井口健二のOn the Production
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2012年03月18日(日) B&W、[●REC]³ 、ウルトラマンサーガ、隣る人、ハローゴースト、残酷な弓、ハングリー・ラビット、ミッドナイトFM+Dark Tower

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『ブラック&ホワイト』“This Means War”
2000年の『チャーリーズ・エンジェル』や、2009年5月紹介
『ターミネーター4』などのMcG監督によるコメディ調のス
パイアクション。
主人公はCIAの最前線で活動する凄腕捜査官コンビのFD
Rとタック。ところが彼らは香港で行われた作戦で失敗し、
危険な主犯兄弟の弟を死なせ、兄には逃げられてしまう。そ
してその責任を問われた2人は内勤に廻される。
一方のヒロインは恋焦がれる男の後を追ってロサンゼルスに
来たものの、その男にはあっさり振られ、でも未練たらたら
の中で暮らしていた。しかし都会の水は彼女に成功をもたら
してはいるようだ。
そんな彼女が正体も知らずにコンビと別々に出会い、それぞ
れと恋をしてしまう。しかもどちらかを選ぶことのできない
彼女に対して、状況を知った2人は紳士協定を結び正々堂々
と彼女を争うことを約束するのだが…
何と2人は、内勤の立場を利用しスパイテクニックを駆使し
て互いの動向を探り、互いに出し抜く方策を練り始める。と
ころがそんな彼らの背後には、香港で取り逃がした犯人が弟
の復讐を誓って迫っていた。

出演は、CIAコンビ役に2009年『スター・トレック』など
のクリス・パインと、2003年『ネメシス/STX』などのト
ム・ハーディ。それにヒロインには、昨年12月紹介『恋人た
ちのパレード』などのリース・ウィザー・スプーンが扮して
いる。
他には、1999年『ノッキング・オン・ヘブンズ・ドア』の脚
本・主演などのティル・シュヴァイガー、ベストセラー作家
でもあるチェルシー・ハンドラー、それに1993年『TINA』で
ティナ・ターナーを演じたアンジェラ・バセットらが脇を固
めている。
脚本は、2010年1月紹介『シャーロック・ホームズ』などの
サイモン・キンバーグ。また原案と共同脚本のティモシー・
ダウリングは、2010年8月紹介『ナイト&デイ』のリライト
を担当した人だそうだ。
McGは『ターミネーター4』も悪いとは思わなかったが、本
作のようなコメディ調のアクションはより本領を発揮するよ
うだ。ハリウッドのコメディは日本ではなかなか受け入れら
れないが、本作のようなアクションが絡むとそれは別もの。
まあ、お気楽に楽しんで観る映画と言いたい作品だ。

『[●REC]³ ジェネシス』“[REC]³ Génesis”
2008年3月と2009年10月にそれぞれ紹介した[●REC]シ
リーズの第3作。なお邦題の●は、前2作では赤い丸で録画
モードの表示ランプを示していたと思うが、本作ではそれが
血痕のように表現されている。
第1作はPOVの到達点と言って良い作品で、それを発展さ
せた第2作では、何とそれがマルチカメラに展開されてその
巧みさにも舌を巻いた。そしてその第3作は、第1作ほぼ同
じ時系列の設定で、別の場所での事件が描かれる。
その本作は、第1作の事件がテレビ中継されている時刻の郊
外の結婚式場が舞台。大勢の招待客と結婚式の模様が、ホー
ムヴィデオやプロの持ち込んだステディカムなどで撮影され
て行く。
そんな招待客の中に犬に噛まれたという中年男性がいて、彼
を噛んだ犬は第1作に登場した少女の飼犬だったようだ。そ
してその男性から異変が起き始め、その模様がヴィデオカメ
ラに記録されて行くが…
第1作、第2作はPOVの極致と言えるものだったが、そこ
からの発展形である本作の巧みさもこれは見事な作品になっ
ている。そして本作では前2作ではあまり描かれなかった人
間ドラマが導入され、それもニヤリとさせられたところだ。
特に、物語の中心となる新郎と新婦のドラマは従来のこの種
の作品ではなかなか描き切れなかったものを正面から扱って
おり、またその展開がちゃんと本作のテーマに沿ったものに
なっているのも感心した。

