| 2012年12月09日(日) |
奪命金、ホビット、王になった男、キャビン、ブレイキング・ドーン、クラウド・アトラス、レ・ミゼラブル、ライフ・オブ・パイ |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『奪命金』“奪命金” 2010年3月紹介『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』などのジ ョニー・トー脚本・監督による2011年作品。本作は、香港電 影金像奨で助演男優賞と助演女優賞、台湾金馬奨では作品賞 と主演男優賞、オリジナル脚本賞に輝いている。 登場するのは香港警察の警部補と、銀行の金融商品営業担当 者の女性、それに好漢で人望も厚いヤクザの兄貴分。そんな 3人が、ギリシャの債務危機に始まるヨーロッパ金融市場の 混乱の中、それぞれ金にまつわる騒ぎに巻き込まれる。 宣伝コピーには金融サスペンスとあるが、金融市場のカラク リみたいなものではなくて、もっと気楽に楽しめる分かり易 いサスペンス作品になっている。 ただまあ映画の中では殺人なども起きるし、かなり暴力的な シーンもあって、その辺は香港ノワール的な味わいもたっぷ りの作品。それでも主人公たちにはそれなりの幸運がもたら されるという、香港映画らしい作品になっている。 出演は、2010年11月紹介『MAD探偵〜7人の容疑者』など のラウ・チンワン、今年3月紹介『女ドラゴンと怒りの未亡 人軍団』などのリッチー・レン、それに2003年『ジェイ・チ ョウを探して』などのデニス・ホー。 他に、昨年4月紹介『ドリームホーム』などのロー・ホイパ ン、2002年12月紹介『カルマ』などのソー・ハンシェン、香 港TVの人気アイドルで本格的な映画出演は初となるミョー リー・ウーらが脇を固めている。 金融絡みの香港作品では、以前にもそのカラクリを利用した 詐欺事件を描いたアクション映画があったが、実はその映画 ではカラクリが明確には把握できなくて、物語の全容が掴め ず弱ったものだ。 それに対して本作で描かれるヨーロッパ金融市場の混乱など は現実に起きた出来事ではあるし、それに便乗した金融の動 きなどはそれなりに理解もできた。と言ってもホイパンの絡 むエピソードは今一つ解っていないのだが…。 しかし本作では、そのカラクリは別として人間ドラマが巧み に描かれており、それは純粋に楽しめる作品となっている。 さすがジョニー・トーの作品という感じだし、オリジナル脚 本賞も伊達ではないという感じだった。
『ホビット・思いがけない冒険』 “The Hobbit: An Unexpected Journey” ピーター・ジャクスン監督による『LOTR』の前日譚『ホ ビット』三部作の第1弾。これから2年半に亙って公開され るシリーズがついに開幕した。 元の『LOTR』は原作から三部作だったが、『ホビット』 の原作は1冊だけ。しかし今回の映画化に当っては、原作者 JRR・トーキンが『LOTR』の巻末の残した設定に基づ き、それを設計図としてトーキン自身が『ホビットの冒険』 の裏に思い描いていた世界が構築される。そしてそれは『指 輪物語』の世界に繋がって行くものだ。 その映画の始まりは…。いやあ、映画は最初から仕掛けが満 載で、これはもう観て楽しんでいただく他はない。それに物 語の多くは、原作の『ホビットの冒険』には描かれていない から、原作を読んでいても「ええ、そんな話があったの?」 と驚くことしきりの作品だった。 もちろん、ビルボとゴラムの件など原作の通りのシーンが中 心に描かれているが、そこに次々に知らない話も登場する。 一方、原作にもあるオークの襲撃の件は、後の『LOTR』 にも繋がって行くもの。そんな多方面に繋がる物語が巧みに 構築されている。 出演は、イアン・マッケラン、今年5月紹介『SHERLOCK』で ワトスンを演じていたマーティン・フリーマン。