井口健二のOn the Production
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2010年10月03日(日) 黒く濁る村、キック★アス、酔いがさめたらうちに帰ろう、ソフィアの夜明け、乱暴者の世界、とびだす絵本+製作ニュース

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『黒く濁る村』“이끼”
『苔』の題名で韓国で大人気を呼んだウェブ・コミックスの
映画化。2003年の大ヒット作『シルミド』を生み出したカン
・ウソク監督が本格ミステリーに初挑戦し、本作でも韓国で
340万人動員の大ヒットを記録した。
20年間も音信不通だった父親の死去の知らせ受け、主人公は
父が暮らしていたという山間の村を訪れる。そして喪主とし
て葬儀を執り行うことになるが、村人たちの態度には「早く
村を去って欲しい」という感情が見え見えだった。
そんな中で村長は彼を歓待しているふうにも見えるのだが、
その態度にも不信感が拭えない。そんな村民の態度もあって
父の死因を追求しようとする主人公は、知人の検察官にも応
援を求め、村に隠された秘密を追い始めるが…
原作のコミックスは、原題のハングルで検索すれば現在でも
ウェブ上で観ることができるものだが、コミックスの吹き出
しなどはGoogle翻訳に対応してくれないので、その展開など
はよく判らない。でも映画を鑑賞した後で観ると、なるほど
映画は原作の雰囲気をよく捉えている感じだ。
ただ、プロローグやエピローグが少し違うようで、その辺が
原作の中に示唆されたものかどうか、その辺が判らないのは
ハングルを読めない自分には心苦しいところだが。しかし、
映画に描かれた展開の壮大さが見事だったとは言うことがで
きる。
それに緩急付けるどころか、ほとんど緊張の糸を張ったまま
で2時間41分を演出し切ったウソク監督の手腕にも敬服とし
か言いようのない作品だった。また過去のいろいろな名作の
要素が、古典的とも言える的確な演出で見事に凝縮されてい
るのも素晴らしかった。

出演は、原作者が構想時に思い描いていたという『殺人の追
憶』などのパク・ヘイルと、『トンマッコルへようこそ』な
どのチョン・ジェヨン。特にチョンは、40代から70代までの
年齢表現を3時間掛けた特殊メイクと共に演じ切っている。
他に、昨年の東京国際映画祭では『よく知りしないくせに』
の題名で紹介されたホン・サンス作品にも出演のユ・ジュン
サン、2006年7月紹介『鬘』や2007年10月紹介『黒い家』な
どのユ・ソン、ウソン監督の前作にも出ていたユ・ヘジンら
が脇を固めている。
謎が謎を呼び、それが観客にも全く予測できない展開で話が
進んで行く。もちろんそれは原作を読んでいる人には承知の
ことかも知れないが、僕には、それを読んでいなかったから
こその醍醐味が味わえた。


『キック★アス』“Kick-Ass”
今年4月第2週の全米公開で初登場1位を記録したものの、
そのちょっと過激な内容から日本公開が危ぶまれていたアメ
リカン・コミックスの映画化が、ファンの要望に応えて劇場
公開されることになった。
物語は、全く冴えない普通の高校生が主人公。しかし、アメ
コミファンの彼には、荒んだ世の中に真のヒーローが現れな
いことが不満だった。そこで彼は、通信販売で手に入れた緑
のコスチュームに我身を包み、自らヒーローになることに挑
戦し始める。
とは言え超能力も資金力もない彼には真のヒーローになるこ
とは難しかった。ところが、それでも頑張っている彼の姿が
YouTubeに投稿されて、それが評判を呼び始める。そしてそ
の内に謎めいた協力者も現れて…
正しくアメコミヒーローの存在を逆手にとったという感じの
見事な作品。ただし原作は、マーク・ミラーとジョン・S・
ロミータJr.というベテランコミックス作家が手掛けている
から、その辺は壺を心得たもので、パロディなども含めて実
にスマートに描かれている。
ただまあ主人公の設定が現実的な分、描写はリアルにならざ
るを得ない面があって、実は映画の前半では、まあ脳天気に
笑っている餓鬼も多少はいたが、大人の評論家の多くは退き
気味だった。それが中盤に来てヒロインが登場した辺りから
一気に雰囲気が変化した。
これはもう演出上のテクニックとしか言いようがないが、今
回はそれに見事に乗せられた感じで、映画の後半は過激な描
写も何のその、思いっきり楽しめて最後にはカタルシスも感
じられたものだ。