出演者は殆ど知らない俳優だが、中に2011年6月紹介『ペー
パー・バード』にも出ていたディエゴ・マルティンが出演し
ている。また第2作にはノンクレジットだが、全3作に共通
したキャラクターもいるようだ。
脚本と監督は前2作では共同監督の片割れを務めていたパコ
・プラサ。今回の監督は単独(その経緯は2010年5月9日付
で報告している)で、共同脚本には第1作のルイソ・ベルデ
ホが復帰している。
また、エンドクレジットによるとストーリーボードは、第2
作と同じくJun Matsuuraが担当していたようだ。
因に、前2作の共同監督のもう1人のジャウマ・バラゲロは
本作ではクリエイティヴ・プロデューサーという肩書きでサ
ポートに回っているが、彼には先に報告しているようにシリ
ーズ最終話となる第4作の監督が発表されている。

『ウルトラマンサーガ』
2009年11月紹介『ウルトラ銀河伝説』、2010年12月紹介『ウ
ルトラマンゼロ』に続く、ウルトラセブンの息子ゼロを主人
公にしたシリーズの第3作。
第2作で宇宙が多数のパラレルワールドで成立していること
が設定され、本作では前作で別の宇宙に残ることになったウ
ルトラマンゼロが、宇宙からの呼び声に応じて別宇宙の地球
に赴くところから物語が始まる。
一方、元の宇宙の地球人はウルトラマンダイナが最後の戦い
で敵と共に時空のねじれの中に消えた後は復興を遂げ、在火
星の基地には新たな隊員も配属されていた。その中の1人タ
イガ・ノゾムは天才的な戦略家だったが…。
突如襲っていた敵との戦いで別宇宙に飛ばされたタイガは、
人類の大半が姿を消して荒廃仕切った地球に辿り着く。そこ
でゼロとタイガは合身するが、タイガにはウルトラマンを受
け入れないトラウマがあるようだ。
そしてそこにはウルトラマンコスモス=春野ムサシも現れ、
彼らは僅かに残った子供たちを守る女性ばかりの地球防衛隊
と共に、圧倒的な敵との戦いに臨むことになる。しかし、そ
の地球にはかつてダイナもいたはずだった。
ダイナ以後の未来世界を背景にしつつ、現代の地球に似た世
界での戦いが描かれる。そこで描かれるビル群の中での戦い
のシーンなどは、昔からのファンにはこれぞ円谷特撮と言い
たくなる懐かしさも感じさせた。

出演はタイガ・ノゾム役にDAIGOと、杉浦太陽、つるの
剛士。またAKB48の秋元才加、宮澤佐江、梅田彩佳、増
田有華らが脇を固め、さらに黒部進、森次晃嗣、団時朗の元
ウルトラマンや布川敏和らの旧レギュラーが登場。そして、
東国原英夫が声優でゲスト出演している。
監督は『ダイナ』以降のシリーズを多数手掛けているおかひ
でき。特技監督は2006年『日本沈没』などの三池敏夫。脚本
は『ティガ』以降のシリーズで最多数を手掛けているという
長谷川圭一が担当した。
物語の中では、パラレルワールドを横断するさらに巨大な敵
の存在も仄めかされており、このシリーズはまだまだ続きそ
うだ。なお、マスコミ試写は2Dで行われたが、3月24日か
らの一般上映はウルトラマン初の3Dでも行われる。