他に、昨年 8月紹介『キャプテン・アメリカ』などのリチャード・アー ミティッジ、12月紹介『英雄の証明』などのジェイムズ・ネ スビット。 さらにケイト・ブランシェット、イアン・ホルム、クリスト ファー・リー、ヒューゴ・ウィーヴィング、イライジャ・ウ ッド、アンディ・サーキスらが『LOTR』と同じ役柄で登 場する。なおサーキスは第2班監督も務めていたようだ。 ジャクスンは監督と脚本・製作も担当しているが、脚本には 『LOTR』のフラン・ウォルシュとフィリッパ・ボウエン の他、一時は監督も予定されていたギレルモ・デル・トロの 名前も加えられていた。デル・トロにはプロダクション・コ ンサルタントという肩書きも付けられていた。 なお撮影は、商業映画では初となる毎秒48フレームで行われ ており、3D上映の一部ではハイフレームレート(HFR) 3D方式も採用される。因に完成披露試写はこの方式で行わ れたが、確かに映像は緻密だったようだ。
『王になった男』“광해, 왕이 된 남자” 李氏朝鮮王朝の第15代国王であり、暴君として廃位されたと いう光海君を、2004年10月紹介『誰にでも秘密がある』など のイ・ビョンホンの主演で描いた作品。なお本作は、イ初の 王朝時代劇ということでも話題のようだ。 時代は17世紀。海を越えて来襲した豊臣軍との戦いで武勲を 上げた光海君は、前王の庶子であり次男という身分であった が王位に着く。しかし嫡流を重んじる朝廷内では大北派と西 人派が対立し、大北派を支持する光海君は西人派を粛清して 王位を磐石なものとする。 だがその行為は、彼を暴君と言わしめることになる。そして それでも西人派の報復を恐れる光海君は、ある手段を講じて その攻撃をかわそうとするのだが…。 その一方で光海君は、江戸幕府との和議を結んだり、大同法 を導入するなどの改革を行い、戦乱で疲弊した国内の建て直 しを図る。また明と後金の双方との外交関係を維持する中立 外交政策を採るなど、国内の安定化を推進。このため現代で は再評価も行われているようだ。 しかしその暴君と、民政・外交への貢献の二面性がなぜ生じ たのか、光海君の日記に残された「隠すべきことは、残すべ からず」の一文を基に、その「隠すべきこと」を巡って大胆 な仮説が構築される。 共演は、今年8月紹介『高地戦』などのリュ・スンリョン、 1月紹介『マイウェイ』などのキム・イングォン、7月紹介 『トガニ』などのチャン・グァン、5月紹介『サニー』など のシム・ウンギョン。さらに2007年12月紹介『アドリブナイ ト』などのハン・ヒョンジュが王妃役を演じる。 監督は今年10月紹介『拝啓、愛してます』などのチュ・チャ ンミンが担当し、脚本は、2006年4月紹介『春の日のクマは 好きですか?』などのファン・ジョユンが手掛けている。 多分、物語は史実ではないのだろうけど、二面性を持った王 の謎を解くにはうまい手立てだったと言えるものだ。そして その二面性をイが巧みに演じている。特に本来の姿に戻る一 瞬の演技はなるほどと思わせる。 虚実を巧みに織り合わせた作品。ただし史実に整合させるた めに描かれる部分は、仕方がないとは言えかなり辛いものに もなっていた。
『キャビン』“The Cabin in the Woods” 今年6月紹介『アベンジャーズ』を監督したジョス・ウェド ンと、2008年『クローバーフィールド』の脚本を手掛けたド リュー・ゴダードが手を組み、共同の脚本でゴダードの監督 デビュー作として完成されたホラー風味のSF作品。因にこ の2人は、テレビの『バフィー〜恋する十字架〜』を通じて 繋がりがあるようだ。 舞台は森の奥に立つ一軒家。そこに男女5人の若者グループ が休暇でやってくる。そして彼らに惨劇が襲い掛かる…とい う、実によくあるホラーパターンで物語は開幕する。しかし 彼らの車がトンネルを抜けた時にチラリと何かが見えたりし て、物語の背景が尋常でないことは明示されている。 