井口健二のOn the Production
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2011年01月16日(日) 津軽百年食堂、婚前特急、アメイジング・グレイス、ゲンスブール、塔の上のラプンツェル、リセット、グリーン・ホーネット+製作ニュース

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『津軽百年食堂』
昨年11月『世界のどこにでもある、場所』という作品を紹介
したばかりの大森一樹監督による作品。森沢明夫原作による
同名の小説からの映画化。
主人公は青森県弘前市から東京に出て来ている男女。男性は
弘前で100年続く大衆食堂の4代目だが、故郷を飛び出して
東京の大学を卒業。しかし東京での就職はままならず、特技
のバルーンアートでその日暮らしのような生活している。
一方、女性は弘前の写真館の娘で、幼い頃からの憧れだった
カメラマンの道を目指し、東京でカメラマン助手をしながら
それなりの実績も挙げ始めている。しかも遊び場だった写真
館もそこを守ってきた父親もすでに亡く、故郷との柵も少な
い。
そんな2人が東京で偶然出会い、ちょっとした経緯から1軒
の家をシェアして住むことになるのだが、女性には師匠であ
るカメラマンを思う気持ちが強く、お互いの思いはなかなか
はっきりとはしない。
そして男性には、食堂を1人で切り盛りしていた父親が交通
事故に遭って一時食堂を閉めなくてはならなくなり、祖母か
ら「弘前に戻って食堂の営業を続けてくれ」という要請の電
話が架かってくる。
その頃、師匠が急病で倒れその代役を立派に果たした女性に
も、1人立ちの道が開けてくるのだが…。そんな2人の関係
に100年前の食道開業当時のエピソードが絡んで、100年の歴
史を背景にした物語が展開される。
大森監督は、1991年に発表した『満月』でも弘前を舞台にし
たファンタスティックな物語を描いているが、今回はファン
タシーではないけれど男女の正にロマンティックな物語が展
開されている。
まあそれは多少甘々のお話ではあるけれど、殺伐とした現代
に、たまにはこんなのも良いかなというようなもの。それに
弘前「さくらまつり」の風景も、ちょっと不思議な雰囲気も
醸しながら気持ち良く描かれていた。

出演は、お笑いコンビ・オリエンタルラジオの藤森慎吾と中
田敦彦、2008年8月紹介『櫻の園』などの福田沙記。他に、
昨年3月紹介『ヒーローショー』のちすん、藤吉久美子、大
杉蓮、かとうかず子、野村宏伸、手塚理美、伊武雅刀らが脇
を固めている。

『婚前特急』
複数の自主映画(短編)で各地映画祭のグランプリなどを獲
得している前田弘二監督による商業映画第1作。因に監督は
本作の前に、同じ主人公の17歳と21歳の時を描いた作品を携
帯ドラマとして発表しているようだ。
その本作の主人公は24歳のOL。親友の女性は結婚を決めた
が、本人は人生を楽しむことを第1目標に年齢や生活環境も
異なる5人の彼氏の間を渡り歩いている。その彼氏たちは事
情を知っている者も知らない者もいて状況は様々だ。
ところが結婚した親友から結婚の意義を諭され、ちょっと真
剣に考え始めた主人公は5人の彼氏の査定を始めるのだが、
中の1人がどうにも駄目な男であることが判明する。そこで
まずその男を切るべく作戦を開始するが…
正直に言って僕の感覚だとこういう女性は願い下げにしたい
ところなのだが、これが電車の中でも携帯電話を弄くり通し
の連中には理想なのかな。そんなちょっと歪な感じでも観て
いた作品だった。
でもまあ、それはシチュエーションと割り切って観れば、そ
れなりにこれが現代なのだろうし、その点ではなかなか鋭い
感覚で描いている感じはした。少なくとも社会性ということ
では、凡庸な監督よりは見所がありそうだ。

