| 2011年10月16日(日) |
Pina、ロンドンBlv、ブラディP、指輪をはめたい、Xマスのその夜に、不惑のアダージョ、王様ゲーム、ホーボー/ショットガン+お断り |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『Pina/ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』“pina” 1999年の高松宮殿下世界文化賞を受賞したドイツのダンサー /振付師ピナ・バウシュの姿を追ったヴィム・ヴェンダース 監督によるドキュメンタリー。 1940年生まれのバウシュは、1973年にヴェンダースの同年作 『都会のアリス』の舞台にもなったドイツ東部の工業都市ヴ ッパタールのバレイ団の芸術監督に就任。以来団名をヴッパ タール舞踊団と改称してダンスと演劇を融合した様々な舞台 を作り出した。 そしてヴェンダース監督とは1985年以来の親交を結び、その 時から共同で映画を作る計画が持ち上がるが、ヴェンダース はバウシュの作品を映像化する手段が見付からないとして長 らく保留されていた。 しかし、2007年のカンヌ国際映画祭で3D映画の上映を観た 監督は、これこそが舞踊家の全てを写す最良の手段と確信、 準備を開始する。ところが撮影の準備が整った2009年6月、 バウシュが突然のガンで他界、監督も一旦は撮影を断念する が…。 喪に服した後、ヴェンダースは遺族の同意や舞踊団の団員た ちの強い要望に押されて本作の撮影を開始したものだ。 その作品は、バウシュ自身が生前に選んでいた「春の祭典」 「カフェ・ミュラー」「コンタクトホーフ」「フルムーン」 の演目に加えて、バウシュ自身のアーカイヴ映像や団員たち の語る思い出などが収録される。 その一方でヴェンダースは、バウシュの振付をヴッパタール の街頭や大自然の中で再現する壮大な映像を作り上げ、そこ には『都会のアリス』にも登場した世界最古の懸垂式モノレ ールなども登場して、見事に感動的な作品に仕上げている。 なお撮影には、ソニー製のスタジオカメラ(HDC-1500)2台を 3D撮影用ミラーリグに装着して伸縮クレーンに設置したも のや、撮影後半には小型カメラ(HDC-P1)をステディカムに取 り付けたものなども使用され、舞台上のダンサーたちを正に 多角的に捉えている。 そしてその3D効果は、ヴェンダースが『アバター』などを 徹底的に研究したというもので、実は劇場で行われた完成披 露試写では、僕は最後列端という極めて条件の悪い席で鑑賞 したが、それでも圧倒的な3D感を堪能できた。 ヴェンダースの音楽ドキュメンタリーは、2000年『ブエナ・ ビスタ・ソシアル・クラブ』などの名作が知られるが、本作 はさらに3D映画の地平を広げた作品としても金字塔と言え るものになっている。
『ロンドン・ブルバード』“London Boulevard” 2008年10月の紹介『ワールド・オブ・ライズ』などの脚本家 ウィリアム・モナハンが監督デビューを果たした作品。 1950年ハリウッド映画の名作『サンセット大通り』(Sunset Boulevard)にインスパイアされたアイルランド人作家ケン ・ブルーエンの原作小説をモナハンが脚色し、現代ロンドン の闇社会に蠢く男女の姿が描かれる。 主人公は重傷害罪での3年の刑期を終えて出所してきた男。 彼はこれを機に堅気になろうとしているが、彼の技量を認め る闇社会の連中が、そうた易くそれを許すはずはない。そん な彼のためには盛大の出所祝いパーティまで開かれる。 ところが、自身は乗り気でなかったパーティで、彼は1人の 女性記者と知り合う。そして彼女の紹介である仕事にありつ くことになる。それは若くして引退したセレブ女優のボディ ・ガードの仕事だった。 しかし彼の周囲には依然として闇社会の連中が関り、その柵 は徐々に彼の身動きを取れなくしていた。