『隣る人』
児童養護施設「光の子どもの家」で8年間に渡って取材され
たドキュメンタリー。
かつては孤児院と呼ばれたその施設は、法律の制定によって
名称が決まったようだ。しかしその名称は一般にはまだ浸透
していない。そんな児童養護施設は全国に約580施設。そこ
には約30000人の子供たちが生活している。
本作はそういう施設の1つで取材されている。それは災害や
事故、家庭の事情など、様々な理由で親と一緒に暮らせなく
なった子供たちの、正にドラマとしか言えない日々の姿が写
し出されて行く。
題名の「隣る人」とは、「光の子どもの家」の施設長だった
菅原哲男氏の造語で、聖書の中でイエスが述べたサマリア人
のエピソードに拠る。それは「絶対の窮地にある人に手を差
し伸べる人」ということのようだ。
ただし菅原氏の考えはそこからさらに一歩進んで、その「隣
る人」を子供たちの心に内在させられれば、その子供たちは
立派な大人になると考える。そしてそれを実践しているのが
「光の子どもの家」だ。
しかしそれは様々な葛藤を抱えた子供たちだから一朝一夕に
行くものではないし、さらに一部には現存する親の姿が様々
な影を落とす。その中で映画は、主にムツミとマリナという
2人の子供と彼女らに寄り添うマリコさんという保育士に焦
点が当てられている。
その他にも、幼児のコウキと保育士のタカコさん、小学生の
マイカと保育士のマキノさんらの関係も描かれるが、そこに
は身勝手な親に振り回される子供や、施設自体が抱える問題
なども浮き彫りにされる。
それにしても、この種の作品を観ているといつも感じるのは
職員の人たちの懸命の姿だ。しかも本作では単に仕事として
だけではない本人たちの心情も描き出され、それは痛々しい
ものにもなっていた。
こういう子供たちを生み出す社会の問題もあるが、その子供
たちを支え続ける人々の姿にも心を留めたいものだ。
監督は、フリー映像ジャーナリストとしてアフガニスタンの
空爆の様子などを取材してきた刀川和也。本作は初監督作品
となる。また撮影には、2010年3月紹介『アヒルの子』の小
野さやかが協力していた。

『ハロー!?ゴースト』“헬로우 고스트”
いまだに2001年『猟奇的な彼女』のと言われてしまうチャ・
テヒョン主演によるゴーストがテーマのファンタスティック
・コメディ。
主人公は児童養護施設で育ってきた若者。幼い頃から家族も
周囲に親しい人もいない環境で育ち、今でもその孤独感は募
る一方だ。そのため何度も自殺を図っているが、その度、何
故か救われてしまう。
そんな彼がついに一時的な呼吸停止の状態まではなるが、そ
れでも死ぬことはなかった。ところがその後から彼にはゴー
ストが観えるようになる。そんな彼の周囲にいたのは、エロ
爺とヘヴィスモーカーの中年男、それに泣き女と大喰いの小
僧。
しかも除霊師に訊くと、彼が死ねないのはそのゴーストたち
のせいで、彼らの願いを叶えればゴーストは去るという。そ
こでゴーストたちの想いを聞き出し、その願いを叶えるため
の行動が始まるが…
そこにホスピスに看護師として務める女性などが絡んで、涙
と笑いの物語が展開されて行く。それは常人には観えないゴ
ーストとの会話など定番の笑いも満載だが、さすがに韓国映
画は一味違うという感じの捻りが見事な作品だった。

共演は、2009年1月紹介『映画は映画だ』などのコ・チャン
ソク、2010年10月紹介『ハーモニー』などのチャン・ヨンナ
ム、2010年5月紹介『グッドモーニング・プレジデント』な
どのイ・ムンス。さらに、2009年『TSUNAMI』などのチョン
・ボグン。そして『ハーモニー』で映画祭の新人女優賞など
も受賞したカン・イェウォンがヒロインを演じている。
脚本と監督は、過去にチャ・テヒョン主演作品なども手掛け
た脚本家のキム・ヨンタク。本作が監督デビュー作となって
いるようだ。なお、作品中で主人公が5人のゴーストを背負
って歩くシーンはCGIではないそうで、その辺の演出も巧
みに感じられた。
たまたま同じ日に『隣る人』と続けて試写を観ることになっ
た。本作は特に児童養護施設の問題を扱ったのではないが、
そこに描かれている内容には繋がるものも感じられ、そこに
流れる暖かさも感じられたものだ。