製作、脚本、監督は、ガイ・リッチー作品の製作者で2006年
6月紹介『レイヤー・ケーキ』で監督デビューしたマシュー
・ヴォーン。今回は、前作2007年『スターダスト』にも参加
したジェーン・ゴールドマンとの共同脚本で、過激で暖かい
作品を仕上げている。また製作にはブラッド・ピットも名を
連ねていた。
出演は、2008年3月紹介『幻影師アイゼンハイム』で主人公
の若き日を演じていたアーロン・ジョンスンと、2007年公開
の“Superbad”で評価されたクリストファー・ミンツ=プラ
ッセ。それに2008年10月紹介『アイズ』などに出演のクロエ
・グレース・モレッツとニコラス・ケイジ。中でも、1997年
生まれのモレッツが演じたキャラクターは鮮烈だ。
因に本作には、同じスタッフ・キャストが揃う続編の計画も
進行中となっており、その第1作が劇場公開されたのは本当
に良かったものだ。

『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』
漫画家西原理恵子の元夫で、戦場カメラマンだった鴨志田穣
原作による自伝的小説の映画化。
とある居酒屋。宴会をしている若い女性を少し先のカウンタ
席から指でフレームを切って眺めている男がいる。やがて男
は椅子から転げ落ち、そこに妻と2人の子供が駆け寄って介
抱を始めるが…
居酒屋の店員に介抱された男は何とか母親と2人暮らしの家
にたどり着き、そこでも酒を飲み始める。そして吐血。救急
車で運ばれた男の許に離婚している妻も駆けつけるが、アル
コール依存症の男が吐血したのはこれが10回目だった。
こうして男は、元妻の勧めるアルコール依存症の専門医の指
導を受けることになり、さらに依存症治療の施設のある精神
病院にも入院する。そこでは様々な患者たちと顔を合わせ、
そんな環境の中で男のアルコール依存症は治療されて行った
のだが…。
以前にも書いたと思うが、西原原作の映画化はどうにも僕に
は性に合わないことが多い。でも今回は元夫の原作で、そこ
にはアルコール依存症の恐ろしさが見事に描かれていた。
西原の作品は無頼派と叙情派の2面があると言われるそうだ
が、その映画化を観る限り僕には、そのどちらにも何か人に
対する冷淡さのようのものを感じる。でもこんな夫がいたの
では仕方ないのかな、そんな悲しみも感じられた。
ただし本作の原作者は元夫の方で、作品には元妻への感謝の
気持ちが一杯に表わされているものだ。ただそれによって一
層、悲しみが増してくる感じの作品でもあるのだが。

出演は浅野忠信と永作博美。その脇を市川実日子、利重剛、
藤岡洋介、森くれあ、高田聖子、柊瑠美、北見敏之、蛍雪次
朗、光石研、香山美子らが固めている。さらに渡辺真起子、
甲本雅裕、堀部圭亮、西尾まりらが出演。西原も患者の役で
出演している。
脚本、監督、編集は東陽一。2004年のモントリオール映画祭
で受賞した『風音』以来6年ぶりの新作とのことだが、実は
本作には2006年以来関っていたそうで、原作者本人や元妻の
西原などへの取材も行われているとのこと。アルコール依存
症の恐ろしさやその現実もしっかりと描かれた作品だ。
なお本作は、今年の東京国際映画祭「日本映画・ある視点」
部門のオープニング作品にも選ばれている。