宣伝コピーには「予想は裏切られる」というような言葉があ ったが、伏線というかヒントはやたらとバラ撒かれていて、 この手のジャンル映画好きにはある種の期待通りの作品。そ の点での期待は裏切られないし、むしろそれをやり切ってい ることに満足感すら覚える作品だった。 それにしても、この展開にはニヤリとするものばかりだし、 特に後半のハジケ振りは、好き者には夢の実現と言って良い くらいのものだ。ただ、結末はこれとは逆もありかなとも思 えたが、それでは一般受けが厳しくなってしまうかな。多分 その辺も検討されてのこの結末なのだろう。 実際に観るまではここまでやっているとは思っていなかった し、内容的におちゃらけたところもないので、これは大いに 満足できた。同種の日本映画と比べた時に、彼我の差も感じ させる作品と言える。 出演は、2009年3月紹介『お買いもの中毒な私!』などのク リスティン・コノリー、昨年5月紹介『マイティー・ソー』 などのクリス・へムスワース。他にニュージーランド出身の アンナ・ハッチスン、2004年8月紹介『ヴィレッジ』などの フラン・クランツ、テレビの『グレイズ・アナトミー』にレ ギュラー出演中のジェシー・ウィリアムズ。 さらに昨年5月紹介『モールス』などのリチャード・ジェン キンス、テレビ『ザ・ホワイトハウス』などのブラッドリー ・ウィットフォードらが脇を固めている。そしてもう1人、 流石にこれは僕も予想できなかった意外な俳優も出演してい る。これは「あんたも好きねえ」という感じだった。 宣伝はスプラッターホラーめかして、実際にそのようなシー ンもある作品だが、内容的にはSF映画ファンも満足できる 作品だ。
『トワイライトサーガ/ブレイキング・ドーン Part 2』 “The Twilight Saga: Breaking Dawn - Part 2” 2009年1月に第1作を紹介したシリーズがついに完結編を迎 えた。 賛否両論のある作品だし、僕自身も諸手を挙げて賛成という ものではないが、アメリカでは記録的なヒットになっている ようで、ファンというのは本当にありがたいものだ。 それはさて置き本作は、原作では4部作だったものが、映画 は5作目。原作の第4話が映画では前後編に分けられたもの だ。その前編は昨年12月に紹介したが、正直に言ってファン でない自分にはちょっときつい感じもした。しかし後編は、 流石にシリーズの完結編という感じに仕上げられている。 これはこの2作を1本とした場合には、トーンの違いが全体 のバランスを崩す恐れもあったし、これを2部作としたのに は、それなりに意味もあったとも言える感じがした。 そのお話は、前編で誕生した子供を巡っての展開。その存在 がヴァンパイア全体の危機を招くと判断する一派と、主人公 たちとの戦いが描かれる。そして主人公たちは、その存在が 危機に繋がらない証拠を見出さなければならなくなる。 ただその証拠を見つけ出す件が、これは原作も同じかもしれ ないが、僕にはちょっと安易に感じられ、この辺をもう少し 描き込んで欲しかった感じもした。それと肝心のクライマッ クスが、結局これも少しどうかなあという展開で、その点で も多少物足りなかった。 とは言えこれらはいずれも原作の通りなのだろうし、それは 原作のファンが観る以上は、変えることは許されないもので あったとは思えるところだ。 出演は、クリステン・スチュワート、ロバート・パティンス ン、テイラー・ロートナー。他には『96時間』のマギー・ グレイスから、今年日本公開された『キリング・ショット』 などのニッキー・リード、それにダコタ・ファニングまで若 手が勢揃いの感じだ。 さらに2009年1月紹介『フロスト×ニクソン』などのマイク ル・シーン、昨年4月紹介『赤ずきん』などのビリー・バー クらが脇を固めている。 監督は、『Part 1』に引き続いて2003年2月紹介『シカゴ』 などのビル・コンドン。脚本は、シリーズ全作を通してメリ ッサ・ローゼンバーグが担当した。
