井口健二のOn the Production
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2012年11月25日(日) ファイヤー・ウィズ…、ヒンデンブルグ、テッド、SUSHI GIRL、VANISHING POINT、さまよう獣、ディラン・ドック、ナンバーテン・ブルース

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『ファイヤー・ウィズ・ファイヤー/炎の誓い』
                  “Fire with Fire”
アメリカでの証人保護プログラムをテーマにしたアクション
・サスペンス作品。
主人公は、若い頃に両親を亡くし、何より仲間との絆を大切
にする消防士。そんな彼の立ち寄ったコンビニが襲われ、黒
人の店主とその息子が目の前で惨殺される。そしてその場を
辛くも脱出した主人公は犯行の目撃者となる。
しかしその犯人は胸に鉤十字の刺青を施した狂信者。首実検
にも平然と現れた犯人は、マジックミラー越しの主人公に向
かって「俺を刑務所に入れても手下がお前の仲間を皆殺しに
する」とうそぶく。
こうして証人保護プログラムの対象となった主人公は、全て
の個人情報を抹消し、遠く離れた街で暮らすことになる。と
ころが裁判の日が近付くにつれて、彼の周囲に不穏な動きが
起こり始める。
日本のように、隠れて暮らす女性の住所を警察がストーカー
に教えるなどというのは論外だが、政府が行う証人保護プロ
グラムであってもその情報が漏れてしまう可能性はあるのだ
ろう。ましてや相手は組織的な狂信者の集団。
そんな究極の悪の組織に向かって、主人公は単身で戦いを挑
まなければならなくなる。
映画では最初に壮絶な火事場のシーンが登場し、クライマッ
クスも同様だろうなと思っていると、その通りになる。それ
にしてもアナログの特撮では鬼門だった水と火災が、CGI
では見事なこと。そんなことにも注目できる作品だ。

主演は、2010年12月紹介『かぞくはじめました』“Life as
We Know It”(この作品は試写は行われたが日本未公開のよ
うだ)などのジョッシュ・デュアメル。
共演はブルース・ウィリス、ロザリオ・ドースン、ヴィンセ
ント・ドノフリオ。他に、今年4月紹介『フェイシズ』に出
ていたジュリアン・マクマホン、本作の製作も務めるカーテ
ィス“50セント”ジャクスンらが脇を固めている。
監督は、2003年『デッドコースター』でMTVアワードのベ
スト・アクションシーンに選ばれたこともあるスタントマン
のデヴィッド・バレット。多数のTVシリーズの演出はある
が、映画はデビュー作のようだ。

『ヒンデンブルグ・第三帝国の陰謀』“Hindenburg”
1975年のロバート・ワイズ監督作品でも知られる、1937年に
アメリカ・ニュージャージー州で起きたドイツの巨大飛行船
爆発事件を描いた作品。
元はテレビドラマだそうで、その放送時間は3時間の作品の
ようだ。今回の日本公開は、そこから1時間50分に再編集さ
れたもので行われる。
その物語は、ドイツ国内でのグライダーの飛行実験から始ま
る。そこで知り合った「ヒンデンブルク」の設計技師と富豪
の令嬢は、互いに惹かれるものは感じるが、令嬢には許嫁が
いた。
そしてアメリカ領事館のパーティで再会した2人だったが、
そこに令嬢の父親の急病が伝えられ、令嬢とその母親は急遽
「ヒンデンブルク」で帰国することになる。しかしその飛行
船に爆弾が仕掛けられたとの情報が技師にもたらされる。
そこで飛行船に潜入した技師は、爆弾の発見と、令嬢の身の
安全確保のために奔走することになるが…。
飛行船爆発の原因については、陰謀説や自然現象など諸説あ
るが、本作はそれらを巧みに組み合わせて、それなりに納得
できる話に仕上げられている。ただ陰謀の理由付けなどは、
もう少し詳しくして欲しかった感じはした。
本来なら当時の国際情勢やナチスドイツの状況などいろいろ
あるはずだが、その辺はオリジナルではちゃんとしているの
かな。
とは言え、本作の見所は何を置いても飛行船の爆発シーン。
ワイズ版がニュース映像を取り入れてドキュメンタリー的に
仕上げたのに対して、本作ではCGIを駆使してこれは見事
な映像を作り上げている。
しかもその映像が、ニュース映像を克明に再現している点で
は感動すら覚えるものになっていた。正に完璧な再現映像と
呼べるものだ。

