井口健二のOn the Production
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2012年01月29日(日) 桃まつり5、長ぐつをはいたネコ、誰も知らない基地のこと、311、レンタネコ、孤島の王、超能力者+Oscar/nomination

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『桃まつり〜すき〜』
2008年2月、2009年1月、2010年1月にそれぞれ紹介した女
性監督たちによる短編作品集「桃まつり」の2012年版の試写
を観せて貰った。因に昨年は開催されなかったとのことで、
今回は5回目(初回は僕が観ていない)になっている。  
その2012年版は「すき」をテーマに、各々3本×3プログラ
ムの計9作品が3月17日から渋谷のユーロスペースにて公開
される。
「壱のすき」
『帰り道』(監督・竹本直美):監督の作品は第1作から全
作を鑑賞させて貰ったが、演出も構成も安定している。本作
は第1作にちょっと似たところがあって、それが今年の場合
は3/11以降の日本人皆が感じた故郷回帰の心情にマッチし
ているものだ。
都会で働いてきた女性がやむを得ず戻ってきた故郷の風景の
中、ふと幼い頃を思い出す、そんな心情が丁寧に描かれてい
る。出演者にベテラン俳優を持ってきたのはちょっとずるい
感じもするが、その安定感が特に短編映画には良い感じを与
えていた。

『フィガロの告白』(監督・天野千尋):夏休みの1日、秘
密基地に集まった中学男子4人組は女子の話で盛り上がり、
それぞれ意中の女子に告白を決行するが…。出演している子
役たちの演技も自然で、演出は短編らしくテンポも軽快でリ
ズム感もあり、結末も良い感じだった。

『the place named』(監督・小森はるか):ソートン・ワ
イルダーの戯曲「我が町」をもとに、その第3幕を稽古して
いる劇団員と、彼らの心象とも言える田舎町に暮らす女性の
姿が交互に描かれる。オリジナルの芝居は知らなかったが、
途中でその舞台の設定が理解されると作品の印象がかなり変
わってくる。不思議な感覚の作品だった。

「弐の好き」
『春まで十日間』(監督・ステファニー・コルク):3/11
を背景に、海外にいて被災地に住む家族を心配する女性の心
情が描かれる。その心情は、主に女性が被災地の母親の留守
番電話に吹き込むメッセージで綴られるが、そこから観えて
くるものがかなり深く、それはなかなか巧みな作品に感じら
れた。

『口腔盗聴器』(監督・上原三由樹):かなり際どい内容の
作品で、女性監督だと知らなかったら少し考えてしまうとこ
ろかもしれない。でもまあこのような設定で、操っていると
思っている側が、実は操られているというのは面白くはある
ものだ。ただし結末がちょっと何なのか…。DVDを借りて
見直したが意味が良く判らなかった。

『最後のタンゴ』(監督・熊谷まどか):監督の作品歴を観
て、『ロールキャベツの作り方』という作品を2004年12月紹
介の『Movies-High #5』で観せて貰っていることに気がつい
た。そのときも上手いと思ったが、今回もかなり洒落た作品
だ。特に途中のホラーめかした辺りが僕的には好ましい感じ
がした。

「参のすき」
『さめざめ』(監督・星崎久美子):この監督の作品も09年
9月紹介『ゼロ年代全景』の中で観ている。内容的にはその
ときの作品と似ているようにも感じるが、この監督の継続的
なテーマなのかな。前半のポストイットで会話するという展
開は、男女の本音がストレートに出ている感じでかなり面白
かった。

『LATE SHOW』(監督・佐藤麻衣子):雑居ビルの屋上に置
かれたプロジェクターで映画を上映している若者と、そのビ
ルの前の道に屯するバイカーの少女の姿を描いた作品。昨年
10月に紹介したアミール・ナデリ監督の『カット』にも同じ
ようなシーンがあったが、ビルの屋上には独特の雰囲気があ
るものだ。それはいいがお話が良く判らなかった。

