| 2012年12月16日(日) |
サイド・バイ・S、ひまわりと子犬の…、悪人に平穏なし、次郎は鮨の…、さなぎ、エンド・オブ・ザ・W、ジャッジ・D、いのちがいちばん… |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『サイド・バイ・サイド』“Side by Side” 俳優キアヌ・リーヴスの企画製作で、ディジタル化の進む映 画界の現状とその問題点などを探ったドキュメンタリー。 作品では最初に映画の簡単な歴史が紹介され、次いで1969年 ベル研究所でのCCDの開発から、1984年ルーカスフィルム でのエディットドロイド開発。さらに1995年デンマークのラ ース・フォン・トリアーが興した映画運動「ドグマ95」に おけるヴィデオ撮影への挑戦などが前史として描かれる。 そして2000年、全編にディジタル補正の施された『オー・ブ ラザー!』の製作と、HDヴィデオで撮影した『SWクロー ンの攻撃』の公開、さらにディジタル・カメラで撮影された 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のパルムドール受賞が同時 に起き、ディジタル化の波は一気に押し寄せることになる。 ただまあ、僕自身の個人的には、以前の職場の関係でソニー のHDカメラの開発などは比較的近い位置で見ていたし、こ の辺の経緯は目新しいものではなかった。しかしそれがフォ ン・トリアーやジョージ・ルーカスらの口から直接聞けるの は、正に実感として伝わるものだ。 そしてここからは、マーティン・スコセッシ、ジェームズ・ キャメロン、デヴィッド・フィンチャー、デヴィッド・リン チ、スティーヴン・ソダーバーグ、ラナ&アンディ・ウォッ シャウスキー、ダニー・ボイル、ロバート・ロドリゲス、リ チャード・リンクレイター、レナ・ダナムらがディジタルの 効用を語る一方で、クリストファー・ノーラン、バリー・レ ヴィンスンらのフィルム派の意見も紹介される。 さらに撮影監督や編集、技術スタッフ、機材メーカーまで、 ディジタルを取り囲む実に多方面の人々に取材が行われてい る。それは特に著名監督にはその姿が観られるだけでも楽し いものだし、その話している内容も実に平易で解り易く描か れているものだ。 ただ例えばディジタル補正(DI=Digital Intermediate) に関しては、カラーリングについては多く語られているが、 僕自身が以前にイマジカで観せて貰った補正は、もっと多様 なものだったし、さらにCGIについてももっと突っ込んで 貰いたかった。 それにフィルムとディジタルの違いについては、一言フィル ムの粒子性という言葉で片付けられているが、実際には量子 化エラーの問題など、ディジタルの問題点にももっと詳しい 解説が欲しかった。 とは言え本作は、フィルムとディジタルの現状を解り易く説 明していることでは有用な作品で、映画ファンには是非とも 観ておいて欲しい作品だ。
『ひまわりと子犬の7日間』 宮崎県を舞台に、保健所に収容された保護犬の実情と、譲渡 推進協働事業の実現を描いた実話に基く作品。 主人公は、保健所の動物保護管理所に勤務する男性。5年前 に妻を交通事故で亡くし、母親との同居で小学生の娘と息子 を育てている。そしてその子供たちには、保護された犬の引 き取り手を捜す手伝いをして貰っているが、自らの仕事の実 態は話すことができなかった。 そんなある日、野犬が畑を荒らしているとの通報で主人公は 先輩及び後輩の同僚2人と共にその保護に向かうのだが…。 そこにいたのは幼い3匹の子犬を持つ母犬。その母犬には、 優しい飼い主の許を離され、人間の都合で野犬にさせられた 過去があった。 こうして保護された野犬には、7日間の収容期間の内に譲渡 先が見つからないと処分という決まりがあった。しかし主人 公が特別に20日間に伸ばした収容期間の終りに近づいても、 人間不信に陥った母犬は従順さを見せなかった。