出演は、ドイツ国内のテレビなどで活躍するマクシミリアン
・ジモニシェックと、カナダ出身で2007年4月紹介『寂しい
時は抱きしめて』などのローレン・リー・スミス。前作で注
目した女優に再び会うことができる。
他に、2007年4月紹介『そして、デブノーの森へ』などのグ
レタ・スカッキ、今年8月紹介『ボーン・レガシー』にも出
演の往年のテレビスター、ステイシー・キーチらが脇を固め
ている。
監督はドイツ出身のフィリップ・カーデルバッハ。飛行船は
ツェッペリン博物館の保管されていた設計図に基づいて忠実
に再現されており、その内部の豪華さなどには目を見張る。
その再現の克明さには、ドイツ版『タイタニック』という感
じもする作品だ。

『テッド』“Ted”
企画制作のテレビ番組「ファミリー・ガイ」がエミー賞を受
賞したクリエーターで、来年のアカデミー賞授賞式の司会に
起用が決まっているセス・マクファーレンの監督・脚本・原
案・製作・声優によるR15+のVFXコメディ作品。
物語の始まりは1985年。近所に遊び友達のいない8歳の少年
がクリスマスプレゼントで大きなテディベアを貰う。そのヌ
イグルミは胸を押すとI love youと喋ってくれた。しかしそ
れだけでは満足できない少年は星に願いを掛ける。
そしてその翌朝、ヌイグルミのテッドは少年に話し掛け、自
由に動ける姿を見せる。こうして主人公の友達になったヌイ
グルミは、一躍テレビのトーク番組にも招かれるセレブにな
るのだったが…。
それから27年、少年は35歳になって恋人もできるが、彼の傍
にはいつもテッドの姿があった。しかもこのヌイグルミは、
大麻は吸うは、女を家に連れ込むはの一端の不良中年。その
存在が疎ましい主人公の恋人は…

出演は、2008年11月紹介『アンダーカヴァー』などのマーク
・ウォールバーグ、2011年1月紹介『ブラック・スワン』な
どのミラ・クニス、そしてテッドの声をマクファーレン。他
に、今年5月紹介『ビッグ・ボーイズ』などのジョエル・マ
クヘイル、4月紹介『ラム・ダイアリー』などのジョヴァン
ニ・リビシらが脇を固めている。
R15+の理由は大麻吸引シーンなどで、さほど卑猥なシーン
がある訳ではないが、全篇はブラックジョークと映画テレビ
などカルチャーに関るジョークも満載で、その辺は知れば知
るほど面白くなると言える作品だ。
特にSF映画ファンには思いも掛けない作品やその関係者が
登場して、これは驚くこと必至の作品。いやあその馬鹿馬鹿
しさにも感動という作品だった。
ポスターなどのヴィジュアルは目の潤んだテッドの顔になる
と思うが、そこからの落差も強烈な作品。その点では眉を顰
める人も出るかもしれないが、15歳以上の大人なら笑えるこ
とは間違いなしの作品だ。