『少年は残酷な弓を射る』
            “We Need to Talk About Kevin”
イギリスで女性文芸賞の最高峰とされるオレンジ賞を受賞し
た原作の映画化。その映画化を、2002年『モーヴァン』で各
地の受賞に輝いたリン・ラムジー監督が9年ぶりの第3作と
して完成させた。
主人公は、赤ペンキの浴びせられた郊外の廃屋のような家に
住む1人の女性。彼女が道を歩くと罵声が浴びせられ、突然
近寄ってきた女に頬を張られたりと、彼女への嫌がらせは尋
常ではない。それは彼女の息子に原因があるようだ。
その息子が犯した最悪に事件に向き合わなければならなくな
った母親。実はその息子は望まれた子ではなかった。そして
誕生の時から付き纏うそんな思いが、母子関係を負のスパイ
ラルに陥れ、重大な事件へと導く。
物語の前提には多少特殊な部分もあるけれど、現代社会で子
育てを経験した人なら誰もが感じる恐怖が描かれた作品。そ
れは加害者であれ被害者であれ、世界中で日常のように起き
ている恐怖。しかも「家の子に限って」というのは親として
常に付き纏う心配だ。
そんな思いが巧みに描かれる。物語の舞台はアメリカだが、
敢えて事件に銃を持ち出さない辺りに作者の思いも感じられ
る。これは親にとっては普遍的な物語とも言える。そんな親
なら誰しもが身に詰まされる物語が描かれる。

出演は、2008年2月紹介『フィクサー』でアカデミー賞助演
女優賞を受賞し、本作の製作総指揮も兼ねるティルダ・スウ
ィントン。夫役には2003年2月紹介『シカゴ』で助演賞候補
になったジョン・C・ライリー。そして息子役には、本作で
イギリス・インディペンデンテ映画賞の候補になったエズラ
・ミラーが扮している。
映画には救いもあまり感じられず、現実の厳しさが中心に描
かれたものになっている。しかし描かれているのは事件に関
ってしまった母子のやるせない姿であり、底流にあるのはや
はり親子の情のように感じる。
どんな状況にあっても、またどんな経緯があっても、結局は
親子なんだというのが物語の最も言いたかったことのように
も感じられた。それでは甘過ぎるのかも知れないが、そのく
らいの気持ちは現代社会の中でも見出したいものだ。


『ハングリー・ラビット』“Seeking Justice”
2008年9月紹介『バンク・ジョブ』などのロジャー・ドナル
ドスン監督が、2011年7月紹介『ドライブ・アングリー』な
どのニコラス・ケイジの主演で制作したアクション・スリラ
ー。
主人公はニューオリンズ在住の高校教師。チェリストの妻と
共に倹しく暮らしていた彼を突然の悲劇が襲う。練習を終え
て帰宅途中の妻が暴行され、瀕死の重傷で病院に運び込まれ
たのだ。その病床の傍で激しく動揺する主人公に謎の男が声
を掛ける。
その男はサイモンと名告り、犯人を突き止めていると語ると
共に、主人公が望めば犯人への報復を代行すると告げる。そ
の犯人はレイプの常習犯で、警察に突き出しても裁判では被
害者に負担が掛かるだけ、対価は後でちょっとした手伝いを
頼むだけだとも。
その言葉に最初は逡巡した主人公だったが、帰ろうとするサ
イモンを思わず呼び止めてしまう。その結果は…。
法が裁けない凶悪犯を法に替って打ち倒す。ヒーローコミッ
クスの多くがこの図式で展開されているものだが、本作はそ
こに新たな側面を照らし出したとでも言えそうな作品だ。そ
れをハリウッド1のコミックスコレクターを自称するケイジ
が演じるのも面白い。