そして長女 は、父親のしている仕事の真相を知ることになる。 結末は…まあかなり甘いものだが、一応は実話に基いている もののようだ。ただその中にかなり厳しい現実も明確に示さ れていて、それは観ているものにも突き付けられる。その現 実は、子犬の映像の可愛らしさだけに惹かれて観に行った観 客には、かなりショックになるものかもしれない。 そんな現実もしっかり伝える作品になっていた。 出演は、堺雅人、中谷美紀、でんでん、お笑いコンビ「オー ドリー」の若林正恭、吉行和子。他に夏八木勲、草村礼子、 左時枝、檀れい、子役の近藤里沙、藤本哉汰、そして小林稔 侍らが脇を固めている。 脚本と監督は、山田洋次監督1993年『学校』に参加以降、山 田組の助監督を務め、脚本も手掛けて2006年9月紹介『武士 の一分』などで日本アカデミー賞脚本賞も受賞している平松 恵美子。監督はデビュー作のようだ。なお脚本は、2007年に 「奇跡の母子犬」という動画を配信して話題になった宮崎県 の動物保護活動家・山下由美の原作に基いている。 もちろん本作でも救われるのはひまわりの母子犬だけで、そ の生き長らえる20日の間にも次々に処分は行われている訳だ が、プレス資料によると、平成21年度と22年度の統計で犬の 収容数に対する返還・譲渡率は少し伸びているそうで、本作 に登場する人たちの活動は少しずつ報われているようだ。
『悪人に平穏なし』“No habrá paz para los malvados” 2012年のゴヤ賞(スペイン・アカデミー賞)で作品、監督、 主演男優など主要6部門の受賞に輝いた現代スペインが舞台 のフィルム・ノアール作品。 主人公は荒んだ雰囲気の男性。その男性は深夜のマドリード を彷徨した末にとある閉店後のバーに入り込む。そして警官 バッジを振りかざして酒を要求した挙句に、ふとしたことか ら発砲し、店主と従業員を射殺してしまう。 ところが証拠隠滅のため、防犯カメラの映像をチェックした 男性は彼の犯行に目撃者のいたことを知る。そしてその目撃 者の跡を追い始めた男性は、その陰に潜む巨大な陰謀を追う ことになってしまうが…。 一方、警察は周囲の映像から犯人がその男性であることを疑 い始めていた。 脚本と監督は、1999年ロマン・ポランスキー監督、ジョニー ・デップ主演で映画化された『ナインスゲート』の脚本にも 起用されたエンリケ・ウルピス。また本作で主演賞を受賞し たホセ・コロナドは、1987年から多くの映画に出演するベテ ラン脇役のようだ。 本作の物語は、2004年にマドリードで発生し、191人の死者 を出した同時多発テロ事件からインスパイアされたものとの こと。ただし監督の言によると、その事件の真相は未だ当局 からは明らかにしていないのだそうで、本作はそんな事件の 謎も追求する作品になっているようだ。 それで映画を観ていると、主人公の男性の立場が今一つ明確 でない感じで、偶然に事件に遭遇するというのは何とも釈然 としない。むしろ確信的に事件に入り込んでいっているよう にも見えるが、その辺は脚本も執筆した監督自身がぼやかし ているようにも取れる。それも微妙な作品だ。 とは言え、深夜のマドリードの風景からクライマックスの壮 絶な銃撃戦とその結末。さらに最後に映される映像が示す真 の意味など、その描くものの深さは尋常ではない作品のよう にも感じられる。これはスペインの観客が観たら僕ら以上に いろいろなことを考えてしまう作品なのだろう。 少なくともテロ事件は起きたのだから。