『ソフィアの夜明け』“Източни пиеси”
昨年の東京国際映画祭では『イースタン・プレイ』の原題で
上映され、最高賞の「東京サクラグランプリ」及び最優秀監
督賞、最優秀男優賞の3冠に輝いたブルガリアの作品が、改
題されて一般公開の運びとなり、改めて試写が行われた。
作品については、昨年10月16日付の東京国際映画祭の報告の
中でも取り上げているので、物語などはそれを参照してもら
いたいが、作品に対する全体の印象は今回見直してもあまり
変わらなかった。
ただ今回見直していて、登場する若者たちの変わろうとする
思い、変えようとする意志のようなものは昨年観たときより
強く感じられたもので、監督のこの作品に込めた思いがそこ
にあることは確かなようだ。
ヨーグルトでも知られるブルガリアは、元々は農業が主産業
の国だったようで、そんな国がソビエト連邦の庇護下にある
内は良かったが、いざ独立して近代化を進めようとするとい
ろいろな社会の歪みが噴出してくる、そんな感じも受ける作
品だった。
とは言え本作は、主人公を演じたフリスト・フリストフの自
伝的な要素も強い作品と言われており、そんな激動する社会
の真っ只中にいたフリストフが、正に実体験として感じてき
た出来事が綴られているようだ。
昨年の紹介の中でも書いたが、本作ではネオナチなどの存在
が日本の社会とは多少異なる要素になっている。しかし社会
に対する持って行き場のない不満や不安に関しては、今の日
本と変わることのない若者の苦悩が描かれており、その点で
も共感のできる作品だ。
そして上記したように、その若者たちが変わろうとし、変え
ようとする気持ちが伝わってくることに、この作品の素晴ら
しさが感じられるものだ。

監督は、60本を超えるCFなどの演出を手掛け本作が長編デ
ビューのカメン・カレフ。その監督の友人のクリストフは、
今まで演技経験はなかったが、本作をドキュメンタリー調で
撮りたいとする監督がその原案を提供した本人に演じさせて
いる。
他にブルガリア人の配役では、実弟役のオヴァネス・ドゥロ
シャンと主人公の恋人役のニコリナ・ヤンチェヴァは、いず
れも国立演劇映画学院の学生で本作がデビュー作。
一方、トルコ人の配役では、旅行者の娘役を2007年のカンヌ
映画祭に出品された『卵』の演技で各国の映画祭の演技賞や
新人賞を受賞しているサーデット・ウシュル・アクソイ。そ
の母親役のハティジェ・アスランはトルコの国立劇団に所属
しているベテラン女優だそうだ。

以下は多少ネガティヴな評価ですが、作品としては紹介して
おきたいものなので掲載します。

『乱暴者の世界』
今年2月開催のゆうばり国際ファンタスティック映画祭2010
「ゆうばりチョイス部門」で上映された日本映画。
物語は、ティッシュペーパーを紙幣と思い込ませる類の集団
催眠術を使って飲み屋の支払いを誤魔化す黒服の男と、その
催眠術には免疫を持っているらしい主人公の対決を主軸とし
たもの。
黒服の男は自分が行っているのは催眠術ではなく、自分の思
念で作ったパラレルワールドに移動しているのだと主張して
いるが、その主張の根拠は不明。そして主人公が2年前から
同棲している女性を巡って、2人の対決が始まる。
宣伝コピーには「SF風味な青春映画」とあったが、本作の
物語は、それがパラレルワールドだとすればアイデアとして
は面白いかもしれない。しかしそのアイデアがSFとしては
何ら活かされておらず、SFファンとしては不満足…そんな
辺りの作品だ。
その一方で、青春映画としては「こんなものかな」とも思え
るが、同じような「SF風味な青春映画」なら、8月に紹介
した『アワ・ブリーフ・エタニティ』の方が、もう少しSF
だったし、青春映画だった気がする。
つまり基本的にSFを判っていない人たちが、SF風味のア
イデアだけは思いついたが、結局SFにはできなったという
感じの作品。まあ元々「SF風味な青春映画」なのだから、
それも仕方がないが。
それと本作では台詞が同時録音ではなく全てアフレコされて
いるが、これが何とも違和感があった。プレス資料によると
監督の田中圭、脚本の高橋玄は共に香港映画に本拠を置いて
いる人たちだそうで、香港映画はアフレコが決まりだからそ
うしたかったのかな。
それにしても、その台詞が普通に棒読みだったりすると、何
の為のアフレコなのかも解らなくなってしまうもので、その
辺は俳優の質なのか、わざとやっているのか、わざとならそ
の意図が理解できなかった。
出演は、『テニスの王子様』出身の林野健志と、劇団EXILE
所属の秋山真太郎、iPhoneアプリで世界記録を持つという舞
台女優の黒澤ゆりか。つまり主演全員が舞台役者ということ
になるが、舞台の人がアフレコに馴れていないことも確認で
きたようだ。
それに題名の意味も…、作者たちは一体何を言いたかったの
だろう? 8月に紹介した作品では題名にも心に感じるもの
があったが、こちらは全く意味不明だった。


