ&ヘアスタイリング、プロダクションデザイ
ン、VFXの3候補。さらに『スノーホワイト』は衣裳賞と
併せて2候補だが、衣裳賞には『白雪姫と鏡の女王』(6月
17日紹介)も候補になっており、この対決は興味深い。
 さらに『ムーンライズ・キングダム』(12月30日紹介)が
脚本。『ヒッチコック』(紹介予定)がメイクアップ&ヘア
スタイリング、『テッド』(11月25日紹介)が歌曲の候補に
なっている。なお『アベンジャーズ』と『プロメテウス』は
VFXのみだ。
 また、10月28日付「東京国際映画祭」コンペティションで
紹介の『NO』と、紹介予定の『魔女と呼ばれた少女』『ロ
イヤル・アフェア』が外国語映画、さらに紹介予定の『シュ
ガーマン』が長編ドキュメンタリーの候補になっている。
 授賞式は2月24日の予定だ。
        *         *
 次は結果で、前回紹介ゴールデングローブ賞の受賞者が、
以下のように発表された。
ドラマ作品賞『アルゴ』
ドラマ主演女優賞:ジェシカ・チャスティン(ゼロ)
ドラマの主演男優賞:ダニエル・デイ=ルイス(LINCOLN)
コメ/ミュ作品賞『レ・ミゼラブル』
コメ/ミュ主演女優賞:ジェニファー・ローレンス(世界)
コメ/ミュ主演男優賞:ヒュー・ジャックマン(レ・ミゼ)
長編アニメーション賞『メリダとおそろしの森』
外国語映画賞『愛、アモール』(紹介予定)
助演女優賞:アン・ハサウェイ(レ・ミゼ)
助演男優賞:クリストフ・ヴァルツ(ジャンゴ)
監督賞:ベン・アフレック(アルゴ)
脚本賞:クエンティン・タランティーノ(ジャンゴ)
 これらの結果が、VES賞、アカデミー賞にどのように影
響するか? 特にコメディは弱いとされるオスカーだが、ド
ラマ主演女優賞の『ゼロ・ダーク・サーティ』とコメディで
主演女優賞の『世界にひとつのプレイブック』との評価も気
になるところだ。
        *         *
 ここからは製作ニュースで、まずは待望“Pirates of the
Caribbean 5”の脚本に、2011年12月紹介『ペントハウス』
などのジェフ・ネイザンスンの起用が発表されている。
 因に『POTC』シリーズ前4作の興行収入は、全世界で
36億ドルに達しているのだそうで、さらに前作2011年5月紹
介『生命の泉』は単独でも10億ドルを稼ぎ出し、今一番待望
されているシリーズの1本と言えるものだ。
 そして本シリーズに関しては、交代不可能なジャック・ス
パロー船長役のジョニー・デップ自身が、「長く続くのは良
いことだ」との発言を繰り返しており、次作への出演も確定
済み。製作者ジェリー・ブラッカイマーの許での製作が決定
しているものだ。
 ただし、新作の内容等は全く未発表で、ジョフリー・ラッ
シュやキーラ・ナイトレイらの過去の出演者の登場も不明。
さらにデップは、前回紹介した“Alice in Wonderland”へ
の出演も取りざたされていて、本作の製作開始までには多少
時間が掛かりそうだ。
 なおネイザンスンは、2003年2月紹介『キャッチ・ミー・
イフ・ユー・キャン』で最も知られており、現在はドリーム
ワークス製作の“The 39 Clues”というアドヴェンチャー作
品を執筆中とのことだ。
        *         *
 第5作の次は第4作の話題で、2011年7月31日付でも紹介
した“Jurassic Park 4”について、この作品の全米公開を
2014年6月13日とするとユニヴァーサルが発表している。
 この計画に関しては、以前にはComic-Conに初参加したス
ティーヴン・スピルバーグがその構想を述べたことを報告し
たものだが、その後の情報では、脚本に2011年『猿の惑星:
創世記』のリック・ジャフェとアマンダ・シルヴァが決った
との報道もされていた。
 その計画がいよいよ実現することになったものだが、実は
スピルバーグには先に計画していた“Robopocalypse”とい
う作品が延期になったとの情報もあり、2001年の第3作では
ジョー・ジョンストンに譲った監督の椅子に再び座る可能性
もあるようだ。因にスピルバーグが製作総指揮で関わること
は発表されている。
 さらにユニヴァーサルからは、今年4月に第1作を3D変
換して全米公開する予定も発表されており、恐竜ブームを再
燃させる目論見は着実に進められているようだ。
        *         *
 次も第4作の話題で、すでにマーク・ウォルバーグの出演
が発表されている“Transformers 4”の相手役に、ジャック
・レイナーという子役の配役が発表された。
 この作品ではマイクル・ベイ監督が4度目のメガホンを取
ることも発表されているが、そのベイ監督がこのアイルラン
ド出身の少年の起用を自身のブログに発表したとのことだ。
因にこの少年は、母国で“What Richard Did”という作品に
出演して注目を浴びたようだが、すでにドリームワークス製
作の“The Delivery Man”に出演してヴィンス・ヴォーンの
相手役も務めている。
 一方、本作の脚本は2011年7月紹介『トランスフォーマー
/ダークサイド・ムーン』も手掛けたアーレン・クルガーが
続けて担当しているが、物語の背景は前作の4年後としてい
るものの、以前のキャラクターとの繋がりはなく、リブート