出演は、2008年6月紹介『蛇にピアス』以来の映画主演とな
る吉高由里子。他にモデル出身で2008年8月紹介『櫻の園』
などの杏、昨年9月紹介『海炭市叙景』などの加瀬亮、ミュ
ージシャンで2006年5月紹介『ハチミツとクローバー』など
に出演の浜野謙太。
さらに、榎木孝明、石橋杏奈、青木崇高、吉村卓也、吉岡睦
雄、宇野祥平、白川和子らが脇を固めている。
物語的には上記したように不満はあるが一応了解はする。し
かしその展開では、結論として相手は1人の男性に絞られる
のだが…、その理由付けが薄弱で、これは全く納得できなか
った。
その男性が選ばれた決定的な理由、それはもっと明確に提示
されるべきものだ。これでは主人公自身がますます駄目に見
えてしまうし、現代のヒロインであるはずの設定も生きない
感じもした。


『アメイジング・グレイス』“Amazing Grace”
18世紀に作られた賛美歌「アメイジング・グレイス」。その
歌を背景に奴隷貿易の廃止に立ち上がった政治家ウィリアム
・ウィルバーフォースの実話に基づく物語。
20代で政治家となったウィルバーフォースは、英国議会に奴
隷貿易の廃止のための法案を出し続けていた。ところが貿易
立国であるイギリスの議会は、人道的な問題は理解していて
もその廃止は貿易商たちの不利益になるという理由でいつも
不成立だった。
そんな彼の支えとなったのは、元奴隷貿易船の船長で、その
航海中のある出来事から神の恩寵を感じ賛美歌「アメイジン
グ・グレイス」を作詞した神父ジョン・ニュートンの存在だ
った。そして愛する妻の後押しも受け、活動を続けた彼に遂
に転機が訪れる。
映画の中でも戦争の英雄は称えられ易いが、平時の英雄はな
かなか人の目に留まらないというような台詞が出てくるが、
正にその通りだろう。しかも物語の背景にはフランス革命や
アメリカ独立戦争などが絡むから、日本人には一層馴染み難
いものになっている。
しかしこのような人物がいたからこそ現代の世界がある訳だ
し、その意味で我々も知っておくべきことのように思える。
こういう他国人にはなかなか目に触れにくい物語が観られる
のも、映画の存在意義の一つのようにも思えるものだ。

主演は2005年、07年のアメコミ映画化『ファンタスティック
・フォー』に主演していたヨアン・グリフィス。2006年製作
の本作は丁度その間に撮った作品のようだ。共演は、2007年
12月紹介『つぐない』などのモローラ・ガライ。
他に、『つぐない』などのベネディクト・カンバーバッチ、
2004年12月紹介『オーシャンズ12』などのアルバート・フィ
ニー、『ハリー・ポッター』シリーズなどのマイクル・ガン
ボン、2008年3月紹介『幻影師アイゼンハイム』などのルー
カス・シーウェル。
監督は、2002年11月紹介『イナフ』や、日本では2月公開予
定の『ナルニア国物語/第3章』にも起用されているマイク
ル・アプテッド。実話に基づく脚本は、2002年『堕天使のパ
スポート』でオスカー候補に挙げられたスティーヴン・ナイ
トが担当した。