『SAI-KAI』(監督・名倉愛):チンピラやくざの男が幼馴
染みと再会する。しかしそれは2人の運命を左右するドラマ
の幕開けだった。かなり大きなドラマをよくこの時間に納め
たものだと感心する。でも結局はお話を繋いでいるだけとい
う感じは否めない。この物語はもっとしっかり時間を掛けて
描くべきもののように感じた。

以上、上映時間はプログラムごとに75分前後のものだが、内
容的には番号を追う順に少しずつ重くなっている感じかな。
気軽に楽しむなら「壱」、いろいろ観たいのなら「弐」、ド
ラマを観るなら「参」がお勧めというところだ。

『長ぐつをはいたネコ』“Puss in the Boots”
2004年6月紹介『シュレック2』に登場して人気者になった
欧州民話のキャラクターを主人公にしたスピン・オフ作品。
同じ民話からは東映動画でも1969〜76年に3作品が製作され
ているが、本作とは全く関係がない。
物語の舞台は、古い町が点在する荒野。因に設定はシュレッ
クの世界より少し南の土地だそうだ。その荒野でプス(長ぐ
つをはいたネコ)はある事情からお尋ねものになっていた。
そんなプスが魔法の豆の噂を耳にするところから物語は開幕
する。
その魔法の豆からは天空の城に続く豆の木が育ち、そこには
金の卵を生むガチョウがいる。そのガチョウを手に入れれば
一生を楽に暮らせるというものだ。ところがその魔法の豆を
狙っている奴がもう1人いた…。
ということで、本作では「ジャックと豆の木」をモティーフ
にした物語が展開され、そこに友情や裏切りなどの様々なド
ラマが繰り広げられる。『シュレック』もそうだが、お子様
向けと思って観ていると意外と深い物語に唸ってしまうもの
だ。

声優は、日本公開では吹き替えが中心になりそうだが、僕は
何とか内覧で観させて貰ったもので、プス役のアントニオ・
バンデラスを始め、2003年12月紹介『レジェンド・オブ・メ
キシコ』でも共演しているサルマ・ハエック。
さらに2010年11月紹介『デュー・デート』などのザック・ガ
リフィアナキス、2011年4月紹介『ファースター』などのビ
リー・ボブ・ソーントン、2004年2月紹介『スクール・オブ
・ロック』などのエイミー・セダリスらが脇を固めている。
監督は、『シュレック』シリーズの第1作のストーリー・ア
ーティストを務め、2007年の『シュレック3』では監督も担
当したクリス・ミラー。シリーズを知り尽くした監督がスピ
ンオフのキャラクターを存分に操っている。

『誰も知らない基地のこと』“Standing Army”
日本と同じく第2次世界大戦の敗戦国であり、戦後70年近く
経っても日本と同様にアメリカ軍による基地占領が続けらて
いるイタリアの若手監督が、アメリカ駐留軍の意味を問い掛
けたドキュメンタリー。
アメリカの小学生が歴史の時間に最初に習うことの一つは、
イギリスの駐留軍に苦しんだ植民地アメリカの住民が起こし
た独立戦争の意義なのだそうだ。そのアメリカは、現在公表
されているだけで世界の約40カ国に700箇所以上の駐留基地
を設置している。
それは第2次大戦の敗戦国である日本、イタリア、ドイツは
勿論、アフガニスタンから旧ソ連圏までの世界中が網羅され
ている。それは第2次大戦後の冷戦に始まって、冷戦終結後
は麻薬組織やテロ対策など常に理由を付けて占領が続いてい
るものだ。
1961年にアイゼンハワー前大統領は、その退任演説の中で産
軍共同体の危険性に触れ、彼らを絶対に暴走させてはならな
いと訴えたとのことだ。しかしその跡を継いだケネディはキ
ューバ危機を契機にベトナムへと突き進んでいった。
アイゼンハワーは共和党、ケネディは民主党。その民主党の
オバマも海外軍の撤収どころか軍事費は増強される一方。ブ
ッシュはただの馬鹿だったが、むしろアイゼンハワーのいた
共和党の方が現実をよく理解していたのかな。
作品では、主に沖縄の普天間と、基地のため原住民2000人が
故郷を追い出されたインド洋のディエゴ・ガルシア、それに
新基地の建設が強行されるイタリアのビチェンツィアなどが
取材されているが、何処も住民の訴えは政府によって圧殺さ
れているようだ。
ただし、日本の基地問題では「おもいやり予算」などは話を
複雑にしないためか言及されていないし、1992年にアメリカ
軍基地を撤去させたフィリピンなども取材されていない。さ
らにヨーロッパではドイツが取材されていないのも物足りな
くは感じられた。
今アメリカの産軍共同体が狙っているのは、基地の恒久化で
あり、それは恒久的な戦争の継続、そのために産軍共同体は
あらゆる手段を駆使している。実は最近、某アメリカ映画を
観ていて同じようなことを考えたが、それはあながち僕の妄
想でもないようだ。


