| 2013年01月10日(木) |
ガレキとラジオ、ボクたちの…、ゼロ・ダーク・サーティ、グレイヴE2/モスキートM、アウトロー、幕末奇譚、わすれないふくしま、約束 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ガレキとラジオ』 東日本大震災関連のドキュメンタリー。あれだけの災害だと 実にいろいろなことが起きているもので、本作では震災後に 宮城県南三陸町で送信されたFM局の奮闘が描かれる。 放送開始は2011年5月17日。スタジオは南三陸町の避難所と なっていた体育館の片隅。その放送局「FMみなさん」は、 元サラリーマンや元トラック運転手など、放送など未経験の 9人の男女によって運営が開始された。 このラジオ局は、基本的には町民に防災や避難情報などを届 けるための南三陸町の行政による事業のようだが、支給され る給与は微々たるもの。しかしそれから10ヶ月、町民に笑顔 を取り戻そうと9人は奮闘した。 それはもちろん素人のやっていることだから、放送事故はあ るし、取材に行っても反省はしきりだ。そんな中でも徐々に 手応えを掴んでい行く彼らは、町の財政の関係で放送の終了 が決まってからも最後のイヴェントに奔走する。 何故その放送に参加したかという問いに対する彼らの答えは 「他にすることがなかった」みたいな、通り一遍のものが多 かったようだが、実際にその通りだったのかもしれない。だ がそんな彼らが使命感に目覚めて行く。 この作品は、そんな人間が今なすべきこと、何かを始めるこ とで何かが変わって行く…そんなメッセージが伝わってくる 作品だった。それは被災地だけではない、日本の全国民に向 けたメッセージのようにも感じられる作品だ。 監督は、CMクリエーターの梅村太郎と、テレビ構成作家の 塚原一成。学生時代からの友人同士だった2人が震災の直後 に「兎に角、自分に出来ることをしよう」と思い立ち、本業 の傍ら1年を掛けて完成させた作品となっている。 なお、ナレーターを作品の趣旨に賛同した役所広司が務め、 主題歌は仙台に拠点を置くロックバンドのMONKEY MAJIKが担 当している。 作品の後半では、外にいる人間には判らない現実の厳しさみ たいなものも描かれるし、イヴェントに参加するため訪れた タレントが号泣する姿には、今更ながらと思いながらも改め てその爪痕の大きさを突きつけられる感じもした。 東日本大震災関連のドキュメンタリーは、すでに何本紹介し たかも勘定できない状況だが、その中でもまだまだいろんな ことが起きているのだと感じさせる作品だった。
『ボクたちの交換日記』 2005年11月に『ピーナッツ』という作品を紹介しているお笑 いコンビ「ウッチャンナンチャン」の内村光良の脚本・監督 による第2回作品。2008年8月紹介『ハンサム★スーツ』な どの鈴木おさむの原作「芸人交換日記〜イエローハーツの物 語〜」からの映画化。 主人公は、芸歴は結成12年だが売れているというには程遠い お笑いコンビ「房総スイマーズ」。年齢も30歳目前となって おり、10年以上もコンビをやっていると普段の会話もまばら になっている。 そんな2人が現状打破のために交換日記を開始する。それは 最初はコンビの片割れから一方的に提案されたもので、もう 1人は当初は反発もするが、それが腹蔵のない意見の交換と なり、2人は徐々にやる気を取り戻してゆく。 そんな折に2人は、彼らを駆け出し時代から知るテレビプロ デューサーに、新たなお笑いコンテスト番組への参加を提案 される。それは起死回生のチャンスになるはずだったが…。 それが2人に決定的な転機をもたらしてしまう。 出演は、2010年3月紹介『矢島美容室−THE MOVIE−』など の伊藤淳史と、2008年3月紹介『僕の彼女はサイボーグ』な どの小出恵介。他に、2009年3月紹介『群青』などの長澤ま さみ、昨年2月紹介『ポテチ』などの木村文乃、『桜蘭高校 ホスト部』などの川口春奈。 