『ゲンスブールと女たち』“Gainsbourg (Vie héroïque)”
僕の中ではヨーロッパでの放送禁止が話題になった『ジュ・
テーム・モア・ノン・プユ』が一番印象に残っているかな。
フランスの作詞作曲家・歌手で、映画出演や監督作品もある
セルジュ・ゲンスブールの生涯を描いた作品。
帝政ロシア・ウクライナ出身ユダヤ人の両親の許、パリで生
まれたゲンスブールは、幼い頃から容姿にコンプレックスを
持ち、真面な学校にも行けずに画家になる夢を持って絵画学
校に通うが、それも途中で断念してしまう。
ところが、キャバレーで上演されるミュージカルでのピアノ
伴奏の職を得て、やがて自分もステージに立つようになり、
1958年に歌手としてデビュー、ボリス・ヴィアンらの大絶賛
を浴びることになる。
その後もヒット作は続くが自分で歌うより他のアーチストに
楽曲を提供することが多くなり、そのスキャンダラスな歌詞
と斬新で美しいメロディを求めて、エディット・ピアフやフ
ランス・ギャル、アンナ・カリーナといった人たちが彼の許
を訪れた。
その中でもブリジット・バルドーとは瞬く間に恋に落ち、デ
ュエットで録音した『ジュ・テーム〜』1st Ver.は世間を騒
がせるが、当時夫のいたバルドーが発売直前にリリース中止
を懇願、結局お蔵入りとなってしまう。
これによってバルドーとは別離。しかし1968年に映画の共演
でイギリス人女優ジェーン・バーキンと出会い、翌年に録音
した『ジュ・テーム〜』2nd Ver.は、BBCが放送禁止にし
たことなどが逆宣伝となって大ヒットを記録する。
さらに1979年にはフランス国家「ラ・マルセイエーズ」をレ
ゲエに編曲した曲をリリースしてマスコミからは国家への冒
涜として非難され、右翼の攻撃も受ける。そしてそれを沈静
化させるため、競売に出た作詞者による直筆の原詞を破産覚
悟で買い取る。
その一方で、1970年代末に別れたバーキンにはその後も楽曲
を提供したり、2人の間に生まれたシャルロットに対する愛
情など。とにかく過激というか、破天荒なゲンスブールの生
涯が描かれている。

監督は、現代フランスコミックス(バンドデシネ)の重要な
作家の1人と言われるジョアン・スファール。自らもユダヤ
人で「僕の師匠は常にゲンスブールだが、無理して歌手にな
って彼の気分を害したくなかったから漫画家になった」と言
う作家が、初監督作品として本作を手掛けている。
主演はエリック・エルモスニーノ、バーキン役に『スパイダ
ーマン3』に出ていたというルーシー・ゴードン、バルドー
役に“Asterix & Obelix”シリーズの第1作に出演していた
というレティシア・カスタ。
他に、2008年9月紹介『ヘル・ボーイ』などのダグ・ジョー
ンズ、2010年6月紹介『セラフィーヌの庭』などのヨランド
・モロー、前回監督作品を紹介した故クロード・シャブロル
らが脇を固めている。
バルドーとバーキンを見事に似せて見せた2人の女優の演技
も素敵だったし、画面に登場する主人公の相棒=イマジナリ
ー・フレンドの造形も流石バンドデシネ作家の作品という感
じで見事に決まっていた。希代のアーチストの奇抜な生涯を
観るということでも面白い作品だった。


『塔の上のラプンツェル』“Tangled/Rapunzel”
1937年に史上初の長編アニメーション作品『白雪姫』を生み
出したディズニーが、その記念すべき第50作目として、同じ
くグリム童話に材を取って作り上げた作品。
ただし本作はグリム童話の『髪長姫』をベースにはしている
が、ストーリーは巧みに改変されていて、全く新しい夢と冒
険の物語が展開される。そこにはラプンツェルが塔に閉じ込
められる理由なども分かり易く描かれているものだ。
因にこの原作は、1940年代にウォルト・ディズニー本人も映
画化を企画したが、諸般の事情で断念したというもの。その
物語が、ある意味現代的な視点で描き直されているという感
じでも作られている。
その物語の始まりはかなり昔。永遠の若さの得られる魔法の
花を見つけた魔女が密かに1人でその恩恵に預かっていた。
ところが妊娠したその国の王妃の具合が悪くなり、国王の命
令で薬草を探していた兵士がその花を摘み取ってしまう。
そしてその花の力で王妃は回復し姫が誕生するが、花は失わ
れてしまう。しかし姫の髪に花の力が宿っていることを知っ
た魔女は、姫を拉致して隠れ谷の塔に幽閉、自分の子として
育て始める。しかもその髪は一度切ると力を失うことから、
髪を長く伸ばしたまま…
こうして10数年が過ぎ、魔女は姫の長い髪を伝って塔を出入
りし、姫には不自由ない暮らしをさせていた。しかし姫は、
毎年自分の誕生日になると遠くの空に舞う不思議な光に心を
馳せ、外の世界への憧れを募らせていた。
2009年7月紹介『プール』や同年10月16日付東京国際映画祭
コンペティション作品『台北に舞う雪』にも描かれた「コム
ローイ=天燈」が物語のキーとして登場し、詩情豊かな物語
が展開される。
その一方で、動物を使ったコメディリリーフや、アクション
もバランス良く描かれるのがディズニーアニメーションの真
骨頂だ。それに本作の物語では、若い女性の外の世界への憧
れや怖れなども丁寧に描かれていた。
なお試写は2Dで行われたが、一般公開は3Dでも実施され
る。アクションシーンや特に数万の天燈が空を舞うシーンな
どには、再度3Dで見直したい気分になった。