ではないが新たな物語の展開となるようだ。
 全米公開は、2014年7月27日に予定されている。
        *         *
 もう1本は、2005年7月紹介の前作以来、常にその動向が
注目されていたロベルト・ロドリゲス、フランク・ミラー共
同監督による『シン・シティ』の第2作が、今年10月4日の
全米公開を目指して製作が急ピッチになってきた。
 この新作は“Sin City: A Dame to Kill For”と題されて
いるもので、ミラーが過去に発表した2つの物語に新たな物
語が付け加えられるとのことだ。そしてそのストーリーは、
前作でクライヴ・オーウェンが演じた私立探偵ドワイトの若
き日を描くもので、その配役に昨年5月紹介『MIB3』で
トミー・リー・ジョーンズの若き日を演じたジョッシュ・ブ
ローリンの出演が発表された。
 さらにジョセフ・ゴードン=レヴェットと、テレビ“Law
& Order”などのクリストファー・メロニーが出演。また前
作に出演のミッキー・ルーニー、ジェシカ・アルバ、ロザリ
オ・ドースンらの再出演もあるそうだ。
 なお撮影はすでにテキサス州オースティンのロドリゲスの
スタジオで開始されているが、撮影は前作同様、全編が合成
用のスクリーンの前で行われており、また本作では3Dでの
上映も予定されている。因にロドリゲスは、2003年9月紹介
『スパイキッズ3−D:ゲームオーバー』などで3D映画に
挑戦しており、その経験も踏まえた作品が期待できそうだ。
        *         *
 お次は新規の話題で、1982年の『ブレード・ランナー』や
1984年『デューン/砂の惑星』などで鮮烈な印象を残した女
優ショーン・ヤングが、SF映画の新作に出演している。
 題名は“Police State”で、お話はアメリカ全土で展開さ
れる爆弾テロを背景としたものということだが、一応紹介の
記事ではsci-fi thrillerとされていた。これだけの情報で
は一体どんな作品か全く見当もつかないが、共演にはテレビ
“Smash”に出演のニール・ブレッドソー、“Gossip Girl”
に出演のアリス・キャラハンといった顔ぶれが並んでいるよ
うだ。脚本と監督は、2007年“Serial”という作品で映画祭
の審査員賞などを受賞しているケヴィン・アルフエ。
 なお製作はヴァルドーという会社だが、この会社では最近
アルカナというコミックスの出版社と組んで“Head Smash”
というSFグラフィックノヴェルの映画化も進めているよう
だ。これは新たなジャンル映画プロダクションの誕生になる
のかな。
 そしてこれらの作品が、来年の「渋谷ミッドナイト・マッ
ドネス」や「未体験ゾーンの映画たち」のような企画を賑わ
すことになるのだろうか。期待して待ちたいものだ。
        *         *
 最後はちょっとバタバタしているニュースで、ワーナーが
2014年5月16日の全米公開を目指して、3月からの撮影を予
定している“Godzilla”の脚本に、ここへ来てフランク・ダ
ラボンの参加が発表された。
 しかも製作会社のレジェンダリーからは、ワーナーに本拠
を置くダン・リン、ロイ・リーの2人のプロデューサーの解
任が発表され、当面の製作はプロデューサー不在で行われる
ことになるようだ。因に、レジェンダリーは2010年3月に本
作の計画をワーナーに持ち込んだが、プロデューサーの2人
はその時から製作に参加しており、言わば本作の製作では生
え抜きだった。
 なお監督は、2011年7月17日付で報告したように同年6月
紹介『モンスターズ』のギャレス・エドワーズが契約してお
り、さらに出演者には、今夏公開の“Man of Steel”でスー
パーマンを演じるヘンリー・カヴィエルや『モンスターズ』
のスコット・マクナリー、2011年7月紹介『ラスト・エクソ
シズム』に出演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズらが発
表されている。
 また非公式だが、レジェンダリーの製作でワーナーが配給
するギレルモ・デル・トロ監督の新作SF“Pacific Rim”
を担当したメアリー・ペアレントがプロデューサーの後任を
務めるとの情報もあり、これで今後の製作が順調に進むこと
を祈りたいものだ。ただしペアレントはパラマウントに本拠
を置くプロデューサーだそうだ。
 それにしても本作の脚本では、デイヴィッド・キャラハン
の第1稿にデイヴィッド・S・ゴイヤーが手を加えるなど、
決定稿がなかなか完成せず、さらに撮影2ヶ月前になっての
ダラボンの参加ということでは、以前のプロデューサーの信
用もかなり失墜したのかもしれない。
 とは言え、2010年1月紹介『シャーロック・ホームズ』の
シリーズなども手掛けてきたダン・リンには、ワーナーの信
頼はかなりあるようで、新作の“Gangster Squad”が公開さ
れた先週末には、新たに2年間の製作者としての契約延長も
発表されている。
 このためダン・リン製作では、今後も“The Lego Movie”
や“It”“Spyhunter”“Deathnote”などが進められるよう
だ。


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