『クラウド・アトラス』“Cloud Atlas” 『マトリックス』のラナ&アンディ・ウォッシャウスキー姉 弟と、2007年1月紹介『パフューム』のトム・ティクヴァの 共同監督による1849年から2144年、さらにその先の未来まで も描いた上映時間2時間52分の超大作。 イングランド出身で、日本の広島で8年間英語講師をしてい たこともあるというイギリス人作家デイヴィッド・ミッチェ ルが2004年に発表し、ブッカー賞の最終候補にも残った原作 小説の映画化。 物語は、1849年の南太平洋を舞台にした航海記と、1936年の スコットランドが舞台の若き音楽家の物語。さらに1973年の アメリカを背景にした原子力発電所の陰謀の話と、2012年の イギリスが舞台の出版エージェントの物語。 そして2144年のネオソウルを舞台にしたクローンの物語と、 さらに遠未来が背景の文明崩壊後の地球の物語。これら6つ の物語が並行して語られ、人が生きて行くことの意味が探ら れて行く。 因に演出は、ウォッシャウスキー姉弟が1849年と、2144年、 遠未来、ティクヴァが1936年と、1973年、2012年を担当し、 それらが『パフューム』などのアレクサンダー・バーナーに よって編集されている。 出演は、トム・ハンクス、ハリー・ベリー、ジム・ブロード ベント、ヒューゴ・ウィービング、ジム・スタージェス、ペ ・ドゥナ、ベン・ウィンショー、ジェイムズ・ダーシー。 さらにジョウ・シュン、キース・デイヴィッド、デイヴィッ ド・ギヤスィ、スーザン・サランドン、ヒュー・グラント。 彼らが6つの物語の中にそれぞれ別の役柄で登場する。 中でもハンクスは全ての物語に比較的重要な役柄で登場し、 全体的な物語の語り部という感じのようだが、その性格など が一貫されているものではなく、その辺をとやかく言うよう な作品ではなさそうだ。 一方、本作でハリウッドデビューとなるペ・ドゥナは、特に 未来のパートではかなり物語の核心に近い役柄で、上手くす るとオスカーノミネートもありそうな感じだ。なお日本暮ら しの長い作者の作品には日本人の登場人物が多いそうだが、 本作は原作も韓国人だったのかな。原作の翻訳は来年1月に 出るようなので、確認してみたい。
『レ・ミゼラブル』“Les Misérables” ヴィクトル・ユーゴー作「噫無情」ではなくて、アラン・ブ ーブリル脚本、クロード=ミッシェル・シェーンベルク脚本 ・作曲によるミュージカル作品の映画化。 物語の開幕は、ナポレオン1世没落直後の1815年。19年間の 服役から仮釈放されたジャン・バルジャンは冷たい世間を彷 徨う内、司祭館で銀食器を盗んでしまう。しかし逮捕された 彼に対して司祭は銀食器は与えたものと主張し、釈放された バルジャンは今までの行いを悔いることになる。 そして8年後、マドレーヌと名を変えたバルジャンは事業に 成功し、市長の地位まで手にしていた。ところがそこに仮釈 放の義務を怠って逃亡したバルジャンを追う刑事ジャベール が現れる。そのジャベールは、マドレーヌをバルジャンと疑 うが、証拠は得られない。 そんな中で娼婦ファンテーヌの窮地を救ったバルジャンは、 自分が彼女の窮状を招いたことを知り、彼女の娘コゼットを 保護すると約束して娼婦の最後を看取る。しかし彼の背後に はジャベールの影が迫っていた。そしてバルジャンは自らの 過去を隠したままコゼットを連れて逃亡の旅を続ける。 さらに物語は1832年のパリへと繋がり、1930年の七月革命の 後に立憲君主制に移行したものの、労働階級や学生に不満が 募る中でのバルジャンとジャベールとの対決や、コゼットの 恋、そして学生たちの蜂起や、もう1人の少女エポニーヌの 悲恋などが描かれて行く。 出演はヒュー・ジャックマンとラッセル・クロウ。共にオー ストラリアからアメリカに進出した俳優だが、本格的な共演 は初めてになりそうだ。