『リセット』“Vanishing on 7th Street”
1998年『ワンダーランド駅で』や2004年『マシニスト』など
の作品で知られるブラッド・アンダースン監督の最新作。
物語の舞台はミシガン州デトロイト。ある日、町中が突然停
電となり、その闇の中で人々が消えて行った。それは衣服や
持ち物を抜け殻のように残して、人体だけが消失するという
奇妙な光景だった。
しかし何人かは取り残されており、その中にはテレビの突撃
レポーターだった男性や病院で理学療法士の仕事をしていた
女性。そして7番街にある映画館の映写技師だった男性。さ
らにカフェで母親の帰りを待っていた少年などがいた。
そんな彼らが少年のいたカフェに集まってくる。そこは自家
発電で照明の絶えない場所だった。つまり彼らは経験で人々
が消えた状況に闇が関り、明かりがその危険を減らすと考え
たのだ。ただし人々が消えてからは太陽も上がらず闇が外界
を支配していた。
ところがそのカフェの自家発電機が不調になり始め、一方、
突撃レポーターだった男性は人々が消えた後の衛星回線でシ
カゴにも男性が残っていることを知っており、皆でそこに向
かうことを提案するが…
照明が消えたときにその周囲の闇の中から何物かがじわじわ
と迫ってくる。それは正しく子供の頃、寝床に入って部屋の
電気が消されたときに感じていた言いようのない恐怖感。そ
れがまた味わえる、そんな感じの作品だった。
その恐怖感の描写にはなかなか良い感じのものもあったし、
演出上のテクニック的なものには感心するところもある作品
だった。しかしストーリーが…、これでは一体何が言いたい
のか、よく判らなくなってしまっている。
恐らく監督たちは、「神の摂理」のような感覚で纏めたつも
りなのだろうが、それでは神に頼り過ぎだろう。それはノア
の洪水でも良いが、それにしては主人公たちが残された理由
が明確でないから、結果として何を言いたいのか判らなくな
ってしまう。
特にこの展開と結論では、主人公たちの行動は単に「神」の
目的を遅延させているだけとも取れて、それは物語の展開と
してはおかしなものだ。ここはこじ付けで良いから、何らか
の残された理由付けが欲しかった。

出演は、『スター・ウォーズ:エピソード2/3』のヘイデ
ン・クリステンセン、2009年11月紹介『2012』などのタ
ンディ・ニュートン、1993年『スーパー・マリオ』のルイジ
役が懐かしいジョン・レグイザモ。
俳優の顔触れはそこそこだと思うが、皆さんSFがお好きな
ようだ。因にクリステンセンは役名がルークというもので、
それを聞いたときには「お前はアナキンだろう」と突っ込み
を入れたくなった。


『グリーン・ホーネット』“The Green Hornet”
1960年代に放送されていたアクションTVシリーズが、3D
映画としてリメイクされ、日米ほぼ同時に公開されることに
なった。
オリジナルは1936年に放送開始されたラジオドラマで、その
後にコミックスや連続活劇にも広がった作品。そして日本で
も放送されたTVシリーズではブルース・リーが相棒役で出
演し、見事なカンフーアクションを披露していたことも後に
話題になったものだ。
主人公は若くして大都市の新聞社を経営する男性。しかし彼
は、世論の力だけでは社会を浄化し切れないと考え、拳法の
達人の助手と共にスーパーヒーローとして活動を始める。し
かもそのやり方は悪人を装って悪の真髄を叩くと言うもの。
こうして主人公はグリーン・ホーネットと名告り、自らの新
聞でその悪行を書き立てながら、助手のカトーと共に犯罪現
場に現れては悪人を倒して行く。だがそれは警察と犯罪組織
の両方から追われる綱渡りの活動となるものだった。