『SUSHI GIRL』“Sushi Girl”
『スター・ウォーズ』再開のニュースが流れる中で公開され
る、ルーク・スカイウォーカーことマーク・ハミルが出演す
る作品。
物語の始りは、寿司パーティの準備を始める板前の姿から。
それに刑務所からの男の出所シーンが続き、男は仲間が開く
パーティに招かれる。そして会食が始まるのだが、パーティ
の目的は出所祝いだけではなかった。
実は、そこに集まった男たちは宝石強盗団。男はその最後の
山で逮捕されたが仲間のことは喋らなかったものだ。ところ
が現場には奪った宝石が残されておらず、その行方は未だ不
明のまま。
そこでパーティの席では、宝石を隠したと思われる男から、
その在処を聞き出そうとするのだが。その手段は徐々にエス
カレートし、ついには拷問になってしまう。そしてその様子
をSUSHI GIRLはじっと聴き続けていた。
2008年12月に紹介したブリタニー・マーフィ主演『ラーメン
ガール』なんて作品もあるから、これは同様の少女が寿司修
行をする話かと思いきや…。ハミルの役柄も含めて何と言う
か、これは飛んでもない作品だった。

ハミル以外の出演は、2011年9月紹介『ファイナル・デッド
ブリッジ』などのトニー・トッド、1984年『ネバーエンディ
ング・ストーリー』のアトレイユ役で人気のあったノア・ハ
サウェイ、2001年『ドニー・ダーコ』などのジェイムズ・デ
ュヴォール。
他に、2008年4月紹介『シューテム・アップ』などのアンデ
ィ・マッケンジー、2010年4月紹介『アリス・イン・ワンダ
ーランド』に出演のコートニー・パーム。さらにマイクル・
ビーン、千葉真一、2010年『マチューテ』などのダニー・ト
レホらが脇を固めている。
脚本と監督は、ジョージ・A・ロメロ監督主催の短編ゾンビ
映画コンテストで、応募3000本の中から優秀作に選ばれたと
いうカーン・サクストン。他にも短編映画の受賞歴を重ねる
俊英の長編デビュー作のようだ。

『VANISHING POINT』
2000年に解散したブランキー・ジェット・シティという日本
のロックバンドのファイナルツアーを記録したドキュメンタ
リー作品。
僕は音楽も詳しくはないので、博多出身というこのバンドの
名前も知らなかった。資料を見るとテレビの「イカ天」から
出てきたとのことで、その番組は観ていた時期もあったが、
途中で観るのをやめてしまっており、このバンドはそれ以降
の出場なのかな。
いずれにしても、そのバンドの13年前の解散ツアーの模様が
描かれているものだ。それはすでに解散が発表されているの
だから、メムバーの間には意見の相違などもある訳で、その
中で共同作業を続けて行くというのがどういうことか、作品
はそんなことも含めた彼らの葛藤も映し出していた。
因に監督は、当初はファイナルコンサートのDVDを作成す
るために参加したようだが、以前からバンドとの付き合いが
あった監督は彼らの最後を見届けたいという思いで、それ以
前のツアーから記録を始めることにする。それは1台のヴィ
デオカメラを自ら担いで撮影しているものだ。
それでファイナルコンサートのDVDは当時発売されたよう
だが、撮影されたドキュメントはそのまま陽の目を見ること
はなかった。その理由は明らかではないが、その映像が13年
も経って公開される。なおバンドは今でも根強い人気がある
ようで、これはそのファンには最高のプレゼントだ。
特に日を追って変化して行く楽屋の雰囲気などは、成程こう
いうものなのかと、第三者が見ても興味の湧くものだし、こ
れはファンにはいろいろな意味で堪らない映像と言えるもの
かもしれない。そんな彼らの葛藤が見事に映し出されている
作品でもある。
それにしても、ここで映し出される楽屋やライヴの映像のク
リアさには驚かされた。これは途中のハイライトが映り込む
シーンで音声にノイズが入ることから、もしかすると家庭用
のヴィデオカメラで撮影されているかもしてないが、それが
HDの画面に見事にアップコンヴァージョンされている。
それに対してファイナルコンサートのシーンは、ここはプロ
機材で撮影されているはずだが、その画質がかなり劣ってい
るのは気になった。もしかするとここはDVDしか残ってい
なかったのかな。それならヴィデオとDVDの実力の差も見
えているのかもしれない。
とは言え、そこまでのドキュメンタリーの部分はかなり面白
く、部外者にも興味深いものになっていた。ただ監督の思い
入れたっぷりの字幕は、部外者としてはいささか気分を削が
れたもので、出来ることなら字幕抜きのヴァージョンでも観
たくなったものだ。