『次郎は鮨の夢を見る』“Jiro Dreams of Sushi” ミシュランガイド東京にて6年連続三つ星を獲得し、87歳で 現役、「世界最高齢の三ツ星シェフ」としてギネスにも登録 されている東京数寄屋橋の鮨店「すきやばし次郎」の店主・ 小野二郎の姿を追ったドキュメンタリー。 店主は1925年の静岡県生まれ、7歳の時に地元の料理店で奉 公を始め、その後に東京に出て26歳で鮨職人となり、40歳で 独立して「すきやばし次郎」を開店。江戸前鮨の伝統に新風 を吹き込んだ独創性で、1994年にはヘラルド・トリビューン 誌で世界のレストラン第6位に選出され、2005年に厚労省の 「現代の名工」として表彰。2007年ミシュランガイド東京で 三つ星を獲得、以来6年間その地位を保っている。 本作はその店主の姿を、1983年ニューヨーク生まれ、南カリ フォルニア大学映画製作課程卒業で、2008年8月紹介『ブラ インドネス』の制作過程を追ったテレビドキュメンタリーが 高評価を得たというデヴィッド・ゲルプが、長編デビュー作 として捉えている。 その作品では、料理評論家・山本益博の解説インタヴューを 交えて江戸前鮨を築地での仕入れから仕込みの様子など食客 に提供するまでの過程を追うと共に、その完成された鮨の美 しさなども堪能させてくれる。さらにミュシュランガイドに 選出された際の受賞式の様子なども紹介されている。 その一方で、父親の跡を継ぐ2人の息子の姿も紹介し、数寄 屋橋で2代目店主となる長男と、六本木に独立して店を構え る次男の微妙な立場なども描かれる。因にゲルプ監督は父親 がメトロポリタン・オペラの総帥であるピーター・ゲルプ、 兄も映画監督とのことで、作品にはそんな監督自身の思いも 反映されているようだ。 なお試写会では、言わずもがなのところが多いとか、肝心な ところが説明されていないなどと注文をつけている評論家ら しき人物がいたが、料理の専門家でない僕等には実に解りや すく、カタログ的に登場する鮨の姿などにも美しさを感じら れたものだ。 もちろん藁で焼いてたたきを造るシーンなどは解説があって もいいかとも思うが、鮨を全く知らない人たちに観せるには これで充分だし、かえってウザい解説など不要な、正に鮨の 美しさが堪能できる作品だった。
『さなぎ』 2008年発表の『空とコムローイ〜タイ、コンティップ村の子 どもたち』という作品で、京都国際子ども映画祭長編部門の グランプリを獲得している三浦淳子監督が、小学1年生の時 から不登校になっている少女の姿を、14年間に亙って追った ドキュメンタリー。 作品の始まりで少女はすでに小学3年生になっていて、それ までにあったのであろう様々な出来事は、登場する母親らの 発言のみとなっている。その辺が本当はよりドラマティック であったかもしれないが、本作ではあえてそれは追わずに、 そこからの少女の立ち直りに重点が置かれている。 因に不登校の理由はいじめとかによるものではなく、原因は 不明。ただ素人目に見て、この少女は精神年齢が高かったの だろうとは思う。それが多分周囲の子供たちと合わなくて、 頭痛などの症状を生み出していったのではないのかな。画面 を見ていてふとそんな感じがした。 しかし作品ではそのような原因の追求などもせず。少女の成 長の中で徐々に彼女自身が変って行く様子が撮されている。 それは試写会の後で行われたQ&Aの中で、監督は「遊んで いるのを写しただけ」と答えていたが、それが見事にその成 長も捉えているものだ。 そしてその成長を促した学校や、家族・両親らの努力を巧み に捉えた作品にもなっている。ただし、その部分の描き方も 間接的で、もっと具体的にその方策なども示して欲しかった 感じもするが、本作はそのような教育論が目的の作品ではな い。 そんなまあちょっと回りくどい感じの作品ではあるが、現在 全国に12万人の小中学生が不登校になっているという現実を 考えると、この作品に描かれた様々なヒントが、きっとその 家族や先生方の役に立つと思われる作品。特に全国の先生方 には観て貰いたいものだ。 そしてそれは、原因追求などをセンセーショナルに描くより も、正しく描かれた作品になっていると思えるし、それが何 よりの本作の価値であるとも感じられた。 なお作品は、少女が大学生になっている現在まで取材されて おり、最後には少女自身の言葉で過去が振り返られている。 そこでもあえて細かいことは追求されないが、その全てが現 在の子供たちの置かれた状況を描いている作品のようにも思 われた。
