井口健二のOn the Production
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2012年08月12日(日) B・レガシー、フタバから遠く…、ビラルの世界、情熱のピアニズム、リヴィッド、恋と映画とウッディ・アレン、UVERworld、中国映画の全貌

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『ボーン・レガシー』“The Bourne Legacy”
2002年11月紹介『ボーン・アイデンティティー』に始まった
ロバート・ラドラム原作「ジェイスン・ボーン」シリーズが
3部作で完結し、そのシリーズからインスパイアされた新た
な主人公による作品。元々ラドラムの原作は3冊しかなかっ
たもので、本作はハリウッドによる続編だ。
因に先の3部作では、最終的にボーンは身体能力を高める医
療実験の被験者とされていたものだが、本作ではそれと並行
して進められていた別の実験の被験者が主人公となる。その
男アーロン・クロスは、北部カナダの極寒の地で日々を過酷
な鍛錬に明け暮れていた。
ところが支給されていた薬剤が乏しくなり、彼は生身の人間
には不可能とされる山越えをして前線基地に向かうのだが、
そこで新たな事態に巻き込まれる。そしてCIAの陰謀に気
付いたアーロンは、ミッションに従事していた女性研究者と
共に薬剤の保管場所を目指す。
物語の推移は至って単純だが、それを華麗かつ過激なアクシ
ョンで彩って行くのが本作の見所だ。とは言うものの、正に
つるべ打ちの格闘技からバイクアクションまでの展開は、観
客にもかなりの体力が要求されるもので、観終わると多少の
疲労感もあるほどの刺激的なものだった。

主演は今年6月紹介『アベンジャーズ』などのジェレミー・
レナー。共演は2006年3月紹介『ナイロビの蜂』などのレイ
チェル・ワイズ、2008年7月紹介の『インクレディブル・ハ
ルク』には主演したが『アベンジャーズ』には登場しなかっ
たエドワード・ノートン。
他に「ボーン」シリーズに登場のジョアン・アレン、1997年
『L.A.コンフィデンシャル』などのデヴィッド・ストラザ
ーン、2008年『ブッシュ』などのスコット・グレン、2000年
『エリン・ブロコビッチ』などのアルバート・フィニーらが
脇を固めている。
脚本と監督は、オリジナル3部作の全脚本を手掛けたトニー
・ギルロイ。シリーズの全貌を知り尽くした脚本家が、オリ
ジナルを上回るアクション作品を作り上げた。それは北極圏
から東南アジアまで、背景となる風景も楽しめる作品だ。


『フタバから遠く離れて』
2011年3月11日の福島第1原発災害により町ごと避難を命じ
られた福島県双葉郡双葉町の姿を追ったドキュメンタリー。
3/11関連のドキュメンタリーを観るのは何本目になるのだ
ろう。それぞれが色々な意図を持って描かれた作品には、作
品ごとに見所があるが、もしかしたら本作は、僕が最も観た
かった作品と言えるものかもしれない。
この作品には、恐らくは歴史から消え去ってしまうのであろ
う原発の町の悲劇が、見事に描かれている。
そこには、緊急避難命令によってまだ生存していたかもしれ
ない家族を救いに行けなかった人の悔悟や、畜舎に繋がれた
まま放置された家畜たちの最後など、原発と共に僕らの目か
ら隠されていた事実が浮かび上がってくる。
その一方で作品は、原発推進派の集まりである全原協の副会
長だった双葉町町長の姿を追い、避難先の埼玉県の廃校に置
かれた仮の町長室での姿や、全原協の会議での発言の様子な
ども描かれる。
ここでは福島原発が放射能を撒き散らしている最中なのに、
それには触れずに出来もしない安全対策を国に要求する敦賀
の首長の姿など…。そして双葉町町長は、自分のした事は間
違っていたのかと心情を吐露してしまう。
勿論そこには自業自得という見方もあるだろうが、現実には
国を挙げて彼らを騙し続けてきたのであり、その詐欺の被害
者を「今まで甘い汁を吸ってきた」などと非難することは、
詐欺師を擁護することにほかならない。
そんな今まで自分が言いたかったことの証明がこの作品には
見事に描かれていた。
作品は昨年11月、福島原発事故収束安全宣言が出されたのを
機に纏められたものだが、その時点で避難命令は解除されて
おらず除染作業なども行われていない。さらには町長自身の
被爆測定すら行われてはいなかった。
被災前の双葉町は風光明媚な場所だったようだ。しかしその
故郷に住民たちが戻れるのはいつの日か。もしかしたらその
日は永遠に訪れないのかもしれない。弱者を切り捨てる、こ
れが日本の原子力政策の実態ということだ。