というちょっとトリッキーなスーパーヒーローの活躍だが、
その映画化では2008年11月紹介『無ケーカクの的中男』など
のセス・ローゲンが脚本と主演を務め、監督には2007年2月
紹介『恋愛睡眠のすすめ』などのミシェル・ゴンリーが起用
されている。
つまりこれはかなりコメディタッチの作品が予想されるもの
だが、ローゲンの前記の作品でもかなり真面目な芯が通って
いたし、ゴンドリーには独特の映像感覚にも期待が寄せられ
ていたようだ。
そして今回の物語では、グリーン・ホーネットの誕生の経緯
から裏社会のボス倒すまでが描かれ、また映像では、クライ
スラー・インぺリアルを改造した超重装備の愛車ブラック・
ビューティーやカトーの戦闘時のヴィジョンなどが、3Dの
効果も交えて表現されていた。
それはまあ、『ダーク・ナイト』ほどアーティスティックで
はないし、『スパイダーマン』ほど華麗でもないけれど、あ
る意味現実的ではあるし、僕自身が記憶しているTVシリー
ズも丁度こんな風だったかなあ…と思える作品だった。

共演は、2008年2月紹介『王妃の紋章』などのジェイ・チョ
ウ、昨年8月紹介『ナイト&デイ』などのキャメロン・ディ
アス。他に昨年のオスカー受賞者クリストフ・ヴァルツ。ま
た『T2』のエドワード・ファーロングも出ていたようだ。
なお本作の3Dは2Dからのコンヴァージョンによるものだ
が、球面も滑らかだったし、奥行感もしっかりあってあまり
問題は感じなかった。
        *         *
 今回の製作ニュースはちょっとだけ。
 まずは、日本版は2006年6月と10月に紹介『DEATH NOTE』
のハリウッドリメイクが動きだし、その監督に1987年『リー
サル・ウェポン』などの脚本家シェーン・ブラックの起用が
発表されている。製作は、日本版と同じくワーナーが行うも
ので、脚本にはアンソニー・バガロティとチャック・マンド
リーという名前も発表された。
 因にブラックの監督に関しては、昨年3月7日付で紹介し
たようにコムビアから“Doc Savage: The Man of Bronze”
の計画も発表されているものだが、実はその計画でも脚本に
はバガロティとマンドリーの名前が挙がっており、どうやら
この3人はセットで動いているようだ。
 製作時期などは未発表だが、ブラックの作品では1993年の
『ラスト・アクション・ヒーロー』のような作品もあって、
SF/ファンタシーにはそれなりの思い入れもありそうなの
で期待したいところだ。それにしてもコロムビアの計画の方
はどうなったのかな、それも心配なところだが。
        *         *
 一方、ソニー/コロムビアの関連では、MGMの資金難で
止まっていた“Bond 23”の製作を、2012年の公開を目指し
て今年後半から撮影開始することが発表されている。
 この計画に関しては昨年4月25日付で報告したようにサム
・メンデス監督が準備を進めていたものだが、今回の発表に
よると監督と主演のダニエル・クレイグは戻るようで、後は
女敵役に予定されていたレイチェル・ワイズの去就が気にな
るところだ。因に本作は、1962年の『ドクター・ノオ』で始
まった映画シリーズの50周年記念作品となるものだ。
 なお現状で、MGMとソニーとの間には直接の契約関係は
ないようだが、MGMが海外配給権と引き換えに製作の半額
負担をソニーに要請することは間違いないと見られているそ
うだ。
        *         *
 最後に、毎年紹介しているVES Awardのノミネーションが
1月10日に発表されているが、その詳細については次回報告
させてもらいます。


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井口健二