共演は、2011年11月紹介『アニマル・キングダム』などのガ
イ・ピアース、2005年12月紹介『メルキアデス・エストラー
ダの3度の埋葬』などのジャニュアリー・ジョーンズ、TV
ドラマ『LOST』などのハロルド・ペリノー。
なお撮影は実際にニューオリンズで行われ、映画の後半に登
場するショッピングモールの廃虚は、ハリケーンカトリーヌ
で被災しそのままになっているものだそうだ。他にもスーパ
ードームのモトクロスや高速度路でのスタントなどが織り込
まれている。
因に本作の情報は2008年4月15日付で紹介しており、その際
にはトビー・マクガイアの主演で、題名は“Hungry Rabbit
Jumps”となっていた。その後に主演と題名も変更になった
ようだが、その名残りなのだろう製作者にはマクガイアも名
を連ねている。
また本作は、ケイジの映画デビュー30周年の作品になるよう
だ。

『ミッドナイトFM』“심야의 FM”
2006年11月紹介『ファミリー』などのスエ主演によるサスペ
ンス・スリラー。
主人公は長年に渡り深夜番組を続けてきた人気の女性DJ。
しかしシングルマザーでもある彼女は、障害を持つ娘の治療
のため渡米を決意し最後の放送の日を迎える。ところがそん
な彼女の携帯に脅迫電話が架かってくる。
それはベビーシッターを頼んだ妹とその娘、そして我が子の
いる自宅から架かってきたものだった。そして主人公は、取
り敢えずは犯人の要求通りの曲を掛け始めるが…
2009年5月に紹介した韓国映画の『セブンデイズ』も、同様
のシングルマザーが娘を誘拐されるのだったが、その作品が
7日間だったのに比べると本作は1晩の話でそれだけ話は濃
密になる計算だ。
といっても、本作の舞台は放送局と自宅とその他の少数だか
ら、物語の広がりという点では少し負けているかな。しかし
主人公と犯人以外に関りを持つ人物が多く登場してそれだけ
話は変化に富んだものにはなっている感じだ。

共演は、2008年8月紹介『ファン・ジニ』などのユ・ジテ、
2011年2月紹介『生き残るための3つの取り引き』などのチ
ョン・マンシクとマ・ドンソク。そして娘役はイ・ジュナと
いう子役だそうだ。
監督は、2000年『JSA』などの美術監督を務めたキム・サ
ンマン。映画監督は2作目で、1作目はコメディだったそう
だが、元々コメディは得意でなく悔いが残ったとの。本人は
本作のようなサスペンスが好みのようで、それなりの演出を
している。
また脚本は、キム・フィという人のオリジナルからサンマン
が改訂しているが、元々はもっと大量殺人だったものをサス
ペンスの要素を高めるために少数にしたのこと。また後半に
はカーチェイスが追加されたりもしているようだ。
ただ、犯人の性格付というか動機と行動が合致していない感
じで、特に最後の展開は犯人が最初から想定していたものと
は思えず、偶然こうなると言うのには多少無理が生じている
感じはした。まあ観ている間は気にはならなかったが。

        *         *
 昨年8月14日付で製作の延期を報告したスティーヴン・キ
ング原作“The Dark Tower”の映画化が、以前計画を進めて
いたユニヴァーサルを離れ、ワーナーに移されることが報告
された。
 これは製作会社のイマジン・エンターテインメイントから
の情報によるものだが、それによるとユニヴァーサルは正式
に手を引き、ワーナーがその後釜として交渉されているとの
ことだ。またこの移転にともない製作規模などは維持される
とのことだが、因にユニヴァーサルの計画では3本の映画化
とテレビシリーズを展開するとしていたもので、実現すれば
かなりの規模の作品となる。
 物語は西部劇を思わせる世界を背景にしたもので、そこで
gunslingersと呼ばれた男たちの最後の生き残りが、世界の
中心とされる塔を目指す旅が7巻に渡って描かれる。しかも
そこにはキングの他の著作がいろいろと関わり、キングの集
大成ともされる作品なっている。
 そしてその映画化の計画は、元々キングとアキヴァ・ゴー
ルズマン主宰でワーナーに本拠を置く製作会社のウィード・
ロードと、ブライアン・グレーザーとロン・ハワード主宰で
ユニヴァーサルが本拠のイマジンとの共同で進められていた
もので、今回ユニヴァーサルが下りてワーナーに移るという
のは必然のようだ。従って監督には依然としてハワードの起
用が発表されているものだ。


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井口健二