『311』
震災と原発暴走から2週間後の東北を4人のドキュメンタリ
ストが撮影した作品。
その取材は何を撮影しようという目的も持たずに、ただ現地
を観ておきたいという考えのみで始まった。そして最初は放
射能検知器を携えて福島に向かうが、装備が不十分であるこ
となどを認識して以後は震災被災地に向かう。
そこでは、すでに数多くの取材でも報じられた津波による惨
状や避難民の姿などが写し出されて行く。そして彼らは、多
くの学童や保護者たちが津波に飲まれた石巻市立大川小学校
に辿り着く。
昨年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映され、会場が
怒号と賞賛の声に包まれたという問題作。事前にそういう情
報を聞き、さらに巻頭で物見湯山のように出掛けて行く彼ら
の姿には、災害直後の報道で「おもしれえ」と発したレポー
ターを思い出した。
それは福島でガイガーカウンターの数値が跳ね上がって行く
様子を伝える声にも感じられたが、その声は津波の惨状を前
には少なくなって行く。そして小学校の跡地で子供の姿を探
す母親たちを前にして、ついに言葉は失われてしまう。
その小学校では、校庭で教師が点呼を取っているときに津波
が襲ったのだという。そこで取材された母親は、「先生を無
視して子供を連れて山に逃げた親子は助かった。自分は仕事
で迎えに行けなかった」と言った後で、「でも、(自分が)
行っていても、先生の指示にしたがって、一緒に津波に飲み
込まれたと思う」と語る。
しかしそれは、子供を助けられなかった自分への言い訳だろ
う。そんな母親の無念さが画面から伝わってきたとき、僕は
涙が止まらなくなってしまった。
今回上映される作品は、山形で上映された作品より2分短く
編集されているようだ。それでどんなシーンがカットされた
のかは判らない。もっと不埒なシーンがあったのかも知れな
い。しかし僕はこの母親たちの無念を伝えただけでも賞賛に
値すると思った。

これは今後に語り継ぐべき内容を描いた作品だと思う。ただ
し福島原発に関しては、再度準備を整えて取材するべきだ。
本作の制作者たちにはそれを望みたい。

『レンタネコ』
2010年4月紹介『トイレット』などの荻上直子監督による最
新作。本作で再度ベルリン国際映画祭への正式出品が決まっ
たようだ。
「レンターネコ、ネコ、ネコ。寂しい人に、猫、貸します」
という口上でレンタネコ屋を営む女性を狂言回しに、都会に
暮らす人々の姿が描かれる。
登場するのは、夫と愛描に先立たれた老婦人に、単身赴任か
ら漸く家族の許に帰る日の近い中年男性、自分に自信の持て
ないレンタカー屋の受付嬢。そしてもう1人と、主人公の隣
に住む怪しい主婦。
ただし猫を借りるには審査があって、そこでの主人公との遣
り取りからいろいろなドラマが展開される。しかしそこは荻
上監督らしく、本当にちょっとした普段の出来事が巧みに優
しく描かれているものだ。
ただ、以前の作品に比べると、少しドラマティックかな。そ
れはオムニバス風の構成にも拠るのかも知れないが、少し演
出も凝っていたようにも感じられた。それが従来のファンに
どう取られるか多少気になるが、僕にはこれも好ましく感じ
られた。