他に『ダークナイト・ライジング』 のアン・ハサウェイ、『マンマ・ミーア!』のアマンダ・セ イフライド。さらに『スウィニー・トッド』のサッシャ・バ ロン・コーエンとヘレナ・ボナム・カーター。 また今年1月紹介『マリリン・7日間の恋』などのエディ・ レッドメイン、BBCのスカウト番組で発見され、ロンドン の舞台でも同じ役を演じたサマンサ・パークス、ブロードウ ェイで『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のミュージ カル版に主演しているアーロン・ドヴェイトらが脇を固めて いる。 なお作品は、普通の台詞が全くないオペラスタイルの構成だ が、撮影では全出演者の歌唱の音声も同時録音されており、 正に実演の迫力で演じられている。因にジャックマンは本来 がトニー賞受賞のミュージカル俳優だし、クロウも以前には CDを出したこともあるミュージシャンだ。 その他、見事に再現された19世紀のパリの景観なども楽しめ る作品になっていた。
『ライフ・オブ・パイ』“Life of Pi” 2005年『ブローバック・マウンテン』でオスカー監督賞に輝 いたアン・リー監督が、少年とベンガルトラによる227日間 の漂流記を描いた3D作品。 少年の名前はパイ。物語はその名前の由来から始まる。その 少年は、動物園を経営する父親と家族と共にインドで暮らし ていたが、園の経営に行き詰まった父親は動物をアメリカの 動物園に売却することにし、その金でカナダへ移住する一家 は、動物たちと共に日本船籍の貨物船に乗船する。 ところがその船が太平洋上で嵐の遭遇して沈没。少年は家族 を失って唯1人救命ボートに残されるが、そこには脚を骨折 したシマウマとオレンジという名のオランウータン、それに リチャード・パーカーと名付けられたベンガルトラも同乗し ていた。 1日5キロの肉を必要とするベンガルトラと少年との究極の サヴァイヴァル。小さなボートでの住み分けや食料の入手。 それはやがて彼らを幻想的な冒険にも誘って行く。果たして それは真実の物語なのだろうか。そんな物語が取材に訪れた 作家の前で語られる。 お話はもちろんフィクションだが、そこには地球上の生物と の共生など、様々なテーマが語られているようだ。そしてそ んな物語が、素晴らしい3Dの映像の中で描かれている。 出演は、本作でアン・リー監督に見出されたスラージ・シャ ルマ。デリー郊外で両親と共に暮らす当時17歳の少年は、そ れまでに演技経験はなかったそうだ。 他に2007年10月紹介『その名にちなんで』などのイルファン ・カーンとタブー。さらに今年10月紹介『もうひとりのシェ イクスピア』などのレイフ・スポールらが脇を固めている。 またフランスの名優ジェラール・ドパルデューも登場する。 2003年7月紹介『ハルク』は、僕には2008年版より好ましい 作品だ。その時のプロモーションで来日したアン・リー監督 が「モーション・キャプチャー用のスーツを自分で着て超人 ハルクの演技をした」と嬉しそうに語る姿は印象的で、その 監督が3Dに挑戦するというのは、当然にも思えた。 その作品は、まず最初の動物園のシーンから3Dが楽しくて 仕方がないというような映像で、その後の様々なシーンでも 正しく3Dが堪能できる映像が満載のものになっている。そ れは『アバター』ほど大げさではないけれど、いま地球上に 現実にありそうな風景が3Dで描かれている。 しかもそれが実に幻想的で、心が癒されるような映像になっ ている。ベンガルトラとのサヴァイヴァルはリアルで、甘い ものではないが、そこにもファンタシーが巧みに織り込まれ る。そのバランスも素晴らしい作品だった。 なお本作は、前回紹介したアカデミー賞VFX部門の予備候 補の10本にも選ばれているものだ。
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