井口健二のOn the Production
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2012年09月23日(日) 大恐竜時代、モンスター・ホテル、自縄自縛の私、ファースト・ポジション、アパートメント:143、長良川ド根性、ELEVATOR、4:44

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『大恐竜時代』“점박이:한반도의 공룡3D”
中生代白亜紀に現モンゴルに生息した肉食恐竜タルボサウル
スを主人公とする実写の風景とCGIアニメーションによる
恐竜映画。
母親と3匹の子供からなるタルボサウルス一家の物語。一家
は草食恐竜らが群れを作る草原の片隅に暮らし、子供の内、
年長の2匹は母親と共に狩りもできるが、幼い末弟のパッチ
はまだ餌をもらうだけだ。しかしそんな一家のそばには、い
つも凶暴なテラノサウルスの姿があった。
そしてパッチが初めて狩りに参加した日、一家を付け狙って
いたテラノサウルスが突然襲い掛かり、母親と年長の2匹が
やられてしまう。こうしてパッチだけが草原に残されること
になるが、そこは同じく肉食恐竜のヴェロキラプトルらが跋
扈する過酷な世界だった。
それでも何とか生き延びたパッチはやがて雌のタルボサウル
スと出会い、2匹は新たな家族を作って行く。ところが草原
の周囲の山が噴火を開始。草食恐竜たちは新たな草原を求め
て移動をはじめる。そんな彼らを追ってパッチの一家も移動
を開始するが、そこに再びテラノサウルスが現れた。
モンゴルの恐竜が巣作りをしていた化石は発見されており、
さらにそこに子供の恐竜がいたことから子育てもしていたと
の学説もあるようだ。しかし本作のように大人になるまで面
倒を見ていたかというと、それは多少フィクションの部分も
多いと思われる。
でもまあ、一概にそれは誤りだとも言えないものだし、これ
位はあってもいいかな…とは思わせるお話だ。ただし北アメ
リカに生息したテラノサウルスがアジアのタルボサウルスと
激突するというのは、ちょっと無理があるかなというのは正
直なところだ。
それと、恐竜化石の多くは色を残していないので、現実の肌
の色が如何様であったかも現実には判っていないものだが。
それにしても凶暴で執拗なテラノサウルスが赤というのは…
本作が韓国映画であることを思うと微妙なところだ。勿論、
これもなかったとは言えないものだが。

監督は、2008年にアジア初の恐竜ドキュメンタリーとされる
『朝鮮半島の恐竜』を発表したハン・サンホ。また、本作の
自然史考証には、全南大・韓国恐竜研究センター所長のホ・
ミンという韓国を代表する恐竜博士が当たっているそうだ。

『モンスター・ホテル』“Hotel Transylvania”
アダム・サンドラー製作総指揮によるホラーコメディ・アニ
メーション。
ルーマニアの鬱蒼とした森の中に聳える古城。その周囲には
怪奇な墓場や迷路が巡らされ、誰も案内なしには立ち入るこ
とができない。これこそは100年前に人間の迫害に追われた
ドラキュラ伯爵によって開業され、モンスターたちが人目を
気にせず過ごすことのできるモンスターによるモンスターの
ためのリゾートホテルだった。
そんなホテルでは、年に1度、盛大なパーティが催される。
それは100年前に妻を亡くした伯爵が、以来男手1つで育て
てきた娘メイヴィスの誕生パーティ。しかしその娘も118歳
となり、ホテルの中だけに閉じ込めておくことも難しくなっ
ている。それでも今年は何とか策略で人間の恐ろしさを教え
ることに成功するのだが…。
一方、パーティのためにフランケンシュタイン夫妻やミイラ
男、透明人間に狼男など世界中のモンスターたちが集まって
くる。ところが盛大に始まろうとしたパーティに、何と人間
の若者が紛れ込んでいることが発覚。それは娘の成長に良く
ないばかりでなく、歴史を刻んだモンスター・ホテルの信用
を失墜させるものだった。
まあ出てくるは出てくるは、ユニヴァーサルからハマーまで
世界中のホラー映画の主人公たちが続々と登場。それぞれが
キャラクターに合わせたギャグをかませてくれる。それはマ
ニア受けもあるが、ほとんどは定番のもので、その辺は多分
日本の観客でも笑えるものになっているものだ。
正直に言ってサンドラーのコメディは、アメリカ文化に根差
しているので日本の観客には多少難しい面もあるが、本作に
関しては最近の吸血鬼ブームにも乗っているものだし、多分
今回は大丈夫と思われる。