さらにムロツヨシ、大倉孝二、佐藤二朗、佐々木蔵之助らが 脇を固めている。また、監督の関係なのかベッキーとカンニ ング竹山が友情出演している。 作品では、伊藤と小出がお笑いコンビ役に挑戦しているが、 俳優にお笑いコンビをやらせる映画は先にもあった。ただし 以前の作品が何か違う方向性だったのに対し、本作では最後 までお笑いの本質に迫ろうとしている感じが好感だった。 それは挫折と成功、涙と笑いに彩られたもので、それはまあ 感動というには安っぽいものかもしれないが、人がその人生 を賭けるというテーマ性ではうまいところを突いて描いてい る作品に思えた。 もちろん本作は鈴木の原作に基づくもので、それがどのよう に描かれているのかは原作本を見ていないので判らないが、 映画の中には内村の演出による2人の漫才シーンもしっかり と収められていて、それを観るのも面白かった。
『ゼロ・ダーク・サーティ』“Zero Dark Thirty” 2001年の「9・11」から10年後、2011年5月1日に敢行され た首謀者ウサーマ・ビン・ラーディンの捕縛作戦。その実行 までの出来事を描いたアカデミー賞受賞監督キャスリン・ビ グローによる作品。 2010年2月紹介『ハート・ロッカー』で共にアカデミー賞を 受賞したビグロー監督と脚本を執筆したマーク・ポールは、 実はそれ以前に、2001年12月にアフガニスタン東部の町トラ ボラで失敗に終わったビン・ラーディン捕縛作戦の映画化を 計画していたのだそうだ。 しかしその計画は頓挫したものの、替って進めた『ハート・ ロッカー』が高評価の上に大ヒットを記録し、2011年2人は 改めてトラボラ作戦の映画化を目指すことになる。ところが その直後の5月1日に現実の捕縛作戦が実行され、2人は一 から計画を立て直さなくてはならなくなった。 ここから脚本家のポールはワシントンに飛び、数多くの関係 者にインタヴューをして脚本を作り上げて行くことになる。 その機関の中には協力的な部署もあったが、基本的には調査 を重ねることによって生み出された作品であり、映画に登場 するほとんどシーンは、実際に作戦に参加した人たちの証言 に基づいているとのことだ。 それは、例えば物議を醸した「拷問」のシーンにしても、ビ グロー監督は「人間として目をつぶりたくなるような光景で はあったが、映画監督としては出来事を有りりのままに伝え る義務がある」として描いているとのことだ。 とは言え本作は事実に基づくフィクションと明記されている ものであって、そのドラマティックなフィクションが2時間 38分の上映時間を全く飽きさせることなく、観客をグイグイ と引き込んで行く作品だ。 出演は、昨年2月紹介『テイク・シェルター』などのジェシ カ・チャスティン、2009年9月紹介『パブリック・エネミー ズ』などのジェイスン・クラーク、2011年11月紹介『アニマ ル・キングダム』などのジョエル・エガートン、2011年10月 紹介『コンテイジョン』などのジェニファー・イーリー。 さらに、2010年10月紹介『キック★アス』などのマーク・ス トロング、昨年9月紹介『アルゴ』などのカイル・チャンド ラー、2008年2月紹介『バンテージ・ポイント』などのエド ガー・ラミレスらが脇を固めている。 また、暗視シーンを多用した撮影は2011年5月紹介『モール ス』などを手掛けたグリーグ・フレイザーが担当し、緊張感 あふれる編集には2010年11月紹介『ザ・タウン』などのディ ラン・ティチェナーと、『アルゴ』などのウィリアム・ゴー ルデンバーグが共同で当っている。