『とびだす絵本3D』
中江義男、上野紀子原作による絵本「ねずみくん」シリーズ
の3作と、松岡達英原作の絵本「ぴょーん」と「しりとり」
の計5冊を3Dで映像化した上映時間が全部で30分の作品。
最初に登場する「ねずみくんのチョッキ」は我が子が好きで
幼い頃に読んで聞かせていた思い出がある。その子もすでに
大学を出て社会人だから、それほど長く読まれてきた絵本と
いうことなのだろう。
因に今回の作品では、「ねずみくん」シリーズからは他に、
「りんごがたべたい」と「うみへいく」が3D映像化されて
いる。それぞれ同じシチュエーションをキャラクターを替え
ながら繰り返す形式の物語で、特に幼児教育には有効な作品
と言えるものだ。
それでその3D映像化だが、実はキャラクターの表現では、
胴体と腕とのつながりの部分などがあまりスムースではない
感じで、何だかぬいぐるみの取り付け糸が緩んで腕が取れ掛
かっている…そんな印象を受けてしまった。
また、「うみへいく」に出てくる浮き輪では3Dがちょっと
いびつで、本来のドーナッツ形が完全には表現できていない
感じもした。この辺が2D−3D変換ではなかなか難しい問
題になりそうだ。
とは言え本作の場合は、元々がリアルさを追求した作品では
ないから、これはこれで了解というところかも知れないが、
出来れば子供には万全なものを観せたい…そんな思いもした
ものだ。
その他「しりとり」でも、キャラクターのつながりの部分で
ちょっと前後感のおかしなところがあり、この辺ももう少し
気を付けて欲しかった。ただまあこれも僕のような捻くれ者
が観るから気が付くだけで、子供の観客には無関係なのかも
知れないが…。
これに対して跳躍を題材にした「ぴょーん」では、ちょっと
掟破りの表現が3Dの効果を高めていた。実はこの手法は、
2月に紹介した『Gフォース』でも少し使われていたものだ
が、特に本作のような作品では有効と言えそうだ。
2D−3D変換はなかなか難しくて、実は今春公開されたア
メリカ作品でも問題にされていたものだが、『Gフォース』
のように成功した例もあるのだから、もう少しなんとか技術
を高めてもらいたいものだ。