監督は、2003年‐05年放送の“Star Wars: Clone Wars”を
手掛けたゲンディ・タルコフスキー。脚本は2007年4月紹介
『ボラット』などのピーター・ベイナムと、『サタデー・ナ
イト・ライヴ』のロバート・スミゲルが共同で執筆した。
なお、日本公開は吹替版限定となるもので、その声優は山寺
宏一、川島海荷、藤森慎吾、クリス松村らが担当している。
因にオリジナルは、サンドラーの他に、セレーナ・ゴメス、
アンディ・サンバーグ、さらにスティーヴ・ブシェミらが当
てていたようだ。

『R-18文学賞 vol.1 自縄自縛の私』
2008年「女による女のためのR‐18文学大賞」を受賞した
蛭田亜沙子原作小説を、2009年6月紹介『山形スクリーム』
などの竹中直人監督で映画化した作品。
主人公の百合亜は、広告代理店でチームリーダーを任されて
いる女性。しかし部下は全くの新人の男性と中途採用の年上
の女性。さらに我儘な上司や冷淡な常務もいて、新たなコン
ペに参加を決めてからはストレスが溜まる一方だ。
そんな百合亜の密かな楽しみは自縛。学生時代にふと始めた
がある事情から自ら封印していた楽しみが、今はストレス解
消の手立てとなっている。そして同時に始めたブログでは、
同好の中年紳士ともネット上の交流を深めて行く。
そしてその交流の中で、徐々に互いの楽しみをエスカレート
させて行った百合亜は、それによって仕事場でも次々に成果
を挙げて行けるようになるが…。それが飛んでもない事態を
招いてしまう。

主演は、今年6月紹介『るろうに剣心』に出ていた平田薫。
共演は、2011年9月紹介『スマグラー』などの安藤政信、お
笑い芸人ピースの綾部祐二、2011年10月紹介『月光の仮面』
などの津田寛治。他に、山内圭哉、馬渕英俚可、米原幸祐、
銀粉蝶らが脇を固めている。
平田はナチュラルな雰囲気の中にかなり大胆なシーンもあっ
て、まあ元々が自縛癖という大変なテーマではあるが、それ
をある種の共感も持てるように巧みに演じていた。そこには
卑猥さも少なく、清々しさすら感じられたのは女優のキャラ
クターのおかげもありそうだ。
因に竹中監督の言葉によると、平田にはできるだけ喋らない
ように演出したのだそうで、そんな物静かだが大胆な女性の
姿が見事に描かれていた。それに結末にちょっとホッとする
気分になれるのも良い感じの作品だった。
それにしても最近は、7月に紹介した『ナナとカオル』など
SMを描いた作品を時折見掛けるが、そんなブームになって
いるのだろうか。

なお題名には「R-18文学賞 vol.1」とあるが、今年第11回を
迎えた公募文学賞にはすでに21の受賞作があるようだ。その
内、他の受賞作品も映画化する計画なのかな? ただし今回
の映画化は第7回の大賞受賞作だが、その翌年の第8回大賞
作品は窪美澄の「ミクマリ」で、これは今年7月に紹介した
『ふがいない僕は空を見た』の原作本に所載のものだ。

『ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!』
                  “First Position”
毎年4月にニューヨークで開催されるユース・アメリカ・グ
ランプリ。そこには世界有数のバレエスクールの関係者が集
まり、そこで各校の翌年の奨学生が選ばれる全世界に門戸の
開かれたバレエコンテストだ。そこに参加する若きバレエダ
ンサーたちの姿を描いたドキュメンタリー。
登場するのは、11歳から17歳までの6人の少年少女。因にグ
ランプリの出場資格は9歳から19歳までだ。
1人目は米海軍軍医の父を持つ11歳のアラン。彼はバレエが
好きでたまらないと言い、厳しいストレッチなども全く厭わ
ない。そして2人目は、そのアランの姿に憧れる同い年のガ
ヤ。イスラエル出身の彼女もグランプリを目指す。
3人目はシェラレオネ出身のミケーラ。戦火の中で両親も亡
くした14歳の少女は、黒い肌、筋肉質の体躯というハンデを
跳ね返す。また4人目のジョアンも故郷コロンビアを離れ、
アメリカでバレエを学んでいる。しかし16歳の少年はまだ母
親が恋しい年頃だ。
5人目のレベッカは17歳。金髪に白い肌、青い目の彼女は、
学校では「バービー」と呼ばれるセレブのお嬢様だ。しかし
実生活では何不自由ない彼女が目指すのは、お金では買えな
い栄光だ。
そして6人目の12歳のミコは、カリフォルニアに住む日英の
ハーフ。日本人の母親はステージママで、彼女と10歳の弟を
目的に向って厳しく育ててきたが、無邪気な弟はレッスンに
嫌気がさしている。
こんなそれぞれに違うものを背負った少年少女たちが、世界
各地で開かれる予選を勝ち抜き、本選に向かって行く。それ
は時に厳しく、時に優しく、優美に力強く描かれる。しかも
そこには子供とは思えない、部外者の僕らには超絶とさえ観
えるテクニックが次々に披露されるものだ。
実は6月に『バレエに生きる』“Une vie de ballets”とい
うドキュメンタリーを観て、それは歴史的なバレエの名演を
記録した作品だったが、バレエを普段観ていない僕には何か
違和感があった。
しかし本作は純粋に夢に向かって行く若者たちの姿を追った
もので、さらにそこには世界の現実も垣間見せるなど、見事
な作品。これなら僕にも判り易かったものだ。


『アパートメント:143』“Emergo”
2010年9月紹介『リミット』のロドリゴ・コルテス監督が、
製作と脚本を務めた超常現象ストーリー。
映画はPOV形式で進められ、物語は研究者たちがアパート
の一室に向かい、その部屋の各所に監視カメラを設置すると
ころから始まる。そして作品はそれらの監視カメラの映像で
構成されるものだ。
その部屋には、父親と子供2人が暮らしており、その部屋で
怪しげな物音などの異常現象が起き、その調査に学者と男女
のアシスタントの計3人が訪れている。こうして3日3晩連
続の監視体制が敷かれ、その解析映像などが描かれる。
ただし子供の内で思春期の長女は反抗的で、最初は寝室にカ
メラを置くことも拒否する。ところがカメラを設置し始めて
すぐに異常現象が起き始め、その現象はさらにエスカレート
して行く。
それに対して研究者たちは家族へのインタヴューなども重ね
て、徐々にその家族の置かれた状況などが明らかにされ、異
常現象の原因が追求されて行くが…

出演は、2011年11月紹介『人生はビギナーズ』などのカイ・
レノックス、テレビやインディーズ映画に出演のジーア・マ
ンテーニャ、2009年12月紹介『フローズン・リバー』などの
マイクル・オキーフ。
他に、2002年『バイオハザード』の第1作や2004年3月紹介
『ヴェロニカ・ゲリン』に出演のフィオナ・グラスコット、
2007年11月紹介『パルス』などのリック・ゴンザレス、08年
9月紹介『アラトリステ』に出演のフランセクス・ガリード
らが脇を固めている。
監督は、本作でコルテスに見出されたカルレス・トレンス。
バルセロナの出身でカリフォルニアで映画を学んだ俊英が、
事前に制作した短編映画の評価で大抜擢されている。
話の全体は『パラノーマル・アクティビティ』に極めて近い
が、後半の家族の問題が出てきてからがなかなか巧みに作ら
れていた。特に、研究者たちが事件の真相を炙り出すまでの
駆け引きなどの演出や俳優たちの演技力も、そこそこの顔ぶ
れを集めただけのものはあったようだ。
因にコルテスは、来年公開予定の新作“Red Light”の準備
のために超常現象の調査を行った中で本作のアイデアを得。
同時に脚本を書き上げたものの一緒に映画化するのは好まし
くないと考え、新人監督にチャンスを与えたものだそうだ。
新人監督はその期待によく応えている。