監督は、2009年9月に『谷中暮色』を紹介している舩橋淳。
今回は外連もなくストレートに綴られた作品だった。

『ビラルの世界』“بلال‎/Bilal”
2009年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で「アジア千波万
波奨励賞」及び「コミュニティシネマ賞」をダブル受賞した
作品。
インド西部の大都市コルカタのスラム街で、盲目の両親と共
に暮らす3歳の少年の姿を追ったドキュメンタリー。
監督は、ボランティアをしていた妻の紹介で、当時8ヶ月の
少年に出会う。その時の少年は怪我をして盲目の母親の胸に
ギュッと抱かれていたが、少年は監督に微笑み返し、その手
がそっと母親に触れて監督の存在を知らせたという。
その姿に魅了された監督はその後に何度も少年の家に通い、
家族の了承を得た上で、少年が3歳の時から14ヶ月に亙って
少年とその家族の姿を撮影した。その160時間にも及ぶ映像
素材を1年半以上かけて編集した作品とのことだ。
ここで少年は、3歳児らしいやんちゃな顔を見せる一方で、
両親の目となって健気に手伝いをする姿なども映される。し
かし基本はやんちゃ盛りの少年、狭い家の中を上へ下へと動
き回って一時たりと止まらない。
さらに幼い弟をいじめたり、それで父親に叱られたり、兎に
角、喧騒が彼の周りを取り巻いている感じだ。そしてそんな
一家を見つめる周囲の人々。貧しい中でも深く濃いつながり
が一家を支えている。

監督のソーラヴ・サーランギは、インドの名門映画学校=イ
ンド映画テレビ学院で映画編集を学び、すでにドキュメンタ
リーやフィクションの監督作品とプロデューサーとしても活
躍し、受賞作も多いそうだ。
その作品は、時間をかけてじっくり登場人物たちと向き合う
手法で、繊細な作品に定評があると紹介されている。因に最
新作はNHKなどの製作で、ガンジス川の中洲に暮らす人々
を描いた作品がこの秋にBSで放送予定になっている。
そして本作は、10月に東京はオーディトリウム渋谷で上映、
その後は全国のミニシアター系での公開が予定されている。
多分誰もが元気を与えてもらえる作品。どんなに困難な暮ら
しの中でも、人は生きている…そんな感じの作品だ。
なお原題はアラビア語だが、これはビラルの父親がイスラム
教徒で、その関係で付けられた名前だからのようだ。映画の
巻頭にもこのように表記されていた。