それでもそこから の脱出を図る主人公だったが… この主人公を今年9月紹介『モンスター上司』などのコリン ・ファレルが演じ、女優役をキーラ・ナイトレイ。 他に2009年5月紹介『縞模様のパジャマの少年』などのデイ ヴィッド・シューリス、今年8月紹介『リミットレス』など のアナ・フリール、さらに今年6月紹介『復讐捜査線』など のレイ・ウイィンストンらが脇を固めている。 監督のモナハンは、2006年『デパーテッド』でオスカー脚本 賞を受賞しているが、香港ノワールをアメリカ東部に舞台を 移してリメイクした受賞作に対して、本作では原作通りのロ ンドンが舞台とされる。 そして受賞作が男同士の物語であったのに対して、本作では 主人公の妹や女優への想いなど男女の関係が描かれる。しか し、それでもノワールの雰囲気は色濃く残され、さしずめロ ンドンノワールとでも呼べそうな作品になっていた。 ファレルの2面性を持った男の演技や、ナイトレイの儚さを 感じさせる女優役の演技も見事だった。
『ブラディ・パーティ』“Wir sind die Nacht” 2010年製作のドイツ製ヴァンパイア映画。なお題名は、英語 では“We Are the Night”となっているものだ。 映画は、いきなり惨劇の繰り広げられた旅客機の機内から始 まり、3人の女吸血鬼の存在が紹介される。 そして物語の主人公は、ベルリンの街でスリ稼業をしている 若い女性。彼女はポン引きから財布をスリ取るが、それは手 配中だった警察の捜査妨害となり、配備されていた刑事に追 い回されることになる。 そんな彼女が次に訪れたのは、深夜の遊園地で行われている 秘密パーティ。そのパーティは旅客機を襲った女吸血鬼たち が主催していた。そして主人公は、リーダー格の女吸血鬼に 見初められるが…。 吸血鬼の設定は、不死だが太陽光に晒されると燃え尽きてし まうという基本通りのもの。さすが1922年に“Nosferatu” を生み出したドイツ映画界は、正統派で攻めてきている。し かも現存する吸血鬼社会の設定にはかなりマニアを唸らせる ものがあった。 その上で、主人公の風体には、鼻ピアスにタトゥーという、 2009年10月紹介『ミレニアム』を髣髴とさせるものがあった り、展開には今年5月紹介『モールス』にオマージュを捧げ ているようなシーンもあって、まさにマニア泣かせという感 じの作品だ。 そこにアクションやVFXも多彩だし、ベルリンという舞台 背景も、この物語には見事に調和している感じがした。 監督は、2007年『THE WAVE/ウェイヴ』という作品が高い評 価を受けているデニス・ガンゼル。実は本作の“The Dawn” と題されたオリジナル脚本は10年以上前に執筆されたが、当 時のヨーロッパ映画はアート指向で本作のようなジャンル映 画の制作は難しかった。しかし近年のハリウッド映画の動向 やガンゼル監督自身への評価から実現した作品だそうだ。 出演は、2007年1月紹介『パフューム/ある人殺しの物語』 に出演のカロリーネ・ヘルフルト、2007年のベルリン国際映 画祭で銀熊賞受賞のニーナ・ホス。さらに2006年『素粒子』 などのジェンファー・ウールリッチ、ドイツのテレビで人気 のアンナ・フィッシャー。 因に、ヘルフルトはガンゼル監督2001年作『GIRLS★GIRLS』 に出演しており、その後に演技学校を卒業し、さらにブレイ クしてからの再会になっている。またホスは当初からの充て 書きだったものだが、彼女は1999年にシナリオの初稿を見せ られて以来、10年越しの約束を守ったのだそうだ。