『長良川ド根性』
今年5月に『死刑弁護人』という作品を紹介している東海テ
レビ制作のドキュメンタリー。同制作では2011年5月に『青
空どろぼう』という作品を紹介しているが、本作はそれに繋
がる漁業問題を扱った作品だ。
1995年に運用開始された長良川河口堰の建設に至るまでの経
緯や、その運用開始から16年を経た地元漁師の姿を、主には
三重県桑名市赤須賀にある漁業協同組合の組合長の姿を通し
て描く。
鵜飼で有名な長良川は岐阜県郡上市に源流を発し、揖斐川、
木曽川と共に並流して伊勢湾に注ぐ。その流域は以前は洪水
の常襲地であったが、1970年代に長良川河口域の浚渫が開始
され、それに伴う海水の逆流防止の目的で河口堰の建設が着
工される。
しかしそれは、その河口域で漁獲され、古来からの常套句に
もなっている桑名の蛤を、年間3000tの水揚げからから1t未
満に激減させる。その危険を先から察知していた赤須賀漁協
は河口堰の建設に猛反対していたのだが。
御用学者による公聴会や、最後まで反対した赤須賀漁協には
国賊かのようなバッシングまで行われて、漁協は苦渋の選択
をしなければならなくなる。それでも組合長は人工干潟の建
設や、さらに稚貝の人工孵化の研究も進めていた。
そして運用開始から16年、河口堰を前提とした漁業をどうに
か安定させ、若い漁師も増え始めた赤須賀漁業に新たな問題
が持ち上がる。その対決の場での、映画終盤の組合長の姿は
鮮烈だ。
元々河口堰は愛知県内に建設され、その水は名古屋市近郊に
配給される。それに対して影響を受ける漁民の多くは、三重
県とあとは岐阜県に点在する。そんな背景も愛知県が良いよ
うにことを進め、それを覆す元凶のようにも見える。
しかし問題は、ここ長良川河口堰だけに限らず、日本全国で
同様の環境破壊や反対運動が続いていることにも繋がる。そ
れは国が地方を無視し、さらに一部の献金企業のために国民
の税金ばら撒いて進める事業の全てに共通するものだ。
なお作品では、組合長がここに至った人生や、さらに長良川
の上で川漁を続ける漁師、赤須賀の古老の漁師の姿なども描
いて、映画全体を見応えのあるものに仕上げていた。


『ELEVATOR』“Elevator”
高層ビルのエレベーターに閉じ込められた人々の姿を描いた
ソリッドシチュエーション・スリラー作品。
大都会に建つ投資会社のオーナーの名前を冠した高層ビル。
そこでは何かのパーティがあるらしく人々が集まってくる。
そしてエレベーターにはオーナーとその孫娘や、パーティの
余興に呼ばれた芸人らが乗り合わせていた。
ところがその孫娘が悪戯で緊急停止ボタンをいじった事から
物語が始まる。そこには結婚間近な投資会社の社員とテレビ
の人気キャスターでもあるその婚約者。さらに妊婦や顧客の
老婦人や中東出身者のセキュリティガードなどもいて、多様
なドラマが展開される。
しかもそこに爆弾が仕掛けられたという事態が判明する。