『情熱のピアニズム』“Michel Petrucciani”
1962年フランス生まれ。1999年1月にニューヨークで病死す
るまで36年間を、疾風のごとく駆け抜けた稀代のジャズ・ピ
アニスト、ミシェル・ペトルチアーニの人生を描いたドキュ
メンタリー。
ペトルチアーニは誕生の時、全身の骨が折れた状態で生まれ
てきた。骨形成不全症という遺伝性の病気を持つ彼は、些細
な圧力でも骨が砕けてしまうという得意な体質の持ち主だっ
たのだ。しかし天は彼に2つの贈り物を与える。それは音楽
に対する稀有な才能と、カリスマ的な人格だった。
元々彼の一家は、父親がモダンジャズに傾倒するセミプロの
ミュージシャンで、子供の頃から音楽に浸ていた彼は、3歳
までに主なジャズのメロディを正確に口ずさめたという。そ
して4歳でデューク・エイリントンをテレビで見た彼は、玩
具ではない本物のピアノを両親にねだる。
かくして本物のピアノを手に入れた彼は7歳までに神童であ
ることを証明。一時はクラシックの音楽学校に入学するが、
結局はジャズを選び、14歳のときには地元で評判の即興演奏
家となって行く。その頃にはアメリカ人ジャズマンとの共演
も果たしている。
さらにその3年後には、パリでレコード製作を開始。1981年
から85年までの間に5枚のアルバムを録音。また81年にはパ
リ・ジャズフェスで演奏して、またたく間にスターの座を獲
得する。しかし彼はヨーロッパに飽きたらず、18歳でアメリ
カに渡り、さらに高みを目指して行くが。
作品は、かなり初期の頃から残されている映像や、さらに素
晴らしい録音に彩られて、ジャズと、女にも生きた彼の生涯
が綴られて行く。それは音楽映画として聞くにも充分な作品
になっている。

監督は、1994年『イル・ポスティーノ』などのマイクル・ラ
ザフォード。元々はドキュメンタリー出身の監督が、関係者
へのインタヴューなども織り込みながら、身長1mのピアニ
ストの生涯を見事に描き出している。


『リヴィッド』“Livide”
今年6月に開催された「フランス映画祭2012」での上映作品
中、唯一紹介できなかった作品。今回はその作品を、9月の
一般公開に向けてのマスコミ試写で観ることができた。
主人公は看護士の資格を持つ若い女性。彼女は研修のために
とある湊町に到着し、年配の女看護士が行う在宅老人の投薬
など介護に同行する。しかしその待ち合わせのバス停には、
多数の行方不明の子供を捜す張り紙があった。
そして主人公らが向かった3軒目は森に包まれた大邸宅。そ
こで輸血のみで生きながらえる老女は植物状態だが、老女の
遺言と財産によってその状態が保たれていた。そしてその邸
宅には、財宝が隠されているとの噂もあった。
一方、主人公は実はその湊町の出身で、恋人と再会した彼女
はその財宝の話をする。そしてその情報は恋人を一獲千金の
夢に駆り立て、恋人の弟も加えた3人は深夜の邸宅に忍び込
むが…。そこには世にも怪奇な出来事が待ち構えていた。
映画の途中には、年配の女看護士が拉致した少女を処理する
シーンなども挿入され、それは邸宅の秘密に繋がっているよ
うなのだが、その辺の説明が今いちピンとこない。その邸宅
の主にはそれなりの理由もあるようなのだが。
でもまあそれはそれとして、最後にはかなりシュールな展開
もあって、何というかニヤリとするお話が展開されていた。

脚本と監督は、2007年『屋敷女』のアレクサンドル・パステ
ィロ&ジュリアン・モーリー。前作が海外で評判を得た2人
組には、『ハロウィン』『ヘルレイザー』などの新作も依頼
されたがいずれも頓挫し、制約の少ないフランスに戻って本
作を完成させたものだ。
出演は、2011年1月紹介『ゲンスブールと女たち』に出てい
たというクロエ・クールー。1991年生まれの新星がヒロイン
を務める。
他にセザール賞受賞者のカトリーヌ・ジャコブ、マルセイユ
国立バレエの芸術監督も務めたマリ=クロード・ピエトラガ
ラ、本作でスカウトされた撮影当時14歳のクロエ・マルク。
さらにフェリックス・モアティ、ジェレミー・カポーヌ、そ
して『屋敷女』のベアトリス・ダルらが脇を固めている。
『サスペリア』を想起させるバレエとホラーの組み合わせな
どダリオ・アルジェントへの傾倒も見られ、ユーロホラーの
新たな担い手となる意欲も満々な作品のようだ。