『指輪をはめたい』 2009年8月紹介『大洗にも星はふるなり』などの山田孝之の 主演で、かなり捻った男女の恋愛事情を描いた作品。 主人公は配置薬の営業マン。人当たりが良く、成績も抜群の 彼が突然記憶喪失になる。それはスケートリンクで転んだせ いというのだが、本人にはその記憶もない。しかし取り敢え ずその現場で営業の鞄を取り戻した主人公は、その中に婚約 指輪を発見する。 ということは誰かに婚約を申し込もうとしていたはず。しか し彼はその記憶も喪失していた。ところが勤務先や営業先で 3人の女性が彼の前に現れる。つまり彼は三股を掛けていた らしいのだが、果たして彼が「指輪をはめたい」と思ったの は誰なのか? 仕事のことは覚えていて、女性のことだけが記憶から欠落し ている。そんな都合の良い…と思われそうだが、その理由付 けもちゃんとあり、それはちゃんとしたお話になっていた。 日本の監督はなかなかこの手の作品をうまく作れないが、こ れは合格だ。 その脚本と監督は岩田ユキ。原作は、芥川賞作家伊藤たかみ による同名の小説があるが、脚本では主人公の設定などをか なり大幅に変更しているそうだ。そしてその脚本から、主演 の山田がさらに見事な役作りをしている。 共演は、小西真奈美、真木よう子、池脇千鶴。日本映画では 主演も張る3人の女優が、主人公を巡るそれぞれ個性的な役 柄を見事に演じている。他に、山内健司、佐藤哲広、マギー 司郎、水森亜土らが脇を固める。 また、主人公が訪れるスケートリンクにいるスケーター役の 二階堂ふみは、沖縄出身の1994年生まれだが、元々沖縄唯一 のスケートリンクに通っていたとのことで、プロスケーター 村主千香のコーチの許、半年間の練習で見事なスケーティン グを披露している。 さらに映画では、山田と二階堂を取り巻くアイススケートに よるレビューシーンなども登場し、それがなかなか様になっ ていた。これも日本映画ではなかなかうまく描けないことが 多いものだが、その感覚にも監督の非凡さを感じさせたもの だ。 なおこのレビューシーンは、東京シンクロナイズド・スケー ティング・クラブというチームの協力で撮影されているそう だ。 お話自体も悪くはないし、雰囲気にはファンタスティックな ところもあって、なかなかの作品だった。
『クリスマスのその夜に』“Hjem til jul” 2004年3月に『キッチン・ストーリー』、2007年7月に『酔 いどれ詩人になる前に』、2008年10月に『ホルテンさんのは じめての冒険』をそれぞれ紹介しているノルウェーの映画監 督ベント・ハーメルによる2010年の作品。 ある年のクリスマスに、ノルウェーの小さな街で繰り広げら れる様々な人間模様が描かれる。そこには別れた妻の許にい る子供にプレゼントを渡すために奮闘する父親や、家に帰る 列車の切符を買う金もないほどに落ちぶれてしまった男。 さらに不倫中の男女や、小さな嘘と引き換えに素敵な時間を 貰った少年、恋人とのクリスマスの一夜を過ごすこともでき ない多忙な医師、そして世界情勢の中で苦難の時を過ごしな がらも希望を失わない男女などが登場する。 実は、映画はかなり衝撃的なシーンから開幕する。その衝撃 がどこに向かって行くのか、そんなことを心の片隅で心配し ながら、ハーメルワールドとも言える心優しい人々の物語が 展開されて行く。 物語は、ノルウェーのベストセラー作家レヴィ・ヘンリクセ ンの短編集によるものだが、その個々の物語から脚本も手掛 けたハーメル監督は、見事なアンサンブル劇を再構築してい る。その物語の展開のうまさにも心を奪われる作品だ。 出演はノルウェーの映画やテレビで活躍する俳優たちだが、 中に『ホルテンさん…』に出演のクリスティーネ・ルイ・シ ュレッテバッケンや、『キッチン・ストーリー』に出演のヨ アキム・カルマイヤー、トマス・ノールストロムらが顔を出 している。 また音楽を、日本では「カーダ」の名前でアルバムリリース されているヨン・エーリク・コーダが担当して、素敵な楽曲 を聞かせてくれる。その他のスタッフには、『キッチン』と 『ホルテン』の担当者たちが再結集しているそうだ。 撮影は、スウェーデンのエステルスンドとノルウェーのステ ィョールダル、さらに巻頭のシーンはドイツのデュイスブル グという場所で行われている。小さな街や雪深い森、それに 工場の廃虚のそれぞれが見事な雰囲気を醸し出している。