『グレイヴ・エンカウンターズ2』 “Grave Encounters 2” 『モスキートマン』“Sucker” 1月12日から3月22日まで東京渋谷のヒューマントラストシ ネマにて開催される「未体験ゾーンの映画たち2013」で上映 される21作品の内から2作品をサンプルDVDで鑑賞した。 1本目は、昨年4月に紹介した作品の続編。前作をネットで 観た映画研究会の若者にヴィデオレターが届き、それを切っ 掛けに前作のが製作状況を調べ始めるが、前作の出演者は全 員が行方不明。さらに追求する内に不可思議な状況に突き当 たる。そして偽名だった精神病院の所在が判明し、状況を調 べるため仲間と現地に向かうが…という展開だ。 出演は、2011年にホラーアンソロジー・シリーズ中の演技で ヤングアクター賞を受賞しているリチャード・ハーロンと、 2009年に“Zombie Punch”という作品歴のあるリーニー・ラ ップ。他は、いずれも映画は初出演のディラン・プレイフェ ア、ステファニー・ベネット、ホーウィー・ライ。また、ベ ン・ウィルキンスン、ショーン・ロジャースンらが前作から 引き続き出演している。 監督は、以前には2006年9月紹介『スネーク・フライト』な どの製作に関っていたというが、本作で長編監督デビューの ジョン・ポリクィン。また脚本は、前作を手掛けたザ・ヴィ シアス・ブラザースが執筆。本作には出演もしていた。 2本目は、邦題は『スパイダーマン』のパクリっぽいが、原 題はそうではなく、どちらかというと1986年『ザ・フライ』 の方に近い。とは言っても発端などには『スパイダーマン』 の影響は強いが…メイクなどは『ザ・フライ』風というとこ ろだ。 脚本、監督、主演は1994年にスタートしたSFTVシリーズ “Weird Science”に主演していたマイクル・マナセリ。ヒ ロイン役には、次に紹介『アウトロー』にも出ているジョー ダン・トロヴィリオン。 また、1989年『ビルとテッドの大冒険』への出演や本作では 製作も務めるキンバリー・ケイツ。さらに1984年の『悪魔の 毒々モンスター』などのロイド・カウフマン監督らが脇を固 めている。 なお、今回の特集上映では昨年12月に紹介した『エンド・オ ブ・ザ・ワールド』も上映されることになっていて、作品の ジャンルなどはかなり超越したもののようだ。ただし紹介し た3作は、いずれもそこそこのレヴェルには達している感じ のもので、作品的には楽しめるものだった。
『アウトロー』“Jack Reacher” トム・クルーズが『M:i』のイーサン・ハントとは別の主人 公に挑戦する新シリーズの開幕編。 物語の始まりは、河畔に建つピッツバーグ・パイレーツの本 拠地PNCパークを背景に置く川岸の遊歩道。平和な風景に 突然6発の銃声が鳴り響き、5人の男女が殺害される。それ は川を挟んだ駐車場からの狙撃弾によるものだった。 そして直ちに射撃現場に駆けつけた警察は、コインメータに 投入された指紋付きの硬貨と、溝に残された薬莢から元米軍 スナイパーの男を特定。その男には、過去にイラクで民間人 3人を射殺した前歴もあった。 ところが逮捕された男は尋問には黙秘を続け、最後に「ジャ ック・リーチャーを呼べ」と書き残す。それはイラクで彼の 犯罪を摘発した憲兵の名前だった。しかしなぜ男は自らの罪 を暴いた男に救援を求めたのか。 やがて現れたリーチャーは、最初は男の犯罪を当然と受け止 めていたが… 共演は、2009年11月紹介『サロゲート』などのロザムンド・ パイク、昨年4月紹介『ラム・ダイアリー』などのリチャー ド・ジェンキンス、昨年1月紹介『ヘルプ・心がつなぐスト ーリー』などのデヴィッド・オイェロヴォ。 他には、ドイツ出身映画監督のヴェルナー・ヘルツォーク、 オーストラリア出身でハリウッド映画デビュー作のジェイ・ コートニー、2008年11月紹介『アンダーカヴァー』などのロ バート・デュヴォールらが脇を固めている。 また、主人公の危機を救う役のカメオ出演者がいたが、ノン クレジットだったようだ。 脚本と監督は、1995年の『ユージアル・サスペクツ』で米ア カデミー賞脚本賞を受賞したクリストファー・マッカリー。 因に作品は、元テレビクリエーターのイギリス人作家リー・ チャイルドが1997年に発表を開始したシリーズ「ジャック・ リーチャー」の第9巻に基づくもの。シリーズは既に17冊が 発表されて全世界の95ヶ国で出版され、総計6000万部以上が 発行されているそうだ。