『さまよう獣』
2010年に製作費110万円で完成した『ふゆの獣』という作品
が第11回東京フィルメックスで最優秀作品賞を受賞している
内田伸輝監督による初の商業作品。
物語は、田舎道を走る乗合バスの車中から始まる。その車中
で持参の握り飯を食べる老婆の耳に、後部座席の女性から腹
の鳴る音が聞こえてくる。そこで老婆は、その田舎道には不
似合いな服装の女性に握り飯を差し出すが…
やがて田園の停留所に止まったバスから降りる老婆のあとを
追って女性もバスを降りる。そしてそのまま老婆の家までつ
いて行った女性は、何となくその家に住むことになる。その
家には毎晩1人の若者が訪ねてきて夕食を共にしていた。
さらにその家の周囲には、トマトのハウス栽培をしている若
者や酪農家の若者もいて、彼らは興味津々で女性を迎える。
しかし女性は頑なに自分のことは話そうとしない。しかも彼
女は若者ごとに接する態度も変えているようだ。
そんな女性の抱える秘密がやがて明かされ、それはある出来
事に繋がって行く。

出演は、2009年2月紹介『非女子図鑑』の1本に主演してい
る山崎真実、2011年7月紹介『一命』に出ていた波岡一喜、
2005年7月紹介『空中庭園』などの渋川清彦、それに舞台俳
優で本格的な映画出演は初めてという山岸門人。
さらに1929年生まれで2011年12月紹介『アフロ田中』などに
出ている森康子。他に田中要次、津田寛治らが脇を固めてい
る。
結末というか終盤の展開がかなり強烈なもので、それには少
し唖然とした。でも例えばお伽話で、王子様とお姫様はめで
たしめでたしでも、城の外では実はこんなことも起きている
のではないか。そんなことをふと考えてこの展開も納得して
しまった。
お話の全体には寓意みたいなものもあって、監督自身がプレ
ス資料に寄せたステートメントにもそんな思いが込められて
いる感じもした。そんな現代のメルヘンのような物語が展開
される。


『ディラン・ドック』“Dylan Dog: Dead of Night”
2006年7月紹介『スーパーマン・リターンズ』で鋼鉄の男を
演じたブランドン・ラウスと、同作でジミー・オルセン役の
サム・ハンティントンが再びコンビを組んだイタリア製ホラ
コメ・コミックスの映画化。
物語の舞台はニューオーリンズ。その郊外の邸宅のキッチン
に天井から血が滴り落ちてくる。そこで食事の準備中だった
女性が慌てて階段を駆け登ると、そこには彼女の父親の惨殺
死体が転がっていた。そして彼女は、得体の知れない巨大な
獣に襲われるが…
そんな事件は恐らく警察の手に余るもので、案の定、警察の
捜査はなかなか進まない。そして葬儀の場で神父から1枚の
名刺を渡された彼女は、その住所に住む私立探偵の許を訪ね
る。その探偵は、最初はその手の仕事は辞めたと取り合わな
いが、話が進む内に探偵の気持ちが動き始める。
原作はロンドンが舞台のようだが、古今東西のモンスターが
隠れ住む世界を背景に、人間とモンスターの間を取り持って
事件を解決する唯一無二の探偵の活躍が、1986年の第1巻か
らすでに280巻以上も描かれているそうだ。
そんな人気コミックスの映画化というものだが、原作がどう
なっているのか判らないが、映画では主人公の設定が今一つ
はっきりしない。それは主人公が人間かどうかに始まって、
いろいろな点で曖昧にされ、これは映画としていかがなもの
かという感じになった。
でもまあ、最近の観客はそのようなことはあまり気にしない
ようなので、それはそれで構わないというものなのだろう。
それに対して助手の方の設定は明確で、それによる笑いなど
は、納得できるように作られていたものだ。