『不惑のアダージョ/大地を叩く女』 『大地…』で2008年「夕張国際ファンタスティック映画祭」 オフシアター部門グランプリを獲得した井上都紀監督による 長編第1作『不惑…』が、短編の前作と共に一般公開される ことになり試写が行われた。 で、試写は新作を先に行われたものだが、ここでは製作順に 紹介する。その2008年製作『大地』は恋人からの暴力に苦し んでいる女性が、職場でその欝憤を晴らし、それがロックド ラムの演奏に繋がって行くというもの。 主演に女性ドラマーのGRACEを起用して、それは演奏シーン などには迫力もあるが、お話的には有り勝ちかな。映像的に 8月紹介『LIFE IN A DAY』の中で穀物を打ち続ける女性た ちの姿と重なったのが、僕的にはちょっとマイナスになった かも知れない。 そして2009年製作『不惑』は、GRACEともバンドを組むキー ボーディスト/シンガー・ソングライターの柴草玲を主演に 起用して、アラフォーの女性を巡る物語が展開される。 主人公は教会で賛美歌のオルガンを弾くシスター。若くして 宗教に帰依し、純潔のまま過ごしてきた彼女には更年期も早 く訪れているようだ。そんな彼女の周囲はいろいろな人々に 取り囲まれているが、彼女が悩み打ち明けられるような人は いない。 そんな彼女がバレエ教室のピアノ伴奏を頼まれ、そこでも譜 面通りの演奏を心掛けていた彼女は、ダンス教師からもっと 自由に弾くことを求められる。そしてふと彼女が演奏を始め たとき…、それは彼女の生き方も変えることになる。 ちょっと特殊な境遇の女性が主人公の物語ではあるが、女性 にとっては普遍的な要素があるのかな。その辺は僕には解ら ない。でも物語の展開は自然で、まあ男性の目から見ると多 少引っ掛かる要素はあるが、全体的にはうまく纏められてい る感じはした。 主演の柴草は、役柄上それほどの演技力は要求されていない が、純粋さを前面に出したような演技は違和感も然程なかっ た。そして当然オルガンやピアノ、アコーディオンなどの演 奏は自身が行っており、それは不安もなかったものだ。 共演は、2008年2月紹介『あの空をおぼえている』などの千 葉ペイトン、2004年に『ラッパー慕情』という作品に主演し ている渋谷拓生。他にバレエダンサーの西島千博、橘るみが 特別出演で華麗な舞いを観せてくれる。
『王様ゲーム』 ハロー!プロジェクト・キッズから誕生したユニットBerryz 工房と℃-uteのメムバー12人の出演で、サイトの累計閲覧数 3900万、書籍化された小説(5巻)、コミックス(3巻)の総発 行数が200万部を超えているという人気ケータイ小説の映画 化。 物語の始まりは、深夜クラス全員の携帯に届いたメール。そ こではクラス全員参加による「王様ゲーム」の開始が告げら れ、最初の命令が発せられる。そしてその命令に服従しなか った者は抹殺されるという。 そんなメールに、最初は悪戯として取り合わなかったクラス の生徒たちだったが…、実際に命令に服従しなかった生徒が 「抹殺」されたことから事態は急転。その首謀者捜しが始ま るが…。そこには過去の怨念が見え始める。 BS-TBS(旧BS-i)製作による劇場用作品で、プロデューサー は2007年12月紹介『東京少女』などの丹羽多聞アンドリウ。 監督は、2000年『リング0〜バースデイ〜』や、2007年3月 紹介『ドリーム・クルーズ』などの鶴田法男。 主演は、Berryz工房の熊井友理奈と℃-uteの鈴木愛理。それ ぞれ1993年と1994年の生まれだそうだが、役柄が本人たちの 世代に近いせいもあるのだろうが違和感なく無難に演じられ ていた感じだ。他のユニットのメムバーたちの演技にも問題 はなかった。 なお熊井は、2003年11月9日付「東京国際映画祭」で紹介の 『ほたるの里』にも出ていたようだ。 共演は、2008年2月紹介『アクエリアンエイジ』などの桜田 通、2010年10月紹介『ライトノベルの楽しい書き方』や今年 6月紹介『行け!