『エンド・オブ・ザ・ワールド』 “Seeking a Friend for the End of the World” 2008年7月紹介『ゲット・スマート』などのスティーヴ・カ レルと、2010年12月紹介『わたしを離さないで』などのキー ラ・ナイトレイの共演で、世界の終わりを迎えた人々の姿を 描いた作品。 映画の最初で、小惑星の破壊に向ったスペースシャトルが爆 発したとの報道が伝えられる。つまりこれは、1998年の『ア ルマゲドン』でブルース・ウィリスらの作戦が失敗に終った 世界の物語。人類はただ最後の日を迎えるだけとなり、街で は略奪や暴動が続き、少し理性のある人々も最後のパーティ で酒やドラッグに溺れている。 そんな中で主人公は、突然最愛だと思っていた妻に去られ、 乱痴気騒ぎの続く世間から取り残された存在となる。ところ がそんな主人公の前に、イギリスからやってきて帰国できる 最後の飛行機に乗り遅れてしまった若い女性が現れる。その 女性は最後に聞きたいというヴィニール盤のレコードを抱え て途方に暮れていた。 そこで主人公は意を決して女性にある提案をし、2人で目的 地に向う旅を開始することになるが…。2人の前に最後の時 を迎えた人々の様々な姿が繰り広げられて行く。 終末世界の描き方は、まあ予想通りというか、あまり目新し い感じのものではないが、主役の2人を演じるカレルとナイ トレイの雰囲気が素晴らしくて、もしこういう事態に陥って 最後の時を迎えるなら、こんなであって欲しいと想いたくな るものになっていた。 脚本と監督は、2010年2月紹介『ローラーガールズ・ダイア リー』に楽曲を提供したこともあるというローリーン・スカ ファリア。脚本が映画化されるのは2作目ということで、本 作は監督デビュー作品でもある。 共演は、今年7月紹介『WIN WIN』などのメラニー・リンス キー、2010年5月紹介『エルム街の悪夢』などのコニー・ブ リットン、2009年“Jennifer's Body”などのアダム・ブリ ットン。そしてマーティン・シーン、カレル夫人のナンシー ・カレルらが脇を固めている。 それにしても今年は、昨年12月紹介『メランコリア』に始ま って、9月紹介『4:44地球最期の日』など、地球最後の 日を扱った作品が相次いだが、マヤ暦の終る2012年というこ とで、映画界にはそんなムードも高まっていたのかな? なお、9月紹介の作品と本作とには共通する展開もいくつか 見られるが、比較してみるとその微妙な違いも面白く感じら れるものだ。
『ジャッジ・ドレッド』“Dredd” 1995年にシルヴェスター・スタローンの主演で映画化された ブリティッシュ・コミックスのreboot映画化。 95年の作品は、実は予備知識なしに観ていてスタローンの役 柄が善人なのか悪人なのかもわからず、多少混乱してストー リーが理解しきれなかった印象がある。まあそれで一般的な 評価も芳しくなく、シリーズ化も叶わなかったものだ。 そんな作品のrebootだが、今回は予備知識もあったしストー リー展開も明確で、なるほど新時代のコミックス・ヒーロー という感じの作品に仕上げられていた。なお原作は1977年に イギリスでスタートし、後にDCコミックスにも登場したも のだそうだ。 その物語は、核戦争後のアメリカ東部海岸の一帯に立ち並ぶ 高層ビル群メガシティ・ワンが舞台。凶悪犯罪の多発で逮捕 ・裁判などの手続きが間に合わなくなった社会は、警察と裁 判所を融合させた組織を作り、そこに所属するジャッジと呼 ばれるエリートたちに捜査から逮捕、判決、刑の執行までを 可能とさせた。 そんな中で主人公のジャッジ・ドレッドは、正義の許に妥協 を許さず、刑の執行も躊躇しない不屈の司法官だった。