共演は、9月紹介『ELEVATOR』にも出ていた2008年8月紹介
『センター・オブ・ジ・アース』などのアニタ・ブリエム。
他に2003年7月紹介『閉ざされた森』に出演のデイ・ディグ
ス、スピルバーグからフォン・トリアまで多彩な監督と仕事
をしているスウェーデン出身のピーター・ストーメアらが脇
を固めている。
脚本と監督は、2007年に“Teenage Mutant Ninja Turtles”
のrebootを大成功させたケヴィン・モンロー。因に監督の次
回作は、ジョージ・ルーカス製作によるミュージカル・アニ
メーションだそうだ。

『ナンバーテン・ブルース‐さらばサイゴン‐』
1974年12月から75年4月までのベトナム戦争最末期に、南ベ
トナム(当時)で戦火のなか全編ロケを敢行。75年7月に完
成はされたものの、その後は一度の公開も行われることなく
幻の作品と言われていたアクション映画。
そのフィルムは長らく行方不明だったが、今年5月に所在が
判明し、現在は公開に向けての準備が進められている。その
作品を特別上映会で鑑賞させてもらった。
舞台は、1975年2月のサイゴン。主人公はその街に駐在する
日本人商社マン。戦争のことは知っているがまだサイゴンの
街中は平穏そのものだ。それより街にはアメリカ軍の落とす
金が目当てのいろいろな輩が巣くっている。主人公もそんな
1人と言える。
そんな主人公の住居に、以前に会社をクビにした現地人の男
が侵入し、主人公は揉み合いの中でその男を殺してしまう。
ここで警察に届けても長く咎められるだけだと判断した主人
公は、その遺体を隠すことにするのだが、そこに男の許嫁と
称する女性が現れる。
しかもその女性は地元の顔役に通じて主人公を追い詰める。
そこで主人公は会社の隠し金を引き出し、現地の恋人と、付
いてきた日系人2世の男と共に、香港行の密航船が出発する
北端の町フエを目指して逃避行を開始するが…。

出演は川津祐介、当時の南ベトナムのNo.1女優で歌手のファ
ン・タイ・タン・ラン。他に磯村健治、ドァン・チャウ・マ
オ。さらに『帰ってきたウルトラマン』のスーツアクターと
しても知られる殺陣師のきくち英一らが脇を固めている。
脚本と監督は、本作の翌年に『犬神家の一族』の脚本を手掛
ける長田紀生。なおスタッフには、本作の後に『南極物語』
『敦煌』を担当する撮影の椎塚章や、助監督として『雨あが
る』の小泉堯史監督の名前も入っていた。
物語は、よくある外地の日本人を描いた作品の一篇と言える
かもしれない。しかし本作は、1975年春の南ベトナムでロケ
ーションされているものであり、その市井の様子が正に実写
で撮されていることが重要と言えるものだ。
そこには、例えばパレスチナの作品で見られるような、戦争
の影に怯えながらも活況な現地の生活ぶりが描かれており、
それは通常の戦争映画で描かれるものとは全く異なるもの。
しかもそれが、本作では実写で撮影されているのだ。
その他にも本作には、戦闘で破壊された寺院の当時の姿(現
在は世界遺産に登録)や、南ベトナムの自然の風景など、貴
重な映像も数多く収められている。しかもこういう撮影状況
でありながら、内容がしっかりエンターテインメントである
ことも注目したい作品だ。

なお上映後に行われた監督との懇談で聞いた話では、女優の
タン・ランについて現ベトナム政府に問い合わせると、戦後
もベトナムに残ったが、何回か脱出を試みた後に死亡したと
いう回答だったとのこと。
ところが実際の彼女はアメリカへの脱出に成功して、現在は
在米ベトナム人社会のカリスマ的存在なのだそうだ。その彼
女も完成した映画は観ておらず、公式上映が行われる際には
来日も要請するとのこと。そこではスタッフ・キャストとの
再会を果たす計画もあり、ここにもドラマが生まれそうだ。


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井口健二