男子高高演劇部』などの佐藤久典。他に元 モーニング娘。の吉澤ひとみが登場。 BS-TBSの作品は『ケータイ刑事』シリーズなどいろいろ観て いるが、『東京少女』では監督に小中和哉が招請され、本作 の監督には鶴田が起用されるなどファンタシー/ホラー系の 作品はそれなりの仕上がりになっている。 お話は、元々がケータイ小説だから他愛もないが、それなり に現代の若野の風俗も取り入れられていて、これなら携帯世 代の連中にヒットするだろうとは思えるものだ。またそんな 風俗が映画でも巧みに描かれていたようだ。
『ホーボー・ウィズ・ショットガン』 “Hobo with a Shotgun” 昨年公開された『マチューテ』に続いて、2007年7月紹介の 『グラインドハス』に挿入されたフェイク予告編から作られ た作品。昨年の作品は試写では観せて貰えなかったが、今回 は案内が届いた。 その物語は、1973年の『北国の帝王』などでも描かれたホー ボーを主人公にしたもの。その主人公が貨物列車からとある 街に降り立つところから始まる。その街は暴力が支配し、支 配者一族による残虐行為が横行していた。 しかし、住民たちはそれを見て見ぬ振りというか、自らへの 暴力を恐れてそれらを支援している有様。その態度は警察組 織までも巻き込んでいた。そしてそんな街で、主人公も最初 は周囲に関わらないよう行動していたが…。 脚本と監督はカナダ出身のジェイスン・アイズナー。高校時 代から映画製作を始め、すでに短中編作品での評価も高かっ たという監督が、2007年『グラインドハウス』の公開に合せ て行われたフェイク予告編のコンテストに応募。 製作費$150で作られたその作品がロベルト・ロドリゲス監督 の目に留まり、『グラインドハウス』の全米公開時に本篇と 共に上映された。そして今回は、その予告編の本篇を自らの 手で製作することになったものだ。 主演はルトガー・ハウアー。元々1986年『ヒッチャー』など で彼のファンだという監督がオファーしたものだが、ハウワ ーは最初は二の足を踏んでいたようだ。しかし取り敢えず行 ったSkypeを通じての監督との歓談で意気投合、出演を決め たのだそうだ。 他には、2008年4月紹介『あの日の指輪を待つきみへ』に出 演のグレゴリー・スミスらが共演している。 因に本作は残酷描写などが指摘されてR+18の指定になってい るが、映画は無修正で公開されるものだ。 また、映画は巻頭で麗々しくTechnicolorの表示が出るが、 エンドクレジットによると撮影はRedディジタルカメラで行 われており、日本公開では上映もディジタルで行われる。し かし全米公開用のフィルム化は、Technicolor社の現像所で 行われたようだ。 ただ、折角Technicolorの表示を出すなら、フェイクのフィ ルム傷を緑色にするくらいの洒落っ気は欲しかった。それは 僕らが若い頃にフィルム方式を見分ける方法として教えられ たものだが、若い監督たちにはそのような情報は欠如してい たようだ。 * * いよいよ今週末の土曜日から第24回東京国際映画祭が開催 されるが、今年は例年行われてきたコンペティション作品の マスコミ向け事前試写が実施されないことになり、それらの 作品を映画祭の期間中に観なければならなくなった。 僕としては映画祭の顔であるコンペ作品は最優先で観るこ とにするつもりだが、それによって「アジアの風」や「ワー ルドシネマ」などの注目作品を例年ほどには観ることができ ないことになってしまった。 またコンペ作品も諸般の事情で全部を観られるか覚束ない 状態で、本ページで行う映画祭の報告も例年ほどのものには できないと思われる。映画祭は来週だが、一応そういう事情 なので予めお断りさせて貰うことにした。
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