『恋と映画とウッディ・アレン』
“Woody Allen: A Documentary”
1965年『何かいいことないか子猫チャン』の脚本・出演から
2011年『ミッドナイト・イン・パリ』まで、45年に亙るアレ
ンの映画人生と、それ以前のギャグライターやスタンダップ
・コメディアンに遡るアレンの半生を、アレン自身への密着
取材や初めて紹介される撮影風景なども含めて描いたPBS
制作のドキュメンタリー。
僕自身のアレン体験は、『何かいいことないか子猫チャン』
は観ているが当時は意識していなかった。しかし、1973年の
『スリーパー』の公開の時は、アメリカで話題のウッディ・
アレンの作品として意識して試写会に駆けつけたものだ。
それから1969年の監督デビュー作『泥棒野郎』や、1972年の
『ボギー!俺も男だ』は追い掛けて観に行ったが、1977年の
『アニー・ホール』からはアレンは変わってしまったとの想
いで遠ざかっていた。
ただし、ファンタシー系と見倣せた1985年の『カイロの紫の
バラ』や、1987年の『ラジオ・デイズ』などは観ていた。そ
して1999年の『ギター弾きの恋』あたりからまた観始めてい
たものだ。この作品はそんな僕にぴったりの作品だった。
ここには正にアレンの映画が満載で、しかもそれぞれの時代
の思い出と共に語られており、それはほぼ同時代を生きた僕
にとっての思い出にも重なるもの。僕はアレンより14歳年下
だが、そんなノスタルジーに浸ることもできた。
それにしてもクリップで挿入される各作品の面白いこと。そ
れはもちろん作品のベストの部分が抜き出されているものだ
が、それにしても短いカットだけで確実に笑えることには、
今さらながら驚嘆した。
それからアレンへのインタヴューの中で、SFファン的には
興味深いアレンとアイザック・アシモフのエピソードが語ら
れていた。これにはアレンのSFへの関心も感じられ、SF
ファンには聞き逃せないものだ。

正にアレンファンには見逃せない1作だ。
なお本作は、東京では11月10日からTOHOシネマズ・シャンテ
で公開されるが、その後の12月1日からは同劇場で2010年作
の『恋のロンドン狂騒曲』も公開、さらに2013年には最新作
の“To Roma with Love”の日本公開も決まったようだ。
因に『恋のロンドン狂騒曲』“You Will Meet a Tall Dark
Stranger”は、今回のドキュメンタリーと一緒に試写を観せ
てもらったが、アンソニー・ホプキンス、ジェマ・ジョーン
ズ、ナオミ・ワッツ、ジョッシュ・ブローリン、さらにアン
トニオ・バンデラス、フリーダ・ピント、ルーシー・パンチ
らの共演で、アレンらしいほろ苦さの効いた大人のコメディ
が展開されていた。
その作品が、ドキュメンタリーでの撮影風景に続けて楽しめ
るのも、ファンには嬉しいプレゼントとなっているものだ。