出演は市川実日子、草村礼子、光石研、山田真歩、田中圭、
小林克也。2006年1月紹介『かもめ食堂』からは小林聡美、
もたいまさこは抜けたが、2007年9月紹介『めがね』からの
市川、光石が常連組。
他に、2010年5月紹介『サイタマノラッパー2』などの山田
と、2010年7月紹介『七瀬ふたたび』などの田中、それに小
林が新加入している。因に、山田と田中は2011年12月紹介の
『アフロ田中』でも共演していた。
という出演者の顔ぶれだが、実は猫好きには人間の演技など
どうでも良くなってしまう。特に主人公の自宅のシーンで、
俳優の後ろでじゃれ合っていたり、画面の端をさっと横切ら
れたりすると、ついそちらに目が行ってしまうのだ。
ただし本作の人間ドラマは会話劇が中心で、目が他に行って
いても問題は少ない。監督もその辺は心得て作っているよう
な感じもした。
とにかく猫好きには堪らない作品だ。

『孤島の王』“Kongen av Bastøy”
本国ノルウェーでは2010年に公開され、大ヒットを記録した
上に、その年の同国の映画賞で8部門にノミネート、その内
の作品賞、脚本賞、助演男優賞、音楽賞を受賞した衝撃のド
ラマ作品。
1900年から1970年まで運営されたというオスロ南方のバスト
イ島に所在した非行少年矯正学校を舞台に、その実話に基づ
いた作品。1915年、その矯正学校に送られてきた1人の少年
がその過酷な環境の下で過ごした日々が描かれる。
そこには様々な罪を犯した11〜18歳の少年たちが収容されて
いた。そこで彼らに課せられるのは、徹底した自由の剥奪と
過剰な抑圧。そんな環境の中で彼らは学校側の言う正しい人
間に矯正されて行く。しかし10代の少年にとってそれは過酷
すぎる環境だった。
主人公のキャラクターはフィクションのようだが、描かれる
事件は史実に基づくようだ。そして矯正学校はその後も運営
されているのだから、多分その事件によって改善は行われた
のだろう。そんなある意味、歴史を動かした少年たちの行動
が描かれている。
それにしても、冬の北欧の吹雪の中の野外作業や凍てついた
海の風景など、見るからに過酷な少年たちの生活ぶりがこれ
でもかとばかりに描かれ、その衝撃度も最大な作品と言える
ものになっていた。

出演は、オスロ国立アカデミー出身、1987年生まれのベンヤ
ミン・ヘールスターと、1年以上掛けたオーディションで見
出されたという1990年生まれのトロン・ニルセン。いずれも
瑞々しい演技を見せてくれる。
他に、2011年12月紹介『メランコリア』や前回紹介『ドラゴ
ン・タトゥーの女』にも出ていたステラン・スカルスガルド
(この人の苗字はいろいろに表記されるが、どれが正しいの
かな)が出演して見事に作品全体を引き締めている。
監督は、ロンドン国際映画学校出身のマリウス・ホルスト。
1995年のデビュー作がベルリン映画祭で受賞している他、本
作が4作目の俊英。本作ではスペイン・バレンシア国際映画
祭での金賞など、数々の映画祭での受賞にも輝いているよう
だ。

『超能力者』“초능력자”
現代のソウルを背景に、超能力者同士の戦いを、韓流スター
のカン・ドンウォンとコ・スの共演で描いた作品。
その超能力は眼力で人の行動を自在に操るというもの。しか
しその持ち主はその能力ゆえに幼い頃から真面な暮しをする
ことができなかった。こうしてその男は、超能力を悪用する
犯罪者になっていたが…。ある日、彼はその超能力に抵抗す
る男と遭遇する。
その抵抗者は、その日まで自分にそんな能力があることすら
知らなかったが、危険な犯罪者との遭遇が彼の中に使命感を
呼び起こす。そして2人の超能力者の間で壮絶な戦いが開始
される。
単純明快な正義と悪の戦いという図式の作品だが、何せ正義
側の能力が悪人の超能力に抵抗できるだけだから、これはか
なり不利な戦いだ。でも、実際こんなものだろうなあ…と思
わせるものもあり、それなりにリアルな感覚で楽しめた。