『幕末奇譚SHINSEN5〜剣豪降臨〜』 2011年8月紹介『VAMPIRE STORIES』の馬場徹、2010年2月 紹介『月と嘘と殺人』の八神蓮らが新撰組に扮する少し捻り の加えられた幕末時代劇。 物語は、新撰組八番隊組長・藤堂平助が、幕府目付け役・辻 村の警護中を襲われるところから始まる。しかも襲ってきた のは柳生十兵衛。江戸初期の剣豪がなぜ幕末の世に現れたの か。そこには新撰組が結成された真の使命があった。 お話としてはかなり荒唐無稽というか、とんでもないものだ が、まあこの内容なら歴史的な背景を知らなくても判り易い だろうし、基本的に馬場、八神のファンが対象の作品なら充 分というところだろう。 とは言うものの、2007年12月紹介『トリコン』や2008年2月 紹介『カフェ代官山』から付き合ってきた者としては、時代 劇というのには多少戸惑いは感じてしまったところで、それ は何か余分な手間暇を掛け過ぎのようにも思えた。 でもまあ、イヴェント試写会に集まっていた女性のファンた ちは満足していたようだから、それはそれで良いのだろう。 それにしても1日3回の上映には、全て参加している観客も 多かったようだし、上映前には「次は名古屋」なんて声も聞 こえてきたから、2008年8月紹介『キズモモ。』の時の勢い は衰えていないようだ。 共演は、2010年ジュノンボーイでファイナリストの神永佳祐 (映画初出演)、2011年6月紹介『あの、晴れた青空』など の馬場良馬、同月紹介『行け!男子高校演劇部』などの広瀬 佳祐。さらに昨年2月紹介『寒冷前線コンダクター』などの 高崎翔太、2010年11月紹介『ギャングスタ』などの佐々木喜 英らが脇を固めている。 監督は、2007年ぴあフィルムフェスティバルで審査員特別賞 などを受賞している中島良。脚本は、2004年12月紹介『隣人 13号』などの俳優で現在は舞台の演出や脚本を手掛けてい るまつだ壱岱。脚本家は初の映画脚本だそうだ。 展開としては、同じ剣豪が繰り返し出てきたりして、その辺 が多少安っぽさを感じさせる。それは実際に制作費との関係 もあるかもしれないが、本作の流れではそれはしない方が良 かったと思える。 そんなことは気にしない観客が相手の作品かもしれないが、 製作会社には大きなテレビ局の名前も入っていることだし、 その辺はきっちりとして欲しいところだ。
『わすれない ふくしま』 またまた東日本大震災関連のドキュメンタリー。ただし本作 は題名からも判るように、福島原発による被害を主題とした ものだ。 映画では最初に大津波の様子が紹介され、そこには今までに 見たことのない惨状が撮されていて、その衝撃は大きいもの だった。そしてそのショックも消えない内に、福島原発の爆 発の映像が続き、そこからその放射能汚染による被害が描か れて行く。 それは放射能汚染の中で、牛乳を出荷できないにも拘らず見 捨てることができずに牛の飼育を続けている酪農家の姿や、 牛舎の中で繋がれたまま餓死した牛の遺体など、以前の作品 で紹介されたものもあったが、その中で1人の酪農家の自殺 の報道から新たな側面が浮き彫りにされる。 そこでは、経営規模を拡大した直後の被災で借金が返せなく なったことが主な原因とされるが、その一方でフィリピン人 の妻が急遽帰国していた事実も紹介される。さらに被災直後 に数多くのフィリピン人妻や中国人妻が帰国して、一時的に 家族が成立しなくなった状況も語られる。 もちろんそれが自殺の原因とはされていないが、ある種のパ ニック状態の中で助け合うこともできずに逝ってしまった人 の悲しみや、残された者の無念なども描かれているように感 じられた。