『UVERworld/Documentary:THE SONG』
2005年にメジャーデビューした滋賀県出身の5人組バンドを
追ったドキュメンタリー。
2010年には東京ドーム公演も成功させながら、今だにライヴ
ハウスにこだわる彼らの音楽姿勢と、それを培った彼らの成
長の記録が、メムバーや関係者へのインタヴューによって描
かれている。
元々滋賀県には2つのライヴハウスがあり、そこに集まるの
はほとんどが知り合いばかり。そんな観客よりも出演者の方
が多いような環境の中で、幼馴染やその友達の友達というよ
うな感じで仲間が集まり、バンドが結成される。
そんな彼らが一歩ずつ階段を登り、メジャーデビューを果た
す。しかしそこには別の試練も待ち構える。そんな中で結束
した彼らは、自らの想いで音楽性を高めて行く。
その一方で彼らはリハーサルを公開し、若いバンドマンたち
の目標となる努力も重ねる。それは彼ら自身が昔し見せても
らった先輩たちの姿にも重なっているようだ。
最近は何故かドキュメンタリーの試写が立て続けにあって、
今週もすでに観た9本の内6本がドキュメンタリーだった。
その中で本作は、音楽に疎い僕としては正直にはあまり期待
していなかったのだが。
作品を通して感じる彼らの気持ちには共感を覚え、いつしか
引き込まれる作品になっていた。
それは彼らの音楽に対する真剣な態度もあるが、何より周囲
の者を大切にし、後輩たちにも優しい気配りをする姿が、最
近の若者にはない純朴さのようなものを感じさせてくれたせ
いかもしれない。
それに本作では、ライヴシーンの楽曲に歌詞の字幕が付いて
いるのも好ましく感じられた。それは作品の展開ともマッチ
して、彼らからのメッセージが一層明確に伝わってくる感じ
もしたものだ。
歌詞の字幕は日本著作権協会が煩くて、うかつに付けられな
い、という話を以前に聞いたことがあるが、本作ではそれを
どのようにクリアしたのか。映画の展開として有効な字幕だ
っただけに、よけいに気になった。
特にエンディングクレジットは、字幕の配置も含めて見事な
ものだった。

監督は、関ジャニ∞のコンサート用映像や、福山雅治主演の
「アサヒスーパードライ」のCMなどを手掛ける中村哲平。
新たな映像作家の誕生も感じさせる作品だった。

『中国映画の全貌2012』
10月6日から東京新宿K’sシネマにて開催される標記特集
の中で上映される作品の内、新作2本の試写が行われた。
「私の少女時代」“我的少女時代”
文化大革命による下放を描いた作品。主人公は子供の頃の病
気で下半身が付随になり、部屋を一歩も出られない生活をし
ていた。しかし下放政策により両親と共に田園の村に行かさ
れた主人公は、独学の医療で村人の役に立ち始める。
物語は、映画の最初と最後に出演している中国障害者連合会
の女性会長チャン・ハイディーの自伝に基づくもので、下放
政策の中でも逞しく生き抜いた女性の姿が描かれる。
とは言っても、今まで中国映画では下放政策のネガティヴな
面ばかり観てきていたから、多少の違和感は生じたが、まあ
こういう人もいたということ、こういう人だから会長も務め
ているのだろう。

監督は、中国中央電視台・番組総監の地位にあるフェン・ゼ
ンジとその妻のチャオ・ホイリー。2人は前作でも障害者を
主人公にした作品を撮っているそうだ。主演は、京劇出身で
本作が3作目のリー・イーシャオが務めている。
「ロスト・イン・北京」“蘋果”
現代の北京で暮らす2組の夫婦の物語。1組はエステサロン
を経営する金持ちの夫婦だが、年月を重ねても子供に恵まれ
ていない。もう1組は妻がそのサロンに勤めるエステシャン
だが、ある状況から社長と不倫をしてしまう。
しかも彼女の夫がそれを目撃してしまい、ドタバタの事態に
なってしまうのだが、やがて彼女の妊娠が判明し、その子供
を巡ってさらに2組の夫婦の葛藤が始まる。
中国の一人っ子政策が今も続いているかどうか知らないが、
中国での子供の誕生は、特にその子が男子の場合は日本以上
に特別な意味を持っているようだ。そんな事情も絡んでの、
笑い飛ばすには少々厳しいドラマが展開される。

監督は、2010年11月1日付の「東京国際映画祭」で紹介した
『ブッダ・マウンテン』のリー・ユー。同作で映画祭の最優
秀女優賞を獲得したファン・ビンビンが本作にも出演し、他
にレオン・カーワイ、トン・ダーウェイ、エレイン・チンら
が共演している。
なお今回の特集では、上記の新作の他に、国交回復で日中友
好協会に寄贈された5本のプロパガンダ作品『農奴』『白毛
女』『阿片戦争』『五人の娘』『エニアル』も上映されるこ
とになっている。


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井口健二