        *         *
 今回の製作ニュースは、まずはこの話題から。
 2005年4月15日付の第55回でも報告した“Star Wars”の
映画シリーズの3D化がついに実現することになり、2012年
に公開予定の“The Phantom Menace: 3D”を皮切りに、順次
エピソード番号に従って3D版を公開するとの正式発表が、
ルーカス・フィルムから行われた。
 因に5年前の報告では、当時In-Threeという2D−3Dの
変換会社が、“A New Hope”の冒頭6分間のテストフィルム
をShoWestで発表し、その上映の後にルーカス本人が2007年
の公開30周年に合わせて3D版を公開したいと発言したもの
だが、当時は莫大に掛かる変換費用や、準備期間の短さなど
で実現には至らなかった。
 それが今回は、『アバター』や『アリス・イン・ワンダー
ランド』の大成功を受けて、実施に踏み切ることが正式に表
明されたものだが、ただし今回の発表では以前に関っていた
In-Three社の名前はなく、ILMの監修の許で別のシステム
による2D−3D変換が行われ、すでにその作業は開始され
ているとのことだ。
 とは言うものの2D−3D変換では、今年の春と夏に公開
された3D変換によるアクション作品の評価が芳しくなく、
一部にはそれに続くこと断念した作品も現れたものだが、今
回監修に当るILMは、『アバター』の3D製作にも参加し
ており、その監修というのは信用が置けそうだ。
 それに3D化を、オリジナルの公開順ではなくエピソード
順に行うと言うことは、“The Phantom Menace”以降では製
作にCGIも多用されて、その部分はデータに基づく3D化
も行えるものと考えられるし、それを活かして『エピソード
IV〜VI』の3D化にも万全を期してもらいたいものだ。
 なお5年前の報告では、Topps社の3Diカードについても触
れたが、その際にも紹介した“The Empire Strikes Back”
の3Diカードもようやく発行されたようで、映画シリーズの
3D化にも期待が高まるところだ。それにしても5年前の記
事を書いたときには、今のように3Dが受け入れられること
になるとは、思いも拠らなかったものだが。
        *         *
 お次は、1951年にイギリスの作家ジョン・ウィンダムが発
表、同国で最も権威があると言われるペンギンブックスに、
古典以外で初めて収録されたSF小説とされる“The Day of
the Triffids”、その1962年にも一度映画化されている作品
が、2009年に同作のBBCミニシリーズ版を手掛けたマイク
ル・プレイガと、『トランスフォーマー』などのドン・マー
フィの共同製作で3D映画化されることになった。
 三股に分かれた丈夫な根を動かし歩行もできるトリフィド
と呼ばれる植物が育てられている時代のお話。ある出来事に
よって人類のほぼ全員が失明する事態が発生する。そんな中
で偶然失明を免れた主人公は、他にもいた目の見える人たち
と共に人類の救済に乗り出すのだが…。そこに、実は肉食種
だったトリフィドが脅威となって現れる。
 原作は、米ソの冷戦時代の中で書かれたもので、物語には
その影響も見られるとされるが、イギリスの作家らしい落ち
着いた展開で人類文明の崩壊が描かれている。そして主人公
には、自らの人間性と人類文明を守るためのいろいろな選択
が課せられて行くことになるものだ。
 その作品は上記のように1962年にも一度映画化されている
が、『人類SOS』の邦題で日本公開もされたその作品は、
一部に熱狂的なファンもいるとされるが、多くのSFファン
には結末の描き方などで納得できないものだった。そしてそ
こには当然、上記した主人公への課題などもほとんど描かれ
てはいなかった。
 その作品が今回はリメイクされるものだが、発表に当って
製作者のマーフィは、「原作は、その人間性の追求において
現代にも通じる心を打つ物語であり、現代においても映画化
すれば成功間違いなしの作品だ」との発言も行っており、今
度こそ原作の完全映画化が期待できそうだ。
 因にマーフィは、1994年オリヴァ・ストーン監督の『ナチ
ュラル・ボーン・キラーズ』や、1998年の東京国際映画祭で
ブラッド・レンフロが主演男優賞を受賞した『ゴールデン・
ボーイ』などの製作も手掛けており、社会派的な作品にも手
腕を発揮する製作者と言える。
 しかも今回は、CGIを多用した3Dでの映画化を行うも
ので、以前の作品では特にトリフィドの造形が面白くなかっ
たり、トリフィドが人間を仕留める際の動きなども物足りな
かった不満も解消されそうだ。
 製作時期などは未発表だが、期待して待つことにしたい。


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井口健二