そし て物語は、その日も犯罪者に正義の鉄槌を下したドレッドが 裁判所に呼び出されるところから始まる。 そこにいたのは、ちょっとひ弱な感じの女性司法官。実は体 力テストなども不合格な彼女だったが、彼女にはある超能力 が備わっていた。そしてドレッドに最終テストが依頼され、 彼はその日の任務に彼女を同行させることになる。 ところがその任務は、75000人の住民の暮らす200階建ての超 高層アパートの捜索。しかもそのビルはママと呼ばれるボス によって完全に支配されていた。そんな中でママの右腕の男 を逮捕したドレッドらは男を連行しようするが、突然ビルの 出入り口が閉鎖され、閉じ込められた2人は大半の住民を敵 として血路を開かなければならなくなる。 出演は、95年作と同様に顔はほとんど見えない主人公を、昨 年7月紹介『プリースト』などのカール・アーバン。共演は 今年10月紹介『ダーケストアワー・消滅』などのオリヴィア ・サールビー。そして2008年10月紹介『サラ・コナー/クロ ニクルズ』などのレナ・ヘディらが脇を固めている。 脚本は2003年6月紹介『28日後...』などのアレックス・ガ ーランド、監督は2008年2月紹介『バンテージ・ポイント』 などのピート・トラヴィスが担当した。 お話は、今年8月紹介『ザ・レイド』も似た感じだったが、 圧倒的な敵と戦うシチュエーションは正しく同様のものだ。 そして敵側の状況にも似通ったところがあって、その辺はま あ仕方ないかなあというところ。ただし本作ではさらにそれ を上回るVFXなどの仕掛けも満載で、その点では楽しめる 作品になっている。
『いのちがいちばん輝く日』 副題に「あるホスピス病棟の40日」と付けられた終末医療の 現場を写したドキュメンタリー作品。 今年は僕自身の周囲にも多少いろいろなことがあって、個人 的には観るのが少し辛い作品ではあった。しかし人間の死と いうのは避けられないものではあるし、全ての人間がいつか この状況に至ることを考えると、自分自身や周囲の者のため にも、このような事を見据えて準備しておくことも大事だと 思える作品だった。 作品が撮影されたのは、滋賀県近江八幡市でメンソレータム の近江兄弟社が運営するヴォーリズ記念病院。1918年に結核 診療所として開設され、2000年に現体制となった総合病院の 一角に、2006年終末医療を行う「希望館」が開設された。作 品は、その「希望館」に2011年12月から40日間カメラを持ち 込んで制作されている。 ただし本作の制作には病院側や入院患者の理解はもちろん、 撮影スタッフたちにも相当の知識や体験が要求され、そのた め本作の撮影に当っては撮影スタッフから2名がケア記録係 という資格でグループケアに参加するなどの処置が採られて いるそうだ。 さらに撮影開始の2週間前からホスピス病棟に出入りし、そ こでは職員と同じ名札をつけて、朝礼や午後は看護スタッフ のミーティングへの参加。さらに診療への立会いなどの業務 をこなし、こうした準備を経ての撮影となっている。 そしてその中で、12月半ばには撮影の趣旨に賛同して協力を 了解してくれた患者一家が現れ、その一家を軸に作品は構築 されている。それにしてもこの患者は、終末医療を受けてい る状況でも、新生児の孫に会うための東京旅行を敢行し、ま さに劇的な姿を見せてくれるものだ。 その他にも終末医療を受けることで、限定的ではあるにせよ 回復を見せる患者など、希望を失わないことが如何に人間の 状態を変化させるものか、そんな奇跡的な映像にも溢れた作 品になっている。 監督は、以前には教育映画やテレビ番組、企業のPR映像な どを制作していた溝渕雅幸。本作が劇場用作品の第1作で、 次回作では小児ホスピスや、在宅ホスピスなどの現状を描き たいそうだ。
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