それは電力会社がお為ごかしのように配っている 保証金の対象にはならない人たちの現実だ。 外国人の帰国問題に関しては、我が家の息子の勤務先でも、 現場の労働者がいなくなって弱ったと話していたが、それが 家族の問題にまで影響していたことは考えてもいなかった。 外国人妻の存在は農業従事者の間では多い話だとは知ってい たのだが…。 さらにその子供たちは、将来に障害が発生することや、自分 の子供に影響が出ることなどの不安を語っていたが、その不 安が現実となっているチェルノブイリは国家事業。今次々に 原発再稼働を進める為政者にその意識はあるのか、最後は私 企業の問題として責任を転嫁するのか? 福島原発による被害を主題としたドキュメンタリーでは、昨 年8月に『フタバから遠く離れて』を紹介したが、その作品 の中で原発の推進から反対に転身した双葉町町長は、あっと いう間に町議会で不信任案を可決されたようで、それを可決 した議員の姿勢も問われるところだ。 年明け早々には放射能汚染土壌の処理をめぐる不正行為など も次々に明らかにされ、その背後に潜むものの恐ろしさも感 じられる作品だった。
『約束』 2012年5月紹介『死刑弁護人』に続く東海テレビ制作による 名古屋高等裁判所をめぐる司法の闇を描いた作品。前作は純 粋なドキュメンタリーだったが、本作では死刑囚自身を描く ために一部にドキュメンタリー映像も含む再現ドラマ作品と なっている。 その死刑囚の犯罪とされるのは、1961年に起きた「名張毒ぶ どう酒事件」。三重県名張市の山間の集落で集会所に集まっ ていた住民の内、女性だけに配られたぶどう酒に農薬が混入 され、5人が毒殺されたというものだ。 そして逮捕されたのは当日ぶどう酒を自治会長宅から会場ま で運んだ人物。彼には死亡した妻ともう1人の女性との間で 三角関係があり、それを一挙に解消するため2人とも毒殺し たとされる。しかも逮捕から数日後には、記者会見で自らを 犯人と認める発言をしてしまう。 こうして裁判が始まるが、物的証拠は犯人が毒物を入れるた めに歯でこじ開けたとするビンの王冠だけで、他は自供のみ による立件だった。そして裁判で被告人は一貫して無実を訴 え、自供は強制されたものであるとの主張を繰り返す。 その結果は、一審の津地方裁判所では無罪となったものの、 検察が控訴した名古屋高等裁判所で、1969年逆転の有罪死刑 判決が下される。以来43年、逮捕からは51年、死刑囚奥西勝 は、名古屋拘置所の独房の中で無実を訴え続けている。因に 日本の裁判で無罪から一転死刑判決となったのは、本件が戦 後初めてのことだったそうだ。 また、その後の7次に及ぶ再審請求はことごとく棄却されて いるが、その中では名古屋高等裁判所で一旦は請求が認めら れたものの、検察の異議により別の裁判官が棄却。さらには 最高裁で証拠を再調査するようにとの理由付けで差し戻され たが、名古屋高等裁判所では証拠調べはせずに棄却など…。 この作品を観る限りでは、名古屋高等裁判所では到底真っ当 とは言えない事態が続けられている。しかも先に再審を認め た裁判官はその後に辞職し、検察の異議を受けて請求を棄却 した裁判官はその後に昇進したそうだ。 死刑囚の再審問題では、2010年3月に高橋伴明脚本、監督に よる『BOX 袴田事件 命とは』を紹介しているが、死刑囚 の再審が認められ無罪となったのは、免田、財田川、島田、 松山のたった4件。その道が険しいのは判るが、それにして も名古屋高等裁判所の不可解さは際立つ作品だった。 なお再現ドラマには、仲代達矢、樹木希林、山本太郎らが出 演し、ナレーションは寺島しのぶが務めている。脚本と監督 は『死刑弁護人』など東海テレビの「司法」シリーズを手掛 けるディレクターの齊藤潤一が担当した。
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