脚本と監督は、2006年7月紹介『グエムル−漢江の怪物−』
の演出部に参加していたというキム・ミンソク。短編映画で
は受賞歴もあるという若手の本作が長編デビュー作になって
いる。
共演は、その『グエムル』に出演していたピョン・ヒポン。
他に、オーディションで見出された新星チョン・ウンチェ。
さらに本業は医大生のアブダドと通訳のエネス・カヤという
2人の外国人がコメディリリーフとして活かされている。
なお本作は、2011年5月紹介『チョン・ウチ』、2010年8月
紹介『義兄弟』などのカン・ドンウォンには、2010年11月の
入隊前の最後の作品となったもので、彼は現在兵役中だそう
だ。
また、クライマックスシーンの撮影は大型台風が襲来する最
中で行われ、このシーンで主人公らの背景に写る異様な空模
様には、CGIなどで描かれたのはない本物が撮影されてい
るそうだ。

ただし、その他のCGI=VFXは、韓国大手映画会社CJ
エンターテインメントのディジタル部門が手掛けていたよう
だ。
        *         *
 以下は、1月24日に発表されたアメリカアカデミー賞の最
終ノミネートから気になる部門を紹介しておこう。
 まず今年は9作品となった作品賞は、原題のアルファベッ
ト順に“The Artist”『ファミリー・ツリー』“Extremely
Loud & Incredibly Close”『ヘルプ』『ヒューゴの不思議
な発明』“Midnight in Paris”『マネーボール』『ツリー
・オブ・ライフ』『戦火の馬』(なお、本ページで紹介した
作品は邦題にしました)
 長編アニメーション賞は、“A Cat in Paris”“Chico &
Rita”“Kung Fu Panda 2”『長ぐつをはいたネコ』『ラン
ゴ』。何とパラマウント配給作品が3本に海外作品が2本と
いう布陣で昨年の同社の頑張りがここでも判るという感じに
なった。因に“A Cat in Paris”は昨年のフランス映画祭で
上映されたもので、その際に観られなかったのが悔やまれる
作品だ。
 メイクアップ賞は、『アルバート・ノッブス』(昨年11月
30日付「東京国際映画祭《コンペティション部門》で紹介)
『ハリー・ポッターと死の秘宝 Part2』“The Iron Lady”
予想通り『死の秘宝』が残ったが、まさか受賞は…?
 視覚効果賞は、『死の秘宝』『ヒューゴ』『リアル・ステ
ィール』“Rise of the Planet of the Apes”『ランスフォ
ーマーズ:ダークサイド・ムーン』。こちらも大体予想取り
だが、実際は初めの2本の一騎討ちのような感じがする。
 因に『ヒューゴ』は監督賞、脚色賞など今回最多の11部門
でノミネートされており、『LOTR王の帰還』に並ぶ最多
受賞記録を3Dで実現できるかというところだ。
 この他、主演女優賞では俳優で史上最多記録更新の17回目
となったメリル・ストリープに、『アルバート・ノッブス』
グレン・クローズ、『ヘルプ』のヴァイオラ・デイヴィス、
『ドラゴン・タトゥーの女』ルーニー・マーラ、『マリリン
・7日間の恋』のミシェル・ウィリアムスが挑戦することに
なっており、この戦いも面白そうだ。
 また、『アルバート・ノッブス』では映画祭で注目(11月
31日付記事参照)したジャネット・マクティアが助演女優賞
にノミネートされたのも嬉しいところだ。
 さらに長編ドキュメンタリーでは、ヴィム・ヴェンダース
監督の『Pina』がノミネートされており、その行方も気にな
る。
 受賞式はカリフォルニア州ロサンゼルスで、現地アメリカ
太平洋時間の2月26日午後4時から開催の予定だ。


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井口健二