出演は、2008年5月紹介『レッドライン』に出ていたという
クリストファー・バッカス、2008年8月紹介『センター・オ
ブ・ジ・アース』で注目したアイスランド出身のアニタ・ブ
リエム、2010年10月紹介『ソーシャル・ネットワーク』など
のヘンリー・バートン。
さらに、1990年代の『ホーム・アローン』で主人公の兄を演
じていたラヴィン・ラトレイ、2003年3月紹介『ヤァヤァ・
シスターズの聖なる秘密』などのシャーリー・ナイト、今年
6月紹介『ディクテーター』に出演のジョーイ・ストロニッ
クらが脇を固めている。
監督は、ノルウェー出身で本作が長編2作目のスティグ・ス
ヴェンセン。製作と脚本は、2007年11月紹介『ディセンバー
・ボーイズ』のマーク・ローゼンバーグが手掛けている。
舞台がエレベーターという作品では、2001年公開のジョビジ
ョバ/マギー監督による『ショコキ!』が記憶に残っている
が、このページでも2009年7月に堀部圭亮監督による『悪夢
のエレベーター』などを紹介している。いずれにしても、現
代では比較的思い付きやすい作品というところだろう。
しかし上記の日本映画が共にコメディ仕立てであったのに対
して、本作は多少のコメディ要素はあるものの全体はリアル
で、それなりにサスペンスも描かれた作品になっていた。
ただ、スマートホンで生中継するなどの今風の要素も描かれ
ている反面、それが外部でどういう状況なのかが判らないの
にはもどかしいものもあって、その辺で僕は今ひとつ映画に
乗り切れなかった。
どうせなら舞台の限定という設定に拘らず、もっとオープン
な作品にした方が良かったとも思えたものだ。それではソリ
ッドシチュエーションではなくなってしまうが。


『4:44地球最期の日』“4:44 Last Day on Earth”
地球規模の災害によってその日に人類が絶滅すると判明した
最期の半日間を描いた作品。
主人公は、ニューヨークのアパートに若いアーティストの女
性と暮らす中年男性。女性はアブストラクトな絵画を描き続
け、男性はそれを見たり、2人でセックスにふけったりする
普通の様子だが、実はその翌朝4時44分に地球のオゾン層
が破壊され、人類は即刻絶滅することが判明している。
そんな状況では、人々の中には自殺する者も現れるが、多く
は事態を冷静に受け止め、最後まで平穏な日常を続けようと
しているようだ。そして主人公も、最期の時まで彼女と一緒
に過ごそうと考えているが…。
ケータリングの中国料理を配達に来た東洋人の若者の姿など
が徐々に主人公の心に変化をもたらして行く。そしてそれは
彼女との関係にも影響して行く。果たして彼らは最期の時ま
で一緒に居られるのか?

脚本と監督は、2010年1月紹介『バッド・ルーテナント』の
1992年オリジナル版を手掛けたアベル・フェラーラ。
出演は、ウィレム・デフォー、2009年9月紹介『パブリック
・エネミーズ』などに出演し、監督のプライベートのパート
ナーでもあるシャニン・リー。他に2005年2月紹介『ブレイ
ド3』などに出演のナターシャ・リオン、1992年版『バッド
・ルーテナント』に出演のポール・ヒップらが脇を固めてい
る。
最後には多少のVFXもあるが、全体的には派手な映像もな
く、余りにも静かに最後を迎える人類の姿には、本当にこう
だったら良いなという監督の思いもありそうだ。因に映画の
中には、ダライ・ラマの映像なども挿入され、一方、アル・
ゴアの言葉も引用されるなど、それなりの思想的なものも描
かれている作品だ。
ただしそれはあざとい物ではなく、あくまで真摯に地球の現
状を憂いているような感じの作品でもあった。そしてその中
での人間ドラマには、男女の愛や家族愛など、様々な愛が見
事に描かれ、その素晴らしさが感動を呼ぶものにもなってい
た。
監督は1951年生まれ。本作は監督が60歳の時の作品だが、そ
の描き方には、老練さより止むに止まれぬ心情のようなもの
も感じられたものだ。


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井口健二